第6回東日本学生フィギュアスケート選手権大会2日目の10月28日、男女Aクラスの試合が行われた。国内トップクラスのスケーターが多く出場し、男女ともにハイレベルな戦いが繰り広げられたAクラス。この激戦区で、男子では近藤琢哉(商3)が5位入賞、女子では大川珠里(環4)が7位入賞を果たした。
男子Aクラス(※日本スケート連盟バッジテスト7・8級)
・近藤琢哉(商3) 101.71点 5位入賞
・土生浩貴(環4) 56.79点 15位
・団体5位
女子Aクラス(※日本スケート連盟バッジテスト7・8級)
・大川珠里(環4) 70.49点 7位入賞
・団体6位
演技が終わった瞬間、土生浩貴(環4)は両膝に手を当てて喘いだ。結果は最下位。実は、盲腸で2日前に退院してきたばかりだった。本調子からはほど遠かったが、1月に開催されるインカレに行くにはこの大会への参加が必須だったため、強行出場。本来は3回転や2回転‐2回転などの高難度ジャンプが盛り込まれたプログラムを滑るものの、身体への衝撃を考慮し全て1回転にした。それでも、ステップの部分では会場は大盛り上がり。「何とか皆に支えられて、最後まで滑ることができた」と土生はほっとした表情を見せた。一週間後に控える、全日本選手権出場を懸けた東日本選手権は、手術のため棄権することとなった。今回実力を発揮できなかった上に、東日本選手権への出場を断念せざるを得ないが、「ここはちょっと我慢」。体調を整えてリンクに帰ってくる土生は、きっとこの悔しさを力に変えるだろう。
男子Aクラスで最後に滑走したのは近藤。国内最高峰の大会である全日本選手権に2度出場し、一昨年にはこの東日本学生選手権で優勝を果たしている実力者だ。序盤、3週間前に行われた東京選手権と同様に、何度かジャンプの抜けるミスがある。しかし、演技後半ではステップで観客の拍手を誘い、また3回転-2回転やイーグルからのジャンプなど、難度の高い技を見事に決めていった。5位入賞を果たしたが、「(表現が)こぢんまりしちゃったかな」と反省点を口にした。一週間後の東日本選手権では、「もっと伸び伸び」とした演技ができるように。そして、再び全日本選手権への切符を掴み取ることができるように。努力を続ける近藤に期待したい。
最後に行われたのは、女子Aクラスの試合。慶大からは大川1名が出場した。冒頭、大川は目標に掲げていた3回転のサルコウジャンプを鮮やかに跳ぶ。その後もダブルアクセルや2回転のコンビネーションジャンプなどを確実に決めていった。演技後半では、自身が好きなスケーターだというアリッサ・シズニー(アメリカ)を思い起こさせるような気品漂うステップやスパイラルで魅了。結果、東京選手権より5点以上高い点数で7位入賞を果たした。しかし、「体力があまり続かなかった」と新たな課題も見つかった。4年生の大川にとって、慶大でフィギュアスケートができる機会は残りわずか。大川本人も納得できる、「皆を感動させられるような演技」で有終の美を飾ってほしい。
(文・写真:窪山裕美子)
土生浩貴主将(環4)
(今日の演技を振り返って)今日はちょっと病気だったので。病気というか、2日前に退院して。盲腸になり、手術はしてないんですけど、一昨日退院しました。どうしてもこの大会に出ないとインカレに出られないので、何とか。ただ枠は足りていたので、一応出場してという形だけになりました。一週間も寝たきりだったので、何とか最後まで滑りきれて良かったというのが正直なところです。(特にステップでは歓声がすごかったが)ジャンプとかは衝撃があったり、スピンもちょっと辛かったりしたので、ステップだけでも少しはいいのができればなと思い、何とか最後まで頑張りました。周りから事情を分かってもらえていたので、盛り上げてくれて、そこはすごく嬉しかったです。何とか皆に支えられて、最後まで滑ることができた感じがありました。(主将として思うことは)僕は昨日BクラスとCクラスの試合を観ることは出来なかったんですけど、部員10人中、今回合わせて8人部員が出ることが出来ました。例年よりもインカレの出場者として出る人数が多いので、そこはすごく嬉しいなと思うんですけど、本当は全員でインカレに出たいという思いはありました。予選会にまだ出られない子とかインカレの本戦に予選落ちしちゃった子とかいるんですけど、それでも皆インカレに向けてこの一年頑張ってきました。まだ次がある人ももちろんいるので、皆でまた引き続き、出場できる子だけとかではなく、お互いに。また大会が終わった後も小さい試合がいくつかあるので、そこでもう一回志気を上げ直して、しっかり練習から頑張っていければいいかなと思います。最終的には皆で自分のできる演技を最後にして、引退できるようにしたいなと思っています。(来週の東日本選手権には出場できるか)やっぱり先に手術することに決めたので、僕は出られません。男子の近藤と女子の大川が出るので、二人だけの出場になってしまいます。僕も本当は今年最後なので、どうしても全日本選手権に向けての東日本選手権に出たかったんですけど、あまりズルズル引きずっちゃうとインカレに支障をきたす恐れがあるので。本当は悔しいですけど、ここはちょっと我慢して、手術してしっかり治したいなと思っています。残りの二人の選手は、全日本選手権に出られるように是非頑張ってもらいたいなと思っています。
近藤琢哉(商3)(今日の演技を振り返って)ちょっと不本意というか、途中トウで突いた時に抜けちゃうミスがありました。それを前回の東京ブロック大会でもしていて、何が原因なのかはっきりしていないので、また来週試合があるのでそこまでには直したいと思います。(ジャンプが抜けた後に連続ジャンプを決めるなど、立て直していたように見えたが)東京ブロックの時にはそれができず、全部がボロボロいっちゃったんですけど、そこは今回直せたのでちょっと成長したかなと思います。(表現で気を付けたことは)ジャンプとかも丁寧にいこうとしたんですけど、逆に丁寧すぎて、こぢんまりしちゃったかなと思います。もうちょっと伸び伸びやれたらと思いました。(最終滑走で緊張はあったか)そんなになかったです。(一昨年この大会で優勝されたが、特別な思いはあったか)そんなにどの大会も変わらないです。(ライバルは)上位の二人(佐々木彰生〈明治大学〉・中村健人〈立教大学〉)とかは気になるんですけど、結局やっぱり自分がいい演技をしないと勝てないので、自分のいい演技をするのが一番です。(来週の東日本選手権に向けて)やっぱり全日本に向けて一年練習してきていて、全日本に行くためにも東日本選手権は重要な大会なので、必死にあと一週間やろうと思います。(今季全体の目標は)今季はやっぱりどの大会でも成績を出すことです。自分の中のいい演技をして成績を出すことが目標です。
大川珠里(環4)
(今日の演技を振り返って)最初のサルコウジャンプが入ることが目標だったので、それを成功できて良かったと思います。その後も大きなミスはなかったんですけど、体力があまり続かなかったので、そこをちゃんとこれからこなせるようにしなきゃいけないなと思いました。(表現で気を付けたことは)今回は『オペラ座の怪人』の曲を使ったんですけど、その曲は前からずっと使いたかった曲でした。自分も好きな曲なので、好きな曲に合わせて自由に体を動かせば自然と表現も出てくるかなと思って、曲を聴いて体を動かすことを意識しました。(誰かの『オペラ座の怪人』を観て、憧れたことはあるか)引退する選手で使う人が結構多く、どの選手もすごくいい演技をして終わっているイメージがありました。そういった引退選手の演技を観ていくうちに、『オペラ座の怪人』を好きになりました。(今日の演技の良かった点と悪かった点は)良かった点はサルコウが決まったことです。悪かった点としては、コンビネーションが一つしか入らなかったということと、体力が続かないところがあって演技に疲れが出てしまったので、これからは疲れても疲れを見せないようにしなければと思いました。(来週の東日本選手権に向けて)あと一週間しかないので、調整のつもりで、フリーはこの調子でいけばいいかなと思います。ショートプログラムもあるので、そこではジャンプが3つしかなくて確実に決めなければいけないので、ショートプログラムのプログラムを中心にパーフェクトな演技をしたいです。(大学ラストイヤーの今季全体の目標は)最後の引退試合が多分インカレになると思うので、そのインカレで皆を感動させられるような演技をしたいです。
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