【女子ラクロス】社会人相手にも強さを発揮 決勝進出を決める

 

出原が相手ディフェンスを貫く

厳しい寒さの中、ラクロス全日本選手権準決勝が行われた。学生日本一を達成した慶大の相手は、昨年の覇者であり日本代表選手も擁するNLC SCHERZO。試合は序盤、クラブチーム相手に苦戦を強いられビハインドで前半を折り返す。しかし、後半からは慶大が反撃。ボールを保持する時間が増え一気に逆転すると、最後は7‐6と1点差で勝ちきった。これにより、慶大は16日に行われる決勝戦への進出を決めた。

ラクロス全日本選手権準決勝 VS NLC SCHERZO

 

2012/12/9(日)14:00ドロー@大井ふ頭中央海浜公園第2球技場

 

チーム 前半 後半 合計
慶大
NLC
 

悲願の学生日本一を達成した女子ラクロス部。だが、そこで満足することはなかった。「自分たちの目指すべきところはここではない」(佐藤主将・法4)。目標とする真の日本一に向け、全日本選手権準決勝に挑んだ。

 

ディフェンスでいい動きを見せた飯豊

前半、慶大は「エンジンがかかるのがすこし遅かった」(矢野・政3)と、なかなかリズムに乗れない。開始早々NLCに先制点を許すと、3分の佐藤主将の同点ゴール直後にも失点。チーム全体に硬さが見られ、相手ペースで試合を進められてしまう。ボールを奪ってもパスミスや相手のプレッシャーにより奪い返され攻め込まれるという展開の繰り返し。そんな中、12分にディフェンスが整わないところを突かれ追加点を許す。ゴーリー中曽根(商4)の好セーブなどで相手の攻撃をしのいでいたが、17分にも相手にフリーシュートを与えてしまい4点目を献上。さらに点差を広げられる。それでも20分、自陣から一気に攻め込むとパスをつないでいき出原(政3)がゴール。直後に失点するが、22分には再び佐藤主将の得点で3‐5とし、2点ビハインドで前半を終える。「攻める気持ちを出し切れていなかった」(大久保HC)ため、常にリードを許す展開となってしまった。

廣野が数々のチャンスを作り出した

 

しかし、前半を戦い「勝てない相手じゃない」(佐藤主将)と感じた選手たちは後半開始から攻勢に転ずる。小川(商3)が惜しいシュートを見せるなど、チャンスを何度か作り反撃を予感させると6分、出原の自身2つ目のゴールが決まる。この後さらに、中曽根のパスカットから谷山(経4)が敵陣まで素早く走り込み、最後は小川がシュート。これが決まってついに5‐5の同点とする。その後も攻撃の時間が続くが、相手の守備もやはり堅くチャンスは作るものの決めきれない。すると攻め込まれた13分、ゴール前でファウルを犯してしまいピンチに。しかし、ここを中曽根が防ぐとそのままパスをつないでいき廣野(政2)がゴールを決めて逆転。さらに15分にも廣野のゴールで7‐5とする。勢いに乗る攻撃陣の一方で守備陣も奮闘。岸本(商3)が相手のキーマンを徹底マークし仕事をさせないなど、安定したディフェンスを見せる。まだまだチャンスを作るが、逆に一瞬の隙を突かれ21分に失点。1点差に迫られる。その後、リードしている慶大はボールを回して時間を使うが、終了間際ボールを奪われると一転してピンチ。しかし必死のディフェンスで守りきり、このまま試合終了。7‐6で慶大が勝利し、決勝進出を決めた。

 

社会人チームに対しても恐れず「圧倒的ラクロス」を見せつけた彼女たち。劣勢に立たされてもあせらず逆転し、終盤の相手の粘りにも屈することなく勝ちきった。この強さを決勝戦の舞台でも見せてくれることだろう。次の相手は全日本クラブ選手権1位のMISTRAL。今回以上に厳しい試合となるかもしれない。しかし、「日本一になって笑顔で終わりたい」(矢野)。最後の大舞台で選手たちの最高の笑顔が咲き誇る瞬間に期待したい。

(記事・吉山祐未)

 

 

以下コメント

 

大久保宜浩HC

(勝利の感想は)勝算はあったので勝ったこと自体は良かったですね。ただ、前半の内容が悪すぎたことが反省点です。(前半に離される展開は予測していたか)ラクロスでは得点の展開はどうなるか分からないので、どんな状況でも対応できるようにしていました。中盤のボールを運ぶところで主力の選手たちが攻める気持ちを出し切れていなかった。その分ボールを下げてしまったことがゲームに影響してしまいました。(チームに固さはあったか)若干あったと思います。体の動き自体も固かったし、ゲームに入れていない感じはありました。(社会人には個人能力が高い選手がいるが対策は)負ける要因があるとすればそこだと話していました。相手のことをクラブチームの選手だから上手いや怖いと思ってしまうことが危ない。本当にケアしなければいけない選手は数人でATの10番をシャットアウトすることとGの4番ですね。この二人が向こうのキーマンでもあるので対策していきました。逆に言えばその二人以外は個人でもやっていけるので構えすぎないようにと伝えました。(今日の試合を採点すると何点か)前半0点、後半80点ですね。(後半は良い内容だったが残りの20点のポイントは)決めて欲しかったシュートが決まらなかったことと、最後に40秒残してボールを取られてしまったこと。最後は同点になってもおかしくない局面でした。あそこは2分間使い切って勝利まで持っていきたかったですね。(ボールを取られながら結果的に勝ちきることができたが、チームに勝負強さは感じるか)9、10試合勝つ中で戦い方への自信は付いていると思います。今日は主力の上級生が苦しんでいる時間に下級生がカバーする活躍を見せてくれた。チームとして成長を感じましたし展開としても大きかったですね。(決勝へ向けて)とにかく楽しみです。最後の大舞台で自分が教えているチームの選手たちが躍動してくれる姿を見たいです。勝算もありますし、最後にこのチームが良い試合をしてくれることが楽しみです。

 

佐藤由佳主将(法4

(今日の試合を振り返って)入りの部分は体が動いていなくて、自分たちのペースに持ち込むことができなかったんですけど、相手と戦ってみて勝てない相手じゃないという気持ちになって、そこからしっかりスイッチが入っていったのは良かったと思います。(社会人相手ということでしたが硬さなどはあったんですか)個人的には全く意識してなかったんですけど、全体的にはやはり硬さはあったのかなと。(相手のゴーリーの富田選手についてはいかがですか)相手のゴーリーの苦手なコースがあって、そこに打ち込むということを練習からやっていたので、自分はそこはしっかりと出来たんじゃないかなと思います。(自身2得点しました)1点目は自分の得意なカットからのシュートで決めることができたのでそこは大きく成長できたと思います。2点目は大チャンスというかラッキーな部分もあったんですけど、そこをしっかりと落ち着いて決めきることが出来たのは良かったのかなと。(学生日本一になった後気持ちが緩んだということは無かったのですか)学生日本一になった試合で、自分たちの目指すべきところはここではないなということは感じたので、もっと上の相手を倒すということを目指してやっていきました。(決勝に向けて)慶應が日本で一番強いチームであるということを証明して、優勝したいです!

 

谷山なつき副将(経4

(今日の試合を振り返って)今までずっと勝てると思っていて、前半に自分たちの良さが出ていなかったんですけれども、そこで焦らずに後半立て直して勝てたのでとても良かったと思います。(前半不調の原因)序盤いつもうまくいかないんですけれども、焦っちゃったのかなと思います。でもそれは逆にいつも通りとポジティブに捉えました。(後半一気の攻勢は)焦ってない顔、余裕の顔が大事と試合前にコーチから言葉をもらったんですけれども、後半に逆に相手の選手がその焦った顔をしていて自分たちはすごいいい顔が出来ていたのでメンタル的にも余裕を持てたのがよかったと思います。(社会人相手で)違いはなかったですね。懸念していたのは社会人だからとか強い選手がいるからとかいう先入観だったんですけれども、ただ社会人というだけで普通の一つのチームなのでそこは変わらず戦えたと思います。(相手のディフェンスが堅かったが)序盤から点数を重ねて行けたので最初に勝負をできたのはよかったと思います。(最後の戦いに向けて)勝っても負けてもあと一週間なので死に物狂いで日本一をつかんでいきたいと思います。

 

矢野佳夏恵副将(政3

(今日の試合を振り返って)最初すこしポンポン決められちゃったんですけど、前からコーチたちに言われてたのは社会人を上に見るなということだったので、ほんとに強い選手というのは三人くらいしかいなくて、そこでここが負けないでこっちから仕掛けられたのが勝てた理由かなと思います。(前半パスミスなど多かったが意識していたこと)エンジンがかかるのがすこし遅かったので足が動いていなくてパスミスが起きてしまったり、そのパスミスしたボールが拾えなかったりしました。DFとしてはそこで落ち着けてミスしても大丈夫なんだとおもわせたかったので、攻めてきた相手にしっかり当たるとか、ラインを下げてゲームをつくっていくのを意識していました。(後半入るとき意識したこと)社会人の選手のなかにキーマンがいて岸本がマークしていたんですけど完全に勝っていたのであとは個々が負けないように強くプレーすることと、あとはアタックにボールが回ってくるようになっていてボールをキープできるようになっていたのでディフェンスのときに早めにラインを下げてしっかり当たるということを意識しました。(収穫は)社会人相手にもしっかりやれるということ。技術でも勝っているところはたくさんあるし決勝にむけて十分戦えると知れたことだと思います。(次の試合にむけて)ここまで来たら絶対優勝して日本一になって笑顔でおわりたいです。社会人相手に緊張することなくやれるとおもうので 強い気持ちでかちたいと思います。

 

出原由佳子副将(政3

(試合を振り返って)大学選手権決勝が終わってから今日まで準備してきたことをフィールドで体現できたので本当にうれしいです。(得点シーンを振り返って)今までリーグ戦からここまでを通してシュートチェイス、リバウンドというところにこだわってきて、1点目はリバウンドからの得点だったので今までこだわってきたところで得点できて良かったです。2点目はカットからの得点で、相手のゾーンが結構中があいていて相手のディフェンスをしっかり見て攻めることができたので点に結びついてよかったと思います。(相手は社会人でディフェンスも手ごわかったが)やはり一人一人の技術力が高くて、スカウティングをしていても上手だなと思う選手がたくさんいたんですけど、学生王者としての自覚をしっかり持って対等な目線で戦うことができたので勝利できたと思います。(後半よくなった要因は)私たちがやることをしっかり出せれば絶対に勝てると思っていたので、前半ビハインドで折り返してしまった時もマイナスな気持ちではなくやってきたことを出そうということだけを意識してみんな明るい顔でフィールドに戻れました。なので、特に何かを変えたわけではなく気持ちの面で勝てたんだと思います。(決勝に向けて)4年生にとっては最後の試合になりますし、ここで負けてしまったら負けた印象の方が強く今シーズン終わってしまうことになるので、ここまで接戦を勝ちきってきた強さを最後もしっかりと体現して、怖気づかずに社会人を圧倒したいと思います。

 

小嶋めぐみ(経4

(今日の試合を振り返って)前半立ち上がりは全然よくなくて、もともと社会人だからって全然ビビらずにいつもの試合をしようと言ってやってる中でも勝てるなという感じはあったんですけれども、なんかこっちがうまく自分たちのプレーが出来なくて前半劣勢になってしまったんですが負ける気はしなかったのでここから巻き返そうという感じでした。(前半劣勢の原因)本当にわからなくて、私が全然何もしてなかったのでいけないんですけれども、ボールが前に運べなくてせっかく奪ったボールを失ったりしていてプレッシャーに対してうまく対応できなかったのでもっと先に仕掛けていければよかったです。(後半良さが出たが)やっぱりドローが取れてマイボールにできたらオフェンスは自信を持ってできていたので向こうのゴーリーがうまくて点が入らないシーンはあったんですけれども、マイボールにできたのが良さとしてはあったのかなと思います。(社会人を相手にして)ビデオ見ていてもやりあえる自信はあったし、実際対峙してみて最初の何分かで全然負ける気はしなかったので、劣勢の中でもみんな全然できるよねっていう感じですごく生き生きした顔をしていたので巻き返せるなと思っていました。(最後日本一に向けて)男子も先に勝ってくれて波に乗ったので最後も男子と一緒に日本一まで行って私たちは本当にあと一週間で終わりなので最後まで笑って引退したいと思います。

 

中曽根綾香(商4

(今日の勝利を振り返っていかがですか)勝ったことは嬉しいんですけど、私たちは学生日本一になった時点で後2個勝って日本一になるということを考えていたので、気持ちを切り替えていけたらと思います。(学生日本一になってから気の緩みなどはなかったのですか)学生日本一になった時点で、今シーズン負け試合は作りたくないということでやっていました。なので、練習中もすごく良い雰囲気で練習で出来ていましたし、良い準備ができたと思います。(中曽根選手がゴーリーに入ることで安定感が増したように思いました)最初の得点が相手の速攻から始まっていたので、そこを皆に声を掛けようと。あとは、ディフェンスの人たちに、もっと強くプレッシャーをかけていいよだったりと、積極的な守備を見せていこうと声を掛けていきました。あとは、自分のプレーですね。最高のプレーをしてやろうと思っていました。(後半の戦いぶりについて)岸本選手が井倉選手を抑えていたようにナイスディフェンスをしてくれました。一人べったりとマンマークして抑えている分、周りへの対応が一人減ってしまうんですけど、そこに関して速攻でやられてしまうという部分もしっかりと試合中に修正できたのかなと思います。(相手ゴーリーの富田選手について)日本代表でも一緒にやっている選手で、尊敬している選手です。富田選手のプレーをビデオで見て研究することで、自分の技術アップにもつながるし、慶應のアタックにもつながると思ったのでしっかりと研究はしていました。(相手チームには井倉選手、富田選手など日本代表の選手もいました)相手のことを上に見るということは無くて、今まで学生相手にやっていた気持ちと同じ気持ちで臨みました。(MISTRAL戦に向けて)今日の試合も、ビデオだったり練習だったりしっかりとした準備をしてきたことが結果につながったと思うので、あと1週間良い準備をしたいですね。4年生は勝っても負けても最後の試合になるので、やれることをやって勝って終わりたいと思います。

 

岸本由紀(商3

(今日の試合を振り返って)相手チームの10番が日本代表のかたで、その人がボールを持つと失点機会が増えてしまうということで自分が徹底マークするという役割を担ったんですけど、50分間でボール触られたのが3回、シュートを決められたのが1回、自分の出来としては70点くらいかなと思います。自分がカバーとかでないぶん他のDFとかMDのかたがブレイクの対応とかしっかりしてくださったので、自分の力だけではなくてチームのみんなと勝ち取った勝利だと思います。(前半のできは)クリアの部分でミスが出てしまって私はクリアの最中も危ないときはキーマンを外さないということだったのでほとんどクリアに参加できなかったんですけど、本当にクリアの部分がうまくいかなかった原因かと思います。(収穫は)徹底マークすることで相手のアタックに精神的にイライラさせることができたとおもうし、ファールの時とかすごく強く抗議されたんですがそれに惑わされずに50分間冷静にできたことが収穫だと思います。(次の試合に向けて)次の試合も世界的に上手なキーマンがいらっしゃってたぶんその人をマークすることになるとおもうので50分間とおして一度もボールを持たせないことは自分の身体能力では無理なのでなるべく持たせない、攻撃チャンスをとにかく減らすということを意識してとにかくしつこくやっていきたいです。

 

鈴木早紀(政2

(今日の試合を振り返って)クラブチームとの試合をあまりしたことがないっていうのと、2週間前にこの試合が決まったときは格上だという気持ちが強くて、緊張する部分もたくさんあったんですけど、練習を積んでいく中でちゃんとみんなで強い気持ちで向かえたので、それが実って勝ててすごく嬉しいです。(クラブチーム相手に対策は)私はディフェンスなんですけど、キーマンとなる選手はベタで付いてボールを入れないという対策をしました。(前半の苦しい流れを後半で変えることのできた要因は)試合前に、絶対弱い顔にならない、ということをコーチに言われたんですけど、全員がそれを意識してどんなに悪い展開でも絶対に勝つという気持ちで向かえたので、最後まで強い気持ちでプレーできたことだと思います。(決勝戦に向けて)ここまで来たら絶対優勝したいので、やれることは全部やって、来週も強く、勝ちに行きたいです。

 

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