いよいよ終盤にさしかかった関東学生トーナメントで二組の慶大勢が強敵との熾烈な戦いを繰り広げた。大会5日目の5月11日、雨天のため早稲田大学東伏見コートにおいて行われたダブルス準決勝。チームの応援を背にコートに立ったのは筑波フューチャーズで優勝を果たし好調の志賀主将(政4)・近藤(環3)ペア。相手は優勝候補筆頭の遠藤・田川ペア(早大)であり、両校の意地をかけた一戦はフルセットにもつれ込んだが、健闘むなしく決勝進出とはならなかった。一方女子もダブルス準決勝が行われ、前回準優勝の西本(総2)・池田(環2)は今大会のダークホースとなった立大ペアを下して、昨年同様決勝へと駒を進めた。
2013/05/11 @早稲田大学東伏見キャンパスインドアコート
関東学生テニストーナメント大会
試合結果男子ダブルス準決勝
志賀正人(政4)・近藤大基(環3) |
●3-6,7-5,1-6 |
遠藤豪・田川翔太(早大) |
池田玲(環2)・西本恵(総2) |
○6-3,6-3 |
寺田美邑・吉田恵美(立大) |
志賀主将・近藤の準決勝は第1セット序盤から相手の猛攻に「少し引いてしまった」(志賀)と受け身になる苦しい展開に。辛くも3ゲームをもぎ取ったが、今ひとつ本領発揮とはならないまま挽回の望みを第二セットに託した。しかしその第二セットでも立ち上がりは芳しくない。相手に楽なサービスキープを許すと、自分たちのサービスゲームでも競り負けゲームカウント0-2とされる。ここで相手のセカンドサーブからラリー戦に持ち込んで初のブレークに成功するが、その勢いをつなげられず慶大は1-4の窮地に立たされてしまった。
しかし苦しみながらも次のゲームをサービスキープすると、流れが慶大ペアに傾きはじめる。志賀が鋭いリターンを沈め、返ってきた甘い球を近藤がネット際で叩くという安定したスタイルがはまり、再びブレークに成功。続く第8ゲームも志賀の攻めのサーブでキープし、ゲームカウント4-4と追いついた。直後にキープを許しピンチの状況を迎えるが、近藤がサービスポイントで流れを引き寄せると志賀もコントロールの難しいローボレーで前衛の逆をつき、連続ポイント。さらに焦りから前がかりになる相手の頭上を志賀のロブが抜き、狙い澄ましたようにエンドラインぎりぎりのところに収まると、これには学生王者もたまらず天を仰いだ。序盤とはうって変わって完璧な試合運びを見せた慶大は、最後は難なくサービスキープし7-5でこのセットを奪取。このとき二人には確かに「勝ちが見えて」(志賀)いた。しかしだからこそ油断も生まれた。完全に持ち直した相手にあっという間に1-5と差をつけられると、それまで抜群の安定感があった志賀のリターンがわずかにラインを越え、ゲームセット。志賀・近藤の春関ダブルスはベスト4に終わった。
敗れはした、けれども第二セットの怒涛の追い上げの中感じた手ごたえは確かだった。志賀のネット前での動きや近藤の柔軟なボールさばきなど一つ一つのプレーに関しても昨季のプレーから格段に精度を増している。そして何よりそうしたプレーを支える精神のたくましさ、余裕があった。次に早大と相見えるは一週間後に控えた早慶戦だ。縮まりつつある差をどこまで埋められるか。「次戦うときには勝てるイメージができている」(近藤)。伝統の一戦でリベンジを誓う。
また、男子ダブルスに続いて女子ダブルスの準決勝も同じく早稲田大学東伏見インドアコートで行われ、前回大会で初出場ながら準優勝に輝いた池田(環2)・西本(総2)が立大の寺田・吉田ペアと対戦した。相手はチャレンジャーらしいアグレッシブなネットプレーで畳み掛けるも、慶大ペアは自分達のペースを微塵も崩さずじわじわとリードを広げる。最後まで前回ファイナリストの余裕を見せつけ、6-3,6-3で今年も決勝の切符を手にした。決勝の相手は早大の長谷川・吉冨ペア。因縁の早慶対決を制して歴史的快挙達成なるか。どちらが勝っても新女王の誕生だ。今季を占う春関のクライマックスに注目が集まる。
(写真・文 伊藤明日香)
◆選手コメント
(今日の試合を振り返って)
志賀 序盤相手が攻めてきたのに対して僕らが少し引いてしまってあまりいいプレーができなかったことが良くなかった。セカンドセットは自分達の方がどんどんかみ合いはじめて良いプレーが出てきてボレーも良くなってきましたしサーブも良くなってきていたのですが、勝ちが見えて第三セットに入ったところで早稲田の牙城を崩せなかったのはセカンドを取って安心してしまったところがあったからですね。あとの部分では勝てるダブルスだったと思うので、それだけに今は悔しいです。
近藤 良くなってきている部分は良くなっていて、いけるダブルスだったし、相手がビビっている場面も見えてきたと思います。僕は一年生のときに遠藤くんとシングルスダブルスを戦って負けているのですが、そのときはまだ相手をビビらせるところまではいけてなかった。だけど今の段階なら相手がビビっているところが見えたし、あともう少しだと思うので、次戦うときには勝てるイメージができているし、絶対勝ちたいですね。
(今季からのダブルスですが、手応えは)
志賀 筑波フューチャーズで優勝して、学生同士で優勝したフューチャーズっていうのは最近ないと思うのでそれがすごく自信になって、この大会にも優勝を目指して臨みました。だけど、まあやっぱり田川・遠藤もプロに通用するダブルスだと思いますし、どちらに転んでもおかしくなかったので、負けたからといってそんなにネガティブではないです。まだまだ早慶戦もあり、これから組んで試合する機会もあると思うし、もっともっと上のステージで戦っていけるダブルスだと思うので、これからもっと突き詰めて良いダブルスにしていきたいです。
近藤 僕も、負けても全然ネガティブじゃなくポジティブな気持ちです。近場だと早慶戦がありますし、先だとインカレなどの試合もあるので、自分たちの力をもっと掘り下げていって、それをいつでもコンスタントに発揮できるようにしたい。そうすれば田川・遠藤にも勝てるようになると思うしプロにも通用すると思うので、もっとテニスを掘り下げて考えてゆければレベルアップできると思います。
(早慶戦で同じ相手と対戦すると想定したときに、なにをすべきか)
志賀 おそらく同じペアだと思うので、今日のビデオを見ながらよく反省することと、あとはサービスキープ。これが本当に鍵になってくると思うので、相手のリターンの弱点だとか、自分たちのサーブの強みをとにかくよく研究してサービスキープを楽に進めていけるようにしたいならと思います。
近藤 簡単に言うと自分達の短所と長所をもっとよく知って、あと今日こうやって三セット戦ったので相手の短所と長所をよく研究して知っていけばそれだけで早慶戦は絶対勝てると思うので、シングルスでもそうですけど、もっとそういうところを考えていければと思います。
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