王座を目指す慶大を、エースとして頼もしく支える存在がいる。昨年の鮮烈なデビューからよりいっそう頼もしく成長を遂げた西本(総2=岡山学芸館高)だ。昨年はいきなり春関ダブルス準優勝、インカレシングルス4強と大学テニス界を驚かせたが、今年は春関ダブルス優勝、さらにユニバーシアード日本代表選出と名実ともにその存在感を強めている。今年度の全日本選手権(インカレ)のシングルスでは早大のライバル・吉冨に敗れベスト8という悔しい結果に終わったが、ダブルスでは池田と共に優勝を果たし、リーグ戦に向けても「チームのみんなのサポートを受けて力に変えられる」と気合十分だ。混戦の関東リーグでは「どの大学が王座に行ってもおかしくない」と表情を引き締めるが、昨年3位に散った慶大を更なる高みへと牽引してくれるだろう。大学テニス界が注目する慶大のエースが今、二年目のリーグ戦で王座進出を狙う。
ユニバーシアード代表選出に関して
・先日までのユニバーシアードではコンソレで準優勝ということですが、大会を振り返って
本戦の出場選手とは異なっていたんですけど、いろんな選手のプレーを見た後に自分もプレーできて、やっぱり自分が出る試合は勝って優勝したいと思っていたので、まあ負けてしまったんですけど、決勝まで行けてよかったです。
・ユニバーシアード女子代表のチームメイトは早大OGが多かったですが、これまで対戦していたときと違った印象はありましたか
日本の学生大会で優勝されてる方たちだったんですけど、世界を舞台に戦っている姿はまた違って見えて、メダルにかけている思いを感じました。
・ご自身はどんな選手と対戦しましたか
世界各国から集まってきていました。
・日本の選手との違いは
結構背が高かったり、動きが早いわけではなくても、やっぱりサーブと、体格でパワフルなボールを打ってくるというところがやっぱり日本の選手とは違うと思いました。
・準優勝という結果に関して今後の課題は見つかりましたか
試合全体を見ると、タイミングとか、フィジカルの部分をもっと伸ばしていきたいです。
8月以降の連戦に関して
・8月後半から大会が続きますが、暑さ対策や体力面での対策は
練習時間が、テストも終わって、一日ずっと空いている日ができたので、しっかり一日練習して、トレーニングもして、食事なり休養なりっていうのもしっかりやっていこうと思います。
・大会が始まると連日のタフな日程になりますが、どのように乗り切っていきますか
気持ちを切らさないようにっていうのはあるんですけど、試合が終わって会場を離れたら、仲間と話したり、自分で一人になったりして、ちょっとのんびりする時間を作りたいと思います。
・インカレからリーグまでの日程も詰まっていますが、個人戦から団体戦への気持ちの切り替えは
インカレでしっかり自分のプレーをして、それをさらにチームのみんなのサポートを受けて力に変えられると思います。
リーグ戦について
・昨年のリーグでは山学大が鍵となりましたが、今年はどこが鍵になりますか
今年はどこというよりも、どの大学が王座に行ってもおかしくないので、一戦一戦勝っていくということが大事だと思います。
◆西本恵(にしもと・めぐみ)
1993年7月12日生まれ、岡山学芸館高を経て現在総合政策学部2年。1年時の活躍を見込まれメンバーに選出されたユニバーシアードではコンソレで準優勝を果たす。平成25年度全日本学生選手権単ベスト8、複優勝。
ほとばしるダブルスの才・池田
昨年から足跡を残し続ける慶大の躍進の中心には、いつもこの選手がいる。ひときわ小柄な体格ながら、ネット前では大きな存在感を放つ池田玲だ。シングルスではまだまだ成長期だが、ダブルスでは西本と組んで春関優勝、安形(環1=城南学園高)を引っ張り夏関優勝、そして再び西本をインカレ制覇を成し遂げ、まさに向かうところ敵なし。ネット前でのセンスは1年時から目を引き、攻撃的なテニスというトレードマークをほしいままにしたが、今年は「粘りのあるプレーを、去年できなくて課題にしてきた部分を積み重ねてきたので、出していきたい」と、その幅は広がるばかりだ。しかし一度コートを出ると、少女らしいお茶目な一面で周囲を笑顔に。また、目標とする存在には意外な名前も挙がった。そんな意外性のある人柄も、そのプレーに奔放な多彩さを与える要因かもしれない。予測不可能な池田のプレーが、リーグ戦でも慶大に勢いを呼び込む。
8月の連戦へ
・夏関はクレーコートですが、苦手意識は
あんまりクレーコートでやったことないんですけど、特に何も考えてないです。
・厳しい暑さの中の試合になりそうですが
体力面には自信があるので、体調管理、食事には気を付けていきたいです。
・シングルスに関して
インカレで、今年は予選からになってしまったんですけど、去年は3回戦まで行っているので、それ以上を目指して、自分ができるかぎりのプレーをしたいと思います。
・池田選手というと攻撃的なプレーが印象的ですが、今年はどんなプレーを目指していますか。
もちろん積極的にはいくんですけど、その中で、粘りのあるプレーを、去年できなくて課題にしてきた部分を積み重ねてきたので、出していきたいと思います。
・優勝を狙う上で課題は
しっかり取れるところで取って、無駄なゲームを落とさないで、取りきるということを徹底してやっていきたいと思います。
・亜大の山本・伊波組のように上位で何度も対戦することになるペアに関して
山本・伊波に関しては去年負けているので、今まで以上にしっかり考えて行かなきゃいけないんですけど、他のペアに関しては、さっきも言ったんですけど、しっかり抑えて隙を見せないことだと思います。
・春関の時は2人での練習時間が十分取れない中でのダブルス優勝でしたが、今回二人で調整する部分は
お互い役割はしっかりわかっていると思うので、そこをしっかりコミュニケーションをとることもそうなんですけど、その役割をそれぞれきちんとやることかなと思います。
リーグ戦に関して
・今年の春の早慶戦ではダブルスのみの出場でしたが、ご自身の役割とは
どこに出るかはまだ全く分からないですけど、出たからには1本しっかり取ってくる。もちろん勝つこともそうなんですけどしっかりそういう姿を前面に出していきたいです。
・昨年は惜しくも王座を逃しましたが、今年の見通しは
今年は本当に王座、日本一を狙ってやってきているので、もちろんなんですけど、どこの試合も気が抜けないです。
オフに関して
・これから緊迫した試合が続いていきますが、これまでオフはどう過ごされていますか
休めるときは休む事と、まあちょっと、私はテニスからちょっと離れてリフレッシュして過ごしています。
・ご自身の中で定番のリフレッシュ法は
(横で話を聞いていた西本選手、「寝る」と即答)うふふ。音楽とかは、聞いたり、歌ったり?します。(二人から笑い)
・先日までは試験期間でしたが、いかがでしたか
ばっちりです!
テニスに関して
・目標とするプレーヤーは
積極的なプレーと考えると、早稲田になってしまいますが桑田さんとかのテニスが結構好きです。あそこまでとはいかなくても、いいところを自分の中に取り入れていきたいです。
・王座には出場経験がないですが、どんなイメージをお持ちですか
リーグとはまた違うというか、1段階上だとは思うし、簡単に行けるところではない、と考えています。
・今年の慶大はどんなチームですか
メンバーはほとんど1,2年生で、若いチームなので元気があるチームかなと思います。
・先ほど西本選手と練習試合をされてましたが、ここがすごい、という点はありますか
(二人とも、爆笑)やっぱりサーブが狙っているところに入るとこと、ストロークの角度がえぐいなって思います。
・ユニバーシアードから帰ってきて、変化は
前にあんまり試合をしていなかったんですけど、でもボールが重くなったっていうか伸びるようになったっていうか、結構またパワフルになったと思います。(西本選手、笑い)
・このチームで王座を狙えそうですか
はい。
・これからの試合に向けて意気込みを
もちろん出る大会に関しては、去年あまり結果を出せなかった分、しっかり上を目指して一戦一戦戦っていきたいと思います。
◆池田玲(いけだ・れい)
4月2日生まれ、富士見丘高を経て現在環境情報学部2年。平成25年度の関東学生トーナメント、関東学生選手権、全日本学生選手権のダブルスで優勝を飾る。シングルスでは全日本学生選手権3回戦敗退
※取材は7月30日に行われました。ご協力いただいた庭球部マネージャー・今村様、選手・部員の皆様、まことにありがとうございました。
(取材 伊藤明日香)
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