【野球】逆転の一発あるも春の王者を討ち取れず 優勝遠のく 明大②

10月21日 慶大-明大 2回戦

 

山本泰の2点本塁打で一時逆転するも・・・

山本泰の2点本塁打で一時逆転するも・・・

 前季優勝は伊達じゃない。秋の王座を賭けて挑んだ明大1回戦は投手リレーの前に完封負け。1日挟んで迎えた2戦目は、3回にまずは明大が1点を先制するも主導権を握られたとまではいかず、流れがどちらに転がってもおかしくない状態に。その中で6回、今日好調な山本泰が値千金となる2点本塁打を放ち、見事逆転に成功。そのままリードを守りきる投手リレーに持ち込むもこれが誤算となり、8回に3失点で逆転し返されてしまう。そのまま反撃も振るわず、2連敗。明大に首位を奪われ、優勝に向けて黄信号の灯る結果となった。

 

   
慶大
明大 ×
 

 

慶大:加嶋、小原、●白村、加藤-小笠原

明大:上原、○関谷、山崎-坂本

 

 

慶大出場選手

 

  ポジション 選手名(学部学年・出身高校)
[8]7 佐藤旭(商3・慶應)
[6] 山本泰(環2・慶應)
[3] 松本大(環4・桐光学園)
[9] 谷田(商2・慶應)
[5] 横尾(総2・日大三)
[7] 渡邊暁(商4・慶應)
  梅野(環2・福岡大大濠)
[2] 小笠原(環2・智弁和歌山)
  H 植田(商4・慶應)
[1] 加嶋(商2・慶應志木)
  H 荒川(商4・慶應)
  小原(環1・花巻東)
  白村(商4・慶應)
  加藤(政1・慶應)
  H 大坪(総4・佐賀西)
[4] 堀野(理4・掛川西)
  牧野(商4・千葉東)
 

 

2番遊撃で今季大活躍の山本泰(写真右)

2番遊撃で今季大活躍の山本泰(写真右)

慶大の今季の快進撃、その最大の要因は一体何であろうか。打撃好調な打撃陣。3番スタメンに固定される松本大は開幕からの10試合連続安打を含め、打率リーグ2位につけるなどまさに絶好調で、さらには山本泰、谷田、横尾の上位打線2年生トリオは驚異的な破壊力を有する。また力をつけ、自らの地位をそのパフォーマンスで確立しつつある投手陣。ここ数試合1番手を務める加藤は1年生とは思えないほどの大胆さで強気なピッチングを見せる。2番手の加嶋は東大戦でノーヒットノーランを達成するなど、開幕から徐々に調子を上げ将来の慶大を背負う人材としての成長を見せている。だがしかし、慶大好調の理由はそのいずれでもない。それはここ一番での集中力と勝負強さ、である。これまで慶大は先に相手に先勝を許すことが多いものの、そこから2連勝し勝ち点を取る、という戦い方を見せている。先に負けても集中力を切らすことなく、反省を生かして勝利を勝ち取る慶大の勝負強さは並大抵のものではない。その勝負強さを明大戦でもみせることができるのだろうか。

 

2回戦の明大先発投手は1回戦で走者を一人も出すことができなかった上原。初回から5回まで安打は山本泰(環2)の1本のみで、4回に先頭打者、山本泰の四球からチャンスを広げ、走者を三塁まで進めるが得点には至らず上原に調子よく投げられてしまう。

 

一方の慶大先発・加嶋(商2)は初回に先頭打者福田の打球が手に直撃し一度は続投が危ぶまれたものの、「マウンドを譲りたくなかっ

打球が直撃するも力投した加嶋(写真左)

打球が直撃するも力投した加嶋(写真左)

た」(加嶋)と気合を見せマウンドに戻る。その影響を感じさせない投球で初回1死一、二塁のピンチを切り抜けた。それでも3回裏、2死ながら三塁に走者を置き迎えた糸原に、打ち取った当たりながら内野の間に転がる不運な安打を打たれ、先制を許してしまう。失点はその1点のみで4回1失点と試合を作る投球を見せた。二番手・小原(環1)はその意志を受け継ぎ、5回裏を三者凡退に抑え攻撃へ向けた良いリズムを作り出す。

 

6回表。劇的な一振りとなった。先頭の佐藤旭(商3)がここぞというところで右前にしぶとく安打を放ち、この試合2回目の先頭出塁。チャンスを作り出す。次打者は好調の山本泰。初球だった。その一振りから放たれた打球は、観客の歓声と共に左翼スタンドへ。2点を追加し、上原を打ち崩すのは今と言わんばかりに松本大(環4)、横尾(総2)のヒットが飛び出すも後続が続かず追撃はならなかった。

 

6回裏からは白村(商4)がマウンドへ。そのまま逃げ切りを図ろうとしたが、明大の粘り強さがそれを許さなかった。8回表、先頭岡大に死球を与えると白村の制球が乱れはじめ、2連続四球。無死満塁のピンチを迎えてしまう。慶大ベンチが慌ただしくなる中、次打者を三振に仕留め調子が戻ったかと思われたが、続く坂本に中越えの走者一掃二塁打を打たれこれで2-4。逆転し返されてしまった。その後加藤(政1)を投入しなんとかピンチを切り抜けたものの、慶大打線は上原から継投した関谷、山崎の前にチャンスを作れずゲームセット。2連敗となり明大に首位を明け渡してしまった。

 

 

六大学NO.1の1、2番コンビだ

六大学NO.1の1、2番コンビだ

明大の好投手リレーに対しなかなかチャンスを作り出せない状況で本塁打が飛び出すなど、打撃面においては集中を切らすことのないプレーができていた慶大。また投球面においても出したランナーを決して帰させないような、勝負強い駆け引きができていた。ただ明大の諦めない粘り強さが慶大のそれを上回っていて、それが終盤に顕在化した。「本当に力の差はそんなにない」(佐藤旭)戦いであったと言える。まだ優勝の行方がはっきりとしない、もやもやする中で選手たちは早慶戦に向けた調整に入るが、「チームを改めて臨みたい」(堀野主将)、「少しでも優勝に近づけるように、諦めずにやる」(横尾)と選手たちの目は早慶戦にしっかりと向けられている。優勝をかけた早慶戦で早稲田を倒し、優勝旗を掲げて歓喜の「若き血」を歌いたい・・・慶應に関わる全個人がそう願っているに違いない。(記事:中田 健太)

 

 

 

 

 

 

選手コメント

 

堀野 真主将(理4)

 

(今日を振り返って)たられば言ったらあれですけど、勝てた試合だったですし、逆転した時にもっと点取れてれば余裕で勝てた試合なんで、まだまだ力が至らなかったかなというところですね。(先発投手加嶋のけがは)詳しいことは聞かなかったんですけど、大事には至らなかったんで良かったと思います。(明大先発投手上原の攻略法などは)詳しいことはなかったんですけど、明大のピッチャーは良いので粘ってつないでいかないと、ということはありました。その結果がホームランだったんでそこに関しては得点は入らなかったですけど良い結果だとは思います。(結果的に2連敗。この負けをチームはどう捉えているのか)優勝が見えてきていて、もっと優勝を現実的に掴み取っていくという姿勢が足りなくて、隙があったかなという。もっと攻める姿勢で戦えたということが悔やまれます。(早慶戦に向けて)この負け引きずって臨んだら、見に来てくれているお客さんにも申し訳ないので、また早慶戦は早慶戦で、チームを改めて臨みたいと思います。

 

 

白村  明弘(商4)

 

(今日の調子は)調子自体はブルペンではそんなに悪くなかったのですが…ピンチから行って、そこを抑えたら波に乗って行けるかなと思っていて。8回にああいうデッドボールを当てて、自分で気持ちが色々あって。それでチームがこんな状況になってしまって、僕のせいで。いや本当に今まで何のためにやってきたか分からないです。本当にチームのみんなに申し訳ないなと思います。(後輩の小原からマウンドを引き継いだ時の気持ち)あいつも頑張っていたので、どんなピンチでも抑えようと思っていました。あいつは勝ち投手がかかっていたので、そこは絶対に譲れなかったですし。でも結果僕がああいう形で打たれてしまって、本当に申し訳ないです。(死球、四球、四球と続いてしまった)デッドボールを出して、気持ちをしっかり切り替えられてなくて、周りの仲間に声をかけてもらったのですが、そこで周りが見えていなかったので、そこが原因かなと思います。(24日がドラフト会議だが)この感じだと気持ちが整理できていないので、しっかり整理して、どんな結果になるか分からないですけど。どんな結果であろうとしっかり受け止めたいと思います。(早慶戦に向けて)自力での優勝の可能性は僕のせいでなくなってしまったのですが、あとは待つだけなので、しっかり準備をしたいと思います。

 

 

佐藤 旭(商3)

 

(今日の試合を振り返って)勝てなかったことが全てだなという風に思っています。(久々のスタメン出場で2安打を放った)久しぶりに1番で行くと言われたのでいい緊張感の中で試合に臨めたのかなと思いますし、けがしている間に練習してきたことの成果が出たので、個人的には成果を出せたかなと思います。(明大戦の結果をどのように捉えるか)特にこっちに油断があったりした訳ではなくて、全力を出して戦った中での敗戦だったので、本当に力の差はそんなにないとは思うんですけど微妙なところで相手に流れを持って行かれてしまったなという風に思います。(優勝の可能性が完全に消えたという訳ではない中で早慶戦に向けて)僕たちができるのは本当に早慶戦までしっかり練習して最高の準備をすることだと思うので、早慶戦で優勝の可能性がある限りは全力でやっていきたいと思います。

 

山本 泰寛(環2)

 

(試合を振り返って)うちのチームが自分の本塁打で逆転した後チャンスを作っても点が取れなくて、明治のような粘り強さが慶應には足りなかったのではないかと思います。(失策する場面もあったが)失策は本当に良くないことで、投手が打たせたボールをしっかりアウトにしなければいけないのにできなかったことは悔いが残るので、次回に向けてしっかりやっていきたいです。(本塁打について)初球からフルスイングするつもりだったので、ああいう結果になって良かったと思います。(明大投手陣の印象)上原を打ち崩してもその後に控えている投手を打てなければ今後も勝てないので、しっかりやっていきたいです。(早慶戦に向けて)まだ優勝の可能性が残っているので、早慶戦も2連勝するつもりで頑張っていきたいと思います。

 

 

加嶋  宏毅(商2)

 

(試合を振り返って)先頭バッターでいきなり打球が当たってしまったんですけど、逆にそれで球を強く投げるよりはコントロールを意識して、相手をかわして投げようという感じで投げていきました。(手に当たった影響はあまりなかったのか)いや、痛かったです。相当痛くて今も痛いんですけど、やっぱりマウンドを譲りたくなかったので。本当にだめだったら降りようと思っていましたが、今日負けたら終わりだと思って、できる限り投げました。(前回はノーヒットノーランを達成、今日も3回の失点以外は難なく抑えたが調子は)よかったです。切り替えるためにも早めにヒットが出てくれれば嬉しいなと思っていたところで高山にいきなり打たれたので、ノーヒットノーランからは切り替えて投げました。(次は早慶戦、優勝の可能性も残っていますが)優勝するためには勝つしかないので、2連勝できるように頑張ります。

 

横尾  俊建(総2)

 

(今日は落とせない試合だったが、どんな気持ちで試合に入ったか)絶対落とせないので、気合を入れて臨みました。(それを踏まえて今日の試合をどう捉えますか)大事な一戦だったので、負けたのは残念でした。(1点リードの6回ではいいプレーも出たが)よく体が反応して、守れたなと思います。(早慶戦に向けて)僕たちは2連勝するだけです。少しでも優勝に近づけるように、諦めずにやるだけです。

 

 

小原 大樹(環1)

 

(きょうの試合を振り返って)最初負けている展開で雰囲気も悪かったんですけど、自分自身昨日も中継ぎというかたちで登板させていただいて、今日もいつでもマウンドに行ける状態にしていたので、マウンドに上がるからには絶対に流れをこっちに持っていこう、という気持ちでマウンドに上がりました。(未だにリーグ戦無失点)しっかりと押さえる事で野手の攻撃にも良いリズムでつなげられるんじゃないかな、と自分の中で思っていて、そういった中で、0点に抑えるということをこれからも続けて、チームが勝てるように自分も勉強していきたい、と思っています。(次の早慶戦に向けて)4年生最後のリーグ戦で、自分はまだベンチに入ることができるか分からないですけど、入らせていただけたら4年生の先輩の分も一生懸命に投げて、先輩方を笑顔で引退させることができるような良いピッチングをしたいと思っています。

 

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