今年で10回目を数える女子ハンドボール早慶戦が慶大のホーム、日吉記念館にて行われた。第1回以来の勝利を目指したが、試合は開始直後から早大に流れを掌握される。攻守ともに圧倒され敗戦を喫した。この試合で2年間最上級生としてチームを引っ張った4年生が引退。4年生たちの悔しさ、強き想いは後輩たちに受け継がれる。
第10回女子早慶ハンドボール定期戦 2013/12/7(土) @日吉記念館
慶大 | 早大 | |
1 | 前半 | 26 |
3 | 後半 | 19 |
4 | 合計 | 45 |
試合は前半開始早々から早大ペース。地力で劣る慶大はセットプレーで守備陣形を大きく崩され、また攻撃時のミスから速攻を確実に決められるなど、早くも大差を付けられてしまう。しかし、慶大は怯むことはない。濱口恵(環3・東邦大東邦)、森澤理恵子(商2・岡山一宮)が積極果敢にロングシュートを狙えば、GK高橋知奈(環4・桐朋女子)も攻撃に加わるなど、「攻める気持ちがプレーに見え」(高橋)ていた。そして前半18分、森澤理恵子のロングシュートでこの試合慶大初得点。だがその後も早大の多彩な攻撃に翻弄され、前半は1-26と差を付けられて折り返す。
後半も早大の連続得点から始まるが、7分に濱口恵が難しい体勢から見事にサイドシュートを決める。前半同様じわじわと点差をさらに広げられる中、GK佐藤花那子(環3・日大二)の好セーブや全員守備で必死に食い下がる。そして18分、加藤晴奈主将(文4・慶應女子)が7mスローを、25分に高橋知奈がサイドシュートをそれぞれ決め4年生としての意地を見せた。一方の早大も最後まで攻撃の手を緩めることはない。最終的に後半のスコアは3-19。女子早慶戦は4-45で敗戦という結果に終わった。
大差を付けられ実力差を思い知らされることとなったが、その中で「去年よりもだいぶ成長してそれを示すことができた」(加藤主将)。攻撃では早大守備陣形をあと一歩で崩し切れる場面も多々見受けられ、そして何より「諦めないで相手に向かっていこうという強い気持ち」(加藤主将)を感じることができた試合だった。この早慶戦を以って4年生は引退。部を支え、勝利に向け精進してきた4年生たちの想いは後輩たちへと引き継がれる。慶大女子ハンドボール部は今年、春季2部Bリーグで優勝し秋季から2部Aリーグに昇格。しかし、2部Aリーグでは最下位に沈み、来春から再び2部Bリーグでの戦いとなる。「強い気持ちで、チーム一丸となってプレーしてほしい」。(高橋)その想いを受け止めた選手たちの躍動、女子ハンドボール部のさらなる飛躍に期待したい。
(記事 山内貴矢)
選手コメント
加藤 晴奈主将(文4・慶應女子)
(今日の試合を振り返って)点差としてはすごく離れていますけど、去年は4年生がいなかったので2年間ずっと同じチームでやっていたんですけど、去年よりもだいぶ成長してそれを示すことができた試合だったと思います。(早慶戦を迎えるにあたりチームの雰囲気は)すごく強い相手だということは分かっていたんですけど、諦めないで相手に向かっていこうという強い気持ちを持って練習に臨めていたと思います。(この試合を以って引退となるが心境は)実感は湧かないですけど出来ることはすべてやり切ったと思うので、あとは後輩たちに頑張ってほしいです。(慶大ハンドボール部での4年間を振り返って)ハンドボールはチームスポーツなのでチームメイトの大切さというのを実感できましたし、支えられることがいっぱいあった4年間だったなと思います。(加藤主将にとってハンドボールとは)コートに出ているのは7人ですけど、やっぱり7人だけでは出来なくて、スタッフとか引退された先輩方とか試合に出られなかった子たちとか、沢山の人に支えてもらってできる本当にいいチームスポーツだなと思います。(後輩たちにメッセージを)これからもっと練習してリーグ戦でも上に上がって、来年はもっと点差を縮められるように、勝利に導けるように強い気持ちを持って頑張ってほしいなと思います。
高橋 知奈(環4・桐朋女子)
(今日の試合を振り返って)大差で負けることは覚悟していたんですけど、その中でも自分たちができる精一杯のことをやろうと臨んだ試合でした。この1年課題としていたディフェンスのセットを守ることとか、そういう基本的なところをできていた部分もありました。皆基本的なミスもあったかも知れないんですけど、前を攻める気持ちがプレーに見えたところもあったので、最後のゲームとしてはすごくいい試合だったなと思いました。(どのような心境で試合に臨んだか)私は中学生の頃からハンドボールを続けていたんですけど、今日が本当に人生で最後のハンドボールができる機会ということで、すごく気持ちを引き締めて準備してきました。でも緊張しすぎると動きも硬くなってしまいますので、部員たちと和気あいあいといつも通りにすることを心がけて過ごしていました。(2つのポジションを担っていたが)私の一番の希望のポジションはキーパーだったんですけど、チームのことを考えてプレイヤーもする、という感じでした。キーパーとして入っていたときに私はコートプレイヤーもできるということで、7人というイレギュラーな攻めができるというのは、このチームの一つの強みになったのかなと思いました。すごくやりがいがありました。(慶大ハンドボール部で過ごした日々を振り返って)私は1年間留学で抜けてしまっていました。3年の後半ぐらいに帰ってきてまた復帰したんですけど、留学で抜けていたにも関わらず、チームの皆さんが温かく受け入れてくれたことにすごく感謝しながらできた1年間でした。部員も今年ですごく増えて、去年とかは3人とかしかいなかったんです。だから、充実して組織として乗ってきて、ハンドボールという競技に集中できたのが、特にこの1年間だったと思います。幸せな時間を過ごせたなと思いました。(高橋選手にとってハンドボールとは)一番大好きなものです。(後輩にメッセージを)春にリーグで優勝できたことによって、秋には上のリーグで戦うことができました。だけど、また下がってしまったという現状があるので、これからは上のリーグに常にいられるようにという強い気持ちで、チーム一丸となってプレーしていってほしいなと思いました。
豊永 英理(法2・慶應湘南藤沢)
(4年生との最後の試合となったが試合前の心境は)(加藤)晴奈さんに関しては2年間ずっとキャプテンを務めてもらっていて、去年も早慶戦を一緒にやって最上級生だったけれども引退しないということで、今年はまだ引退してしまうことへの実感が全然ないです。来年もまた一緒にできるんじゃないかなって心の中で少し期待してしまう部分があります。なのですごく寂しいです。今試合が終わって一気にこみあげてきました。(今日の試合を振り返って)とにかく持久力がないということを痛感させられたのと、ホームということもあって沢山応援をいただいたんですけど、それを力に変えられなかったことが心残りです。(4年生へメッセージを)今まで本当にありがとうございました。私たちもまだまだ人数が少ないので練習に遊びに来てください、ということを伝えたいです。
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