【女子ラクロス】「全員攻撃、全員取備」結実!FINAL4進出を決める 東女体大戦

FINAL4進出を決め喜びを分かち合う

 「勝てばFINAL4進出、負ければ引退」(善野主将・文4)。ここまで3勝1敗で迎えたリーグ最終戦。この試合がFINAL4進出を決める大一番となった。慶大の相手はここ数年勝てていないという東京女子体育大学。まるで夏に逆戻りしたかのような暑さの中、両チームが負けられない、熱き戦いを演じた。

関東学生女子ラクロスリーグAブロック

2010/10/10(日) 11:10FO @東京大学駒場第二グラウンド

チーム 前半 後半 合計
慶應義塾大
東女体大

 

先制点を奪った戸花副将

 試合開始早々、慶大が怒涛の攻撃で2つのゴールを奪う。2分、AT戸花副将(経3)が自らカウンターを仕掛けると、リターンパスを受けシュート。3分には、個人技で左サイドを突破したAT高橋(総4)のパスを受け、MF加藤(文4)が押し込む。自陣からのパス回しが安定しボールを支配すると、相手のカウンターにはDF杉(経4)を中心に危なげない対応を見せ、主導権を握ることに成功。勢いはなお続く。6分にはMF谷山(経2)が加点し、得点差を3点に広げる。                        しかし東女体大も意地を見せる。「ミスから数的不利を作られた」(石川HC)。9分と13分、一瞬の隙を見逃さずゴール前でフリーの選手を作り出すと反撃開始。シュートも確実に決め1点差に詰め寄った。                            すると試合はハイテンポに攻守が入れ替わる展開に。激しい攻防が繰り広げられた。ここで抜け出したのは「全員ルーズボール」を軸にセカンドボールを拾い、粘りを見せた慶大。シュートブロックのこぼれ球にいち早く反応した高橋が押し込み突き放すと、谷山のアシストを受けたAT木本副将(経4)も加点。前半を5-2で終えた。

この日3得点を挙げる活躍を見せた谷山

木本副将はダメ押しの2点を含む、計3得点の活躍

 迎えた後半。開始早々、反則から失点を許すも、2、5分の谷山の連続得点で再び差を開く。「下級生の活躍があった。チーム力で勝った」(善野主将)と言わしめた谷山のこの日3得点の活躍で勝利を手繰り寄せる。DF面はスカウティングの成果が効を奏す。「バリエーションが少なく、利き手を多く使ってくる。エースの1番にボールを集める傾向がある」(石川HC)。事前の対策が見事にはまり相手の追撃を許さなかった。                  そして試合は「勝負の10分間」へ突入。3点のリードを保つ慶大はここでも完ぺきな試合運びを見せる。相手陣内でのプレーを続け、反撃の余地を与えない。ゆったりとしたボール回しから一転。緩急をつけて切り込み、際どいシュートを連発。相手の戦意を奪っていく。試合終盤に木本副将が抜群のスピードを見せ、ダメ押しの2得点を奪ったところで試合終了。FINAL4進出を決めた。

 終わってみれば9-4の完勝。苦手としていた東女体大に対し、素晴らしい戦いを見せた。「全員攻撃、全員取備」そして全員ルーズボール。慶大の良さが存分に見えた一戦であった。次なる相手は更なる強敵・日体大。「力はある。本当に優勝したいかどうかが問われる」(石川HC)。昨年敗れた、この舞台で更なる高みをめざす慶大女子ラクロス部。FINAL4での躍動に期待がかかる。

 By Yutaka Okumura

コメント

 石川HC

 (今日の試合を振り返って)前の試合の時は合宿を張って戦術面を詰め、しっかり準備が出来ていた。それと比べると今回の3週間は予定していた練習試合が雨で流れたり、学校に通いながらの練習が多かったことでなかなか詰めが出来なかった。練習の盛り上がりも少し欠けているように感じていて、厳しい試合になると予想していた。また今日は気候が夏に逆戻りした感じでの試合だったので動けないと感じた選手もいたと思う。だからこそ試合前には「チーム力で勝とう」という話を選手にした。実際2、3年生が動き回ってゲームを作ってくれたし、この結果はそれを感じさせてくれた。(そんな条件だったからこそ立ち上がりに主導権を握れたことは大きかったか)そうですね。自分たちの流れを作った後、主導権を渡さない試合運びが出来たかなと。コンディションが悪く、いくつかミスがありながらも、それをカバーするルーズボールへの対応ができていた。これが相手と比べて互角以上に出来ていたことがその要因だと思うし、良かったと思います。(それは相手に対して、気持ちで負けなかったということか)気持ちの部分が大きいですね。やはりみんな、このゲームがどのような展開になるのかということを知っていた。個人個人の差はあまりない中でどう戦うのか。シーズン初めから言ってきた「全員攻撃、全員取備」。守るのではなく、奪い取る。そして今日に関してはプラス全員ルーズボール。どちらのものかわからないボールにも全員で絡んでいく。そういった意識を全員が持っていた。意識統一が出来ていたことが今日の結果につながったと思います。(やはり9点取った攻撃以上に取備の頑張りが大きかったか)そこが1番大きかったですね。相手はバリエーションが少なく、利き手を多く使ってくること。あとエースである1番にボールを集める傾向があるということ。ここら辺はスカウティング通りでした。そこは#77の杉がインターセプトなどで防いでいたし、彼女を中心とした守りでピンチの芽を摘んでいました。あと最初の失点はミスで数的不利を作られた結果やられたので、ゴール前の戻りを早くすることを修正しました。この2つの効果で失点が続くということはなかったですね。(後半は相手陣で危なげないボール回しが出来ていましたね)練習の時から時間帯とリードの状況を見ながらどのような試合運びをすれば良いかということはやっていて、選手の間でも共通認識は持っていたと思います。残りの10分が「本当の勝負」なので。もしあそこで逃げるゲームをやっていたらあっという間に詰められてしまう。だからベンチからも、常に攻撃的に戦って相手のチャンスをなくしていこうと声をかけていた。そのような戦いが出来たので本当に素晴らしかった。(FINAL4で戦う上で必要なこと)「全員攻撃、全員取備」を極めたい。全てに連続性を持つこと。あとはルーズボールへの働きかけも継続していく必要がある。次にFINAL4であたる日体大は別ブロックを全勝で抜けている。技術も高いし、たくさん点を取っていて攻撃のバリエーションもある。しっかりスカウティングして準備したい。自分たちのラクロスをやれるかどうかで、十分戦えると思う。あとは選手が本当に優勝したいという気持ちを持つこと。優勝したいのは皆同じ。そこに向けて何が出来るのか、そこに心の本質が問われていると思う。(優勝するだけの力は備えているか)それはもちろん。シーズン初めに優勝すると決めてからその為の練習を積んできたので。フィジカル面も技術面も心の部分も、試合をやって強くなってきているし、選手を信じています。

 善野主将

 (今日の試合を振り返って)勝てばFINAL4、負ければ引退という試合の中で、一人ひとりが怖がらずに自分達がやろうとしていたことをやれた結果が出たのかなと思います。(今日のご自身の出来は)0点、いやむしろマイナスです。完全に思考が停止していました。でも下級生の活躍があったので、そういった意味ではチーム力で勝てたのかなと思います。(相手は苦手とする東京女子体育大でしたが)今まで勝ったことがなかった相手なので、チームとして絶対に勝ちに行くという意識は持っていたのですが、格上とか格下とかの意識は持たずに真剣に相手とフィールドで闘えました。また、相手は右手をよく使ってくる選手が多かったので、そこに気を付けて3週間やってきた成果が出たのかなと思います。(今日の課題をふまえ、次戦に向けて)ルーズボールが取れている時間帯は自分達の流れに出来たので良かったのですが、バタバタした時間帯でマイボールになった時の攻めの意識の共有が出来ていなかったので、もっとチーム全体で時間や状況を把握することが課題だと思います。また、失点はしなかったもののディフェンス面で危ない場面が割とあったので、そういう場面での危機察知能力を向上させていきたいと思います。

木本副将

ファイナル4に進めるか、4年が引退するかっていう大事な試合だったんですけど、一人一人が自分の役割を果たせたので次に繋がる試合だったと思います。(どのような意識で試合に臨んだか)私達は学生日本一を目標にしているんですけど、そのステージにたどり着く前にまずはFINAL4に駒を進まなければいけないし、そのために一人一人が自分の役割を果たして、チーム力で勝とうと意識していました。(3得点の活躍でしたが自身のプレーを振り返って)苦しい時間帯もあったんですけど、アタックの私がしっかり点を取らなければいけないと思っていたので、自分の役割を果たせてよかったと思います。(課題は)今日はシュートの決定率が悪かったし、今のままじゃFINAL4では勝てないと思うのでそこの精度を改善したいと思います。(FINAL4に向けて)あくまでも掲げているのは学生日本一で、その通過点としてのFINAL4があるので決勝に駒を進めるために明日から着実に一人一人が進化できるようにやっていきます。

谷山

(今日の試合を振り返って)今までの試合、最初から積極的にいこうって言ってたんですけども、あんまりいけてなかった。でも今日は最初から勢いをつけて点数も重ねていけたところがよかったと思いました。(何年も勝っていなかった相手だったが)やっぱり今年は今年ですし、敵ということは(どこも)一緒。学校がどうというのはなく、目の前の相手に勝つという気持ちで気負いなくやれたと思います。(自身の出来は)今までよりも攻めに関わろうと思っていたんですけれど、あまり(攻守の)切り替えとかはよくなくて中盤でもあまり(ボールに)絡めなかったので自分としてはあまりよくなかったと思います。(3ゴールの活躍について)3点取れたのはチームがやるべきことをやったから。攻めもやるべきことをやった上でフリスペ(フリースペース・トゥ・ゴールの侵害)も取れたので自分の成果ではなくてチームのおかげでとれたと思いました。(グラウンドが濡れていた影響は)そのせいでダウンボールが激しいことは試合前からチーム全員で共有していた。それに対するフォローを、慶大の武器である予測と反応を徹底してやろうと話していた。それに対してはよかったと思います。(FINAL4に向けて)相手は日体大で去年も一昨年もそうだったんですけど、絶対厳しい戦いになりますし去年もサドンビクトリーの末に負けた。その借りを返したいと思います。

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