ここ2試合・140分で得点を取ることができず、攻撃力の課題を露呈した女子ホッケー部。上位進出のために絶対勝利が必要であるため、序盤から攻撃的なホッケーを展開する。しかし前半でPCを5本とるなど、得点機を作るがなかなか後一本が出ないもどかしい展開。逆に26分に隙を突かれフィールドゴールによる失点を許し、0-1で前半を折り返す。このままでは終われない後半。右サイドから森本(経4)がボールを流し込むと、フリーになっていた松島(経3)が冷静に決め、遠かった1点がようやく入る。その後攻め込まれる場面を防ぐと、岩本(文3)が逆転のゴール、そして立て続けに宮本(経2)も得点を決めた慶大。結果3-2で勝利し、貴重な勝ち点3を獲得。これにより上位リーグ進出、及び全国王座(インカレ)の出場権を獲得した。
春季関東学生ホッケーリーグ 最終節
2014/4/26(土) 13:15~@慶應義塾大学日吉ホッケー場
慶應義塾大学 3-2 立教大学
(前半0-1、後半3-1)
【得点者(アシスト者)】
39分 松島(森本)
55分 岩本(森本)
56分 宮本(吉本)
<スタメン>
G寺岡真希(文4)、FB境夢見(経4)、葛西美咲(文4)、林田明子(理3)、芦川真祐子(商3)、MF岩本早紀子(文3)、森本涼(経4)、原登子(経4)、FW吉本絢香(総2)、國友萌果(経3)、松島佳奈(経3)
ここまで1分け1敗と上位進出のためには勝利しか許されない慶大。この日の相手の立大とは、ホッケー競技を大学から始める人が多い両大学にとって、その中でも1部で高いレベルで争う、いわばライバルのような関係だ。「打倒慶大」を掲げる立大を前に、ここまで得点力不足にあえぐ慶大はそれまでMFだった國友(経3)と、FBだった吉本(総2)を前線に起用するテコ入れを図る。得点を取るために手段を選ばない大胆な起用に選手がどう応えるかが注目された。 試合開始は慶大のセンターパス。開始早々からオーバーペースで来る立大にやや気後れ気味の慶大は早々にサークルインとシュートを許してしまう。序盤こそ立大ペースだったが、慶大の初めのチャンスは9分。右奥でキープした後、吉本(総2)がサークル内の宮本(経2)に合わせにいくがこれはノーゴール。14分にFBからの打ち込みに國友(経3)が相手からファールを奪いこの日初めてのPCを獲得。ヒットシューターの林田(理3)がフェイントとなり、境(経4)のパントからのゴールを目指すという変則的なPCを試みるも、得点には結びつかない。16分に獲得したPCでは林田のヒットシュートが立大Gに阻まれ、そのリバウンドを境が押し込みにかかる。最後は吉本がリバースシュートで決めにかかるが立大Gにセーブされてしまう。高い1点の壁。得点できない焦りからか、終盤に一瞬の隙から立大にディフェンスの網を破られ、リバースシュートを放たれてしまう。一度は寺岡(文4)が防ぐもリバウンドを素早く詰められ痛恨の失点。前半を0-1で折り返すことになってしまう。
良い攻めも見られながらビハインドで迎えた後半だが、チームは「序盤から1点を取るイメージをもって前向き」(境)にいったという。その効果はすぐに表れる。高圧的なプレスからボールを奪った慶大は右サイドから森本(経4)がサークルへボールを送り込む。これが絶妙なバウンドで立大FBの間を抜け、ゴール前でフリーになっていた松島(経3)の下へ。これを落ち着いて決め、待望、そして貴重な同点となる得点が生まれた。勢いそのままに勝ち越したい慶大だが、この後は守りの時間が多くなる。42分に献上したPCではフライングによるファールにより1人少ないディフェンスとなったが、何とか防ぐ。また45分には走力を活かす立大FWと1on1の大ピンチになるが、寺岡がファインセーブ。さらに、51分に奪われたPCは、1当たりの吉本が滑り込みながらボールをかっさらう好プレーも飛び出し、厳しい時間を耐え抜く。そのFB陣の気迫に感化されたのか、55分に前掛かりになって形が崩れていた立大の隙を突き、慶大は一気に攻め上がりサークルイン。混戦の中で岩本(文3)が放ったシュートはゴールに吸い込まれ、勝ち越しに成功する。さらに1分後、吉本のテクニックを活かしたスティックさばきで相手選手をかわすと、最後は宮本への絶妙なパス。これに宮本がしっかり合わせ、貴重な3点目が追加された。終了間際にPCから失点し1点差に詰め寄られるが決死の守りでこの1点を守り抜き、今季初勝利をもぎ取った。試合後には安堵からか、涙する選手の姿も見られた。
この日の勝利で結果Aプール2位となり、上位リーグの進出、そして6月に行われるインカレ出場権を獲得した女子部。課題の得点力であったが、ようやく後半にそれまでの努力が実を結んだ。この試合では全員の得点に対する意識が強く感じられた。得点を決めた選手たちはもちろん、FBの境、林田のストロークが正確で、ボールが落ち着いたからこそ生まれた得点でもあった。このようなチーム一丸となった攻めを前半から発揮できれば、今後の強豪校との戦いでも活きるはずだ。「守りに入りすぎず、強い相手に攻める気持ちを忘れずに立ち向かっていければ」(境)、金星をあげる時が来るのも、すぐそこなのかもしれない。(記事:荒川智史)
次戦 5月11日13:15~ vs駿河台大学(Bプール1位) @駿河台大学ホッケー場以下、コメント
FB境夢見(経4=慶應湘南藤沢)主将
(ここまで無得点で来ていたが、どのような心境で試合に入ったか)私はディフェンスなんですけど、今日はディフェンスからサークルインをするイメージを持ってやろうと決めていて、押し上げを意識していたんですけど、その強気な姿勢がFWまで伝わって、みんなが点を取ってきてくれたので精神力で勝った結果かなと思っています。(前半から強いプレスをかけたにもかかわらず、1点ビハインドで迎えたときの心境)本音を言えばヒヤッとしました(笑)後半序盤から1点を取ることができれば、前半もよく攻めれてはいたので、2点3点といくかなとは思っていました。だから序盤から1点を取るイメージをもって前向きにいきました。(次戦に向けて)次からは自分たちよりも上手い相手と戦うことにもなるし、おそらく次の次の試合では早稲田と早慶戦ではないリーグ戦の中での早慶戦ができるので、守りに入りすぎず、強い相手に攻める気持ちを忘れずに立ち向かっていければなと思います。
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