58回目を数える、年に一度の挑戦の舞台が今年もやってきた。現在4部リーグに所属している慶大に対し、早大は1部リーグに所属する強豪校。実力差はあるものの今年の伝統の一戦の舞台は、慶大のホームコートである日吉記念館で行われる。慣れ親しんだコート上で日々の努力の成果を、多くの応援を背に体現したいところだ。試合は序盤から苦戦を強いられ、点差が開く内容となってしまったものの、昨年より多くの得点をスコアボードに刻み、選手たちの成長した姿を見せてくれた。
2014/06/07(土) @慶應義塾大学日吉記念館 | |||||
第72回早慶バスケットボール定期戦 女子本戦 | |||||
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
慶大 | 14 | 10 | 8 | 7 | 39 |
早大 | 40 | 27 | 36 | 27 | 130 |
通算26勝32敗 | |||||
◆慶大スターティングメンバー | |||||
選手名(♯背番号・学部・学年・出身校) | |||||
PG | #5軽部陽子(政4・柏陽高) | ||||
SG | #11野尻友里香(経3・慶応女子高) | ||||
SF | #8虎岩里佳(商3・慶應女子高) | ||||
PF | #12中村美里(文2・八雲学園高) | ||||
C | #13石原早織(経2・日比谷高) |
1Q、早大はいきなりオールコートでの激しいプレスを仕掛けてきた。これを打ち破りたい慶大であったが、ダブルチームから方向付けをしたパスをインターセプトされ、早大に多くのターンオーバーからの得点を許してしまう。さらには8秒バイオレーションを犯してしまうなど、ボール運びで苦戦した。開始約2分半で、軽部が慶大の初めてのシュートを放つも得点にはつながらず、結局慶大は開始5分間得点することができなかった。しかし、インサイドプレーヤーがフラッシュを試みると、ボール運びが次第に安定しはじめる。さらに、軽部のアシストに合わせた石原がゴール下で得点を決めると、慶大のオフェンスはリズムを掴みだした。「自信のあるスリーポイントが、確率よく決まった」と語る中村が体格で大きく慶大を上回る早大のディフェンスを前に、厳しい体勢からのタフショットも含む計3本の3ポイントを1Q残り3分の間に沈め、チームを盛り立てた。そんな中村に率いられ、14点を奪った慶大は2Qに臨んだ。
2Qは最初のプレーで虎岩がミドルシュートを沈め、いい出だしとなった。その後も中村の一対一からの3ポイントや、その中村のアシストを受けた周東(文3・日比谷高)がドライブを決めるなどして得点。ディフェンス面でもフィジカルで勝る相手に対しインサイドでの得点を許すも、懸命なチェックや果敢なリバウンドで粘りを見せ、1Qよりも失点を10点以上抑えた。終了間際には中村が再び3ポイントねじ込み会場を盛り上げ、24-67というスコアで前半を終えた。
3Qも、慶大の積極的なオフェンスは続いた。野尻がドライブで相手ディフェンスのファウルを誘いフリースローから得点すると、酒井(看3・愛知淑徳高)も相手の虚をつくペネトレイションからバスケットカウントを獲得。しかし早大もポストプレイや3ポイント、スティールからのレイアップなど、中外バランスよく、慶大ディフェンスに的を絞らせないオフェンスを終始展開。リードをさらに広げ、最終Qに突入した。
最終Q、早大の度重なるオールコートディフェンスに苦しみられた慶大の選手に疲れが見え始め、オフェンスにやや失速が見え始めた。その中でもルーキーの亀田(文1・雙葉高)がドライブから得点を決めるなど、記念館に集まった慶大応援団に最後まであきらめずシュートを狙い続ける姿を見せつけてくれた。さらに中村がこの日6本目の3ポイントを沈め、格上相手にも動じないエースとしての積極性と、確かなアウトサイドのシュート力をコート上で示した。しかし早大も伝統の一戦において攻守の手は緩めない。1部所属校としての洗礼を慶大に浴びせた。結果的には地力の差が得点にあらわれ、最終スコアは39-130で試合終了のブザーが日吉記念館に流れた。
慶大にとっては悔しい大差での敗戦となったが、「チームとして去年よりは戦えていたのかなという印象」と軽部が語るように、手ごたえが感じられる一戦でもあった。一試合を通じて25得点だった昨年に対し、今年は前半だけで24得点を奪うことができた。これもボールが運べずスティールをされたり、上背で勝る相手に繰り返しリバウンドを許す展開が続く中でも、最後まで心折れずに1部という高い壁に挑み続けた結果であろう。強豪校との対戦で得た収穫や課題を、4部での舞台で還元し、チームの悲願である3部昇格を勝ち取るために、彼女たちの戦いはこれからも続いていく。
(記事・岩田亮)
[PG]軽部陽子(政4・柏陽高)
見てもらった通りもうちょっと全体的に点を抑えて、こちらが点を取れればよかったのですが、チームとしては去年よりは戦えていたのかなという印象です。(最後の早慶戦だったが思い入れなどはあったか)私たちは、男バスと違って早慶戦は目標にしていませんが、あんまり実感ないまま終わってしまったというか、でも4年間の中で1番いいプレーができたらいいなという気持ちで臨みました。(敗戦の中で得た収穫は)厳しい相手のディフェンスとか、背の高い相手に対しても、逃げないで強気に行けたところとか、リバウンドも取られた部分は多かったのですが、負けずに飛び込んでいったところなどです。あとはエースの子に点を取らせてあげられたというのは、チームとして収穫だったかなと思います。(秋リーグへの意気込み)秋をずっと目標に頑張ってきているので、今日の試合でできなかった部分も多かったのですが、秋までにみんながもっと上手くなって、私自身あとちょっとなので、頑張って3部昇格したいです。
[PF]中村実里(文2・八雲学園高)
自分の一番自信のあるスリーポイントが、確率よく決まったのがよかったなと思います。早稲田相手にそれが通用したことが自信になって、次のリーグ戦でも積極的に自分が攻めることを意識したいなと思えるような試合になりました。(昨年より得点が増えたが手ごたえはあったか)昨年は、もと主将の方がセンターでしたが、今年は私が中と外の両方でプレーできるようになったので、スリーポイントがダメだったら中で攻めるとか、中がダメだった外から狙うとか、自分の動く範囲が広くなって、昨年より得点がコンスタントに取れるようになってきました。(シュートタッチがよかったが自身で振り返って)自分でもよくわからないのですが、まあたまたまですかね。なんか運よく入ってしまったという感じでした。でもやっぱり1部の相手だと、ディフェンスやリバウンドもなかなかものにできなくて、最初のボール運びとかも結構やられていたので、シュートだけでなくそういった部分も自分がやらなきゃと思いました。(敗戦の中から得た収穫は)今日はホームということもあって応援とかがすごくて、緊張もしなかったですし、いい気持ちで臨むことができて凄く自信になりました。(秋リーグへの意気込み)今3部昇格に向けて練習も相当厳しくやっているので、その成果が本当に発揮できるように、チーム全員で頑張っていきたいなと思います。
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