【競走】最後に魅せた慶應の底力‐全日本インカレ

5月に行われた関東インカレでは各選手の活躍により、見事に一部昇格を果たした慶大競走部。全日本インカレには全国からトップ選手が集結したが、慶大の選手たちはこの大舞台にも動じることなく活躍を見せてくれた。そして最終種目4×400mでは早大に競り勝ち、3’04”58の塾新記録で優勝。感動のフィナーレを飾ってくれた。

 

9月5日(金)~7日(日) 天皇賜盃第83回日本学生陸上競技対校選手権@熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

 

初の学生チャンピオンに輝いた山縣

初の学生チャンピオンに輝いた山縣

 

2日目に行われた男子100m決勝では山縣亮太(総4)が10”20で初優勝を果たした。スタートに成功すると中盤からは後続を引き離し、危なげない形で優勝。これまでは怪我のため全日本インカレでは満足のいく走りを見せることができなかったが、最後の舞台で意地を見せた。

 

4×100m決勝には塩原寿周(理4)、山縣、吉田直人(理2)、小池祐貴(総1)のオーダーで臨んだ。1走塩原が良い形でバトンを渡すと、2走山縣は力を見せつけ他大を猛追。3走吉田、4走小池の下級生2人もそれぞれの持ち味を発揮したが、目標としていた塾新記録での優勝には惜しくも及ばず、39”69で5位に終わった。

 

 

 

最終日に行われた男子200m準決勝には2日目に予選を通過した小池が登場。昨日の疲労を感じさせない走りで危なげなく準決勝を突破した。そしてむかえた決勝。上がり調子でこの大会をむかえた原翔太(上武大)や怪物ルーキー桐生祥秀(東洋大)との対決となった。小池はスタートでよい飛び出しをし、その後もうまく加速していく。最後の追い込みで前を走る原や桐生をとらえたいところであったが、わずかに表彰台には手が届かず20″91で4位という結果に終わった。今大会はハードスケジュールとなった小池であったが、個人でも手を抜かず全国の強者たちとの白熱した戦いを見せてくれた。

 

 

続いて男子800m決勝に村上昴輝(総2)が登場した。レースで注目を集めたのはやはり日本記録保持者の川元奨(日大)であった。村上自身も「川元さんが横綱レースをすると思っていた」と試合後話してくれた。しかし序盤川元は飛び出さず、逆に村上が徐々にポジションを上げレースを引っ張る展開になった。そして最後の勝負がホームストレートで行われた。村上は最後まで粘り強く対応し、1′52″07で5位入賞を果たした。「本当に実力はあのメンバーの中では一番下だったと思っていますが、うまくレースを運んで5位になることができたと思うのでいいレースをしたなと思います」と村上は自分のレースを振り返った。来年度村上もチームの主力になっていくことは間違いない。

 

そしてドラマは大会の締め男子4×400mRで待ち受けていた。慶應は壁谷‐山縣‐茅田‐小池のオーダーでレースに臨んだ。第1走者の壁谷智之(総4)は抜群のスタートを見せつけ、その後も粘りの走りで第2走者の山縣へとバトンをつなぐ。この山縣の走りには会場にいる誰もが驚かされた。序盤から他を圧倒した走りを披露。最後までペースダウンすることなくバトンは第3走者の茅田昴(理4)へ。茅田は初めはスローペースであったものの、後半でどんどん2位の早稲田の選手を

疲れを微塵も見せることなく4×400mの優勝に貢献した小池

疲れを微塵も見せることなく4×400mの優勝に貢献した小池

突き放した。そしてすべての思いを第4走者小池に託す。小池は序盤からエンジン全開で走っていったが、200mを通過したころに2位早稲田に追い上げられる。ラスト100mで夢の早慶戦が実現。優勝は早慶どちらかという展開になった。ラスト50m、とうとう早稲田の選手が小池に並ぶ。小池は最後の力を振り絞って体を大きく前に突き出した。会場もこの日一番の熱狂ぶりであった。そして結果は3′04″58で優勝。2位の早稲田との差はわずか4/100秒であった。1年生の小池には想像もできないほど重いプレッシャーがのしかかっていたはずだ。しかし他の4年生3人が1年生の小池を全力で助けたからこそ小池も本来の走りをすることができた。まさにチームが一丸となって掴み取った優勝であった。 

 

 

 

 

3日間多くの選手たちが躍動した全日本インカレで慶大競走部は男子総合で7位入賞、トラック部門で4位入賞を果たした。部員全員が力を発揮しすばらしい結果を得ることができた。そしていよいよ次は今年で90回を迎える早慶戦である。この全日本インカレで培った経験を生かして早慶戦でも最高の結果を残すことを切に願っている。

 

 

表彰台で笑顔を見せる慶大競走部

表彰台で笑顔を見せる慶大競走部

 

 

(記事・写真 杉本理沙、河合佳祐)

 

 

選手コメント

 

山縣亮太(総4)

(初のタイトルでしたが、今のお気持ちは)全カレのタイトルは獲ったことがなかったので、4年生で初めて獲れて嬉しいです。(100mのレースを振り返って)予選から調子が良くて、準決勝でも良い流れを作れたので、決勝でもタイムを出せるかと思っていたんですけど、決勝のタイムには満足いってないですね。4×100mのレースを振り返って)チームとしては塾記録を狙える仕上がりだったんですけど、結果は5位で塾記録にも届かず非常に悔いが残る結果でした。でも全日本インカレまで結果が出ていなかったチームなので、予選で記録を残して決勝に残ることができたのは、このチームの強いところであり、それは嬉しいです。(夏はどこに重点をおいて練習を積んだか)夏はとにかくロングスプリント、100mから400mまで走れるように、400mなどの長い距離の練習を入れていました。(アジア大会に向けて)全日本インカレの、特に100mになりますけど、非常に良い感覚をつかんでいるので、まだ一ヶ月ありますけど、微調整を加えていけば良い結果がついてくると思っているので、自己ベストを出したいと思います。

 

茅田昂(理4)

(4×400mでは見事に優勝されましたが、今のお気持ちは)自分は1年生の時も全日本インカレの決勝で走らせてもらったんですけど、その時は思ったような結果が出せなかったので、今回最後の全日本インカレで、山縣と小池の力は大きかったんですけど、優勝することを目標にしてきたので達成できてよかったです。(自身の走りを振り返って)小池にトップで渡すことが自分の役割だったので、それはできたので良かったんですけど、小池を楽にさせるような走りもできたはずなので悔いは残るんですけど、結果的には勝てたのでぎりぎり合格点かなと思います。(どのような意気込みで最終日に臨んだか)山縣と小池が走るということで、一緒に冬の練習も乗り越えてきた短長のメンバーは悔しかったと思うんですけど、そういう人たちの分も絶対に優勝するという気持ちで走りました。(早慶戦に向けて)自分はおそらく400mに出るので、今回個人で振るわなかったのでその反省を活かして、しっかりと自己ベストを出して貢献できればなと思います。

 

壁谷智之(総4)

(4×400mでは見事に優勝されましたが、今のお気持ちは)すごく嬉しいです。マイルで優勝したいと思って慶應に入ったので、それが4年間で実現できて本当に感慨深いです。(自身の走りを振り返って)早稲田がライバルだと思っていたんですけど、その早稲田が外にいて、前半先行されたのでまずいなと思ったんですけど、後半は余裕があったので後半しっかりいけば抜けるなと思って、落ち着いて走りました。(最終日にはどのような意気込みで臨んだか)あまり状態が良くない中でこのインカレに臨んで、個人があまり良い結果ではなかったのですごく不安だったんですけど、だんだん試合の中で調子を上げていって、一番良い状態で決勝に臨むことができたので良かったです。(早慶戦に向けて)今回大学での目標を達成してしまったのでモチベーションを保つのは難しいと思うんですけど、しっかりそこは最後の仕事だと思って勝利を目指したいと思います。

 

 

小池祐貴(総1)

 (今大会振り返っていかがでしたか)終りよければすべてよしという感じです。(今日の結果についてはいかがでしたか)今日は個人で200の準決決勝あったんですけど、それに関してはいろいろ試しでやっていたので記録もあまり出なかったですし、メダル取れなかったのは悔しいですけどマイルのために力が少しでも温存できたので良かったと思います。(マイルリレーは白熱したレースになりましたね)正直とても不安で、負けちゃうんじゃないかと思っていたんですけど、なんとか最後体出したおかげかわからないですけど、4/100秒の差で勝つことができて先輩方に花を持たせることができて嬉しいです。(先輩選手に対する気持ちは)マイルに関しては本当に先輩のおかげでとれた1位なので、これでこのチーム終わっちゃうのはさみしいですけど、ありがとうございましたという気持ちです。(今後に向けて)学生の中ではなくて日本代表を目指していくために、代表にしっかりなれるよう頑張っていきたいと思います。

 

村上昴輝(総2)

(今日の800決勝を振り返って)やっぱり日本記録保持者の川元さん(日大)が前に出て横綱レースをすると思っていて、自分はあまり目立つことができないのかなと思っていたんですが、意外と前で勝負することができて途中くらいから本当に表彰台に乗ることができるかもと思って、本当に実力はあのメンバーの中では一番下だったと思っていますが、うまくレースを運んで5位になることができたと思うのでいいレースをしたなと思います。(序盤から飛び出していったが戦略通りだったか)川元さんがガンガンいくかなと思っていたんですが、それが行かなかったので、もうそうなったらどういうレースだと表彰台に乗れるかなということを瞬時に考えて、ラスト勝負がみんな得意だと思うんですが、あえてそこで勝負することで自分もやれるんじゃないかという気持ちもあったのでそれを狙っていった感じですね。(試合前のコンディションについて)昨日よりは全然よかったんですが、やはり疲労がたまってきつかったのでよくはありませんでしたが、応援がすごく聞こえて本当にそれが僕の力になったなと思っています。(次のレースに向けて)日本の学生の中で5番というのと関東の学生の中で2番だったので、これで自信をもって秋に記録を狙いに行けたらなと思うのと、来年以降は強い4年生が卒業された後なので、できれば自分たちの学年が主力となれるように努力していきたいなと思っています。

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