【ラグビー】春季大会へ弾みをつける接戦/オール早慶明三大学ラグビー

全早大戦でトライを決めた田畑

全早大戦でトライを決めた田畑

東日本大震災復興支援チャリティーマッチであるオール早慶明も、今年で5度目を迎えた。本試合は、各大学のOBも交えて戦う、一試合40分の総当たり戦である。チャリティーマッチであると同時に、5月から開幕する春季大会の前哨戦とも言えるこの試合。全慶大は、全明大戦は10-7と接戦のうえ勝利。続く全早大戦は、24-24と、昨年の早慶戦に続き、引き分けでのノーサイドとなった。      

 

 

【全明大戦】

4月26日(日)14時25分K.O@秩父宮ラグビー場

全慶大

 

全明大

T

G

PG

DG

10

合計

 得点者(全慶大のみ)

T=吉迫

G=矢川

PG=矢川

出場メンバー
ポジション 先発メンバー 交代選手
1.PR 堀切 厚輝(環3・國學院久我山)
2.HO 川村 慎(H22卒・現NEC) →16末永 晃二(商4・慶應)
3.PR 出口 桂(商4・明善)
4.LO 西出 翼(経4・慶應NY)
5.LO 佐藤 大樹(総2・桐蔭学園)
6.FL 廣川 翔也(環3・東福岡) →20岩本 龍人(政4・國學院久我山)
7.FL 鈴木 達哉(環3・茗溪学園)
8.No8 竹本 隼太郎(H18卒・現サントリー)
9.SH 南 篤志(総4・清真学園)
10.SO 矢川 智基(環4・清真学園)
11.WTB 吉迫 雅俊(商3・慶應志木)
12.CTB 青井 郁也(商2・慶應)
13.CTB 増田 慶介(H23卒・現東芝)
14.WTB 佐野 航太(政4・慶應)
15.FB 竹本 竜太郎(H23卒・現サントリー)
 

 

矢川はこの試合でPGを決めた

矢川はこの試合でPGを決めた

先制を決めたのは全明大。ゴールライン際のスクラムからペースを掴むと、全慶大の隙をついてトライを決めた。しかし、続く9分に、竹本竜太郎(現サントリー)のからの華麗なスルーパスを受けた吉迫が、得点を返した。そのシーンを、吉迫は「(パスの)スピードや精度が大学生選手とは違った」と振り返る。その後は、両者拮抗を続ける。全慶大は、廣川のビックゲインや、南や矢川を軸にBKが連携の取れたプレーを魅せるも、得点には繋がらない。他方、ディフェンスでは、全明大がゴールライン近くまで攻めてきた際に、全慶大のFW陣が落ち着いて、ラインを守り切ったシーンも見せた。試合が動いたのは、終了が間近に迫った40分だった。ゴールポストの前で全明大のペナルティが指摘されたため、全慶大はキックを選択。矢川が危なげなくゴールを決め、3点獲得。試合は、10-7でノーサイドを迎えた。

 

 

【全早大戦】

4月26日(日)15時20分K.O@秩父宮ラグビー場

全慶大

 

全早大

T

G

PG

DG

24

合計

24

得点者(全慶大のみ)

T=仲宗根 田畑 澤根 楠本

G=佐野2

出場メンバー
ポジション 先発メンバー 交代選手
1.PR 高柳 聖一郎(政4・慶應) →17細田 隼都(商2・慶應)
2.HO 金子 大介(H23卒・現キヤノン) →16松岡 大介(環3・小倉)
3.PR 八木 悠太朗(経4・慶應) →18角田 匠輝(法3・慶應)
4.LO 太田 周造(政3・慶應)
5.LO 豊田 祥平(総3・國學院久我山)  →20佐藤 大樹(総2・桐蔭学園) →19南 善晴(H24卒・現豊田自動織機)
6.FL 徳永 将(商4・慶應)
7.FL 仲宗根 健太(H24卒・現サントリー)
8.No8 竹本 隼太郎(H18卒・現サントリー)
9.SH 桜井 修(経3・慶應)
10.SO 竹本 竜太郎(H23卒・現サントリー)  →21高島 大地(H23卒・現横河電機)
11.WTB 澤根 輝賢(総4・佐倉)
12.CTB 今泉 宏健(総2・清真学園)  →22古橋 純(理4・千種)
13.CTB 田畑 万併(環4・桐蔭学園)
14.WTB 佐野 航太(政4・慶應)
15.FB 楠本 遼(経3・慶應)
 

 

豊田からのパスを得点に繋いだ澤根

豊田からのパスを得点に繋いだ澤根

全早大戦は、交互に得点を奪い合う、大接戦の試合であった。初めに主導権を握ったのは全慶大。開始5分、ラインアウトからボールを出した仲宗根健太(現サントリー)がトライを決めた。その後は、全早大の展開ラグビーに翻弄され得点を許すも、続く18分には、細かくつながれたパスから、田畑が抜けてトライを決めた。しかし23分、再び全早大に得点を返され、12-12と拮抗する。見せ場を作ったのは、26分。全早大をターンオーバーすると、豊田がビックゲイン、澤根につないでトライを決めた。しかし、再び全早大に点を返されると、迎えた33分。途中出場した高島大地(現横川電機)のパスから楠本がトライを決めた。このまま逃げ切れるかと思った全慶大だが、ロスタイムに、昨年度対戦経験のある全早大の深津(現リコー)にトライを決められ同点に追いつかれた。結果は、24-24。昨年度の早慶戦に引き続き、再び引き分けで試合を終了した。

 

 

ゴールラインへ走る楠本

ゴールラインへ走る楠本

全明大戦では、昨年度から活躍する、矢川、廣川、吉迫の安定したプレーがチームを先導していた。一方、フレッシュなメンバーが多く見られた全早大戦でも、田畑、澤根、楠本がトライを決め、他のメンバーも連携の取れた活躍を見せた。試合出場経験の多いメンバーに加え、フレッシュなメンバーの可能性も大いに見出せた今試合。チームの仕上がりが上々ということがアピールできた。「スキルやフィジカルの面で大きな差がある」(矢川)と感じたOB選手と共に戦ったことも、今後の糧になるだろう。また、選手たちの熱いプレーは、チャリティーマッチとして、観る者に元気を届けたはずだ。今週末から始まる春季大会ではどのような戦いを見せてくれるのか、期待が高まるばかりである。

 

 

 

ケイスポ的MOM 進化を続けるWTBの要

この試合大活躍の吉迫

この試合大活躍の吉迫

明治戦の勝利には、この男の活躍が大きく貢献した。吉迫雅俊は、昨年度からAチーム出場を経験し、躍進を続ける選手の一人だ。得意とするのは、ボールキャリアとしてのランニングスキル。しかし、今季は、「ディフェンスの強化を図っている」と語るように、タックルで相手を仕留めるプレーも見られる。攻守にわたって力を見せた今試合。今週末から始まる春季大会でも、安定したプレーでチームを勝利に導いてくれるに違いない。

 

(記事・長尾里穂)

 

 

コメント

金沢ヘッドコーチ

(試合を振り返って)オール早慶明の試合は、竹本主将を中心に学生とOBが短期間で準備をしてくれました。OBの彼らが現役を引っ張ってくれて、現役もそれについていくことができたのでいい試合になったのだと思います。今大会は東北支援のチャリティーということで、お客さんが沢山いらっしゃったことを感じました。最後は早大に追い付かれるという接戦のゲームをお見せしてお客さんに喜んでいただけたので、それが東北支援につながっていけば私としても、成功した大会だったと思います。

竹本隼太郎主将

(試合を振り返って)オール早慶明の試合は現役の頃から10年以上出させてもらっています。今回も久しぶりに学生と練習をして、ここ最近で最も学生のスタンダードが上がっていると感じました。今までオール早慶明で優勝したことがないのですが、今年は優勝のチャンスがあるかもしれないと考えていました。なんとか明大には勝てましたが、早大には最後の最後で同点に追い付かれてしまいまして、現役のころから粘り強さを感じていた早大の底力を実感しました。昔からの勝負強さや集中力を引き継いでいるなと感じます。簡単に勝つことは出来ないということを現役の選手にもわかってもらい、次に繋がるゲームになればいいなと思いました。OBにとっても学生の勢いに触発されましたし、反対に僕らの考えを学生に伝えることもできたので良い経験になりました。良い試合だったと思います。

矢川智基

(今大会を振り返って)試合前から勝ちにこだわっていこうという話が竹本主将からあったので、僕は明大戦しか出ていないのですが、その試合に勝ててよかったです。決勝点となったPGは簡単な位置からだったのですが、入ってよかったです。(OBの方と一緒にプレーしてみて)スキルやフィジカルの面で大きな差があると思いました。ベーシックなところが充実していて、その意識の差が大きいのかなと。それは学生にとって参考になったはずなので、しっかりレベルアップのために生かしていきたいと思います。(今季初の実戦となったが感覚は)僕自身昨年の流経大戦以来の出場でけっこう間が空いての15人制の試合となったので、春の公式戦が始まる前に一度15人制の試合を経験できてよかったです。(現役の選手はフレッシュなメンバーが多かったが)初めてAチームで試合に出た選手もトライしたり、活躍する選手も多くいたのでいいことだと思います。(次週の中央大戦に向けて)初戦は大事な試合というか、一戦一戦戦うのは当たり前ですが、初戦はスタートダッシュという意味で大事な試合になるので勝ちにこだわって頑張りたいと思います。

徳永将

(今日の試合を振り返っていかがですか)OBの方と一緒にプレーが出来るという、本当に貴重な体験で、プレーでの良い面悪い面がはっきりしたかなと思います。(具体的にはどのような点がありますか)攻め方では、どんどんボールを繋いでアタックしようという意識は出てきていたと思います。ただ、ブレイクダウンで受身になってしまう場面があって、ブレイクダウンを今後改善していかないと次のステップに進めないな、という印象をうけました。デイフェンスに関しては、ラインブレイクしたところはあまりなかったと思うのですが、全体的にまだまだ修正すべきところはいっぱいあるかなと思います。(今日はどのような心意気で試合に臨みましたか)今日はOBの方がいらっしゃるというのと、15人制の初の試合ということで、とても気合が入った状態で臨みました。また、対戦相手が早大という絶対に負けられない戦いだったので、勝ちたかったのですが少し足りなかったです。(OBの方との試合で学びを得たことはありますか)OBの方は一個一個のプレーに対する激しさがあり、また基本プレーがしっかりしているなと感じました。竹本さん・仲宗根さんはちょうど僕が高校生、中学生のときにテレビに出ていた人たちなので、その人たちのようなプレーができるように、僕ももっと頑張りたいなと思いました。(連携や感覚は取り戻せましたか)どちらもまだまだ改善すべきところはあると思います。感覚も、まだまだボールが手についていない選手が多いと感じられたので、今後頑張りたいと思います。(徳永選手自身のプレー面で良かった点はどこですか)思ったよりタックルにしっかり入れたかな、と思っています。たぶんタックル回数もそれなりにいったのではないでしょうか。ただ、まだまだ精度が低いと思うので、今後さらに精度を高められるように頑張ります。(来週から始まる春季大会に向けて意気込みをお願いします)一試合一試合全力で頑張りたいと思います。宜しくお願いします。

吉迫雅俊

(試合を振り返って)今年初めての試合だったので、緊張したのですが、OBの選手に声を出していただいて、楽しくプレーすることが出来ました。(OBの方の印象は)レベルが格段に違うということを実感しました。しかし、その分、OBの選手に頼りきりなところもありました。(竹本竜太郎選手のパスを受けてのトライシーンも見られましたが)スピードや精度が大学生選手とは全然違いました。(学生の仕上がりは)今年は、沢山走って、相手に走り勝つラグビーをすることが目標です。今日の明大戦では、それを意識し、実践できたと思っています。(明大の印象は)ブレイクダウンが強い印象でしたが、外では走り勝てていたので、良かったなと思います。(吉迫選手自身が強化したところは)ディフェンスを頑張りました。(春季大会に向けて)BKも競争が激しいので、試合に出られるように練習することと、試合に出られたら、僕がボールを持てばトライを取れるように頑張りたいと思います。

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