関東大学春季大会B vs 大東文化大
2015/5/10(日)13:00K.O.@慶應下田グラウンド
得点 | ||||
慶大 | 山梨学院大 | |||
前半 | 後半 | 前半 | 後半 | |
4 | 4 | T | 3 | 3 |
3 | 3 | G | 2 | 3 |
0 | 0 | PG | 0 | 0 |
0 | 0 | DG | 0 | 0 |
26 | 26 | 小計 | 19 | 21 |
52 | 合計 | 40 |
T=堀切、松岡、西出、鈴木、松村、清水、青井、佐野
G=青井6
出場メンバー | ||
ポジション | 先発メンバー | 交代選手 |
1.PR | 堀切 厚輝(環3・國學院久我山) | |
2.HO | 松岡 大介(環3・小倉) | →16 末永 晃二(商4・慶應) |
3.PR | 出口 桂(商4・明善) | |
4.LO | 西出 翼(経4・慶應NY) | |
5.LO | 佐藤 大樹(総2・桐蔭学園) | |
6.FL | 廣川 翔也(環3・東福岡) | →20 高家 章徳(商4・慶應志木) |
7.FL | 鈴木 達哉(環3・茗溪学園) | |
8.No8 | 松村 凜太郎(商2・慶應) | |
9.SH | 南 篤志(総4・清真学園) | |
10.SO | 矢川 智基(環4・清真学園) | |
11.WTB | 清水 祐輔(環3・明和) | |
12.CTB | 青井 郁也(商2・慶應) | |
13.CTB | 田畑 万併(環4・桐蔭学園) | →22 古橋 純(理4・千種) |
14.WTB | 佐野 航太(政4・慶應) | |
15.FB | 楠本 遼(経3・慶應) |
試合は思わぬ幕開けとなる。開始直後の前半1分、立ち上がりの不安定な守備を突かれた慶大は、簡単に突破をされ先制トライを許す。0-7と早々にビハインドを背負ってのゲームとなった。慶大の今季のテーマの一つが運動量を前面に押し出したアタックだ。前回は「スローテンポな試合」(LO西出)となり持ち味を出せなかったが、この試合は違った。全員が縦に速いゲインをきり、ブレイクダウンへのサポート・展開もハイテンポ。まずは前半6分にスクラムから最後はFL鈴木が低いドライブでゴールをこじ開け5-7とする。さらに13分にはNo8松村が強烈なゲインからオフロードパスでボールをつなぎ、中央へHO松岡がグラウンディング。つづく16分は廣川のタックルで拾ったPKから、CTB田畑のこちらも縦へ一直線のランニングでWTB清水のトライを演出した。CTB青井も確実にゴールを決め、19-7とリードを奪う。このまま安定した試合になるかに思われたが、課題の守備がおぼつかない。大東大の3人の外国人がみせるパワー全開のゲインを止められず、25分、28分と連続トライを許し19-19の同点に。38分にSO矢川のキックパスに清水が反応、西出のトライで26-19としたが、後半に不安の残る内容となる。
後半は一転、慶大ペースで始まる。後半10分に相手ゴール前のスクラムからモールを形成し、最後は松村が飛び込み33-19と流れを作る。すると19分にはSH南の巧みなパスを青井、22分は松村が何度も相手をかわして持ち込んだ ボールをWTB佐野と、続けざまにトライを奪った。豊富な運動量を生かしたアタックに相手は置き去りとなり、多彩な形で多くの選手が得点をあげる理想的な展開となる。だが相手は昨年大敗を喫した大東大。一筋縄にはいかない。相手の「コンタクトフィットネス」(松村)を押し出した重量感ある攻撃が、しだいに息を吹き返す。30分にまたも外国人WTBにトライを奪われると、その後も少ないフェーズで簡単に突破を許してしまう。35分にラインアウト後のモールからPR堀切が飛び込み26-52とするも、試合終盤は一方的に攻められ39分、43分に連続トライを許した。結局52-40まで追い上げられたところでノーサイド。春季大会3連勝としたものの、やや大味な終盤になってしまった。
アタック面では前回からの成長が感じられた。大柄な選手がそろう敵に対し、相手に合わせず「しっかり体を動かして走って相手をばてさせるというラグビー」(矢川)を展開。特に縦への突破や、接点への集散の意識を全員が共有できていた。8トライをあげた選手がそれぞれ異なっているのは、フィットネスを重点的に強化し走力の向上に努めていることの成果。敵のインサイドを破るランが多かったのもポイントだ。今年色の慶大のアタックが、更なる強豪校へどれだけ通用するのか楽しみだ。一方課題は明らかにディフェンス。「ディフェンスが粘れず、慶大らしさがなくなってしまいました」(田畑)の言葉通り、本来持ち味であるはずの低いタックルが出ず、漫然と突破を許す場面が見られたのは残念である。危ない場面で何度か相手のハンドリングエラーに助けられた印象もぬぐえない。まずは接点を作るためのタックルやライン同士の連携、そして何より全員がどんな相手にも突破を許さないと意識することが大切だろう。今後は対抗戦の強豪校との招待試合も組まれている。春季大会の収穫と反省をどう生かし難敵に食らいつくか、慶大の更なる進化に期待したい。
【ケイスポ的MOM】つかんだチャンスは逃さない! No8 松村凜太郎
前回に続き2試合連続で背番号8を任された松村。まだ2年生、将来性豊かなバックロー期待の星だ。実は廣川の学生代表への招集と、副将・徳永の故障でスタメンが回ってきた。だがピッチに立てばその経緯は関係ない。「僕にとってはチャンス」と、果敢に大柄な相手ディフェンスラインへ突っ込んだ。特に自ら持ち味と語る、「相手の動きに対して自分が動いて外す」巧みなランは見る者をわくわくさせる。今日は何度も敵陣深くまで持ち込みチャンスメイク、後半10分には苦手と話すモールから「がむしゃら」にインゴールへ飛び込んだ。80分間存分にらしさを発揮し、充実感を漂わせた松村。だが「ディフェンスがしっかりできるようにやっていたい」と、バックローとしてタックルへの向上心も忘れてはいない。一度つかんだスタメンは渡さない―。チーム内の競争を加速させる、端正な顔立ちの新星に注目だ。
(記事・砂川昌輝)
コメント
矢川智基主将
(春季大会3戦目だったがどのような気持ちで臨んだ試合だったか)1戦目、2戦目と慶大がやりたいラグビーが出来ていなかったです。今日の試合は準備期間が短い中で臨んだのですが、相手も体が大きいプレイヤーが多かったので、こっちもしっかり体を動かして走って相手をばてさせるというラグビーをしようという話をして試合に臨みました。(前回から強化した点は)準備期間が短かったのであまり変えられるところはなくて、基本的には意識の部分やコミュニケーションの部分の質をあげよう、という話をしました。(チームの雰囲気は)試合中は良い雰囲気で臨めたと思います。(次戦に向けて)次戦の相手も体が大きいので、やることは変わらなくて。慶大のやりたいラグビーをやるというだけなので、しっかり次もチャレンジして勝ちたいと思います。
西出翼
(今日の試合を振り返って)アタックはすごく走れていて、やりたいことをやれていたのですが、ディフェンスで40点取られたというのは次回修正すべきだなと思います。(トライシーンを振り返って)とりあえずあそこは取っておきたいなということで、ボールに反応することだけをずっと考えていて、こぼれ球が前に来たので必死に取りに行きました。(アタックが良かった要因は)前回の試合ですごくスローテンポな試合になってしまって、今日はテンポ良くどんどん走ろうということを課題にして練習してきたので、それを出せたのかなと思います。(自身の出来について)まだまだ走れると思いました。僕はロックなのでラインアウトを安定させなければいけないんですけど、まだミスをしている部分があったので、次回はセットプレーを安定させて、もっと走りたいと思います。(春季大会3試合の総括)3試合続いていて疲労もあると思いますが、やはりまだまだ自分たちのやりたいラグビーが出来ていないと思うので、次の試合に向けてそこを修正して練習に取り組んでいきたいと思います。(今後に向けて)タックルしっかり入って、慶應らしいプレーを今後もしていきたいと思います。
廣川翔也
(今日を振り返って)試合感覚自体は、オール早慶明や、練習試合で出させてもらうことがあったので、そんなに鈍っていなかったのですが、80分間フル出場することは少なかったのでフィットネスがよくなかったです。(今日の試合後にフィットネス練習を繰り返していたのもそのためか)そうですね。この試合が良くなかったので、トレーナーの方に頼んで練習させていただきました。(次の試合までに強化したいところもフィットネスか)はい。ただ走るだけでなく、コンタクトフィットネスやゲームフィットネスを鍛えたいです。(関東学生代表での経験はどうでしたか)NZ代表はもちろん、日本の選出されていたメンバーも本当にレベルが高かったです。スタメンに選ばれていたバックローの方は、コンタクトも強いですし、ジャッカルやタックルが別次元のものであったので刺激になりました。(本日の試合で生かせたか)ジャッカルやタックルなど、意識して臨みました。
松村凜太郎
(2試合続けてスタメンでした)この前の試合は廣川さんが学生代表の試合でいなくてたまたま僕にチャンスが回ってきました。今日も副将の徳永がけがをされて急きょ出ることになりました。僕にとってはチャンスだと思ったので、アタックに対してはチーム一突破してやろうという意気込みでした。(その点では何度も相手をかわすゲインがあった)そうですね。自分で言うのはおこがましいですが、自分の得意なプレーは相手の動きに対して自分が動いてはずすことだと思っています。(後半最初にはモールから持ち込んだが、ポジション取りはどのように工夫しているか)モールは下と上のチームでスキルの差が結構大きい部分だと思うのですが、去年そこでモールからのプレーであまり活躍できませんでした。苦手意識はありましたが、Aチームで出る以上苦手は関係なしに全力やらないといけないのでがむしゃらにやりました。(今日課題に感じた部分は)スピードをつけて当たるのは意識しているのですが、そこからハンドリングミスが今日は2回ありました。やはりスピードがあってもボールをつなげないと意味がないので、そうした甘さを今後は無くしていきたいです。(ディフェンス面でチーム全体の反省は)相手のコンタクトフィットネスに対して自分たちの強さが出せなくて、フィットネスの差が出て後半は立て続けにトライを奪われてしまいました。自分を含めチームとして鍛えないといけない部分かなと思います。(今後に向けて)バックローの仕事はやはりタックルだと思っています。アタックももちろんですが、ディフェンスがしっかりできるようにやっていきたいです。
青井郁也
(計8トライを決めての快勝だったが今日の試合を振り返って)前の二試合と比べると、テンポよくアタック出来たと思いますが、やはりこんなにトライを取られてはいけないと思うので、一人一人のディフェンスの意識をもっと上げていければと思います。(プレーのテンポを上げられたことで、やはりオフェンスは機能したか)そうですね、ここ二試合全然テンポを上げられずに相手のテンポでやってしまっていた所が一番良くなかった所だったので、今日は最初からテンポを上げて、走っていくぞという意識を持ってやりました。(一方ディフェンスでは計6トライを決められるなど課題が残った)ディフェンスに関して、一番やってはいけないのは相手のキープレーヤーを走らせてチームを活性化させてしまうことだと思います。今日だと外国人選手を意識して、一人で止められないなら二人、三人で寄って止めていかないといけないと思いました。(トライを決めた場面を振り返って)あの場面は、まずFWがちゃんとチャンスを作ってくれて、相手のディフェンスが外にずれて自分の前が空いて前に走っただけです。自分のトライというよりはFWの人とか、全員で取ったトライだと思います。(今日はCTBでの出場となったが)12番のプレーではディフェンスだとインサイドブレイクをされてはいけないと思うので、内からしっかり止めていくということを意識しました。アタックの面ではSOよりも前が見やすいので、ダブルSOみたいな形で矢川さんに落ち着いてプレーさせるということを意識してやりました。(コンバージョンのキッカーを務めているがキックの精度は)全部決めないといけないと思うので、もっと精度を上げていければと思います。(今後に向けて)まだまだ試合がありますが、しっかりレギュラーに残れるように頑張ります。
田畑万併
(今日の試合を振り返って)前半はディフェンスも粘れていたのですが、後半20分過ぎた後から相手の個人技にやられてディフェンスが粘れず、慶大らしさがなくなってしまいました。(走り勝つラグビーという点で見ると)後半20分までは圧倒していたはずなのですが、それより後はFWが疲れてしまってダメでしたね。(大東文化大の外国人選手の印象は)強かったです。単純ですけど(笑)。間合いをどれだけ縮められるかということを意識していました。僕は下に入らず体で勝負したら弾かれてしまったので、もっと慶大らしい足首のいく低いタックルをやればよかったです。(相手選手をかわしたゲインも見られたが、ご自身のプレーについて)前半はやりたいことはできたのでよかったのですが、後半は足がつってしまってかばってしまったので、もっとフィットネスを大事にしたいです。(ここまでの課題だったディフェンスは)前半の最初の2トライは外側でゲインされていて内側でゲインされることはなかったので、そういう面では良かったと思います。後半は個人で抜かれることもあったのでまだ課題は残っていると思います。まだ修正しようがあるので、これからが勝負ですね。(次へ向けての修正は)とにかくレックタックルを課題に置いているのでレックタックルをひたすらやり続けるということと、グランドを端から端まで使いきるためにフィットネスを鍛えるということですね。
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