【弓道男子】 ついに天敵下す! 全国3位に輝く 全国大学弓道選抜大会

堂々の全国3位だ。1週間前の全関東ではベスト8止まりと悔しい結果に終わっていた慶大男子。5人制となる今大会は全選手が高い集中力で的中を重ねていく。トーナメント1回戦で昨年から何度も敗れてきた法大に粘り勝ち。準決勝では昨年の学生王者・立命大に力負けしたが、3位決定戦では鹿児島大に貫禄の勝利を収めた。これで前年を上回る3位の好成績を収め、夏のインカレ、さらにリーグ戦へ手応えをつかんだ。

 

第27回全国大学弓道選抜大会

 

6月27日(土)、28日(日)@全日本弓道連盟中央道場 

 

 

 ポジション 選手名 予選 1回戦 2回戦 準決勝 3位決定戦
大前(おおまえ)

日野浩明

(文2・慶應高)

2番

菅谷脩

(法3・韮山高)

3番

稲熊渉

(総3・城北高)

落(おち)前(まえ)

佐久間淳

(環3・慶應高)

落(おち)

村田賢祐

(法4・慶應高)

合計   17 17 17 17 16
対戦校     法大 埼玉大 立命大 鹿児島大
    16 13 19 16
※ 1回の試合で各選手4本の矢を放つ。トーナメントは2チームが同時に矢を放ち始める。男子団体は1チーム5人で構成され、計20本のうち的に中(あた)った本数の多いチームが勝ち進む。的中数が並んだ場合は、各自1本の計5本からなる一本競射が繰り返される。

 

厳かに入場する

厳かに入場する

 

今大会の舞台は東京・明治神宮の境内にある全日本弓道連盟の中央道場だ。全関東とは打って変わり、皆中時の拍手と的中音のみが聞こえる厳かな空間で試合が進んだ。今年初めての全国大会となる全国選抜。各地のリーグ上位校が選抜され、日本一を争う。普段の大会や試合とは異なり、全日本弓道連盟が主催となっている点も体配や試合の雰囲気に影響を及ぼす。

鋭い離れをみせた菅谷

鋭い離れをみせた菅谷

予選を17中にまとめ、トーナメントに進んだ男子。1回戦の相手は、なんと同じく東京都リーグ1部の法大に決まった。昨年から全関東、インカレと全て準決勝で当たって敗れている因縁の相手である。テンポの良い行射と安定感抜群の技術が持ち味だ。村田賢祐主将(法4)も「確かに最初に分かった時は「嘘でしょ」と思いました」と認めたが、慶大が頂点に立つには必ずどこかで勝たなくてはいけない相手でもある。「ここで負けるわけにはいかない」(鈴木清久監督)。相手に惑わされず、自身の練習通りに引いていく慶大選手たち。稲熊渉(総3)、佐久間淳(環3)が皆中を出し、他の選手も外しても自身の射を見失わなかった。落・村田が引き終わった時点で慶大は17中、法大は1本残した16中…。会場の視線を一点に集めるなか、法大の落はその矢を抜いてしまった。17-16、1本差でついに法大に勝利した。「自分たちがやることをやっていれば勝ち運やツキが来るのかな」(村田主将)の言葉が、強敵に勝つための秘訣のように思える。

 

稲熊(左)と集中を高める佐久間、村田

稲熊(左)と集中を高める佐久間、村田

2回戦では埼玉大に地力の差を見せつけ、17-13で圧勝。いよいよ昨年から突破できずにいる準決勝に進んだ。相手は現在、学生王座を持っている立命大だ。他の強豪校にも増して、安定感のある内容で勝ち上がってきた。慶大は先行する相手に必死に食らいついていったが、19中とまさに王者の貫録を見せつけた立命大に力負けした。17-19で敗北、慶大も練習では19や20が出ていたが、本番で強敵相手に発揮するにはまだ及ばなかった。「大胆に引ききれなかった」(村田主将)。この経験を力に変えて、さらに勝負強いチームに成長してほしい。

 

 

 

3位決定戦では鹿児島大に競射にもつれこまれる展開となるが、1本競射では全員に自信がみなぎっていた。5本すべてを的中させ、5-2と都学1部の貫録をみせ勝利。結果的に全国大会で3位と好成績を残し、手応えと課題を得た実りある大会となった。3位決定戦の競射のような、攻めの姿勢を最大限出した射を強敵相手にも出せば、目標の日本一にまた一段と近づくことができるのではないだろうか。全関東に続いて若い日野(文2)が、立派に大前を務め上げたこともチームにとって大きな収穫だろう。「慶大は準決勝で必ず負けるというジンクスがあるので、それを次のインカレで破れるように一丸となって進んでいけたらなと思います」(佐久間)。名古屋で見せる、慶大の快進撃に期待したい。

 

しぶとい射が光った佐久間(左)

しぶとい射が光った佐久間(左)

 

 

 

 

女子団体結果

ポジション 選手名 予選 1回戦
大前(おおまえ) 小林由紀恵(看4・清真学園高校) ×
依田 友里乃(商2・頌栄女子高校)
陣内友莉(総3・西武文理高)
落(おち) 西田葵 (法4・慶應女子高)
合計  
対戦校       京都橘大
合計       10
※ 1回の試合で各選手4本の矢を放つ。トーナメントは2チームが同時に矢を放ち始める。女子団体は1チーム3人で構成され、計12本のうち的に中(あた)った本数の多いチームが勝ち進む。

※決勝トーナメントから、大前は小林(看4)から依田(商2)へ交代

 

1回戦に臨む女子団体

1回戦に臨む女子団体

 

男子の試合に並行して、女子団体も行われた。昨年は東京都リーグ1部2位に輝いた慶大であるが、トーナメント形式の試合ではなかなか思うような結果を残せていない。全関東のベスト16から更なる上位進出を目標に臨んだ今大会。落に西田主将(経4)を起用してきた。予選ではその西田、さらに陣内(総3)が皆中とチームを引っ張り8中、トーナメント進出のための競射を勝ち抜き翌日の1回戦に進出した。

 

他の都学1部校が予選でいくつか敗れる波乱のなか、慶大の相手は京都橘大学に決まった。1回戦から大前にはフレッシュな依田(商2)を起用したが、3人ともなかなか流れに乗ることができない。相手に差をつけられたまま終盤に入り、4-10で敗退。実力を思うように出せないまま、1回戦で敗れてしまった。しかし予選では皆中が2人出て、全関東でも競射で素晴らしい集中力を発揮している。選手層は厚く、全員が皆中を出す力を持っていることは間違いない。都学1部を制し昨年あと一歩で逃した王座に進むため、更なる安定感を出せばおのずと結果はついてくるはずだ。まずはインカレで、慶大女子の逆襲に期待したい。

伸び合う陣内(左)、手の内を整える西田(右)

伸び合う陣内(左)、手の内を整える西田(右)

 

監督、選手のコメント

 

鈴木清久監督

(今大会を振り返って)残念でした。練習ではもう1、2本中っていたんですけれども、結局17とかそういうものが多くて、勝ち切れなかったのが非常に残念でした。(試合前にどんな声をかけたか)とにかく練習は積んでいるし、全関でもそれなりの結果が出てきているので、自分たちのいつも通りの射を自信を持って行うということで、頂点を取るべく努力しようということを伝えています。(法大に勝利を収めたが)ここで負けるわけにはいかないという気持ちが私をはじめ選手にもあったと思いますし、もっと高い値でもっといい矢が出れば優勝につながったと思いますが、守りに入ってしまったところがありました。(立命館大戦を後ろから見守って)ずっと変わらずにもうひとつ攻め切れていないという感じですね。一本も抜かなければ勝つわけですけど、その一本も抜かないということをできるチームなので、そこが残念です。(夏に向かっての強化ポイント)最終的に優勝には至りませんでしたが、明大の射を見ていて、立の雰囲気というものが非常に勢いがあります。しかしどうしても私ども慶應はもうひとつ覇気がないというか、なんかネガティブなモードに入って行ってしまうところがあるように思いますので、そこの差が何なのかという、マインドコントロールのところをそれぞれがもう少し研究をして、慶應らしい勢いのある立ができるようにするところを意識したいですね。夏の全日、リーグ戦でもう少し雰囲気のあるものが出てくるように、抽象的ではありますが、技術的には今日の立命館、明治と大きな差があるとは思っていないので、あとは精神的なプラスアルファが何なのかというところを突き詰めていきたいです。それはもう少し何かを一生懸命やるということになると思いますが、勉強であっても一生懸命やって、他校よりももっと懸命にやったものがあるんだっていう自信を持てば、雰囲気も出てくると思うので、その辺をこれから就活と試験シーズンになりますが、それでも懸命にやってるんだという自信につなげていけるように指導をしていきたいです。

 

村田賢祐(法4)

(初戦の相手が法大と分かったときの心境は)確かに最初に分かった時は「嘘でしょ」と思いましたが、相手がどこであろうとやることに変わりないですし、勝負は本当に時の運な点もあるので。勝負の結果ももちろん大切ですが、自分たちがどうすればいいのかを考えようねということを周りにも自分にも言っていました。自分でもその発言に説得力が出るように意識してやりました。(その法大戦ではチームとして充実した戦いができた)なかなか調子がみんなも上がりきらなくて、不安要素もたくさんあったのですが、各自最低合格ラインくらいはできたんじゃないかなと思います。法大に勝てたのはたまたま向こうが落の留矢を抜いたからなのですが、自分たちがやることをやっていれば勝ち運やツキが来るのかなという気がしました。(準決勝前は選手に声をかけたか)2回戦までは選手に声をかけていました。でも準決勝からは選手を試すために、あえて何も声をかけずに臨みました。散々普段から言っているので、それを直前で言って気づかせるのは簡単ですが、選手が自分で「やらなきゃいけない」という必要性に気づかないといけないと考えました。(日本一へ及ばなかった点は)やはりネームバリューのある強い学校と当たった時に、自分たちがやるべきことを最大限チャレンジしていかないといけないのですが…。「なかなか抜いたらどうしよう」となって大胆に引ききれなかったんじゃないかなと思います。そこが一番の敗因だと思います。練習で19や20が出ていなかったわけではないので、やろうと思えば出せたはずですが、まだまだですね。(先週と比べて体配はスムーズになっていた)そうですね。全関東とは体配の動きが少し違ったりもするのですが、人数も少なくなったことでテンポがすごく良くなったなと引いていて思いました。その点では進歩ですが、合わない時もあるのでそこは課題です。(インカレにむけて)インカレまでは1か月と少しあるので、チームとしては基本的な技術面、特に足踏みや胴造りが抜け落ちてしまうと中々高いレベルには行けないので、その部分の強化ですね。あとはメンタル面で攻める、挑戦する姿勢を耳では入っていても実践できている部員はあまり多くないのでそこをいかに実践させていくかですね。

 

佐久間淳(環3)

(今日を振り返って)個人的にはこの前の全関から調子が悪くて練習でもあまり中ってなかったですけど、村田さんを中心として、「目先の的中だけでなく、その場でできることをやり遂げる」というポイントでやりきりました。その結果、予選では1本抜いてしまいましたが、トーナメントでは準決勝まで詰められて、3位決定戦でもそこそこ中られたと思います。(全国3位という結果はどのように受け止めているか)目標は日本一なので、まだまだだなと。慶應は準決勝で必ず負けるというジンクスがあるのでそれを次のインカレで破れるように一丸となって進んでいけたらなと思います。(自身は17射16中。調子が悪い中でどのような工夫をしていたか)やれることだけやるということと、あとは気持ちですね。(全関、選抜を通して感じた課題は)調子の波が激しくて、春シーズンの前半は調子がよかったのですが全関東直前で崩してしまいました。今後調子を一定に保つことができるようになれば一流の選手になれるかなと思います。(夏のインカレに向けて取り組んでいくことは)インカレまであと1か月あるので、練習量をとりつつ、その練習が雑にならないように日々の一本から試合をイメージして引くことが大事かなと思います。

 

                                                                                                                                                 (記事 砂川昌輝)

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