今季3度目の早慶戦。前節までの順位は慶大が首位、早大が同じ勝ち点で並ぶ2位と勝者が首位に立つ最高の舞台で行われた。決定機を逃し続けた慶大は36分に先制点を奪われてしまう。後半に入り、松木駿之介(総1・青森山田高)のゴールで同点に追いついたものの、83分に決勝点を許してしまう。この結果、11戦ぶりの黒星となり、首位の座を早大に明け渡す形となった。
第89回関東大学サッカーリーグ戦 第19節
2015/10/24(土)13:50KO@味の素フィールド西が丘
慶應義塾大学1-2早稲田大学
【得点者(アシスト者)】
〔慶〕66分 松木駿之介(溝渕雄志)
〔早〕36分 奥山政幸、83分 山内寛史(宮本拓弥)
◇慶大出場選手
GK宮原隆志(経4・武蔵高) |
DF溝渕雄志(環3・流通経済大学付属柏高) |
DF久保飛翔(環4・済美高) |
DF望月大知(環3・静岡学園高) |
DF井上大(総3・國學院久我山高) |
MF宮地元貴(総3・東京ヴェルディユース) |
MF山田融(総4・横浜F.マリノスユース) |
MF手塚朋克(環2・静岡学園高) |
MF松木駿之介(総1・青森山田高)→83分 小谷春日(環1・藤枝東高) |
FW田中健太(法2・横浜F・マリノスユース)→80分 黄将健(総4・近畿大学附属高) |
FW山本哲平(政3・國學院久我山高) |
勝ち点が34で並ぶ両チームの順位は慶大が首位、早大が2位。この天王山に勝ったチームが関東リーグ制覇へと大きく近づく重要な一戦。両チームの応援もヒートアップし、大学サッカーの聖地、味の素フィールド西が丘は異様な緊張感に包まれた。「調子良かった」(須田監督)松木駿之介(総1・青森山田高)を4試合ぶりにスタメンに抜擢した。
立ち上がりこそ不安定だったものの、徐々に慶大が主導権を握り始める。11分に右サイドで相手DFに走り勝った手塚朋克(環2・静岡学園高)がグラウンダーのクロスを入れると山本哲平(政3・國學院久我山高)が右足で合わせるが、わずかに右へそれてしまう。26分には手塚のクロスを田中健太(法2・横浜F・マリノスユース)が頭で合わせるがこれは枠の上へ。さらに、32分にはこぼれ球を手塚がシュート。しかし、これも決めることができず、決定機を逃し続けると流れが早大に傾いてしまう。35分にCKを与えると、ヘディングで合わせられるが、ゴールライン上でクリアし再びCKに。このCKはヘディングでクリアしたものの、PA外で待ち構えていた早大DF奥山の豪快なボレーシュートで先制点を献上してしまう。前半のうちに追いつこうと怒涛の攻撃を見せるものの、早大の堅い守備をあと一歩崩せずに前半を折り返す。
後半は立ち上がりから松木がミドルを狙い、積極的に同点弾を奪いに行く。そして迎えた66分、右サイドを持ちあがった溝渕雄志(環3・流通経済大学付属柏高)がアーリークロス。相手のDFとGKの間に上手く入り込んだ松木が滑りながら合わせて同点に追いつく。逆転したい慶大は黄将健(総4・近畿大学附属高)を投入。しかし、早大のセットプレーが続き、なかなかボールを運ぶことができない。そして、83分だった。数的不利の状況を作られると、グラウンダーのクロスから最後は山内に決められ勝ち越しを許す。追いつきたい慶大は、90+2分に小谷春日(環1・藤枝東高)のクロスを手塚が折り返したものの、黄にはわずかに合わず。試合終了のホイッスルが鳴ると、選手たちは各々悔しそうな表情を浮かべた。
一度は同点に追いついたものの、リーグ戦では第8節の早大戦以来11戦ぶりの敗戦。また、今年の早慶戦は3戦3敗となった。選手たちは口々に悔しさを滲ませたものの、関東リーグ制覇に向けて気持ちを切り替えている。そして、次節の相手は「非常に相性がいい」(須田監督)国士大。優勝争いは上位5チームに限られ、最終節まで上位対決が続く。ライバルに勝利し王座に輝くためには1節1節が正念場だ。
(記事 熊谷健二)
☆現在の順位表
順位 | 大学名 | 勝ち点 | 得失点差 | 次節の相手 |
1 | 早稲田大学 | 37 | +6 | 順大 |
2 | 慶應義塾大学 | 34 | +14 | 国士大 |
3 | 明治大学 | 34 | +11 | 中大 |
4 | 国士舘大学 | 33 | +21 | 慶大 |
5 | 流通経済大学 | 30 | +7 | 法大 |
試合後コメント
須田芳正監督
(今日の試合を振り返って)負けたのは残念ですが、お互い特徴を出し合ったすごくいい試合だったと思います。(決定機を生かせずに失点した前半を振り返って)前半は決して悪い内容じゃなかったですが、決定的な場面が3回あったけれどもそこを決められなかったのが後で効いたし、相手のシュートは「素晴らしい」の一言です。(早大のどの辺に気を付けていたか)ボランチですね。ボランチが彼らの一番の特徴だと思っていたので、あそこに攻守にわたって仕事をさせないこと。もちろん2トップも脅威なのですが、ボランチの守備がとても激しく、そこからリズムを作っていくので、そこに仕事をさせないことをポイントにやりました。(松木選手をスタメンに抜擢した理由は)前節はスタメンが(渡辺)夏彦だったのですが、彼のプレーが良くなかったです。何が良くなかったかというと、彼に求めているのはやっぱりギャップでもらって繋ぎの部分だけれども、それができなかったというよりは、自分のリズムができないときに、どういうことができるか。彼は何もしなかった。我々はまず守備のチームだから、守備のところを真面目にやってもらいたかったです。そこがなかったから変えました。そして松木が調子よかったので、調子良い順に使っているので。この2つの理由で変えました。(上位との試合に向けて)今年のポイントに挙げているのがラインの上げ下げ、それと切り替えのところです。1試合1試合そこのところはビデオを見せているのですが、すごく早くなってきているし、ラインの上げ下げによってコンパクトになり良い距離感でパス回しもできていますし、取られた後のプレスがすごくよくなってきたのが手応えですし、まだまだそこをチームとしては追及していかなければと思います。相性で言えば、国士大とは非常に相性がいいので、気分的には前向きにとらえて、早大とは違った気持ちの持ち方でできると思います。
久保飛翔主将(環4・済美高)
(敗戦となったが率直な気持ちは)「悔しい」の一言しかないですね。(リーグ戦最後の早慶戦だったが思い入れは)去年の最終節しか早大に勝てていない状況で、今年に入って前期に負けて定期戦も負けて、3連続で負けるわけにはいかないですし、優勝を目指すうえで絶対に乗り越えなければいけない相手だと思っていたので、みんなで力入れて臨みましたが勝てませんでした。(失点シーンを振り返って)1失点目のコーナーを弾いたところは練習中から弾いたところをセカンドボールからミドルを打たれることで失点するシーンが多くて、あそこをなかなかクリアした後に押し出せないのが現状で、練習でできなかったところが試合でそのまま出たかなという感じです。2失点目に関しては、枚数が足りていなくて、相手のボランチが飛び出してきてそこに僕がつられちゃって、スルーされてきめられたという感じですが、あそこをしっかりボランチを落として改善したいです。2つとも絶対改善できると思うので、国士大戦に向けてしっかりやるしかないと思います。(宮本選手とのマッチアップについて)スピードもあって高さもあって体も強いという意味で、今まで結構マッチアップしてきたのですが、上手く抑えられたり抑えられなかったりというのがあった中で、同学年ですし、すごく意識する選手ではありました。(上位対決が続くが)今日は勝てなかったですが、まだ3試合残っていますし、そこを全部勝てば優勝のチャンスは全然ありますし、しっかりと切り替えて次の1戦だけに集中してみんなで準備することが大事だと思うので、まだまだ下を向くことなくみんなで優勝目指してやっていきたいと思います。
山田融副将(総4・横浜F.マリノスユース)
(今の率直な気持ちは)勝てなくて、悔しいです。(先制されたものの、追いつけたのは今季の好調ぶりを表しているのでは)そうですね。1戦1戦戦う中で、力がついて来たのは確かですけど、まだ上位に勝てる力はないのかなと思います。1点返せて、気持ち的にはこっちの方が有利なのに点を取られたというのは力のなさですし、個の部分でもっと成長していかないといけないですね。これから3戦どこも強いので、もっと個人の意識を高めて、プレーしないと厳しいかなと思います。(ボランチとして前半から前に出て行くシーンが多かったが)セカンドボールを拾えていたので、元貴と自分のバランスを見て、自分が前に行ければいいかなと思っていて、前半はそれがハマって、後半も点を取るまでは良かったんですが、そこから間延びしてしまって、セカンドボールを拾えなくなって、失点してしまったので、そこは課題かなと思います。(これが最後の早慶戦になる可能性もありますが)自分が出た今年3試合1勝もしていなくて、主務の織井や同期のみんなにすごく申し訳ない気持ちでいっぱいです。でもまだリーグ戦の1試合が終わっただけなので、優勝を目指すのは変わらないですし、これから3試合全部勝利を目指してやることが恩返しに繋がると思うので、早慶戦どうこうというより、リーグ優勝をしたいと思います。(次節以降も厳しい戦いが続きますが)1戦1戦、あと3試合どこも強いので、胸を借りるつもりで、謙虚にハードワークして、絶対勝利したいと思います。
宮原隆志(経4・武蔵高)
(今日の試合を振り返って)負けたので悔しいですけど、リーグ戦なので、残り三試合、優勝争いにまだ残っているので、しっかり準備したいと思います。(失点シーンについて)1点目はセットプレーからで、ここまでずっと課題だったところなので、そこでやられてしまったのは悔しいです。2点目はスローインから失点で、そういう隙がまだまだあると感じました。(ペナルティーエリアの外まで飛び出して守るシーンがありましたが、心がけていたことはありますか)1点取られてから、チームとして前からプレスをかけていこうと思っていたので自分は背後のスペースのカバーすることを意識していました。(次の試合に向けて)国士館も優勝争いに絡んでいるので自分たちが勝って、勝ち点を積み上げたいです。
宮地元貴(総3・東京ヴェルディユース)
(どんな気持ちで臨んだか)早慶戦というのもありましたけど、リーグ戦の一戦として優勝目指す上では重要な試合だったので、絶対に勝とうと思っていました。(試合を振り返って)試合全体を通しては自分たちのサッカーはできたと思うのですが、最後が甘かったという印象です。少ないチャンスをモノにできる早稲田が強いなと思いました。(失点シーンについて)一点目がCKのこぼれ球を打たれたのですが、ファースト競れたのにセカンドまで対応することができなくて、最後の失点も自分がサイドにつり出されずにしっかりボランチとして後ろに戻れていれば違った展開になっていたと思います。そこは、しっかり良い材料として反省して今後につなげていきたいです。(残り試合に向けて)自分たちは優勝するためには勝つしかないのでまたこの試合を振り返って良かった点、悪かった点を分析して次勝てるようにしたいです。
溝渕雄志(環3・流通経済大学付属柏高)
(今の率直な気持ちは)悔しいです。(追いつくまでは良かったが試合内容としては)悪くはなかったと思うし、しっかりとボールをつなぎながらサイドも使って上手くシュートまでもっていったシーンがたくさんあったのですが、やっぱり最後のとこを決めきれないとこのような試合になってしまうのでその点早稲田はゴール前で一本しっかり決められるという差が出たと思います。(同点弾のアシストについて)前半は入りが良くなかったので、後半からはしっかりギアを上げていこうと思っていて、あのシーンはボールを持った瞬間に松木が走っているのが見えて、目が合ったのであとはDFラインを飛び出すタイミングだけ見てゴロではなくわざと浮き球でワンタッチで入るように狙って、それが上手くあったのでイメージ通りで良かったと思います。(今回は負けてしまったが優勝の可能性は十分に残っていると思いますが)そうですね。この試合は定期戦ではなくリーグ戦の1試合として自分たちができなかったことをもう一度見つめなおして、優勝に向けてこれからは上位チームとの3連戦なので、下を向くことなくとにかく優勝に向けて勝ちたいと思います。
松木駿之介(総1・青森山田高)
(試合を振り返って)今季3試合早大と対戦して3戦全敗で、差が縮んだとは僕は思いますけど、それでも勝てないので、4年生にとって最後の早慶戦だったし、リーグ戦ですけど早大は特別な相手だったのでやっぱり勝たせてあげたかったし、悔しい1戦になりましたけど、リーグ戦なので残り3試合全勝すれば全然早大も1つくらい落とすと思うので、それを信じて僕たちは僕たちのやれることを残りの3試合やりたいと思います。(優勝に向けた大一番ということで、どんな意識で試合に臨んだか)特に変えることなくいつも通り自分たちのサッカーをやろうという話をして、特別早大だからということもなく、平常心で入れました。(ゴールシーンを振り返って)ハーフタイムの時にミゾくん(溝渕)から「ニアに入ってきて、早いボール入れるから」っていう声掛けがあって、もうミゾくんにボールが入った瞬間に「これだ!」っていうのを感じて信じて走れましたし、あそこのニアでの合わせ方っていうのはすごく自分自身高校の時から自信を持っている形だったので、決められてよかったです。(改善点は)今日の試合は、セカンドボールとかを拾う意識も高くて、全体的に良いゲーム運びができたと思ったんですけど、やっぱり最後の最後のところの勝負でこっちは決めきれずに早大はもう気持ちで押し込んだっていう形で、そういう本当にわずかなところを詰めていかないと、本当にこれからの優勝争いで最後に勝てないと思うので、そこを詰めていきたいです。(まだまだ優勝の可能性は十分に残されている。残り試合に向けて意気込みを)本当に自分たちはここで落ちることなく、この負けを後でまあ笑っては話せないですけど何かいい形で振り返ることができるように、そのためにはもう優勝っていう結果を残すしかないので、優勝してこの負けを無駄にしないようにというか、そういう意気込みで残り3試合やっていきたいと思います。