2月12日、シチズンプラザアイススケートリンクにて第7回バレンタインカップが開催された。今大会はシーズンの締めくくりとなる大会である。慶大からは7名の選手が出場し、それぞれが今季の成果を披露するとともに今後の課題を見つける中、5,6級女子に出場した鈴木伶奈(環4)と奥山未季子(環4)にとっては最後の舞台となった。
第7回 バレンタインカップ
2月12日 @シチズンプラザアイススケートリンク
クラス | 選手名 | 学部学年 | 順位 |
1級女子 | 中村理沙 | 理2 | 5位 |
板倉明子 | 商3 | 22位 | |
3,4級女子 | 棟尾観月 | 文2 | 2位 |
3,4級男子 | 橋本將太 | 政1 | 優勝 |
富田雄登 | 商3 | 4位 | |
5,6級女子 | 鈴木伶奈 | 環4 | 5位 |
奥山未季子 | 環4 | 4位 |
まず1級女子に中村理沙と板倉明子が出場した。中村は調整が上手くいっていたというように、ジャンプを全てきれいに成功させ、5位。板倉は今季挑戦してきたジャンプやスピンを曲の中に上手く入れられなかったが、練習では成功するようになってきたと語る。次の試合では習得したジャンプやスピンを見せてくれることに期待したい。
続いて3,4級女子に棟尾観月(文2)が登場。インカレは3位に終わったが、今季は大会で安定した成績を残せるようになったと振り返る。今回も優勝が懸かっていたが、ジャンプの転倒が響く。スピンは他を圧倒するスピード感と美しさがあったが、惜しくも2位。今季はシンクロ競技で世界大会も経験した彼女だが、その経験を来季へとつなげて欲しい。
3,4級男子には、橋本將太(政1)が出場し、新プログラムを披露した。ルパン三世の五右衛門をイメージした曲は、ボイスパートから始まり、斬新でとても印象的なプログラムである。冒頭のダブルアクセルは綺麗に着氷し、大きな歓声が上がる。次の3回転ジャンプでは転倒があったものの、それ以降のジャンプを確実に決め、音をうまく捉えたステップでは観客を魅了した。コンディションが万全でない中で臨んだ今大会だが、見事に優勝を果たし、勢いを見せつけた。課題と語った体力面を克服し、新しいプログラムを自分のものにして、進化した「五右衛門」を見られる日が待ち遠しい。
続いて大きな声援の中で登場したのは、富田雄登(商3)だ。伸びやかなスケーティングで「Csardas」の緩急のある音楽をしっとりと優雅に滑り切った。前半、ジャンプに少々のミスはあったものの、美しいボジションのシットスピン、リンクを広く使ったステップでは高い表現力を見せつける。後半の三連続ジャンプ、連続ジャンプは確実に着氷し、結果は4位。「次は曲を変えてまた気持ちを切り替えて頑張っていきたい」と語った。最高学年となる自覚を胸に、さらなるレベルアップを見せ、チーム慶應を引っ張ってほしい。
5,6級女子に出場したのは今年部を共に支えてきた鈴木伶奈(環4)と奥山未季子(環4)。二人は今大会で引退となる。大勢の観客に見守られながらまず登場したのは鈴木。最後の「Mask of Zorro」にはトリプルジャンプを構成に入れて挑戦した。あまり練習時間がなかったという鈴木だが、その攻めの演技や緩急をつけたステップでは観客を魅了する。次のグループの奥山も「ベストを尽くせるように」という思いを持って、大きな声援の中リンクに登場。冒頭の連続ジャンプを成功させると勢いに乗り、全てのジャンプを成功させる。安定したポジションのスピンや表現力豊かなステップでも観客を沸かせ、笑顔で演技を終えた。最終的な結果は奥山が4位、鈴木が5位。最後の舞台でも見事な演技を披露した二人の姿はしっかりと部員の目にも焼き付けられただろう。
(記事・西村夏菜、反保真優 写真・下川薫)
◆以下、選手コメント(滑走順)
中村理沙(理2)
(今日に向けてのコンディションは)今回の試合に向けては秋学期の終わり頃から割と練習してこられたので調整は上手くいっていて、今日を迎えられたので良かったと思います。(今日の演技を振り返って)練習してきたジャンプを全部きれいに決めることができて良かったと思います。(今年一年を振り返って)今年一年はいろいろな技を習得することに力を入れていて、去年の一年間よりも成長できたと思うので良い一年になりました。(今後に向けての課題は)跳べるジャンプの種類を増やしていきたいですし、スピンも新しいものを練習中なので習得していきたいと思います。
板倉明子(商3)
(今日に向けてのコンディションは)プログラムを変えたのでなかなか滑りこめる機会が少なくて完成度は低くなってしまっていたのですが、コンディションは上手く整えられたと思います。(今日の演技を振り返って)新しいジャンプを加えたくて、ループが両足着氷になってしまったのが残念かなと思います。(今年一年を振り返って)今年はジャンプとスピンの両方、ループ・フリップとシットスピンという新しいことに挑戦して、曲の中では入れられなかったのですが、練習ではある程度できるようになっていたのでそういった面では成果が出たかなと思っています。(今後に向けての課題は)まずは曲の中でできるようになったエレメンツを入れられるようにすることが直近の課題だと思っています。
棟尾観月(文2)
(今日の演技を振り返って)バレンタインカップはシーズンの終わりということで、なかなか自分の調子を持っていくのが難しかったです。ジャンプはトーループやループはできたのですが、フリップが安定していなくて、本番も跳べなかったりと色々とミスがあったので悔しいです。(最近のコンディションは)コンディションは悪いわけではなくて普通くらいの調子だと思っていたのですが、本番ではアクセルをミスしてしまって。今まで失敗したことのない要素だったので悔しいです。(今年一年を振り返って)一年生の頃よりもシーズンの最初から最後まで通して、同じように自分のコンディションを整えることができました。あと、毎回の試合でそれなりの成績を残すことができたので、ジャンプやスピンの安定というのはとても大きな収穫だと思っています。(来年に向けての課題や挑戦していきたいことは)今はダブルジャンプが跳べますが、毎回高い確率で試合で跳べるわけではないので、ジャンプやスピンを絶対にミスしないことと、ファイブコンポーネンツの表現や曲の解釈の部分、スケーティングをもっと伸ばせるように頑張っていきたいと思っています。
橋本將太(政1)
(最近の調子は)曲を変えて新しくしたのですが、体調が良くなくて、振付もまだ全然で。ずっと寝込んでいて練習ができていなかったので、体力がなくて、踊りも適当になってしまったので反省点ばかりです。(インカレからの修正点は)フライングキャメルスピンがインカレでは点数がなくなってしまってもったいないことをしたなと思ったので、重点的に練習してなるべく成功率を上げるように頑張りました。(新しいプログラムは)ルパンの五右衛門の曲です。「新鉄剣」という五右衛門の剣の名前です。(こだわりは)ルパンのではなくて五右衛門という、脇役ではないが、少し外れたところなので、それでもイメージを強く持ってしっかり表現できるようにしたいです。(今日の演技を振り返って)冒頭のジャンプが今までのインカレなどでは失敗していたのできれいに決まったのは良かったです。2つ目の3回転ジャンプがまだまだ練習不足でしたし、体力面が今一番の課題だと思います。(次に向けて)体力づくりをして、今の曲をどんどんこなして、しっかり表現できるようにして質を高めていきたいと思います。(引退する4年生の演技を見て)感動しました。表現やスピンの所作がきれいで、真似しないといけないところがたくさんあったので、引退されて見れなくなってしまうのは悲しいです。
富田雄登(商3)
(最近の調子は)インカレが終わってから練習する時間があまり取れなくて、思ったような演技とは少しずれてしまったのですが、全体的にはなんとかまとめられたかなと思います。(インカレから修正した点は)ステップのつなぎが急な部分があったので、今回ジャンプの構成を変えて滑りやすくなりました。(今日のプログラムを振り返って)動けなかった中でも滑れた方かなと思います。(次に向けて)今のプログラムは今日の試合で最後だったのですが、次は曲を変えてまた気持ちを切り替えてさらなるレベルアップを目指して頑張っていきたいです。(引退する4年生の演技を見て)すごく感動する演技でした。来年自分も同じ立場になるのだな、という実感が少しずつ湧いてきて、引退が刻々と迫っているのだなと思いました。4年生の皆さんお疲れさまでした。
鈴木伶奈(環4)
(今日に向けてのコンディションは)1月のインカレが終わってからスケートと別のことをやっていて期間が空いてしまって。少し前にまた練習を再開してあまり時間がなかったのですがインカレほどとはいかないものの、コンディションは良かったと思います。(今日の演技を振り返って)今日は最後の演技だったのでトリプルジャンプを構成に入れて挑戦してみました。(4年間を振り返ってフィギュアスケートを通して得られた経験は)スケート自体を14年間やってきて特にこの4年間は1年生の頃から部活動として初めてスケート部というものに所属させていただいて、団体の行動や上下関係を学びました。3,4年生では役職にも就かせていただき、責任や上級生だからこそ背中で見せなくてはいけないものもあって、プレッシャーを感じていたこともありました。最終的に学んだことはやはり自分がやらないと後輩たちがついてこないので口に出したことは絶対にやらなくてはいけないということです。(お世話になった方々へ一言)ここまで続けてこられたのも、特にこの4年間は自分一人ではできなかったことだと思います。両親だけではなくて、スケートのコーチや監督、部員の先輩、後輩などの支えもあって続けてこられたので本当にありがとうございました、と笑顔で伝えたいです。
奥山未季子(環4)
(今日に向けてのコンディションは)今日で一応試合は最後なので自分のベストを尽くせるようにと思って毎日練習してきました。(今日の演技を振り返って)すごく楽しく滑れたなというのが自分の率直な感想で、支えてくれた家族を含めて友達のみんなも来てくれたので感謝の気持ちでいっぱいです。(4年間を振り返ってフィギュアスケートを通して得られた経験は)15年間私は続けてきたのですが、何か一つのことを続ける大変さと大切さを身にしみて感じてきました。周りの協力がないとできないし、自分が信念強くやっていないと心が折れてしまいそうになるときがたくさんありました。しかし、そんなときに大学では特に同期の鈴木がすごく助けてくれたのでここまでやってこられたと思っています。
※以上をもちまして、スケート部フィギュア部門の2015年度シーズンは終了となります。お忙しい中毎度快く取材に応じて下さった選手の皆様にこの場を借りて厚く御礼申しあげます。本当にありがとうございました。来年度もよろしくお願い致します。
慶應スポーツ新聞会 フィギュアスケート班一同