前節先制されるも後半に逆転しそのまま逃げ切った慶大。今節は溝渕雄志(環4・流通経済大学付属柏高)が右SBに復帰した。試合は開始からミスが目立ち、相手に主導権を握られる。26分にサイドを突破され、こぼれ球を押し込まれ失点。前半は大きなチャンスを作れなかったが後半開始直後、手塚朋克(環3・静岡学園高)の得意のドリブル突破からクロスを上げ、これが相手に当たりオウンゴール。ラッキーな形で同点とする。そして87分にFKから望月大知(環4・静岡学園高)が競り勝ち、落としたボールを豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18)が決め逆転。相手に押し込まれる場面も目立ったが、慶大は今季初の連勝となった。
2016/05/21(土) 11:30KO@味の素フィールド西が丘
慶應義塾大学2-1国士舘大学
【得点者(アシスト者)】
〔慶〕46分 オウンゴール、87分 豊川功治(望月大知)
〔国〕26分 林祥太
◇慶大出場選手
GK上田朝都(総1・横浜F・マリノスユース) |
DF豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18) |
DF望月大知(環4・静岡学園高) |
DF溝渕雄志(環4・流通経済大学付属柏高) |
DF井上大(総4・國學院久我山高) |
MF手塚朋克(環3・静岡学園高) |
MF宮地元貴(総4・東京ヴェルディユース) |
MF増田皓夫(商2・桐蔭学園高)→46分落合祥也(商1・横浜F・マリノスユース) |
MF松木駿之介(総2・青森山田高) |
FW田中健太(法3・横浜F・マリノスユース)→90分 池田豊史貴(総3・浅野高校) |
FW渡辺夏彦(総3・國學院久我山高)→83分 小谷春日(環2・藤枝東高) |
今節も日差しが強い中で試合は始まった。試合開始すぐに松木駿之介(総2・青森山田高)が遠目からシュートするも、その後は10分まで防戦一方となった。3分、DFのクリアミスから相手にキーパーとの1対1を作られるもGK上田朝都(総1・横浜F・マリノスユース)がファインセーブ。その後もDFのミスから立て続けにシュートを打たれるもなんとか防いだ。10分過ぎになってようやく慶大が相手陣地に押し込むようになる。14分に溝渕のクロスから惜しいシーンを作るも相手に防がれる。一進一退の状態が続く中、26分に敵サイドハーフにサイドから切り込まれそのまま失点を許してしまう。その後すぐに反撃に出る。31分に右からのクロスに松木がダイビングヘッドで合わせるも及ばず。38分、43分にもセットプレーからチャンスを作るもこれを決めきれない。やや空回りの状態で前半は終了する。
何とか点を奪いたい慶大は後半、増田皓夫(商2・桐蔭学園高)に代えて落合祥也(商1・横浜F・マリノスユース)を入れる。そして立ち上がり後半開始早々46分、手塚朋克(環3・静岡学園高)のクロスが相手DFに当たり、コースが変わってゴール。
思わぬ形から同点とする。その後は中盤でのボール奪い合いが続く。65分右CKからのこぼれを田中がシュートするも入らず、76分には松木が個人技から左サイドから中に切れ込み、倒されるもこれはノーファール。77分、渡辺と落合の連携で相手DFを崩すもトラップミスであと一歩及ばず。流れは完全に慶大に来たかと思われたが、81分に相手に立て続けにシュートを浴びる。83分に攻守にわたって走り回っていた渡辺に代えて小谷春日(環3・藤枝東高)を投入。すると迎えた87分右FKからのこぼれ球に豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18)が反応し逆転弾。
90分には田中に代えて池田豊史貴(総3・浅野高)を投入、持ち前の体の強さを発揮し、残りの時間をうまく使うことに成功した慶大は今シーズン初の連勝となった。
試合開始すぐの時間帯に相手に攻め込まれてしまう悪い癖が治らない慶大だが、徐々に試合の主導権を握っていった。ただ、DFから前線までボール運ぶものの最後の部分での思い切りのよさが足りないことや選手同士の連携面の拙さが目立った試合でもあった。次節は早稲田との伝統の一戦だ。今季初の連勝を飾った勢いそのままに、戦術面での改善点を克服しこのまま上位争いに食い込んでいきたい。
(記事 武内 樹)
※今回記事で使用した写真は、慶應塾生新聞会の担当者様に提供していただきました。ありがとうございました。
試合後コメント
須田芳正監督
(今日の試合を振り返って)勝利できて、再スタートということで次の試合も早稲田なのでまずは五分に戻して勝利できたのは大きいと思う。(セットプレー、センタリングから多くのチャンスが生まれたが)サイドに速い選手がいる。一点目も自分たちが狙うカウンター、サイドからのアーリークロスという形がうまくはまっていい得点になった。ただ、上がっている割に中の入り方の工夫が足りなかった。(パスミス、クリアミスが多かった)前半の戦い方、立ち上がり15分後からの落ち着かせ方が甘かった。ボールを受けた後にすぐ裏を狙うのではなく、FKの時も両チームともセットしている状態で、無理に前を狙うべきではなかった。練習でパスしてサポートする練習をしているのにそれができていなかった。これは今までの試合にも言えること。パスコースを作る動きがチームとして少なかった。もう一度15分過ぎからの戦い方を全員で共有すべき。後半はワイドに展開してパスを回してリズムを作れていた。(次節への意気込みは)次は早稲田なので、全員が一つとなって戦うことはもちろん、戦術的な面も修正をしていきたいと思う。
井上大(総4・国学院久我山高)副将(ゲームキャプテン)
(今日の試合を振り返って)勝てたことが一番の収穫でした。立ち上がりの入り方や攻めと守備の形はまだ追求すべきで、勝ち点が取れてほっとしています。(山本選手がいない中での戦術の変化は)今日のツートップの二人、夏彦の落ちる動きと健太の裏に抜ける動きが得意だということをチームとして共通認識していてそれをうまく使えたのはよかったです。(シュートの数が少ないことについて)後ろから前に運ぶことはできていた。ただ、攻めの形がはっきりしていなかったです。個人の能力で点を取るしかなかったので、攻撃のチーム戦術は詰めていくべきだと思います。(今シーズン初の連勝について)連勝できたことは大きいが、ここで気を緩めるのではなく、自分たちは土俵際のチームだということを自覚して来週の試合に臨みたいです。(次節への意気込み)リーグ戦の一試合ではあるが、個人的にもすごく思い入れのある一戦で、去年と一昨年も含めてあまり勝てていないので気持ちの入った一戦になると思う。一週間の準備でどれだけ上積みできるかがカギになると思います。明日からまた頑張ります。
宮地元貴(総4・東京ヴェルディユース)主将
(今日の試合を振り返って)チームが勝てたことが一番でし、劣勢の中で逆転できたことも良かったと思います。(今季初の連勝となりましたが、チーム状況について)もちろん開幕時もチーム状況は良いと思って試合に臨んだのですが、そこで失敗をしたということは事実で、その経験を活かすということが今のチームにとって大きなものになっていると思います。(国士大の松本選手について)相手のキープレイヤーですし、松本を潰せば自分たちに流れが来ると思っていたので、前半は彼に勢いがあって、不利な状況を作られていたのですが、90分間通して彼との戦いだと思っていたので、後半は自分が勝てたかなと思いますし、個人的にも仲が良いので、そういう意味でも試合をできたのが1年ぶりぐらいなので、楽しかったです。(次節の早慶戦への意気込み)慶應的には負けられない相手で、特別な相手だということは変わらないのですが、今までの試合と同じように自分たちがやってきたサッカーをやれば結果はついてくると思うので、今日の反省点などを踏まえて1週間準備していきたいと思います。
望月大知(環4・静岡学園高)
(今日の試合を振り返って)前半はチームとして良くなくて、後半は上に行くためにも負けられないということで、気持ちを持って勝つことができて良かったです。(相手の松本選手を抑えることがポイントになった試合だったが)単純に体をぶつけても勝てないと思ったので、上手く距離を取ったり、シュートを打たせないことを意識したので、いい形でシュートを打たせなかったという意味では良かったと思います。(決勝ゴールの起点となったことについて)これまで自分も含めてふがいない試合をしていて、その中でああいうゴールを奪えたことは自分としてもチームとしても良かったと思います。(今季は先制される試合が目立ちますが、守備面の課題などは)去年と比べると簡単に失点してしまうシーンが多くて、それは気の緩みだったり、ちょっとしたポジショニングのミスとかがそれに繋がるので、日ごろの練習からしっかりやっていきたいと思います。(次節早慶戦となりますが意気込み)2連勝といういい流れで早慶戦を迎えられるので、やっぱり早稲田には負けられないですし、去年は大事なところで早稲田に負けて優勝を逃してしまっているので、今年こそは勝ちたいと思います。
手塚朋克(環3・静岡学園高)
(今日を振り返って)前半は自分も含めて少し気の緩みというか、練習してきたことがあまりできませんでした。体は動いていたんですけど、頭がクリアな状態ではなかったので、立ち上がりの部分を改善していかなければ三連勝にはつながっていかないと思います。(後半の評価は)相手の2番を狙えると思ったので、自分のストロングポイントでもある裏への飛び出しやドリブルをやっていこうと。そういう面で1点目につながったと思います。(理想のゴールの形)理想はサイドでボールをもらって、何回も縦に仕掛けていって、相手が読んできた段階で中に仕掛けてシュートまで持っていくという形です。(早大戦へ向けて)伝統の一戦ですし、負けてはいけない。個人的にもまだまだ早大戦では一試合を通して良いプレーができていないので、今週もチーム戦術を準備しつつ、自分のストロングポイントや改善点をしっかり見つめていきたいと思います。
田中健太(法3・横浜Fマリノスユース)
(今日の試合振り返って)連勝がなかなかできないのは、チームが乗っていかない。だから、今日の試合は前期で一番大切な試合なのかなと思っていました。みんなもそう思っていました。みんなの共通意識や気持ちのところが相手より勝ったのかなと思います。(ロングボールをキープする場面が目立ったが)相手は前に強いCBだったと思うんですけど、裏への対応があまり良くないという情報もありました。しっかり俺を狙って、セカンドボールやギャップのところで夏彦が顔を出すというのはチームの方針として決まっていたので迷いなく自分の役割を果たせました。(攻撃の課題)攻撃の質というかスムーズさがまだ足りないと思います。自分たちの流れでシュートを打てた場面がほとんどなかったので、ボールを奪ったあとにシュートまで持っていくところは課題だと思うし、一週間で詰めてやっていかないと早大には勝てないと思います。(早大戦に向けて)三連勝がかかっていて、伝統の一戦なので絶対に負けてはいけない。ここは何が何でも気持ちで戦い抜きたいと思います。ゴールは常に狙っていますし、シュートまで良い形でいければチャンスを作れると思うので、いかにして良い形にできるか。そうすれば、必然的にゴールはついてくると思うので、意識して頑張ります。
豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18)
(今日の試合を振り返って)試合の入りとして自分の大きなミスとかそういうのがあったのでやっぱりチームとして緩い入りになってしまって、前半は悪いゲームだったと思うんですけど、ハーフタイムにしっかり監督から声掛けもあってチームとして自分たちのサッカーをやろうというのを認識できて、修正して逆転勝利できたというのは非常に大きいことだと思います。(相手には松本孝平というはっきりしたターゲットがいてそこから失点シーンを作られてしまったが)そうですね、10番を起点にしてくるとは分かっていたんですけど、そこに入ってサイドの選手が中に入ってきてそこでやっぱり中盤が付いてこれなくて数的不利を作られてしまって失点という形だったので、分かってはいたんですけどああやってコンパクトさだったり相手より走ることだったりそういったところができていないと失点に繋がってしまうなというのは次節に向けて反省していかないといけないなと思います。(後半追いついてからは互いに譲らない展開が続いていたがどんなことを考えていたか)前半よりはボールが相手陣地で落ち着くシーンが増えたので、いかに10番の松本選手に起点を作らせないかというところでどう良い準備をするかというのはベンチからも声が掛かっていたので、そこを意識してやっていました。(逆転ゴールのシーンを振り返って)(望月)大知から良い折り返しが来て、自分は右足があまり上手くないんですけど、良いところに置けたので思い切って振り抜くことができて、それで入ったので結果としては良かったかなと思います。(決まった瞬間の気持ちは)自分としても開幕戦の退場だったりメンバーから外されたり、それでも監督やチームの皆が信じて自分を使ってくれていたので、逆転弾を決められて真っ白になって本当に嬉しかったです。(次節早慶戦に向けて勢いのつく勝利となったが、その早慶戦に向けて意気込みを)自分も早慶戦は初めてですし、チームとして早大に勝てていないというのがあるので、優勝目指している以上ここは勝つしかないので、また明日からチームとして良い準備をしていきたいです。