【ソッカー女子】関東リーグ後期第2節 初の先制も後半リズムを崩し逆転負け 浦和レッズレディースユース戦

 
前節、宿敵早大に0-5で惨敗し、前期後期通じていまだ勝利がないという状況の慶大は、勝利、そして得点への強い渇望を持って今節へ臨んだ。その姿勢は序盤から試合に表れ、前半12分、松木里緒(環1・常盤木学園高)がGKとの1対1を沈めて先制に成功する。しかし数分後にカウンター一発で同点に追いつかれると、後半、戦い方を変え前からプレスをかけてきた相手に対応できず2失点。逆転負けを喫し、1部残留へいよいよ後がない状況となってしまった。
 
 

 

第22回関東女子サッカーリーグ 後期第2節

 

2016/7/2(日)16:30KO@慶應義塾下田グラウンド

 

慶應義塾大学1-3浦和レッズレディースユース

 

【得点者】

[慶] 12分 松木 里緒

[浦] 17分  小嶋 星良

69分 南 萌華

75分 島田 芽依

 

 

◇慶大出場選手

 

GK野村智美(総3・作陽高)

DF宮田あずさ(環4・文京学院大学女子高)

DF下山田志帆(環4・十文字高)

DF田中康子(総4・常盤木学園高)

DF庄司夏穂(総1・聖和学園高)

DF松木里緒(環1・常盤木学園高)

MF工藤真子(総1・日テレ・メニーナ)

MF栃木栞(環4・十文字高)

MF堀井美月(環4・常盤木学園高)

MF志鎌奈津美(環2・常盤木学園高)

FW宮川渚(理4・成城学園高)→81分 奥本くるみ(環1・浦和レッズレディースユース)

 
 
前期からの全8試合で積み上げた勝ち点は2、得点はオウンゴールによる1点のみと、1部リーグで苦しい戦いを強いられている慶大。大敗を喫した前節の早大戦では途中出場だった1年生アタッカーの松木里緒(環1・常盤木学園高)、庄司夏穂(総1・聖和学園高)の二人を今節はウイングバックで起用し、攻撃的な布陣で得点を、そして勝利を奪いにいった。
 
序盤は慶大がラインを高く保ち、積極的な姿勢を見せる。8分に松木、9分には栃木栞(環4・十文字高)が立て続けにミドルシュートを放つなど、得点の匂いを感じさせていると、12分、ついに慶大が今季初の先制点を挙げる。バイタルエリアでボールを持った工藤真子(総1・日テレ・メニーナ)が右サイドでフリーになっていた松木にパスを通すと、GKとの1対1に。松木は冷静に右足を振り抜き、ネットを揺らした。一年生コンビの躍動で手にしたこの先制弾は、慶大にとっては今季初めてオウンゴール以外で挙げた得点でもあった。その後もパス回しで主導権を握ろうとする慶大。しかし、リードは長くは続かなかった。16分、高く保っていたラインの裏をカウンターで突かれて抜け出さ れると 、GKの野村智美(総3・作陽高)が一瞬判断を迷って出足が遅れたのを相手FWは見逃さず。頭上を越えるループシュートを撃たれ、同点に追いつかれてしまう。慶大はひるまず、アンカーの栃木を中心とした丁寧なパス回しで相手ディフェンスを揺さぶっていく。しかしボールを支配しながらも決定的なチャンスは作れず、前半を1-1で折り返した。
 
そして後半、浦和がより前からプレスをかけるようになったことで、慶大は前半の良いリズムを完全に見失ってしまう。パスが回せなくなり相手ボールの時間が増える中、50分には相手のミドルシュートがクロスバーを直撃。直後の51分にもCKから際どいヘッドが慶大ゴールを襲った。その後しばらく試合はこう着状態へ。なんとか勝ち越しを狙う慶大はサイドの松木、庄司や中盤で高い技術を見せる堀井美月(環4・常盤木学園高)らを中心に攻めようとするも、突破口を見出せない。すると68分、浦和にCKから打点の高いヘッドを叩き込まれ、逆転を許してしまう。点を取らないといけなくなった慶大は74分、左サイドから堀井が上げたクロスに志鎌奈津美(環2・常盤木学園高)が頭で合わ せたが、 シュートはゴール右へ逸れる。逆に76分、後半終始苦しめられていた浦和のプレスで最終ラインでのパス回しを奪われ、致命的な3点目を献上してしまった。それでも慶大は諦めず、78分、庄司のクロスを工藤がPA前で胸トラップしボレーシュート。一年生が攻撃を引っ張る姿勢を見せると、80分、左サイドを崩されて迎えた1対1の決定的なピンチを野村が気迫のセーブ。81分には一年生の奥本くるみ(環1・浦和レッズレディースユース)を投入しフレッシュな力で得点を奪いに行ったが、結局後半の悪い流れは変えられず、1-3の逆転負けという結果に終わった。
 
前期は堅守で勝ち点1を拾う試合もあった慶大だが、後期はここまで2試合で8失点。良いサッカーができているとは言い難いのが現状だ。一方で、今節ついに流れの中で得点を取ったことは、「やっと一歩踏み出せたかな」と田中康子主将(総4・常盤木学園高)が言うように、彼らの自信を確実に深めるだろう。その自信はきっと、浮上のきっかけになるはずだ。そして次の試合は因縁の相手、女王早大との早慶定期戦だ。前節同大学に0-5の惨敗を喫した屈辱、そして先制しながらも逆転された今節の悔しさもすべて、早慶戦で晴らす。
 
(記事 桑原大樹)
 
 
試合後コメント
 
岩崎陸監督
(今日の試合を振り返って)先取点を奪えたこと、それが今日一つ自分たちが進歩したことで、前半1-1で折り返してああいった流れの中でゴールを奪えたことは良かったと思います。それは自分たちが今週だけではなくて6月から自分たちのやり方とか自分たちのやるべきことを整理し直して向き合ってやった結果が今日の最初の1点につながったと思うので、それがまだまだ足りないということは思い知らされましたけど、次の早慶戦に向けてまた2日間努力して向かって行きたいと思います。(両サイドに松木選手・庄司選手と攻撃的な選手を配置したがその意図は)守備的なサッカーをするというよりも、攻守ともに主導権を取り続けるという意図を持って、別に攻撃的な選手といってもちゃんと守備もできるので、高い位置に人を運んでいけるようにと思ってその2人を使いました(先制点は狙い通りの形だったのでは)そうですね、高い位置でボールを奪ってそこから空いてるサイドに運んで本当に素晴らしいゴールでした。(後半は浦和がかなり前から来て苦しい体勢でのパス回しを強いられたが、そういう状況をどう打開していこうと考えていたか)もうその打開策も自分たちは練習していたんだけれども、結局点を取られたのはそこで一つプレスを回避した後の堀井の判断ミスであったり、コーナーから同じやつをその前にやられていたのに2回目もマークを外してやられたやつだったので、そういう本当に詰めの甘さというので。ああやって前から来たのも、「はい来ました」 と思ってやらなきゃいけないところがまだまだそこにチャレンジするだけの自信が無かったかなと思います。(未勝利のまま定期戦を迎えるが)これで「定期戦勝ちます」と言ってもなかなか信じてもらえないと思いますけど、もう一つそういった自分たちの甘さを無くしてチャレンジャーのつもりで一つまた今日よりも進歩して早慶戦に臨みたいと思うので、とにかく全力を出して慶應らしくひたむきに戦いますので、ぜひ多くの方に来ていただいて男女ともに早慶戦を応援してほしいと思います。
 
 
田中康子主将(総4・常盤木学園高)
(今日の試合を振り返って)先週の早大戦の反省を踏まえて、まず受け身になっていたので今日は挑戦者として前から行こうということで、そこで初めて流れから点が取れて、それは大きな収穫だと思います。でも、そこからすぐ失点、後半には逆転ということになってしまって、まだまだ課題があるなっていうことを実感します。(前節に続き多くの失点を喫したが)カウンターあるいは自分たちのミスからの失点というのがほとんどなので、自分たちが何をしたいのかやボールの失い方などをもっと考えてプレーしていきたいと思っています。(初めてオウンゴール以外の得点が生まれた)素直にうれしかったという思いがあります。やっぱり流れから綺麗に点を取れたので。今まではゴールを取 る瞬間をあんまり見れなかったですけど、やっと一歩踏み出せたなという感じです。(後半、前半のように上手くパスを回せなくなった原因は)相手が戦い方を変えてきて、それに対応しきれなかったということです。これは自分たちの大きな課題でもあります。(早慶定期戦に向けて)あと三日しかないので、その中でできることを最大限にやるということと、本当に毎試合多くの応援が下田に来てくださっていて、それから試合に出れないメンバーもいて、出ている人だけで戦うのではなくそういった人たちの思いも背負って、全員で勝利を掴みに行きたいなと思います。
 
 
宮田あずさ(環4・文京学院大学女子高)
(試合を振り返って)前節の反省として、守りに入ってしまってチームとしてやりたいことができなくて後悔があったので、チームとしてチャレンジするために中の選手が主体となって、何をすべきなのかというのをゲームの中で考えられて攻撃できたことは1点を取ったことにつながったと思います。(3失点について)1点はつないでいくのか蹴るのかを臨機応変に対応できなかったというところと、あとは自分たちがしたい今のプレーモデルというのをやっていく中で、相手が臨機応変に対応してきたときに、自分らが特に後半は変化に対応できなかったところが失点につながったと思います。(ビルドアップの開始地点が低かったが)前まではキーパーから蹴っていましたが、なるべく つないで 下から押し上げていくことが1つのコンセプトとしてあるので、低くなってしまうのはいい反面、はめられたときに高い位置へと変えていこうというのは意識しているところではあります。(ディフェンスラインでのパス回しからの失点が多いが)1回押し上げるために縦に入れてみようということがなかったと思います。(ケガの状態は)やっとコンディションも上がってきていて、早慶戦であったり関東リーグの連戦もあり、ここが一番最初の3連戦と位置付けているので、そこでしっかりとコンディションを上げつつチームに貢献できればと思います。(早慶戦に向けて意気込みを)チームとしても新しいプレーモデルをしている中で難しい部分もたくさんあるんですけど、チームとして壁を乗り越えて早慶戦で勝ちたいと 思います。
 
 
松木里緒(環1・常盤木学園高)
(今日の試合を振り返って)前半は自分たちのやりたいことができたんですが、後半3バックに対して相手がかけてきた時に、想定内だったんですがそれに対して自分たちが対応できていなくて結局前にボールが運べなくて、ああいう形で逆転という結果になってしまいました。(ご自身の得点シーンを振り返って)良い形で左サイドを崩してて(工藤)真子から良いパスがきたので、ここで決めなきゃっていう感じでした。緊張したんですけど決められて良かったです。(前節からメンバーやフォーメーションが変わったが影響はあったか)いきなりウィングバックに起用されて、まだあんまり経験は無かったんですが、結局ピッチ内でやることは一緒だったのでそんなに迷わずにできました。(先制したものの立て続けに失点するという展開になったが)前半はやりたいことが出来ていたし良いサッカーができていたので、早慶戦に向けても、後半に相手が対応してきた中で自分たちがどう点を取りに行くかというのがこれからの課題だなと思います。(早慶戦に向けての意気込み)私はまだ1年生で早慶戦という舞台を経験したことが無いので、あんまり実感がわかないんですが、とりあえず今までやってきたことをしっかりピッチの中で体現して、初勝利して歴史を変えたいと思います。
 
 
工藤真子(総1・日テレ・メニーナ)
(今日の試合を終えて)前半は良い形でボールも回せて、それが得点にも結び付き良い戦い方が出来ていたんですけど、後半は相手が前からプレッシャーをかけてきてそれにハマってしまい、結果逆転負けという結果になってしまいました。(試合前の戦い方の狙いは)前節は引いて守った結果早稲田に0-5で負けてしまったので、今日はチャレンジャー精神をもって前から行こうということを狙っていました。(自身のアシストから生まれた得点シーンを振り返って)サイドからボールが入って結構フリーだったので自分でシュートを打とうと思っていたんですけど、右サイドにいる里緒(松木里緒)がフリーだったのが見えたので里緒を信じて出した結果得点に繋がったので良かったです。(後半、逆転されてしまった要因は)単純にミスが増えたのと、相手が前から来るようになってボールをとられるようになった結果3失点してしまったんだと思います。(自身のプレーの出来は)今日は全然駄目だと思っていて、もっとボールに関わっていけるようにこれからも頑張っていきたいです。(次の試合、7月6日の早慶定期戦への意気込み)まだ早稲田には1勝もしていないので、絶対に勝って皆で若き血を歌いたいです。
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