【ソッカー女子】大学リーグ第7節 会心の一戦!リーグ初勝利でインカレ出場に光明 順大戦

慶大と同勝ち点で9位に沈む順大相手の一戦は前半から白熱。両チームがまばらにチャンスを生み出す中で57分、久々のスタメンの宮川渚(理4・成城学園高)のゴールで慶大が均衡を破る。さらに76分には堀井美月(環4・常盤木学園高)のミドルが相手DFの脚を弾いてゴールに吸い込まれリードを広げると、終盤は攻め込まれるも気迫の守備で最後まで得点を許さず。理想的な試合運びで大学リーグ初勝利を挙げ8位に浮上、インカレ出場を射程圏内に捉えた。

 

 

第30回関東大学女子サッカーリーグ 第7

2016/10/16(日)16:00KO@順天堂大学さくらキャンパスグラウンド

慶應義塾大学2-0順天堂大学

 

【得点者 (アシスト)

〔慶〕57宮川渚 (栃木栞)、76オウンゴール

 

  

慶大出場選手

GK野村智美(総3・作陽高)

DF奥本くるみ(環1・浦和レッズレディースユース)

DF田中康子(総4・常盤木学園高)

DF下山田志帆(環4・十文字高)

DF宮田あずさ(環4・文京学院大学女子高)

DF井原美和(薬2・大和高)

MF栃木栞(環4・十文字高)

MF庄司夏穂(総1・聖和学園高)→86竹内瑞穂(理4・フェリス女学院)

MF中島菜々子(総2・十文字高)

FW堀井美月(環4・常盤木学園高)

FW宮川渚(理4・成城学園高) →74工藤真子(総1・日テレ・メニーナ)

 

 

 

前節東京国際大戦の完敗は、インカレ出場を目指す慶大に大きなダメージを与えた。試合後のベンチには険悪なムードが漂い、中盤の要の工藤真子(総1・日テレ・メニーナ)は負傷。エースの堀井は「本当に勝つしかない」と悲壮な覚悟を口にした。追い詰められ、ぶつかり合い、そして迎えた一週間後の今節。彼女たちが見せたのは今期最高のゲームだった。

 

先に主導権を握ったのは順大だった。慶大は稚拙なパス回しに付け込まれ、序盤からゴールに迫られる。7分にはゴール前にフリーで走りこんだFWにボールを送られたが、シュートは空振りで命拾いする形になった。その後徐々に前に出ていく姿勢を見せ始めた慶大は22分、奥本くるみ(環1・浦和レッズレディースユース)が相手DFからボールを奪うと、堀井が繋いだボールを再び受けた奥本が右足を振り抜く。これはバーの上へ外れたが、良い形を一つ作った慶大は少しずつ動きが良くなっていった。ペースは握られながらも両サイドが高い位置を保ち、DF陣が奮闘、宮田あずさ(環4・文京学院大学女子高)のFKがバーをかすめるなど惜しいシーンも作り出す。37分には奥本がトップとのリズムの良いワンツーからミドルを放つもGK正面。

 

0-0で折り返した後半も相変わらず押し込まれ気味の展開が続く中、組織的な守備で耐えながら反撃のチャンスをうかがっていると、57分、待望の瞬間が訪れる。右サイドから栃木栞(環4・十文字高)がグラウンダーの鋭いクロスを入れると、中に滑り込んで合わせたのは久々のスタメン復帰となった宮川。なかなか結果が出なかった4年生FWの気迫のゴールで慶大が先にリードを奪った。

 

 

そして今日の慶大はここで満足しなかった。記憶に蘇るのはラストプレーで同点弾を奪われた大東大戦の悪夢。「追加点が重要だとみんな分かっていた」(田中主将)慶大は決して守りに入らなかった。奥本らが精力的にボールに絡んだ右サイド中心の攻撃が機能し、65分には その右サイドから栃木が中に切り込んで惜しいミドルを放つ。その姿勢がついに実ったのは75分。堀井がPA近辺のこぼれ球に左脚一閃。低い弾道のシュートは必死でコースに滑り込んだ順大DFの脚を弾き、ネットを揺らした。判定はオウンゴールとなったものの勝利を大きく手繰り寄せたこの一撃に慶大が沸く。そしてこの直後監督は前節の負傷でスタメンを外れていた工藤を投入し、この試合に懸ける執念を見せる。二点差になり焦りが見える順大に対してブロックを作って堅い守りを見せた慶大。それでも終盤には二、三の決定機を与えたが、89分のボレーシュートは宮田が、90分のゴール前のこぼれ球を拾われたこの試合最大のピンチは野村智美(総3・作陽高)が身体を張って防ぎ、2-0のまま試合は終了した。

 

スコアほどの実力差はなかっただろう。力の拮抗した相手に対して武器の堅守がしっかりと機能。両サイドを高く保ち、丁寧にパスを繋いでゴールを目指す自分たちのサッカーを貫いて2得点を挙げたこの試合は、間違いなく今期ベストの出来だった。東京国際大戦のショックは完全に払拭し、8位に浮上した今、再び彼女らは「インカレ出場」を可能性の話ではなく目の前にあるものとして捉えている。残り2戦。落とせない試合であることに変わりはない。再びの中断期間を経て11月、リーグは彼女たちの積み重ねが試される終盤戦を迎える。

 

(記事 桑原大樹)

 

 

試合後コメント 

 

岩崎陸監督

(今の率直な気持ちを)いやもう本当に嬉しいというか、爆発ってこういうことなんだなというのをまた改めて感じています。(両サイドの選手が高い位置を取って相手を押し込めていたが練習から徹底してきたのか)そうですね、先週はまあ出なかったんだけれども本当に3週間良い準備ができて、みんな大きく関わって相手を押し下げるようなことができていたので結果だけ、あとは気持ち、魂がそこに入るだけと思っていたんですけど、この1週間だけじゃなくてそれまでやってきたことというのがしっかり実を結んだ試合だったと思います。(1点を取った後に引かずに2点目を取りに行ったのはベンチからの指示だったのか)やっぱりこれはこの間の大東文化大戦で1点取った後に自分たちがちょっと消極的になってしまったというところの反省がああいう形で活きたと思います。(無失点での勝利となったが)前節4年生はみっともない姿をみんなの前で見せちゃいましたけど、それがまあひとつのきっかけになって今週1週間4年生が本当にまとまって「やるぞ」というところは見せていたので。最後のところも結局跳ね返したのは4年生だったり、(野村)智美だったり、本当にああいう気持ちが今日の勝利に結びついたと思います。(他会場で帝京平成大と大東文化大が敗れ大きな1勝となったが、残り試合への意気込みを)まだだけどインカレ圏内には行ってないので、次の神大戦に自分たちが勝てるかどうかがものすごく大事で、神大は去年の準優勝チームなので、自分たちの「インカレベスト4」という目標に向けて本当にもう舞台は整ったというか、本当にもう1か月の目標がはっきりしたので、神大戦を取って早くインカレ圏内に行くということを目指して頑張っていきたいと思います。

 

田中康子主将(総4・常盤木学園高)

(今日の試合を振り返って)今日は本当にインカレ出場に向けて絶対に負けられない戦いだったので、大学リーグ初勝利という意味でも嬉しいですし、TEAM2016として勝利がなかなか無かったのでただただ嬉しい気持ちでいっぱいです。(順位争い、インカレ争いのライバルとの試合だったが、試合前の自信、手応えは)大学リーグ中断期間でチームとして成長し続けてきたとは思うんですけど、東京国際大には勝ち点を取りに行った結果負けてしまって、自分たちには何が足りないのかをもう一度考え直した結果、覇気が足りないという話になりました。そこでこの一週間は全員で声を出し続けるということをやってきて、今日の試合ではいつも以上に声を掛け合って相手を圧倒できて、それが勝利につながったかなと思います。(初めて流れの中で二得点奪えた要因は)ピッチの中の選手たちが焦らなかった、このままいけば勝てるという自信がありました。(ラストプレーで同点にされた)大東戦では早めに焦ってしまった部分があって、そういう経験から今日は追加点が重要だということがみんな分かっていたので、追加点を狙いにいけました。最後は攻められましたけど全員で身体を張って守れたと思います。(終盤はピンチも多く迎えたがどんな気持ちだったか)前が二点とってくれたので心の安心は大きかったです。私は守備陣として絶対に守り切らなきゃいけないと思ったし、前がとってくれた分、絶対に守ろうというのはDF陣、GKでいつも以上に声を掛け合っていたので無失点に抑えることができました。(次節に向けて)少し空くんですけど、もっと成長したサッカーが出来るようにもう一度自分たちのサッカーを見直します。もう残りは負けられないので、しっかりと勝ち点を取れるようにということと、今までたくさんの方が応援してくださる中で結果が出ていなかったので、今日のように勝利をもう一度みんなで喜べるようにチーム一丸となって取り組んで、次また勝てるように頑張りたいと思います。

 

中島菜々子(総2・十文字高)

(今日の試合を終えて)今日の試合は絶対に勝たないといけないということを一週間意識して練習してきた中でチームの雰囲気も良かったし、試合でも押し込まれている時間に全員でしっかりと守りきってから、取るべきところで得点できたことがチームの勝利に繋がったと思います。(試合前の狙いは)個人としては、いつもと違うアンカーのポジションだったので、セカンドボールを全部自分が拾うという意識を持っていました。(大学リーグでは今季初勝利となったが)個人的にも苦しい時期が続いていて試合に出られない時もあったし、チーム自体もなかなか結果が出せない時期があったんですけど、みんなで声を出して盛り上げていこうということをやり始めてからは徐々に調子が上がってきて今日の勝ちに繋がったんじゃないかなと思います。(前半立ち上がりは相手にボールを持たれていた中で、その後勝利できたことについて)今日は相手にボールを持たせているというマインドで試合をしていたので苦しくはなかったし、攻撃では意識していた前に行く姿勢というのがみんなで出せていたことが良かったんだと思います。(2得点について)今日は前の取るべき選手が取ってくれたと思うので、その後も前のボールを出しやすかったですし、それは良かったと思います。(今日は右サイドからの崩しが目立っていたが)右サイドからは崩せるということを言っていたので、左ではシンプルにやって右でチャンスを作るということを意識していました。(次節に向けて)次節まで少し間が開くんですけど、その間も集中を切らさず、さらにレベルアップできる期間だと思うので、みんなで切磋琢磨しながら頑張って行きたいです。

 

宮川渚(理4・成城学園高)

(今日の試合を振り返って)自分たちは「インカレベスト4」というのを目標にして、インカレ出場をまず目指しているなかで、残り3戦で相手が順天というところもあるんですけど、勝たないと本当に後がないという状況で、4年生としても今週で引退するという気持ちで闘って、結果としても自分自身も個人として点も取れたし、チームとして2点取って勝利して、このチームとして初めての結果を出せて素直に良かったなと思います。(ご自身の先制ゴールを振り返って)右サイドの栃木選手からのクロスのボールは昔も同じような形で点を決めたことがあったので、もう信じて走り込んで、あとは触るだけと思って走り込みました。(前回の敗戦からどのようなことを意識して練習に取り組んできたか)まずは、東京国際戦ではサッカーの部分はもちろんそうなんですけど、チームとして勝てるチームというか怖いチームを目指すために、声だったりそういう基本的なところから勝てるチームになれるような準備をしてきて、この1週間の練習でも昨日の練習が今までで1番声を全員が出している状態で、それがこの結果を作り出せたのかなと思います。(インカレ出場のためにも連勝するには何が必要か)やっぱりまだまだ今日も押し込まれる部分だったりやりきれないところもあったので、次は神大でもっと格上のところになると思うんですけど、今以上に精度を上げていくというのもそうですし、前を向いてやりきるというところをチームとして徹底して詰めていきたいなという風に思っています。(次節へ向けて)今日勝てたことで勝ち点5にはなったものの、もう後がないという状況には変わりがないので、本当に勝利というところを目指して、去年勝ったという結果を自信に繋げて、1ヶ月間チームとして全員で取り組んで行きたいと思います。

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