【ソッカー女子】関東リーグ後期第5節 光った堅守、悲願の1部リーグ初勝利! 東京国際大戦

 
リーグ最下位に沈み、あと1敗すれば2部降格決定という状況で迎えた今節。拮抗した試合展開の中、前半終了間際に獲得したPKを下山田志帆(環4・十文字高)が決め、リードして前半を折り返した。後半も1年生アタッカーたちを中心に何度も決定機を作り出したが決めきれず、終盤は東京国際大の猛反撃に遭う。それでも身体を張った守備で1点のリードを守り切った慶大。関東リーグ1部で歴史的初勝利を挙げ、残留に望みを繋いだ。
 
 

第22回関東女子サッカーリーグ 後期第5節

 2016/7/24(日)16:00KO@慶應義塾下田グラウンド

 慶應義塾大学1-0東京国際大学

 

【得点者】

[慶] 45+1分 下山田 志帆

 

◇慶大出場選手

 

GK野村智美(総3・作陽高)

DF宮田あずさ(環4・文京学院大学女子高)

DF下山田志帆(環4・十文字高)

DF田中康子(総4・常盤木学園高)

DF庄司夏穂(総1・聖和学園高)

DF志鎌奈津美(環2・常盤木学園高)→86分 井原美和(2・大和高)

MF工藤真子(総1・日テレ・メニーナ)

MF栃木栞(環4・十文字高)

MF中島菜々子(2・十文字高)→80 勝木日南子(1・大和高)→90+1分 奥本くるみ(環1・浦和レッズレディースユース)

FW堀井美月(環4・常盤木学園高)

FW松木里緒(環1・常盤木学園高)

 
負けたら即降格–それが今季念願の1部リーグに昇格して戦ってきた慶大に突き付けられた現実だった。未だ1勝もできていないこのリーグで、残り試合に全勝 するというのは当然容易ではないだろう。それでも、ただで降格するわけにはいかない。前期リーグではスコアレスドローに終わった東京国際大相手に、岩崎監督はFW起用の多かった志鎌奈津美(環2・常盤木学園高)を右ウイングバックで先発復帰させる強気の采配で、勝利を奪いにいった。
 
序盤は両チームがゆったりとパスを回す展開で進んだ。先にチャンスを迎えたのは東京国際大。8分、左サイドを崩されクロスを入れられると、ゴール正面でフリーでボレーシュートを打たれたが、ここはGK野村智美(総3・作陽高)がファインセーブを見せた。慶大は終始ワイドで高い位置を取っていた志鎌らがボールを引き出し、右サイドを中心に相手ゴールに迫る。27分、その右サイドで松木里緒(環1・常盤木学 園高)が前を向くと、ドリブルで中に切り込み、左脚を一閃。強烈なシュートだったが、惜しくもバーを越えた。直後の28分にもゴール前の混戦から松木が浮き球のパスを通そうとするなど、徐々に相手陣内に攻め込んでいく慶大だったが、相手の鋭い攻撃に手を焼く。33分、再び左サイドの深い位置を突破されると、角度のないところからの強烈なシュート。野村が何とか弾いたボールを再び決定的な位置で拾われたが、二本目のシュートはスライディングにいった下山田の足にかすり、わずかに枠を逸れた。42分にもゴール前で相手FWの前にボールがこぼれるシーンがあったが、ここも下山田がスライディングでボールを奪取。一進一退の攻防が続き、スコアレスのまま折り返すかと思われた前半アディショナルタイ ム、ついに試合が動いた。相手DFがロングボールの処理をミスし、エリア内にこぼれたボールに工藤真子(総1・日テレ・メニーナ)が猛然とダッシュ。先にボールを拾うとその場で倒され、主審は迷わずペナルティスポットを指した。再三に渡り好守を見せていた下山田がこのPKを冷静に沈め、前半は1-0で終了。良いイメージで後半を迎える。
 
後半に入ると慶大はさらに勢いに乗った。53分、志鎌のふわっとしたクロスに堀井が走りこみヘッドでゴールを脅かす。55分には、右サイドをオーバーラップした工藤が中の松木へパスを通すと、松木はシュートと見せかけてパスを選択。左サイドに上がってきた庄司夏穂(総1・聖和学園高)の滑り込みながらのシュートは枠を捉えきれなかったが、自慢の1年生 トリオが躍動したワンプレーだった。その中でも、後半特に慶大に推進力をもたらしたのは工藤だった。60分、その工藤がカウンターで堀井からのパスに抜け出しシュートを放つもサイドネットへ。67分には再び中央の松木からのパスを受けた左の庄司がシュートを放つも、これもサイドネットを揺らしたのみ。一方的な後半にも見えたが、初勝利への道はそれほど容易くはなかった。なかなか追加点を奪えずにいると、前からかけるようになった相手のプレスをかわしきれず、徐々にペースを奪われてしまう。終盤は防戦一方になったが、それでも組織的な守備で決定的なシュートは撃たせなかった。「あんまりやられる気はしませんでした」と岩崎監督は振り返るが、一方で交代出場した選手の動きが悪いと見るや 、すぐにまた交代させる非情采配を振るうなど、勝利への執念を見せた。最後まで身体を張った堅守で1点を守り切った慶大。試合終了後は、ベンチメンバー含め全員が喜びを爆発させた。
 
 
前期最後の試合でようやく挙げた初勝利。久しぶりの勝利の味は、悔しさを噛みしめ続けてきた選手たちに自信を取り戻してくれるだろう。特に収穫だったのは、大量失点を続けていた中での零封だ。「慶應らしいサッカーで勝てた」と語る田中康子主将(総4・常盤木学園高)の顔には、全員で1点を守り切ったことへの手応えが浮かんでいた。これから彼らは夏を迎える。「インカレベスト4」の目標に向けて、取り戻した自信とともに、さらにチーム力を向上させる勝負の夏だ。この勝利は単なるリーグ戦の1勝ではない。後期のソッカー部女子の成長と栄光、まさにその第一歩となるだろう。
 
(記事 桑原大樹)
 
 
試合後コメント
 
岩崎陸監督
(今日の試合を振り返って)今日は負けたら関東リーグ降格が決まってしまうということで、もちろん勝っても他次第ではあるんですけど、そんな中で4年生を中心に今まで積み重ねてきた準備をまた一週間積み重ねて、負けが続く中毎回応援に来てくださっている方々と、前期の最後にこうやって喜びを分かち合えて本当に嬉しく思います。(スタメンを毎試合変えているが、今日のメンバーの意図は)今自分たちが取り組んでいることは、攻守ともにアグレッシブにいくということなので、その中で誰がフィットするのかということを確かに試行錯誤してきたんですけど、そ の週その週でよかったメンバーを使っています。それで今日はこの形がいいかなと。特に下山田のところは、チームの中心として攻守の起点になってくれました。(PKキッカーはあらかじめ決めていたのか)決まっていなくて、早慶戦の前あたりに、もしかしたらPKもあるかもという話になったときに下山田がやっていたので、多分その流れで蹴ったんだと思います。(後半の劣勢の時間は、どのようなことを考えて指揮を執っていたか)あの展開の中で、一発カウンターで点を取ってくるというのが強いチームだと思うので、そういうことが出来たらということと、あとは本当にディフェンスラインも中盤も身体を張って守ってたので、確かに相手のシュートチャンスも結構あったんですけど、あんまりやられる気はしませ んでした。(これからについて)次節は一か月近く空いて関東学園大との試合になりますけど、その一週間後にある関カレも見据えて準備するための一つの試金石となる一か月だと思います。今日これで一つ勝ちを手にして、自分たちのインカレベスト4っていう目標に向けて前向きに向かっていけると思うので、このまま勝利を積み重ねられるようにしっかり準備していきたいと思います。勝ってもなかなかここで喜んでもらえないっていう状態が続いていた中でも、毎回毎回応援に来ていただいたり、こうしてケイスポの方にも来ていただいて、本当にありがとうございます。こうしてみんなと喜びを分かち合えて、本当に嬉しい!
 
田中康子主将(総4・常盤木学園高)
(初勝利を挙げ、今の気 持ちは)勝つって本当に嬉しいなって素直に思います。(いつものリベロではなく3バックの右に入ったのはなぜか)下山田の特徴と自分の特徴を考えて、そこを入れ替えて自分のところからボールを配給してチャンスを作ろうという意図があったと思います。(リードしてハーフタイムを折り返して)前半を1-0で折り返すというのが今までなかったことなので、まず後半は0-0の気持ちで、謙虚に守備から入ってその上で得点を狙って、しっかり勝ちを奪いにいこうとみんなで話し合ってました。(後半の劣勢の時間もよく守備陣が耐え、失点0という結果)前半良い形で点を取れて、今までは点を取った後にすぐ失点してしまうことが多かったんですけど、今回はそこを課題として、全員でしっかり守りきれたということが大きか ったと思います。攻め込まれても焦らず全員で声を掛け合いながら、本当に慶應らしいサッカーで勝てたなって思います。(これからについて)次節ちょっと空くんですけど、大学リーグで当たる相手に今日しっかり勝ち切れたっていうのは自分たちの自信にもつながりましたし、しっかり次の関東学院戦に向けて、今日の勝利を忘れずにもう一回謙虚に勝利を掴みにいけるようにしたいです。今日の喜びや感謝の気持ちを忘れずに、全員でもう一度取り組んでいきます。
 
下山田志帆(環4・十文字高)
(今の率直な気持ちは)いやもうめちゃくちゃ嬉しいです。今季初めての勝利だったので、嬉しいの一言に尽きます。(今日はリベロの位置での出場だったが心掛けていたことは)自分が落ち着いて回せるか回せないかで、自分の位置がスタートでその後の流れが決まってきてしまうので、そこはもうひたすらちゃんと全体の様子を見て落ち着いて回そうと決めて入ってました。(PKのシーンは緊張したか)いや、もういつも通り思ったところに蹴ろうっていうそれだけです。(終盤はかなり攻め込まれたが)結構そういう時間はあるだろうなと思って試合には臨んでいたのでそんなに焦ってはなかったんですけど、とりあえず謙虚なポジションを取って跳ね返していれば点を取られることはないと思っていたので、まあちょっと攻め込まれてはいたんですけど、落ち着いて周りと声を掛け合って防げたんじゃないかなと思います。(今後に向けて)1勝は確かに嬉しいんですけど、自分たちが目指しているのはインカレベスト4 であって、大学リーグでの勝利なので、ただこの勝利というのをポジティブに捉えて全員が上昇志向でこれから臨めるように。この7月から大学リーグに向けてまた臨んでいきたいと思います。
 
工藤真子(総1・日テレ・メニーナ)
(初勝利となったが今の気持ちは)全く勝てていなかったので、こうして勝ち点3を取れたことはすごく嬉しいです。(先制点につながったPK獲得のときの動きは)あずささん(宮田)から裏へのボールが来ると思っていて、あまりピンポイントで来なかったんですけど、DFに向かって思い切り走っていったら得点につながったので良かったです。(後半には自ら持ち上がるシーンが多く見られた)中盤でけっこうボールを持てると思ったので、勝てたしどんどんチャレンジしていこうという意識でやっていました。(前のポジションの方がやりやすいか)今日は前の方がパスが来たし、トップに当てた後も落としで ボールをもらえたので良かったです。(終盤には猛攻にあったが)最後の方は攻められて苦しい時が多く、なかなかボールに触れる機会がなかったのですが、粘って守り抜いた結果として勝利につながったので良かったです。(後期に向けて意気込みを)今日の勝ちを無駄にせず、大学リーグでも一戦一戦を大切にして勝利にこだわっていきたいと思います。
 
 
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