秋季リーグ戦最後の試合を残し、ここまで7勝3敗と入れ替え戦進出の夢は逃してしまった慶大。それでも最終戦は勝利で飾るべく、リーグ戦トップを走り続ける青学大相手にフルセットまで持ち込む接戦を見せた。しかし最後は「悪い意味で慶應らしい試合だった(上野素希主将)」とあと一歩のところで崩れ、惜しくも勝利とまではいかなかった。これで成績を7勝4敗とし、セット率の関係もあり青学大、法大、駒大に次ぐ第4位で秋季リーグ戦を終えた。
10月15日(土)秋季関東大学男子2部バレーボール第11戦 慶大×青学大@亜細亜大学体育館
得点 |
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慶大 | セット | 青学大 |
26 | 1 | 28 |
25 | 2 | 18 |
25 | 3 | 20 |
19 | 4 | 25 |
11 | 5 | 15 |
慶大はスタメンをマルキナシム(総1)から、前回途中出場で活躍を見せた岩本龍之介(商2)に代えてこの試合に臨んだ。
第1セット。その岩本の得点で幕を開ける。序盤セッター尾木将(政3)から、富澤太凱(経1)への連携ミスもあり4連続ポイントを奪われるが、岩本、佐藤康平(環3)のブロックが立て続けに決まり逆転。その後はサイドアウトの取り合いとなり、デュースまでもつれるが、相手のスパイクにブロックが決まりきらず自陣のコートに落ち、26-28と惜しくもこのセットを落としてしまう。
しかし第2セット。岩本と黒田彪斗(環3)のウィングスパイカー陣の活躍が光る。立ち上がりから佐藤、富澤などのスパイクが決まり、6連続ポイントと幸先の良いスタートを切るとここからウィングスパイカー陣が爆発。サーブレシーブもしっかりセッターに返し確実にスパイクを決めていく。序盤のリードを守り切り25-18とこのセットを危なげなくものにして、勢いに乗る。
その勢いのまま迎えた第3セット。一進一退の攻防を続けるなかでも、上野のラインいっぱいのサービスエースなどで流れは渡さない慶大。第2セット同様、岩本、黒田の活躍や相手のスパイクミスから7連続ポイントを奪うと完全に慶大のペースに。互いにサーブミスが増えるも、最後までリードを保ちつつ、25-20とこのセットもものにする。
このまま勝負を決めたい第4セットだったが、突如慶大の弱さが浮き彫りになる。この試合なかなか調子の上がらなかった富澤のスパイクがこのセットから決まり始め、序盤は互いに点の取り合いが続く。試合が崩れたのは19-16と3点のリードを奪った後。ここまで今季初スタメンで活躍を見せていた岩本がサーブレシーブで狙われる。セッターに思うようにボールが返らずネット際で押し込まれる。連続失点を許すなかさらには審判の判定に抗議を求めた上野がイエローカードをもらうなど、コートにはかつてない緊張感が漂う。2度のタイムアウトを挟むも悪い流れを最後まで止めることができず、終わってみれば9連続失点。19-25と思わぬ崩れでこのセットを落としてしまう。
勝負は最終第5セット。ここで相手のブロックに慶大がつかまる。このセットだけで4度ブロックポイントを決められる苦しい展開。ピンチサーバーやピンチブロッカーとして池田裕哉(環4)や五味渕竜也(環1)を投入するも、相手の強烈なスパイクを止めることができず、最後はクロスに鮮やかに決められ、11-15。このセットを落とし、あと一歩のところで勝利を逃した。
これで秋季リーグ戦すべての試合を終え、結果は7勝4敗の第4位。1部昇格を目標にしていた慶大にとっては今季も悔しさの残るリーグ戦となった。リーグ戦を通しサーブレシーブやミスから一気に崩れてしまう慶大の弱さも見えたが、一方でエース黒田や富澤、マルキの1年生コンビの活躍は著しかった。今後全早慶明、慶関の定期戦に加え、全日本インカレと今季試合はまだ残っている。来年にもつながる試合をしつつ、ここまでチームを引っ張ってきた4年生が悔いのない集大成を迎えられるように慶大バレー部の戦いは続く。
(記事・太田彩恵、写真・江島健生)
男子2部最終結果
順位 | 大学名 | 勝敗 | |
1 | 青山学院大学 | 10勝1敗 | |
2 | 法政大学 | 9勝2敗 | 得点率1.122 |
3 | 駒澤大学 | 9勝2敗 | 得点率1.103 |
4 | 慶應義塾大学 | 7勝4敗 | セット率1.625 |
5 | 大東文化大学 | 7勝4敗 | セット率1.200 |
6 | 国際武道大学 | 6勝5敗 | 得点率1.079 |
7 | 宇都宮大学 | 6勝5敗 | 得点率1.047 |
8 | 平成国際大学 | 5勝6敗 |
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9 | 山梨大学 | 2勝9敗 | セット率0.467 |
10 | 桜美林大学 | 2勝9敗 | セット率0.400 |
11 | 亜細亜大学 | 2勝9敗 | セット率0.367 |
12 | 立正大学 | 1勝10敗 |
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※順位は勝利数、同じ勝利数の場合はセット率、同じセット率の場合は得点率で決まる。
宗雲監督
(今日の試合を振り返って)持っているものはほとんど出したんじゃないかなと思います。まあほぼ互角に戦えた、またはそのような力があったんじゃないかなと思います。
(今日はマルキ選手に代えて岩本選手がスタメンでの起用となったが)まあマルキを出してもサーブレシーブで狙われるし、今まで我慢して使ってきたんですけど、岩本も前回良かったのでまあ今日は岩本を出してもし出だしだめだったらまたマルキでというプランでした。
(今日その課題としていたサーブレシーブは)良かったんですけどね。4セット目の岩本と黒田のところで最後何本か同じミスをしてしまって5セット目もちょろっとあったので残念ですね。
(4セット目の終盤の連続失点については)ちょっと岩本の右前かな、おそらく黒田のパイプを止めるために前に落としていたと思うんですけど、そこを誰が取るかっていうのがはっきりしなかったので、そこがはっきりすぐ一回でどうするかというのができれば良かったんですけどね。残念です。
(4敗という形で終えたが今季リーグ戦全体を振り返って)仕上がるのがちょっと遅かったというか、8月の仕上がりとリーグ戦の出だしのギャップが激しすぎてそれから立ち直るまでに4週くらいかかったのかな、それがちょっと大きな誤算でした。
(リーグ戦最後だった4年生について)いろいろな立場でね、キャプテンとか副キャプテンとか、マネージャーとかアナリストとか、自分たちなりにしっかりやってきてくれたのでそれは感謝したいと思います。
(全早慶明定期戦、全日本インカレなど今後にむけて)しっかり育成なら育成する、今のチームで最大の結果を残す、それをはっきりとビジョンを示して残りの試合を戦えればなと思います。
上野素希主将(文4)
(今日の試合を振り返って)リーグ戦全部通しての話になるんですけど、今日の相手も勝てる相手だったと思います。その勝てる相手にフルセットで負けてしまうという今まで通りの試合をしてしまったという印象ですね。悪い意味で慶應らしい試合だったと思います。
(前節の負けで入れ替え戦進出の可能性がなくなった。それから今節どうやって気持ちを切り替えたか)今週の試合に(落ち込んだ気分を)持ち込むことはなくて、次全カレや早慶明といった試合が控えているので、それらに向けてこの試合は大事な試合だと思っていました。あとは最後のリーグ戦なので、今季の最後を締めくくる試合として頑張ろうという気持ちでみんなやっていました。
(今季好調の青学大との対戦だったが相手の印象は)やる前は強いのかなと思っていたんですけど、蓋を開けてみると意外に(こちらの)作戦がはまり、あんまり脅威にも感じなかったので正直勝てたんじゃないかなと思います。
(もったいなかったのは4セット目の9連続失点だった。あの場面は何があった)サーブレシーブで連続して岩本が狙われてしまって、それまでも狙われてはいたんですけど、そこで1本ミスがあってから集中が切れてしまってスパイクにも響いてしまいました。昨年からうちの悪いところが連続で失点しまうというところで、今日もその悪いパターンが出てしまったと思います。
(主将として秋のリーグ戦の総括して)春が終わってから下級生がすごく頑張ってくれて、特に3年生は成長したと思うんですけれども、4年生がもう少し頑張れたんじゃないかと思いますね。今ひとつまとまりが悪かったです。もっと4年生が一致団結して1部昇格に向けて頑張っていれば、また結果も違ってきたんじゃないかと思うと少し悔しいです。
(今後に向けて)あと一か月、チームのこともありますけど、(なにより)10年間のバレー人生の最後なので、まずは自分が楽しんでいけばチーム(の勢い)も自然についてくるんじゃないかと思います。あと一か月バレーを楽しんで終わりたいと思います。
サイド | 岩本 龍之介(商2・仙台第二高) |
センター | 佐藤 康平(環3・桐蔭学園高) |
セッター | 尾木 将(政3・修道高) |
サイド | 黒田 彪斗(環3・富山第一高) |
センター | 上野 素希(文4・甲陽学院高) |
オポジット | 富澤 太凱(経1・慶應高) |
リベロ | 松岡 海(文3・慶應高) |
| 長澤 翔吾(環3・盛岡第一高) |
途中出場 | 池田 裕哉(環4・北嵯峨高) |
| 増田 拓人(環3・習志野高) |
| 五味渕 竜也(環1・習志野高) |