今回は12月5日に行われる定期演奏会を控えたメジャレッツから、応援企画の是石紗里(商4)さん、大塚真理(法4)さん、小金丸綾花(政4)さんのお三方にお集まりいただいた。体育会各部を応援するうえで苦労したことややりがいについてうかがった。
――自己紹介をお願いします。
是石: 4年の是石紗里と申します。
大塚: 大塚真理です。
小金丸: 小金丸綾花と申します。
――応援企画の部内での役割を教えてください。
大塚: 対外的には、各部とミーティングをして、そのなかでスポーツごとに求められている応援は違うので、相手がどんな応援を必要としているのかというニーズを聞き出して、それを部内に持ち帰って応援方法を考えています。対内的には、本当に多くのスポーツに行くので部員がそれぞれのルールをしっかり把握したり、選手からもらったメッセージを部員に伝えてより気持ちのこもった応援ができるようにしたりして、部内での取り組みを行っている役職です。
是石: 年が始まるまえに色々な部の人とミーティングをする機会を設けています。
大塚: 応援の骨格を作るのが応援企画・応援企画サブの役割で、試合ごとには担当を付けているので司令塔となる人が1人いて、その人を中心に発信をしています。誰が司令塔になるかというのは試合によって違うので、誰がやっても同じレベルでコールを入れられるように、選手を呼んで部内でルール説明会をしたり、PVを作ってルール浸透につなげたりしています。
――スポーツごとに応援が違うということですが、どの部の応援が一番難しいなどはありますか。
是石: それぞれの競技によって違うのですが、例えばラグビーとかは大元であるラグビー協会の規制があって、音はあまりたくさん出してはいけないという規制があります。自分たちの出来る範囲のなかで応援席を盛り上げられる方法は何だろうと考え、ルールがあるなかでどこまでの範囲なら許されるのか交渉をしながらやっています。
大塚: ラグビーはラグビーというスポーツの特性上、まとまって応援を先導して巻き起こすのが難しいので、そのなかで何が出来るのかという難しさはあります。なるべく自然に湧いてきた歓声のような演出になるように考えています。あとは単純に難しいなと思うのはアメフトですね。やはり初心者ですとルールが分かりづらいので、どのタイミングでどのコールを入れるのか、一番お客さんに乗ってもらえるコールは何なのか、試合展開に合った応援をするのがアメフトは難しいなと思います。
――やりがいを感じる瞬間は。
小金丸: 下級生と関わる機会が多く、応援企画サブの子たちがいて、その子たちと一緒に応援方法を練っています。主にサブの子たちが各部と連絡を行っていて、応援が出来ていくというスタイルです。その子たちが出来ることが増えていくのも楽しいですし、それで出来上がった応援に対して選手がメッセージをくれて、この声援で嬉しかったとか、若き血が聞こえて力になったというふうに言ってくれるのはやりがいにつながりますね。
是石: 部も私たちが一年生だった時よりも下級生が発信してくれるようになってきて、1・2年生からこの競技でこういうことをしてみたら良いんじゃないかというふうに言ってくれたり、この競技行ったことなかったけど行ってみたら楽しかったですとか応援に関する感想を聞くと、下級生でも応援に対するマインドを持って臨めているのだなと思って、やりがいを感じますね。
大塚: 選手や下級生からそういう声をもらうのはもちろんですし、私たちが目指している応援指導はお客さんもいなければ成り立たないものなので、やはりお客さんがどれだけ楽しんでくれるかが重要ですね。それはどれだけ大きな音量を選手に届けられるかにもつながってくると思います。お客さんから「この応援楽しかったよ」とか、応援指導部のいた反対側のスタンドから見ていたお客さんから「こっちにも聞こえてきたよ」とかいう声をもらえるのも企画した甲斐があったなと思える瞬間ですね。
――今年のサッカー早慶戦ではこれまでと異なり、ソッカ―部の応援を取り入れていたと思うのですが。
小金丸: 年の始めにソッカ―部の方と私たちでミーティングをする機会がありました。選手や宮地主将も来てくれて、「こういう時のあの応援が嬉しい」などをお聞きしました。サッカーは選手名をもじってのコールが一般的な応援だと思うのですが、今までは野球部寄りというか野球に近いものをそのまま持っていっていたので、サッカーの応援を多くするにはどうすればよいかを3年生の子たちと考え、出来上がったのが今年の応援かなと思っていて、楽しんでいただけたなら嬉しいですね。
――今年は多くの早慶戦に行かれたと思いますが、いままでの早慶戦の応援を振り返っていかがですか。
大塚: 特徴的なところで話すとサッカーはガラッと応援方法を変えて、使用するコールも変えたという意味では大きな改革でした。アメフトもそれこそ野球で使っていたような曲を今までそのままサイドラインで使用していたのを、洋楽を取り入れました。今年はいくつか大きな改革に取り組んだので、3年生の応援企画サブを中心に頑張ってくれて、それが形となって見えてきたかなと振り返って思います。
小金丸: 友達が「サッカーやアメフトの早慶戦楽しかった」と言ってくれたり、SNSで「応援楽しかった」みたいな投稿が出ていたりすることが割と嬉しかったです。早稲田より良かったみたいな声も聞けたので、良かったですね。応援では負けたくないなと思っているので(笑)。
是石: 今年は結構変えたね。部員の意識の部分でも、チアってただ明るく笑顔で声を出しているだけではなくて、お客さんが悔しいなと思った瞬間は一緒にその気持ちを感じて、ともに声を出すような存在になれればと思っています。ただ闇雲に笑うだけではない存在になりたいなと思って、今年が始まる時に、『応援を味わう』というテーマを決めました。実際に味わうために応援について考える機会を増やし、ミーティングの内容もここだけにとどめないで発信することによって部員一人ひとりがただ応援するのではなくて心により届くような応援をするように心掛けました。
大塚: その試合の雰囲気をしっかりと自分で感じ取って、その試合の時々にふさわしい表情や声掛けをしていきたいなということで取り組んできました。
――改革をされたなかで難しさはありましたか。
小金丸: サッカーの大きな早慶戦の舞台で変えるために、リーグ戦から段階を踏んでというのが難しかったですね。やはり応援方法を次の試合でガラッと変えるとなったら、浸透されていないと部員も乗れないですし、お客さんも迷ってしまうことがあるなと思ったので、計画的にリーグ戦ごとに次はこういうようにやってみようという形で応援方法を確立させたというのがサッカーでは結構大きいかなと思います。
是石: 私たちは応援指導部・チアリーディング部・吹奏楽団の3部門で応援席を作り上げているので、変える時にそれが良いと思う人と、そうでない人がいます。例えば、チアリーディング部としてはアメフトで洋楽を使った応援が良いと思っていても、他部門的には伝統ある昔ながらの応援席が求められているのではという意見が出ることもあります。個人の感覚によって応援席は良い悪いが決まるので、絶対こっちの方が良いと思わせるような説明をして、そこの食い違いをなくすようにしました。変えるにはリスクも伴い、失敗するかもしれないというリスクを背負って3部門を巻き込んで一緒にやるのはとても大変なことだったかなと思います。
小金丸: 3部門はパワーが出るときは一致してパワーが出るのですが、それまでに結構ぶつかり合いもあって大変ですね。
大塚: 練習も普段全く別々にやっているので、一つの応援に対する感じ方も全然違って、例えばアメフト早慶戦の時は放送研究会さんにお願いしてスピーカーで洋楽を流してもらっていたので、そういうときに吹奏楽団は何をすればよいのかという問題が出てきてしまったり、3部門全員をどう生かすかという難しさがあります。結局そこは慶應の若き血での勢いづけには生演奏が良いのではないかということで、吹奏楽団に演奏してもらって、うまく音源と生演奏を切り替えてできたと思います。
――応援指導部や吹奏楽団にも応援企画部門はあるのですか。
一同: ありますね。そことのバトルは結構ありますね(笑)
是石: 皆応援を盛り上げたいという気持ちと勝たせたいという気持ちは一緒なのですが、やはりやっていることがあまりにも違いすぎるので、そういうことが起こってしましますね。
小金丸: 野球だとザ・応援団みたいな応援が適しているかなと思うのですが、アメフトとなると本場でもチアリーディングが主体というか、メインが違ってくるので、そこで3部門の意見のすり合わせというのがぶつかるところでもありますし、難しいところでもあります。
――早稲田のビッグベアーズの存在は意識しますか。
一同: かなりしますね(笑)。 仲は良いです(笑)。
小金丸: 演技はもちろん、応援に行く人数も負けたくなくて、向こうが何十人も来ているのに、こっちが10人とか、5人とかしか来られないと悔しい気持ちもありますし、そこで一人が5倍も10倍も頑張らなきゃって思うくらい早稲田は意識していますね。
是石: 早稲田より面白くて、新しいものを目指しています。真似はしたくないし、早稲田より上に行きたいという気持ちはあります。
大塚: バレーボール応援では、早稲田はリーグ戦から行っているのに対して、私たちはあまりリーグ戦で行っていなかったので、バレーの早慶戦の時は波に乗った応援をしているなと思うこともあって、そういうところは参考にしたいなと思います。負けたくないので(笑)。
――ひとつの応援に対する準備の時間が短いということもお聞きしたのですが、練習+応援企画を担う皆さんは忙しさの面ではいかがですか。
大塚: 練習も同じ日に二つの応援の練習があったり、すごくきっちりとスケジュールが詰まっているのですが、その中でただ応援に行くだけにならないように心掛けています。例えば、この試合に負けると引退となってしまうであったり、良い位置にいるのでこの試合は絶対に勝たなければいけないであったり、注目選手がケガをしていたけどここで復帰するであったり、その試合一つひとつの注目ポイントや応援をしに行く意義をなるべく考えて、一つひとつの応援をただの応援にしないで気持ちを込めることを忙しい中でも意識しています。
小金丸: 私たちは4年生なので最後という思いが強くて、一個一個楽しんで全力で出来るのですが、一個下は大変ではあると思います。いっぱいスケジュールがある中で楽しいと思ってくれている子もたくさんいると思うのですが、やはり当日の仕切りなどやることが多くて、一個下の子たちは忙しいのではないかなと思います。
是石: 私たちは応援に来てくださいと言われて初めて応援に行けるのですが、私たちが一年生の時よりも各部からの依頼が年々増えていて、今年も4年間のなかで一番多いくらいたくさんの応援に行けました。応援行くとやはりつらい気持ちも悲しむ瞬間も多いですが、一緒に勝って沸く瞬間も味わえたかなと思うので、忙しいですが、個人的には楽しかったなと思います。
――定期演奏会に向けて応援企画として携わっていることはありますか。
是石: 応援企画として特に関わっていることはないのですが、引退した部や色んな体育会の人たちが12月5日にステージに集まって、最後に応援歌ステージとしていつも聞き慣れている若き血であったり、慶應の応援歌をともに4年間やってきた体育会の人たちと盛り上がることでやはり慶應の体育会って良いなと思ってもらえればなと。そんなステージを作り上げたいなと思っています。
――定期演奏会に向けての熱い意気込みをお願いします。
大塚: 今回の定期演奏会の3部門全体のテーマとして見た人が明日からまた頑張ろうと思えるようなステージをというのがあります。ただの私たちが主役の発表会ではなくて、一人ひとりのお客様にそれを届けられるように、そういう気持ちを持ってもらえるように、心を動かせるステージを作り上げられたらなと思っているので、あと1週間ちょっとですが頑張ります。
小金丸: 全体のテーマとしては来てくれた人を笑顔にすることなのですが、メジャレッツとしてはその下のテーマとしてメジャレッツの一年というのがあって、ハーフタイム演技もたくさん盛り込まれています。このハーフタイムの曲はあの辛い状況のときに流れていたなとかあの勝っているときに流れていたなとかも見てくれている人が思い出して、懐かしさを持ってくれたらよいなと思っています。今まで応援活動で踊っていた気持ちも含めて、精一杯頑張りたいと思うのでよろしくお願いします。
是石: 頑張っていない人に頑張れと言う資格はないと以前の主将が言っていたのですが、色んな部が頑張っているなかで私たちも頑張りたいです。慶應の名に恥じないような、皆がわっと思えるように、このチアに応援されていてよかったなと思えるような演技を私たちも楽しんでするので、あとはお客様にも一体となって楽しんでもらえたらなと思います。
是石さん、大塚さん、小金丸さんありがとうございました!
(取材: 森本 凜太郎、氏家滉登 撮影:中村 駿作)
慶應義塾大学應援指導部吹奏楽団・チアリーディング部
第66回定期演奏会 2016.12.5@神奈川県立県民ホール
開演 18:00
開場 17:30