長かった春季リーグ戦が終わり、伝統の早慶バレーボール定期戦までついに残り1週間となった。プライドをかけたその一戦を前に選手を代表して、慶大の増田拓人主将(環4・習志野高)と、早大の喜入祥充主将(スポ4・大塚高)のお二人に早慶戦にかける思いを語ってもらった。
――お二人はもともと面識は?
増田 4年目なのでさすがに。あと高校もちょっと練習試合で。でもそんなに喋ったりとかっていう感じはなく。
――連絡を取られたりは?
増田 しないですね。
喜入 今日初じゃない?
増田 今日LINEきました。早稲田の加賀くん(加賀優太・商4・早稲田実高)と中学の地区が同じで、船橋市なんですけど、中学校の選抜も同じで、県の選抜も同じでずっとやっていて。それくらいですかね。
喜入 それを通して連絡したという感じです。
――早慶のバレー部で交流があったりとかは?
増田 いや、ないですね。早慶戦の後のお酒を飲む会くらいですね。
喜入 地味に遠いもんね。
――それぞれ早大、慶大に進んだ理由は?
増田 柳田先輩(柳田将洋・H27)という素晴らしい先輩がいて、環境が良いところで出来るというのと、雰囲気とかも良かったということです。
喜入 僕は監督が誘ってくださってレベルの高いところでバレーボールが出来るということで、高みを目指してやってきたという感じです。
――お互いプレーを見られたりとかは?
増田 東日本のときかな。あと中学校のJOC(ジュニアオリンピックカップ)という県選抜の戦いで負けました。千葉県が大阪に負けました(笑)
喜入 でも、千葉が北海道に勝って、僕らが北海道に負けて千葉に勝つっていう1勝1敗同士で。まあ遥々北海道から来てくれたのに予選敗退と(笑)
増田 でっかいのいたのに。榎本、覚えてる?
喜入 うん、覚えてる。ばか強かった。そのとき北海道が結構強くて全国3位が優勝候補ってなっていたんですけど予選敗退と。千葉と大阪で破ったと。
増田 でその千葉に加賀くんもいて。今は彼(喜入)と同期でずっとやっていると。
喜入 加賀とは中学校時代のときやったことがあるんですけどね。僕らが無名だったので、そんなに関東に来て練習試合とかなかったので、全国とかの舞台でしか会うことはなかった感じです。
――お互いのチームの印象は?
増田 早稲田はみんなうまいという感じですね。みんなうまいしパワフル、手のつけようがない。まあ今年はうちも上背ちょっと一矢報いたいという感じですね。
喜入 慶應は早稲田に比べて大きくて、下級生というか…
増田 気遣ってるな(笑)
喜入 いや、若い選手というか、ライトのサウスポーの子(富澤太凱・経2)とかマルキナシム(総2)とか、そういう若い連中が頑張っているチームだと思うのでそういう部分に関しては勢いがあってこわいチームだなと感じます。
増田 ありがとうございます(笑)
――慶應高校は春高にも出ましたよね。
増田 そうですね。今1年生が2人と2年生が3人出ているんですよ。本当に若いチームで、試合を通して若い人たちの成長を見て頂ければ。本当にリーグを通して成長して、春、先輩が引退してから合宿とかを含めてすごい成長しているので是非。2部も意外とやるじゃんみたいなのを見て頂ければ。
――それぞれのチームのチームカラーや強みはなんですか?
喜入 早稲田は自分たちの武器としているサーブっていう部分と安定したサーブレシーブ、まあレシーブを得意とする3人がレシーブしているので、その安定したレシーブからしっかりサイドアウトを取るっていうところが今年のチーム。小さい分レシーブで粘って得点につなげていくというのが今年の特徴かなと思います。
増田 慶應は、似ているんですけど、でっかいやつがいるのでサーブでガツガツ攻めて、ブロックで仕留めるっていうチームになってきている。そこを見て頂ければ。で実は去年東日本の時に(早稲田から)1セット取っているんですよ(笑)!3セットマッチで。それの時よりもかなりレベルアップしています!なのでちょっと歯を食いしばってもらいたいですね(笑)
――今季ここまでの戦いの振り返りをお願いします。
喜入 今季は落としてはいけない試合、直接順位が関わってくる試合で、プッシャーに負けて、負けてしまうゲームもあったんですけど、まあ徐々に自分たちのチームの形というものが見えてきつつある状態かなというふうに思います。
増田 慶應は、順調に進んできて中盤のここ一戦というところで、(最終セット、)14-11という勝ちゲームというところでそのセットを落として、もう入替戦ぎりぎり危ないという状況なので、その切羽詰まった状況でのプレーとか、そういうところを落としてしまったというところがでかいので、そこを早慶戦前に直していければなというふうに思います。
――早慶戦までに強化していきたい点はありますか?
喜入 早稲田はどこが相手でも自分たちのバレーをしっかりやりきるというか、トーナメント戦になってきたらどこ相手でも負けられないという場面になるので、その安定して自分たちのバレーを出し切るというところにこだわってやっていきたいなと思います。
増田 慶應は武器と言われるサーブとかブロックとかに磨きをかけていきたいと思います。
――お二人は主将という立場ですが理想の主将像はありますか?
増田 それ100回くらいいろんなところで言ってる(笑)まあ気配りができるとか、全体を俯瞰して見るというかそういう視野の広い主将になれるように頑張っています。
喜入 自分は周りを見ることもそうですし、後輩たちがプレーしやすい環境を作るには自分がプレーで引っ張って、後輩は思い切ってなんの心配もせずできるようにというところは心掛けてやっています。
――これも何回もお話されていると思いますが、主将になった経緯は?
増田 どっかからコピペしてもらっていいですか(笑)まあ僕は前までセッターをやっていた尾木(将・政4)っていうやつがいて全カレが終わった後に、監督とOB会長に呼ばれて、ああ尾木くんが主将なのかな、自分副将なのかなもしかしたらという感じで行ったら主将って言われて、みんなにそれを言ったら驚かれたという。これ2、30回目くらいですかね(笑)みんな思ってなかったんですよ、自分が主将になるって。だからサプライズみたいな感じでしたね。
喜入 僕はメンツ見てもお前しかいないだろうという感じで。
増田 うえーい(笑)
喜入 結構早い段階から大学2年生くらいあたりから、ちょいちょい監督から将来お前はそういう位置になってチームを引っ張るようになるから、周りを見る力とか養っておけって言われていたので、結構早めにお前は主将だみたいな流れが出来ていました。
増田 信頼されてたんですね。
喜入 まあ1年から出てたっていうのも。
増田 ああそれもあるね。
喜入 それはたぶん結構でかい。
増田 まあザキヤマ(山﨑貴矢・スポ4・星城高)じゃないもんな(笑)
喜入 ザキヤマはまあちょっと主将ではないな(笑)
――主将という立場にプレッシャーを感じることはありますか?
喜入 プレッシャーはまああんまり感じないっていうのはあるんですけど、実際チームがうまくいかなくなった時だとかに率先してチームを変えられる存在でないといけないと思うので、今のところはチームが危機的状況とかにはなっていないのでなんとも言えないですけど、そうなったらもっと感じてくるのかなと思います。
増田 なるほど。僕は試合に関しては基本的に出てないので感じないんですよ。でも生活面とかではお手本であるべきなので、その生活面しかり、あとは言動だったりとか、ここ一番締める時、チームをまとめる時にどうするか自分なのでそこはプレッシャーに感じますね。
――リーグ戦も終わりに近づいていますが、主将として難しさを感じることはありますか?
増田 慶應は青学戦に負けてちょっと落ち込んでいると思うので、みんなにかける言葉とか、言葉を選ぶ難しさとか一人一人その受け取り方が違うと思うので、みんなの前に立って言う言葉と一人一人にかける言葉の違いとか、そこは気を遣っているのでその辺の難しさはありますね。
喜入 早稲田は誰がどこ入ってもできるようなそういうプレーヤーばっかりで、そういうポジション決めだったりとか、今季のリーグ戦でも途中でメンバーが抜けてポジションが変わったりだとかがあったので、それぞれの個人個人の良さっていうのを出すためにはどうしたらいいかというのを考えなければいけなかったので、そこが一番難しかったかなと思います。
――逆に主将になってやりがいを感じるときはどんなときですか?
喜入 自分は主将として自分が決定したことにみんながついてきてくれる、ついてきてくれた結果がいい方向に出るとやっぱりやりがいを感じますね。
増田 勝ったときじゃないですかね。勝ったときに出ているやつだけじゃなくて応援しているやつらとかサポートしているやつらも同じような笑顔で喜んでいるときとかは…
喜入 (笑)
増田 なんで笑ってんだ(笑)まあ今までまとめ上げてきた一人一人の気持ちとかも同じチームとして一丸となって挑めているなっていうところに自分の仕事としてのやりがいは感じますね。
――同じ主将という立場でお互い聞いてみたいことはありますか?
増田 どこ行くんですか?プロは?
喜入 それはちょっとあれちゃう?(笑)まだNGやろ(笑)
増田 まだか(笑)なんだろうね…一番末端の練習あんまり参加できないやつの意見とかって聞いてあげるほう?聞くけどあんまり反映させない?聞かないまったく?
喜入 キャプテンとして聞くことは聞くけど、軸っていうか、基礎練習とかそういう時期だったらいろんな意見取り入れて練習はするけど、やっぱり試合期間となるとやりたい練習とかそういうのが決まってきちゃうから、一応まあ聞くことは聞いてそれがよくって自分も賛成やったらバンバンやるし、自分の理想としているチーム像のために必要かって考えた時にそれより優先することがあればそっちを優先するし。聞くことは聞くけど。
増田 反映するかどうかは軸に沿っているかどうかって。
喜入 そう。
増田 結構今まで主将やってた?中学校、高校と。
喜入 うん。小・中・高と。
増田 素晴らしいですね。サラブレットですね(笑)
喜入 (笑)まあ環境が環境やって。小学校は同年代がいなかったから、中学校は自分以外全員素人やったから、高校はずっと1年から試合出てたからやれやれって。高校も投票制やってキャプテンだけ投票なくてその代、副キャプテンだけ投票するみたいな。
増田 ああじゃあ決まってたんだ。
喜入 そう。今回もそうか。
増田 素晴らしいですね。
喜入 まあちょっと慣れてるところはあるな。
増田 俺なんか初めて。学級委員くらいしかないからね(笑)学級委員じゃ不足ですか(笑)
喜入 いやいやそんなことない。質問は…やっぱり、慶應自体が下級生主体のチームっていうことで、試合に…
増田 ダイレクトにどうぞ(笑)
喜入 後輩がうまく活躍できるようにやっていること、気を遣っていることとかそういうのあったら、まあ早稲田も結構下級生とか入ってきてそれで4年生になったら周りにやらせるっていうのも大事だと思うんだけど、それでやってることあれば聞きたいなっていうふうに思いますね。試合の時に下級生のためにやることっていうか、どうわっしょいわっしょいするかっていう。
増田 下級生がむしろ多い分、下級生が自分から、自分のチームだっていう勢いでやってくれるのかな、上もそれに対して「おい出しゃばんじゃねーよ」みたいな感じの雰囲気はなくて、勝手にやってくれてるっていうのはあるかもしれない。2年生1年生が多いから、例えば1年生2年生もチームに関与している、同期が出てるから関与しているっていう気持ちでやっているからっていう。あんま聞きたいことなかったでしょ正直(笑)
喜入 いやほんまに。やっぱ下級生のチームって、結構早稲田はよく最後は4年生って言うから。
増田 それいつも言ってるよね、監督。
喜入 そう、いつも言ってる。その4年生があんまりいないチームっていうところでどうしてるのかなって。
増田 コートキャプテンとして黒田(彪斗・環4)が出てて黒田がコートキャプテンとして、基本的にゲーム中とかの「いくぞ」とかやるじゃん、そういうのも全部黒田に任せて、であとのただの練習の進行とかは俺がやるんだけど他はもう黒田に任せててうまく分担できてて。チームを分かってないのに俺がとやかく言う必要はないから、黒田もフランクな感じのやつだからうまく1、2年生との間を詰めているのかな。3年生がちょっとあんまり出ていない、落ち込んでいるっていうのはあるんだけど。
喜入 それ結構あるよね。早稲田も3年生が多くて優秀な1,2年が多くて、その3年生が自分の中でどうやる気にさせるかっていうところも結構課題としてて、そいつらが腐らないようにっていうのは難しかったり。難しかったことに付け加えておいてください(笑)
――話は変わりますが、それぞれオフの日などはどのように過ごされていますか?
増田 それは羽を広げてますよね(笑)渋谷とかで(笑)
喜入 オフの日はとりあえず爆睡して、
増田 いやー違いますね(笑)遊ばない?
喜入 遊び…自分から行こうとはならんけど、ザキ(山﨑)とか、
増田 誘ってくる?
喜入 「映画行こうぜ」とか言ってくる時は「じゃあ行こかー」って行くくらい。基本的には目覚ましかけなかったら12時間とか12時間以上とか平気で寝れるんで、爆睡してます。
増田 つまんねー(笑)
喜入 逆にほんまに起きへんねんな。寝たら。
増田 寝たいの?普段そんなに寝てない?
喜入 普段もめっちゃ寝る(笑)普段も寝て
増田 育たないな(笑)
喜入 ほんま寝てるのに育たない、どっかで育ってもいいと思うね(笑)
増田 どっかのタイミングで(笑)
喜入 1時くらいに寝て、14時15時に起きるとか。
増田 もったいなくない?1日。
喜入 うん、もったいない。
増田 僕はバイク好きなのでバイク乗ったりとか、友達と。朝は寝るじゃないですか、で溜まったドラマを観るじゃないですか、でちょっとバイクで遊びに行くじゃないですか、でお食事行くじゃないですかいろんな人と、で夜は家帰ってきて健全な1日を過ごすと。どうですか、完璧な主将の1日(笑)
――お二人は今年で4回目の早慶戦になりますが、今までで一番印象に残っている早慶戦は?
喜入 1年生の時に柳田さん擁する慶應に負けたことですかね。それが一番早慶戦の中で、戦って悔しかった、それが一番印象に残っています。
増田 そうですね、僕も柳田さん率いるチームが喜入くん率いるチームに勝ったときですかね。
喜入 専田さん(専田和也・H27)、専田さん(笑)
増田 その時も記念館、このコートですよね。その時が一番なんかドラマチックな展開というか見ててもすごいなと思いましたね。まあそこから勝ってないですからね。2連敗してる。まあ今年見ててください!
――ではお互い早慶戦においてキーマンとなる選手はどなたでしょうか?
喜入 早稲田はセッターの小林(小林光輝・スポ3・創造学園高)じゃないかな。実際試合の中で、一番多くボールを触るのがセッターなので、セッターがどう早稲田らしさを出すかっていうのがキーになるかなと思いますね。
増田 誰だと思います?逆に(笑)
――黒田選手ですかね?
増田 じゃあそれで!(笑)彼がチームをまとめてあげないと始まらないですからね。あとは1年生がのびのびやってくれると思うので、黒田に締めるところは締めてもらってっていうところじゃないですか。
――早慶戦は友人などの応援も普段以上かと思いますが何かプレーに影響は?
増田 やっぱり応援に気合が入りますよね。あと早稲田に友達の加賀くんもいるのでそこにも熾烈な争いがあるわけですよ、そういうところに注目してほしいですね。
喜入 観客がいるってことはやっぱり気分も高まりますし、その分プレーにも熱が入るというかまあやってて楽しいんで。熱が入りますね。
増田 やっぱり熱が入るよね。
喜入 すべてにおいてね、応援も。プレーも。
増田 そうだね。
――今年も日吉での開催となりますが
増田 やっぱりこの記念館取り壊すので、早慶戦勝ったよって書いてから壊したいですね。すごい記念の大会だと思うので、勝って終わりたいですね。
喜入 去年もここだったよね。早稲田が取り壊しだった。去年もここで勝ってるので去年と同じように勝ちたいなというふうに思います。
増田 挑発的ですね(笑)彼がキーマンです、彼がピーマンです(笑)
――お二人とも最後の早慶戦ですが
増田 歴史ある大会に主将として参加できると、熱い思いしかないですね。
喜入 ここ3年間ずっと出てて今年で最後っていうことなんですけど、自分は教育実習で3週間チームのほうにいなくて。早慶戦の前日に帰ってくるんですけど、僕だけじゃなくて僕と山﨑と土屋(土屋健太郎・スポ4・高崎高)が教育実習でいなくなるんですけど、その間しっかりチームをまとめてくれる加賀がいるので3週間チームにいなくて早慶戦だけ出るということはちょっとあれなんですけど、出る機会があればもちろん全力でプレーしたいですし、最後の早慶戦ということで勝って終われるように残っている加賀とかに思いを託したいなというふうに思います。
増田 なめてますねーなめてますよ(笑)3人いません(笑)
喜入 でもまあ代わりは全然(笑)
増田 代わりも強いと(笑)
喜入 まあ誰が入っても。今季リーグ戦も結構そうなんですよ。誰が出ても結構活躍してくれてるので。自分が代わってオポで入ってるんですけど、左の宮浦(宮浦健人・スポ1・鎮西高)とか山﨑の代わりの村山豪(スポ1・駿台学園高)ちゃんとかが活躍してくれてるのでそういうやつらに期待したいです。
――早慶戦にむけて意気込みを
喜入 …
増田 …
喜入 そうですね
増田 お、いった(笑)
喜入 まあ最後の早慶戦なのでこれを通して、年間の目標は全日本インカレで優勝することなのでそれにつなげられるようにこの歴史ある早慶戦で自分たちの最高のパフォーマンスっていうのを出せるように、しっかり準備していきたいです。
増田 勝っておいしいお酒を飲みたいですね!(笑)飲みます、勝っておいしいお酒を飲みます!
――お忙しい中、ありがとうございました!
(この取材は5月15日に早稲田スポーツ新聞会と合同で行いました。その後慶應はリーグ戦1部昇格を決めています。)
早慶主将プロフィール
◇増田拓人(ますだ・たくと)181センチ。千葉・習志野高校出身。ポジションはセンター。
◇喜入祥充(きいれ・よしみつ)174センチ。大阪・大塚高校出身。ポジションはサイド。