やっとこの時が来た。春リーグ開幕から4戦、3敗1分と苦しい戦績を重ねて来た慶大男子ホッケー部は、前回の試合で入替戦が決まったとはいえ今回の試合で結果を残したかった。第1Qから敵陣プレーが続くと、怒涛の攻撃を展開する慶大は、DF吉川大地(政3・慶應)が幾度とゴールを脅かし得点奪取を狙う。そして迎えた第2Q、13分にFW大久保遼(政4・慶應)がパスカットで奪ったボールをゴールに放ち、価値ある1点を挙げた。その後のQでもシュートに向けて邁進する慶大は、PCを次々と獲得するも追加点とはならない。しかし最後まで失点することなく、このゲームを1−0で勝利。念願の今季初勝利を挙げた慶大は、この結果で男子1部7位という成績を収めた。
平成30年関東学生ホッケー春季リーグ 順位決定戦 vs駿河台大
5月26日(土) 9:30試合開始 @明大八幡山グラウンド
| 第1Q | 第2Q | 第3Q | 第4Q | 合計 |
慶大 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 |
駿河台大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
スタメン
GK 小川修平(政4・慶應)
DF 河本倫太郎(法4・慶應)、吉川大地(政3・慶應)、望月慎之介(経2・慶應)、片岡賢治朗(経2・慶應)
MF 金田翼(政4・慶應)、安田武大(政2・慶應)、中山正楎(経1・慶應)
FW 大久保遼(政4・慶應)、永野裕太(政4・慶應)、前多亮佑(経2・慶應)
前回の順位決定予選で、 “追加点数を挙げられない”という課題に直面した慶大。この3週間で対処できるようなものではないが、今までやってきたことを再点検し、慶大らしいホッケーの形を貫いて試合に臨むことが求められた。
序盤から攻撃を仕掛けた慶大は、第1Q開始4分で早速DF吉川がサークルに侵入する。そこから敵陣プレー、慶大ペースの試合進行となり、ゴール付近は混戦状態となっていた。MF安田武大(政2・慶應)のロングパスや、FW大久保遼(政4・慶應)によるサークル内での猛撃は相手に形勢逆転の隙を与えない。終始得点機を伺う形で試合は進み、いつ点を取ってもおかしくない状況が続いた。しかし実際に得点することはなく、無得失点でこのQを終えた。
第2Qもまた、慶大は攻撃の手を緩めない。MF中山正楎(経1・慶應)が巧みなスティックさばきでパスカットし慶大ボールを保つと、10分にはMF金田翼主将(政4・慶應)がサークルに侵入。シュートを狙うが相手に遮られチャレンジできない。ところが次ぐ13分、FW大久保がゴール前で相手パスをカットすると、奪ったボールをそのままシュートし、ついに先制点を挙げる。今季2得点目となるフィールドゴールだった。試合前に金田主将や監督から「もっとチャレンジしよう」と言われていたという大久保は、見事チャレンジに成功したのだ。
追加得点を挙げたい第3Qは、スタート早々MF中山のカウンターで敵陣プレーに。4分に奪ったPCはストップがうまくいかず、こぼれたボールをFW前多亮佑(経2・慶應)が押し込むも得点には繋がらない。その後5分、8分とPCを獲得するもチャンスメイクができずに迎えた14分、今度は相手にPCを与えてしまう。これまで失点危機が少なかったために身構えるも、相手シュートは左に大きく外れ難を逃れた。惜しくも追加点を挙げることはなかったが、流れを渡さず1点リードで最終Qを迎える。
好プレーに期待がかかる第4Q。カウンターで攻め、慶大が主導権を握るかと思えば、3分に相手に隙を突かれて失点危機を迎える。DF片岡賢治朗(経2・慶應)が華麗にボールを奪い辛くも守り抜いたが直後、再び相手に攻撃のターンが巡りシュートを打たせてしまう。ここはGK小川修平(政4・慶應)のナイスセーブで危機を脱する、得点にはさせなかった。その後、これまでのQより自陣プレー時間が少し延び、ディフェンス側に回った慶大は6分にまたもピンチを迎えたがここもGK小川が好セーブ。GK小川は直後の相手PCでも神がかったセーブで会場を沸かせた。9分、12分に2度のPCを獲得した慶大は、シュート一歩手前まで持ち込むも得点にはできなかった。一進一退の戦況が続いたのち試合は終了、慶大はついに今季初白星を収めた。
今回の勝利を「大きな一歩」と表現した金田主将の表情には笑みが溢れていた。チーム作りの最初の一歩としてこの試合に臨んだ彼らにとっての今回の勝利は、意義深いものであったに違いない。もっとチームのクオリティをあげるためにこれから取り組むことは、とにかく課題を潰していくこと。これまで出た課題として挙げられるのは、“追加得点を挙げられないこと”、そして“PCを得点に繋げられないこと”だ。夏に弱点を克服してレベルアップした慶大が戦うステージは、1部でなければもったいない。次戦の入替戦について、好セーブを連発したGK小川は「本気で勝ちに行きます」と熱い意気込みを述べた。1部残留を決める、慶大らしさを貫くプレーがまた見たい。
(記事:津田侑奈/写真:重川航太朗)
次戦 6/24(日) 入替戦 対戦相手未定
16:30 試合開始 @慶大日吉グラウンド
以下、コメント
金田翼主将(政4・慶應)
——今季初勝利を挙げた感想は
今季初勝利ということは、大きな一歩だったかなと思います。春リーグというのは終わってしまったのですが、これから続いていく夏のシーズンや秋リーグへの最初の一歩にはなったのかなと思っています。
——前試合から今日までどのように調整しましたか
順位決定戦や入替戦にフォーカスするというより、もっと先の秋リーグやインカレというステージに向けて、チームをどう作っていくかということを意識してやっていました。
——試合前にどのようなお話をしましたか
今日がチーム作りの最初の一歩だということはずっと言っていました。
——夏はどのような取り組みをしますか
一番大事なのは試合経験かなと思っていて、いかに強豪と切迫した試合ができるかというのが秋の公式戦にも関わってくると思うので、強いチームとの試合を積極的に組んでいきたいなと思います。
——今日のご自身のプレーは100点中何点ですか
70点くらいです。今日は動きが少なかったのですが、みんながカバーしてくれていたのが試合に出ていてわかったので、少し減点して。でも勝てたので70点ぐらいでいいかなと。
——次回の入替戦はどのような試合にしたいですか
1部としての格を見せつけるじゃないですけど、相手が2部なのでそこの差は出して行きたいなと思います。
小川修平(政4・慶應)
——今季初勝利を挙げた感想は
目標は決勝進出だったので、そういう意味で結果的には残念だったのですが、勝たないよりは良かったと思っています。
——ナイスセーブが連発しましたが
今までより緊張はしなかったです、何かがかかった試合ではなかったので、緊張せずリラックスして試合に臨めました。
——試合前にはどういうお話をしましたか
作戦などは、秋につながるように結果より内容にこだわって練りました。
——夏の間はどのような取り組みをしますか
春リーグ(の対戦相手)は勝てない相手ではなかったので、秋リーグは優勝を狙える位置にあると思います。春に出た、足りなかったところや多くの課題を、練習だったりミーティングだったりで潰していけたらいいかなと思います。
——次回の入替戦に向けて
ここで負けてしまったら秋は2部からのスタートなので、本気で勝ちに行きます。
大久保遼(政4・慶應)
——今季初勝利でしたが、今のお気持ちは
勝てたのはすごく嬉しいですけど、1点しか取れなかったのは次につながる課題かなと思います。
——1点しか取れなかった原因は
PCを多く取れたんですけど、その中で得点が取れなくて、自分たちの目標は(PCの回数の)3分の1は得点することだったので、課題だと思います。
——ここまでPCでの練習はどれほどしてきましたか
30分とか1時間とか、時間をかけてやってきたんですけど、それが結果に繋がらなかったので、もっと根本的な見直しが必要かなと思います。
——練習ではいいイメージを持てていましたか
そうですね。練習ではいいイメージでしたけど、芝の状態とかも違ったりして、上手く出せなかったかなと思います。
——ご自身のゴールシーンを振り返って
監督や金田からもっとチャレンジしようという話があって、チャレンジできたことがいい結果に繋がりました。
——今季2得点目ですが個人的にはこの結果をどのように捉えていますか
もっと取りたかったですね。今日もあと2点取れるシーンがあったので、もっと強気でいって、秋は得点王になれるようにしたいです。
——今日の試合では無失点でしたが、その点については
良かったと思います。これを継続して、もっと点を取れるようにしていければと思います。
——チームの雰囲気はいかがでしたか
良かったです。ですが、試合前は少しばたついた部分があったので、そこはもう少し落ち着けられたかなと思います。
——次回の入替戦に向けて
2部が相手になるので、二桁得点を目指して頑張りたいと思います。