長かったリーグもついに最終戦。ここまで全勝同士の宿敵・早大との対戦を迎えた。この日もダブルスで2―1とし、リードした状態でシングルスへと向かった慶大は、下位シングルス3つを落とし逆にリードを許してしまうが、S3今村昌倫(環2・清風)、S1羽澤慎治(環1・西宮甲英)が勝利し勝負はS2の逸崎凱人(環4・大阪産業大付属)次第に。しかし、ここで惜しくも敗れ定期戦の借りを返すことはできなかった。
慶大 | スコア | 早大 |
D1 ○逸崎・羽澤 | 2 {7-(8)6,6-1} 0 | 坂井・田中 |
D2 ○福田・今村 | 2 {6-2,6-2} 0 | 齋藤・千頭 |
D3 ●畠山・山崎 | 0 {5-7,5-7} 2 | 島袋・木元 |
S1 ○羽澤 | 2 {6-4,6-1} 0 | 島袋 |
S2 ●逸崎 | 1 {6(5)-7,6-3,2-6} 2 | 千頭 |
S3 ○今村 | 2 {6-1,6-4} 0 | 田中 |
S4 ●福田 | 1 {7-5,2-6,2-6} 2 | 古田 |
S5 ●中村 | 0 {2-6,0-6} 2 | 齋藤 |
S6 ●畠山 | 1 {7-(4)6,1-6,4-6} 2 | 藤井 |
合計 4 | - | 5 |
関東学生テニスリーグ 早大戦
2018年9月16日@法政大学テニスコート
D3●畠山/山崎 | 0 {5-7,5-7} 2 | 島袋/木元 |
第1セットは序盤から両者ともサービスゲームをキープ。しかし、11ゲーム目でサーブとボレーが安定せず、キープに失敗。直後のゲームでブレイクに失敗し、5-7で第1セットを取られる。第2セットも、一進一退の攻防が続く。しかし、またしても11ゲーム目でブレイクを許す。続く12ゲーム目でラブゲームを許し、ゲームセット。慶大のダブルスの連勝記録は13で止まった。
D2○福田/今村 | 2 {6-2,6-2} 0 | 齋藤/千頭 |
ここまでリーグ戦無敗の福田真大(商3・慶應湘南藤沢)・今村ペアは、序盤から鋭いリターンでブレイクに成功し流れをつかむと、サービスゲームを順調にキープし6―2で第1セットを獲得。続くセットも、安定したストロークで相手のショットを崩してからボレーで得点を重ねていきストレート勝ちを収めた。
D1○逸崎/羽澤 | 2 {7-(8)6,6-1} 0 | 坂井/田中 |
逸崎・羽澤の2人は早大の看板ダブルス、坂井・田中組に挑んだ。白熱の第1セットはタイブレークへ突入。相手に3度もセットポイントを握られるも、逸崎・羽澤は強気の姿勢で耐え抜く。ここで相手のミスからチャンスを得ると、最後は逸崎がボレーを決めきり、第1セットを先取した。「ファーストセットのタイブレーク、セットポイントを耐えたことがセカンドセットのロースコアにつなげられた要因」(羽澤)と振り返るように、ここの勝負をものにした2人は、続くセットの流れも奪う。相手の甘いボールを容赦なく叩きつけ、終始圧倒。6-1で第2セットを終わらせると、強敵をストレートで下す大勝利を挙げた。
S6●畠山成冴 | 1 {7-(4)6,1-6,4-6} 2 | 藤井颯太 |
第1セットはキープキープが続き、タイブレークに突入。相手のサービスゲームでもポイントを重ね、7-4で制した。しかし、第2セットに入ると、ストロークに安定感がなくなる。流れが相手に傾き、1-6で第2セットを取られる。勝負の第3セット、畠山のストロークに安定感が戻り、再び競った展開となる。5ゲーム目でキープに失敗するが、次のゲームでブレイクバックに成功し、それ以降のサービスゲームを確実にキープする。しかし、9ゲーム目で痛恨のブレイクを許すと、10ゲーム目でブレイクに失敗。最終セットを4―6で落とし、手痛い敗戦となった。
S5●中村進之介 | 0 {2-6,0-6} 2 | 齋藤聖真 |
ここ数戦での連敗を晴らすべく、中村進之介(商4・慶應湘南藤沢)はS5に臨んだ。1ゲーム目からデュースの応酬続ける両者だが、中村が相手の隙を突くボールで勝ちきり、ブレイクに成功。好調な滑り出しを見せたかのように思われたが、その後は調子を上げる相手を前にミスを重ねる。甘く浮いたボールを叩かれ主導権を握られると、なかなかゲームを奪えず。結果は2-6、0-6に終わり、明大戦ぶりの勝利とはならなった。
S4●福田真大 | 1 {7-5,2-6,2-6} 2 | 古田伊蕗 |
S4に入った福田の試合は3時間越えのロングゲームとなった。第1セットは何度もデュースまでもつれたが、豊富なフットワークでボールを拾い、スライスを織り交ぜた緩急で相手を翻弄し先取に成功。しかし、第2セットに入ると粘りのテニスでボールを拾い続ける相手に体力を奪われ徐々に足が動かなくなる。第2セットを奪われると、第3セットも相手の名ばり強い守りを崩すことができず逆転負けを喫した。
S3○今村昌倫 | 2 {6-1,6-4} 0 | 田中優之介 |
S2今村は5月の早慶戦で下した田中優之介と対戦。ラリーでは両者の強烈なストロークが飛び交ったが、今村のボールが威力で勝り、相手を突き放す。5ゲーム目の熾烈なデュース戦を勝ち取ると、相手のミスが増え始め、流れは今村に大きく傾く。勢いそのままに第1セットを先取すると、第2セットもフォアハンドでエースを狙いにいき、ゲームを優位に進める。相手の反撃にもリズムを崩されることなく戦い抜き、見事1勝を持ち帰った。
S2●逸崎凱人 | 2{6-3,6-1}0 | 千頭昇平 |
チームの命運がかかったS2。慶大は逸崎を送り出した。逸崎は、調子が悪い中、なんとか踏ん張り、タイブレークに持ち込むが、5-7で落とす。続く第2セット、序盤はゲームの取り合いになる。しかし、中盤から逸崎のフォアハンドの調子が上がり、エースを次々と決めると、主導権を握り、第2セットを6-3で獲得。運命の第3セットは序盤から両者ともサービスゲームを確実にキープする。しかし、逸崎は6ゲーム目のキープに失敗すると、試合の流れが完全に千頭に渡ってしまう。逸崎はそのまま力尽きてしまい、最終セットを2―6で取られた。この敗退により早大の勝利が確定した。
S1○羽澤慎治 | 2 {6-4,6-1} 0 | 島袋将 |
S1羽澤は春に行われた早慶定期戦以来となる、早大のエース・島袋との対戦を迎えた。「とにかく自分のプレーを出し切ることだけ」を意識して試合に臨んだ羽澤は、強気なテニスで6ゲーム目にブレイクに成功するも9ゲーム目のキープに失敗し勝負は10ゲーム目へ。ここで再びブレイクに成功し第1セットを奪った。続く第2セットは、長時間に及んだ1ゲーム目をキープすると、勢いそのままにすぐにブレイクに成功する。その後も隙のないテニスで相手にブレイクを許さずストレート勝ちを収めた。
またしても後一歩届かなかった早慶戦。結果こそ4―5と同じだが、前回以上に王者へと迫った試合展開だった。D1では定期戦で敗れた坂井・田中組に逸崎・羽澤組が勝利し、下位シングルスの試合も紙一重の内容で王座への期待は高まるばかりだ。今回の悔しさを胸に王座では早大にリベンジを果たし、悲願を達成してほしい。
(記事・内田貴啓、堀口綾乃、萬代理人)
◆試合後コメント◆
坂井利彰監督
――今日の試合を振り返っていかがでしたか
このリーグ戦はダブルスすべて3―0に出来ていて勢いをつけてシングルスに臨めていたので、今日も3-0を狙ってオーダーを組みました。本当に紙一重だったと思うので今日出た課題を修正して王座に挑みたいと思います。
――今日のシングルスは惜しかったですね
逸崎も惜しかったし、畠山も福田もチャンスがありました。ただ今日負けた3人も、これまでのリーグ戦では彼らが勝ってくれて勝利しているので、みんながお互いに補い合ってリーグ戦を戦ってきたので、これはもうチーム全体の結果だと思っています。今日出た課題をまた練習していくしかないですね。
――リーグ戦ではダブルスで1回しか負けませんでした
ダブルスは本当に強化してきましたが、まだ足りないものがあると分かりましたので、王座に向けて新たに修正しないといけないところをしっかりやっていきたいです。
――足りない部分というのは
勝負所でのプレーでしょうね。少し引いてしまったり、自分たちの練習してきた形を出せていない部分もあるので、そういったところは修正していきたいです。
――リーグ戦を通してシングルスはいかがでしたか
これまでは羽澤、逸崎、今村は単複重複しても頑張ってくれていましたが、そこに畠山、福田も加わって単複両方戦ってくれました。そういった意味では、シングルスに関しては今まで以上に収穫があると思います。中村主将も今回のリーグ戦では結果が出ませんでしたが、4年の責任感というものが前面に出ていたので、王座では思い切ってやってほしいと思います。
――明大戦、亜大戦ではメンバーを変えて臨みました
そうですね。平山、佐々木、伊藤が出ましたね。来年以降は彼らが主力としたやっていかないといけませんから。まだ出ていない期待の選手もいますが、いい経験をしてくれたと思います。
――リーグ戦4-1という結果はどうですか
王座出場ということが1つの目標でしたが、リーグ戦優勝を目指してやってきたので、今日勝てなかったのは残念です。しかし、チーム全員のチームワーク、ダブルスの成果、シングルスの成果、色々なことで成長していると手応えを感じられたので、すごく良い2週間だったと思います。
――前回の早慶定期戦と、結果は同じでしたがよりチームとして成長したように感じました
そうですね。D1の坂井・田中に対して逸崎・羽澤が前回は負けましたが今回は勝って、D2もしっかり勝ってくれました。相手がD3に島袋君を出してきたから、ダブルス何とか1本取るという気持ちがあったと思いますが、アジア大会でメダルを取っている島袋君のペアに対してもあと一歩というところまで追い詰めえ、(畠山・山崎の二人も)手応えを感じたと思うので収穫だと思います。
――王座に向けて
王座優勝を目指してやってきて、リーグ戦から王座までの間に色々なことを経験してきたので、何をやるべきかということは結構整理できていると思います。王座では、勝つためのやるべきことをしっかりやっていきたいです。
今村昌倫(環2・清風)
――シングルスの試合を振り返って
今までに何回も対戦していた相手だったので、自分のやることは試合前に決めました。今まで通りラリーするところはラリーして、攻めるところは攻めてというふうに、メリハリをつけながら最初から最後まで集中してできたので良かったと思います。
――どんな試合展開をしようと思い入りましたか
相手は調子のいいときはガンガン来るんですけど、団体戦とかプレッシャーのかかった場面では守り気味でやってくるので、自分から勢いを出して、積極的に前へ詰めてプレッシャーをかけていくということを意識してやっていました。
――ダブルスの方を振り返って
ダブルスは特に今までと変えるところはなくて、ポイントの取るパターンとか自分たちの形があるので、それをしっかりとやるだけでした。
――リーグ戦を全勝で終えることとなりました
去年は終盤になって体にガタがきてプレーが落ちてしまったりしたんですけど、今年は第1戦から第5戦までベストな体の状態で対戦できたので、そこは成長したと思います。
――王座に向けて
今日チームとしては負けて悔しい思いをしたので、この思いを忘れずにしっかりと1ヶ月間準備して、全勝で、勝ちたいと思います。
羽澤慎治(環1・西宮甲英)
――ダブルスを振り返って
相手はインカレを優勝していて強いペアでした。ファーストセットのタイブレーク、セットポイントを耐えたことがセカンドセットのロースコアにつなげられた要因だと思います。そこを取り切れる練習をしてきたので、素直に嬉しいです。
――シングルスを振り返って
相手はアジア大会で日本代表に選ばれていて、大学テニス界を代表する選手です。とにかく自分のプレーを出し切るということだけでした。サーブがそこまで入っていなかったので、ラリーでじっくりプレーしました。持ち味をしっかり出せたのがこの結果につながったと思います。相手もひざを痛めたので、万全な状態ではなかったです。次は万全な状態でやればいいなと思います。
――リーグ戦を振り返って
早慶戦は緊張しました。他の試合は緊張しませんでした。ダブルスで勝てて、慶大にとってよかったと思います。王座でこの借りを返すためにしっかり練習したいです。
――単複ともに無敗でしたが
チームに対して貢献できたのは良かったです。最後は負けたので、もう一度締め直してやっていきたいです。
――リーグ戦を通して見つかった課題は
サーブが武器ですが、2週間を通して調子が安定しませんでした。そこをコンスタントに入れられるようにしたいです。
――王座に向けての抱負
決勝で早稲田に勝ってリベンジしたいですが、近大が強いので、近大にしっかり勝ち切って決勝で早稲田に臨みたいです。