【バスケ（男子）】＜コラム②＞チームを勝利に導くスコアリングマシーン――髙田淳貴

お手本のように綺麗なフォームで３ポイントを沈めれば、鋭いドライブでインサイドへ果敢にアタックし得点を量産するアンストッパブルなスコアラー。髙田淳貴（環３・城東）は今や慶大バスケ部の顔とも言えるほどの存在感を放っている。現在得点ランキングでもトップを走り、大学バスケ界屈指のスコアラーへと成長した髙田だが、高校時代は注目を浴びていたような有名選手ではなかった。

３つ上の兄の影響で、小学４年生時にバスケを始めた髙田。高校時代にはインターハイに出場したものの「全国の壁」を痛感という。そんな全国の壁を越えようと仲間と共に切磋琢磨した３年間は充実したものだったと振り返りつつも、その時点では大学でバスケを本格的にプレーする意思は無かった。しかし現在慶大バスケ部の指揮を執る阪口HCに慶大への進学を勧められたことを契機に、慶大の門を叩くことを決意したのだ。

８節終了時点で得点王争いのトップに立っている

慶大バスケ部に入った当初は、「４年間試合に出られないのではないか」と初めての関東暮らしということも相まって不安でいっぱいだったという。実際春シーズンでは早慶定期戦での出場もなく、不安を抱えながら迎えた秋シーズン。「どうせ出るならできることを全部やろう」そう思って臨んだリーグ開幕戦で自身の実力を示すと、２戦目の青学大戦では現在はプロで活躍中の安藤周人（名古屋ダイヤモンドドルフィンズ）に一歩も引かないプレーを見せ会場を沸かせた。こうしてリーグ序盤戦で大きな自信をつけた髙田は、大学入学後に磨いたという３ポイントを武器に得点力を存分に発揮しルーキーシーズンを終えた。

１年時にはジョーカーとして期待以上の活躍

そんな順風満帆な１年目を終えた髙田だが、スタメンとして臨んだ２年目は「１年間通して苦しいシーズンだった」と振り返る。慶大のスタメンとして昨季とは比べ物にならないほどの重責、早慶戦での惨敗、そしてリーグ戦でも振るわなかったチーム成績、そんな中思い描いていたプレーも、理想のスタッツを残すこともできなかったという。

美しいシュートフォームも魅力の一つ

しかしその悔しい思いが髙田を強くした。「去年の二の舞にはなりたくない」。上級生として、そしてエースとしてもう言い訳はできない。昨季は得意の３ポイントを封じれられると攻め手に欠ける場面が多かった髙田は、今季はオフにドライブを磨きオフェンスの引き出しを増やした。その結果がリーグ戦では如実に表れている。昨季は10.6得点に終わった平均得点も、今季は20.0得点。第６節の立大戦では、残り12秒２点差の場面でドライブからのバスケットカウントを決めチームを勝利に導いた。

今季はドライブにも磨きがかかった

高校時代にはポイントガードとしてプレーしていた髙田。高身長ながらアウトサイドをメインにプレーするそのスタイルは、相手ディフェンスにとっては非常に守りづらい存在だ。大柄な選手がマークにつくなら、アウトサイドからガードのような動きで翻弄し、小柄な選手がマークならフィジカルなプレーで得点を重ねることができる。しかしその一方で「ディフェンスを抜いた後の工夫にはまだまだ改善の余地がある」と課題を挙げることも忘れない。その飽くなき向上心が彼をここまでの躍進へと導いたのだろう。悲願の１部昇格に向け、そして個人として目標に掲げた得点王に向けて、髙田の３年目の挑戦はまだ始まったばかりだ。

（記事：内田貴啓）

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