慶應スポーツ新聞会

【競走】1年生が健闘。今後に向けて明るい光/第95回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会

39校457名のランナーたちが新春の箱根路を目指して駆け出した。今回から様々なルールが変更された中、前回の本戦で関東学生連合として出走した根岸祐太(経4・慶應志木)を擁する慶大はメンバーの半分が1年生という構成で挑んだ。下級生の思い切りの良さと上級生の粘り強さが見られ、正式結果は11時間15分1秒。昨年から1つ順位を上げた総合26位で今年の戦いを終えた。

ブロック長の佐伯

第95回の記念大会であるため、本戦出場の切符を得ることができるのは例年よりも1つ増えた11校。だがその一方で今年から予選会への参加条件が厳しくなり、レース距離も従来の20㌔からハーフマラソンへと変更された。挑む今年の慶大は、出走者12名中半分の6名が1年生。彼らは「箱根駅伝プロジェクト」が発表されてから最初に慶大競走部の門を叩いた代だ。上級生が多かった昨年とは打って変わり、フレッシュな布陣でレースに臨んだ。

各大学の応援団と多くの駅伝ファンで埋めつくされた立川駐屯地。スタートの号砲とともに選手たちが一斉に走り出す。序盤から慶大を引っ張ったのは根岸。これまで3年連続箱根駅伝予選会で塾内トップを走り続け、前回の箱根駅伝本戦では関東学生連合として第8区を走り抜いた実力者だ。

だが「ラストイヤーということで少し自分の方でタイムを制御できなかった」(根岸)と、オーバーペース気味の入りとなってしまう。序盤での体力消費がそのまま後半に響き、フィニッシュタイムは1時間5分35秒。レース後には「30点ぐらい」と悔しそうに振り返ったが、「チームのため」に、ラストイヤーを迎えたエースとしての役割をしっかりと果たす走りを見せた。

根岸にわずか12秒差まで迫る好走を見せた杉浦

後続の選手たちは数グループに分かれて集団走をしていたが、レースが進むとともに徐々に単独走へ。最終的にチーム2位でフィニッシュしたのは杉浦慧(法1・成蹊)だ。高校までは中距離を専門としていたが、「自分でも未知の部分が多く、結果がどちらの方向に転んでもおかしくはないような状況」の中で思い切って走ったことが功を奏し、根岸から12秒差の1時間5分47秒でゴール。「根岸さんの背中が見えて素直に嬉しかった」と語った一方、「関東学生連合(の選考)にも絡みたかった」と悔しさもにじませた。杉浦に続いたのも小野友生(総1・東北)、清水拓哉(法1・逗子開成)、鈴木輝(理1・県立浦和)ら1年生たち。下級生の台頭は今後に向けて明るい材料であり、清水もレース後に「(これから)3年間甘んじることなく努力してチームとして箱根に出場できるように頑張ります」と目標を語った。

一年生ながらチーム3位に入った小野

その後は次期長距離ブロック長の田島爽也(法3・熊谷)、印藤剛(経1・慶應)が続いて若い力が躍動する一方、4年生たちも意地の走りを見せる。最初で最後の予選会となった寺本有佑(商4・慶應)、4年連続での出走を果たした永野裕也(文4・土佐)、今年1年間長距離ブロック長を務めた佐伯拓海(総4・松本深志)の順で21.0975㌔を走り終えた。前田大河(商1・新潟)と金子大将(環2・明大中野)も続き、出走した12人全員が無事にゴールした。

次期ブロック長の田島

12人中上位10人の合計が正式タイムとなり、記録は11時間15分1秒。前回の予選会後に保科光作コーチが「来年は10位台を目指す」と語っていただけに、悔しさの残る結果となってしまった。だが「箱根駅伝プロジェクト」はまだ始まったばかり。今回台頭した1年生が切磋琢磨しあってさらなる成長を遂げ、次回こそは観客を驚かせるような順位を残してくれることだろう。

「走っていて、自分より間違いなく強い後輩たち。焦らず無理なくやれば絶対に箱根駅伝の切符は手に入れられる」(根岸)。こんな言葉を聞いてしまったのだから、期待をせずにはいられない。佐伯の「仲間を大切に」という言葉を胸に、チーム一丸となって本戦出場を目指してほしい。

「K」のユニフォームを身にまとった10人のランナーたちが、新春の箱根路で襷をつないでいく――その日を待ち望むばかりだ。                                                 

(記事:川下侑美・写真:染谷優真)

 

全体順位選手名記録
174位根岸祐太(経4・慶應志木)65’35”
192位杉浦慧(政1・成蹊)65’47”
216位小野友生(総1・東北)66’13”
226位清水拓哉(法1・逗子開成)66’22”
254位鈴木輝(理1・県立浦和)67’09”
273位田島爽也(政3・熊谷)67’38”
292位印藤剛(経1・慶應)68’11”
313位寺本有佑(商4・慶應)68’52”
336位永野裕也(文4・土佐)69’28”
339位佐伯拓海(環4・松本深志)69’46”
346位前田大河(商1・新潟)70’03”
369位金子大将(環2・明大中野)71’28”

以下、選手コメント
佐伯拓海(環4・松本深志)長距離ブロック長
――今日のレースを振り返って
4年間の集大成として、13㌔地点まではしっかり引っ張れたんですけど、そこから不甲斐ない走りになってしまい、自分の中では納得のいく結果とはなりませんでした。しかし、若い力の成長が目まぐるしくて、自分自身のレース以外で振り返るとするならば、来年のレースが楽しみになったというのが率直な感想です。

――去年とは条件の異なるレースとなりました
駐屯地でスピードが出やすいという中で他大の選手はスピードに乗っていってしまって、そこで僕自身が集団に乗れなかったので、僕としてはやりにくかったです。

――ブロック長として大切にしてきたことはありますか
3年生までは自分のレースのことしか考えられていなかったんですけど、ブロック長になってからは広い視野を持って行動することは大切にしていました。後輩の背中を押してあげたり、時には厳しいことも言ったりしていました。あとは、「仲間を大切にすること」ですね。厳しい中にも優しさを持って接したり、信頼関係を築くことを大切にしていました。

――競走部としての4年間を振り返って
4年間全体として見ると苦しかったことのほうが多かったです。でも、今日の予選会が終わった時に、「良いチームだな」と感じて、良い4年間だったなと思えました。ブロック長として良いチームにできたと思えたその喜びが、全ての苦しみを払拭してくれました。4年間苦しい反面、最後の最後で幸せがあったのかなと思います。

――今後期待している後輩はいますか
全員に期待はしています。その中でも、僕は田島爽也(法3・熊谷)を次期ブロック長に認めているし、背中で見せられる強い選手になれると思うので、期待したいです。

――後輩にメッセージを一言お願いします
「仲間を大切に」っていうことだけです。今まで、口酸っぱく言ってきたので、そのことに尽きます。

寺本有佑(商4・慶應)
――今日のレースを振り返って
ブロック長の佐伯が1㌔3分15秒の自分のグループを引っ張ってくれて、自分はそれについていくだけだったので、チーム8位に入ることができました。本当に佐伯や他のメンバーのおかげだと思います。

――競走部での4年間を振り返って
結局4年間で予選会走れたのが今年だけだったので今振り返るともうちょっと最初からやれたのかなっていう気持ちはありましたけど、やっぱり今までやってこれて良かったと思っていますし自分は大学で陸上続けてよかったなと思っています。4年間、楽しかったです。

――4年間で一番の思い出は
やはり今日ですね。

根岸祐太(経4・慶應志木)、清水拓哉(法1・逗子開成)
――今日の試合を振り返って
根岸:あまり調子が上がってなかったというのもあってタイムは望めなかったのですが、その中では最低限の走りはできたかなという感じはあります。ただ、20kmの通過が去年よりも1分20秒遅かったりもするので結果としては30点くらいですかね。
清水:僕は一ヶ月前までの合宿中ケガでほとんど練習できていなくて、ケガが治った一ヶ月前から予選会に向けて仕上げる形になりました。自分の中ではもう少し早く走りたかったなあという気持ちはありますが、まあ合格点に乗った走りだなとは思っています。

――レースプランは
根岸:一年生の小野と一緒にいって小野を学生連合に入れさせるっていうのが自分の使命だったのですが、最初ラストイヤーということで少し自分の方でタイムが制御できていなかったので結果としてはひとりで走る展開となり、また予定よりも速いタイムで入ったことで後半きついレースになってしまったかなと思います。
清水:1㌔3分10秒で押すように、と(コーチの)保科さんに言われていたのですが、少し早くてもいいかなあと思っていて、1㌔3分5秒くらいで行く予定でした。それでもそれより速くなってしまって、最初突っ込みすぎてずっと耐えていくという展開になりました。

――今日どのような思いで走られましたか
根岸:自分は去年の予選会で関東学生連合入りを決めて、そこから箱根駅伝走りましたが今年はルール上関東学生連合に入れないという状況だったので、この数ヶ月前モチベーション的にも保ちづらい部分もありました。しかしその中で今日はそういうの全部抜きにしてチームにために少しでも速く走るっていう気持ちで走ることができたので、それは良かったかなと思います。
清水:一年生には誰にも負けたくないなって思っていて、結果二人に負けてしまったのでそこは悔しいですね。

――一緒に練習する上でお互いをどのように捉えていましたか
根岸:正直なところ清水君は他の一年生と比べたら圧倒的に練習自体は弱いので、こんなに走れるとは思っていなかったのですが、逆に練習の部分で走れるようになったら試合ではもっと速いタイムで走れるんじゃないかなっていう伸びしろがあると思うので、そこに関しては期待しています。
清水:僕は根岸さんが言われていた通り練習で弱くて、根岸さんは練習で常に先頭を引っ張った上にさらにどんどん先を行くって感じだったので練習では遠い存在でした。本当に頼りになりました。

――根岸選手は4年間振り返っていかがですか
根岸:4年間あってその中で一回箱根駅伝というものを味わえたということが、自分としてはこの4年間の箱根駅伝予選会で得た最も大きい部分だったと思います。その点でラストイヤーの今年に関してももう一度箱根駅伝を走りたいという気持ちは強かったのですがそこは叶いませんでした。それでも4年生のラストイヤーで後輩たちが力強い走りを見せてくれたのでその点では悔いなく引退できるというか、今後後輩に自分が担ってきたものを託せるチームだなと感じられたので4年間振り返ってやってきてよかったなと思います。

――後輩へメッセージを
根岸:後輩がチームの上位に食い込んできてはいますが、やはり箱根駅伝はまだまだはるか遠いレベルの存在なのでそこに関しては甘んじることなくやって欲しいなというのがひとつと、逆に遠い存在とは言いましたが自分が走っていて、自分より間違いなく強い後輩たちなのでその点では焦らず無理なくやれば絶対に箱根駅伝の切符は手に入れられると思います。これから後輩たちがチームを引っ張っていくことになりますが、その勢いをチーム全体に発揮していって欲しいなと思います。

――清水選手は根岸選手のメッセージを受けていかがですか
清水:根岸さんはその身で箱根を体感された方なので、根岸さんがおっしゃったように箱根が遠いというのも身をもって感じています。今回一年生は割と良かったと思っているので、期待に応えられるように3年間甘んじることなく努力してチームとして箱根に出場できるように頑張ります。

――来年への意気込みを
清水:先ほども言ったように今年は1ヶ月間で仕上げるような、自分としては反省の残るレースの迎え方だったので、来年はしっかりと合宿などで走りこんで万全の状態で臨んで少しでも箱根に近づけるように頑張りたいと思います。

杉浦慧(法1・成蹊)
――まず、率直な感想を
ハーフマラソン(21.0975㌔)の距離がそもそも初めてだったので、しっかりと走り切れたことは良かったと思います。ですが、学生連合への選出に絡むことができなかったことについては自分の実力不足を感じましたし、悔しいです。夏合宿でもっと距離を積めていればもう少し変わっていたかなと思います。

――初めての予選会に対しての緊張などは
とてもとても緊張していました(笑)一昨日くらいからアドレナリンが出まくっていたのか寝つきが悪かったので、あまり眠れていませんでした。ですが結果的には走れたので、良かったと思います。

――今回のレースを細かく振り返っていただくと
最初の1㌔は3分5秒くらいのペースで入ることになっていたのですが、実際にはそれよりも少し速いペースでした。「この勢いのままで大丈夫かな」という不安は多少ありましたが、その中で駐屯地をうまく走ることができて、7、8㌔地点でも余裕はありました。10㌔の通過が31分10秒で、1㌔あたり3分7秒というペースでした。とても良い状態だったなと思います。ですが15㌔付近ではだいぶ苦しくなってしまいました。公園内ではとにかく粘ることしかできないなと思っていたためそこは気持ちで頑張りましたが、最後はスタミナ不足が露呈してしまいました。

――慶大の幟(のぼり)も多く見られましたが、応援は力になりましたか
とても力になりました。中高生の頃よりも応援の規模がはるかに大きく、一つ一つの応援が聞こえて幸せでした。

――今日のレースプランは
昨年本戦に出場した根岸さんと小野(友生=総1・東北)を軸に、その2人を追う形で自分たちが走るという予定でした。ですが序盤からばらけてしまったので、もう少し集団走をしていたかったなと思います。設定タイムが自分たちの練習からしたら少し速いような感覚があったので、勇気が必要でした。今回は自分でも未知の部分が多く、結果がどちらの方向に転んでもおかしくはないような状況でした。

――1年生が多いメンバー構成でした
「箱根駅伝プロジェクト」が始まってから初めての入学生なので、このようになることはある程度分かっていました。「僕たちでチームを引っ張っていく」くらいの気持ちで臨みました。

――今回のご自身のタイムについては
こんなに走れるとは思っていなかった一方、少し悔しい気持ちもあります。根岸さんは箱根も実際に走っていらっしゃいますし、ここまでの半年間でいくら「勝ちたい」と思っていてもなかなか届かない存在でした。今回その背中が見えたことは素直に嬉しかったです。ですが、関東インカレの標準を切ることができなかったのは悔しく、自分の実力不足だなと思います。また心のどこかでは学生連合にうまく絡んでいきたいなと思っていたので、それも悔しいです。参加資格記録が他の部員に比べて物足りなかった分、逆にそれで燃えているところがありました。

――チーム内2位という順位については
狙ってはいたので、ちょっと「しめしめ…」という感じですね(笑)(笑)嬉しかったです。

――夏合宿について
夏合宿では、けが続きで全然走れていませんでした。僕は中高では中距離の選手だったので、これほどの練習量に慣れていませんでした。合宿でもう少し走ることができていれば…とは思います。

――最後に、今後に向けて
自分で思っていたよりもハーフマラソンの距離を走ることができたので、これからは関東インカレの標準を切っていけるようにしっかりと練習を積んでいきたいと思います。また、来年はできる限り、箱根駅伝本戦の出場枠を争っていけるようなチームにしていきたいと思っています。自分も引っ張っていけるように頑張っていきたいと思います。

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