【ラグビー】大量14トライで圧倒 対抗戦最終戦を白星で締めくくる/関東大学対抗戦Aグループ⑦VS青学大

ラグビー

 

若い力でも青山学院大を圧倒した

 関東大学対抗戦最終戦となった青学大との対戦。後半、ディフェンスに苦しみ連続トライを許す場面もあったものの、全体を通して主導権を握ったのは慶大だった。早慶戦で課題となったラインアウトも好調をみせ、前半後半それぞれ7トライ、計14トライを決め98-17と青学大を圧倒した。慶大蹴球部は対抗戦を5勝2敗の第3位で終え、目標とする「大学日本一」を懸けた大学選手権へと進む。

 

 

得点

慶大

 

青学大

前半

後半

 

前半

後半

T

G

PG

DG

49

49

小計

12

98

合計

17

 

平成30年関東大学対抗戦AグループVS青学大

 

12月1日(土) 11:30K.O. @熊谷ラグビー場

 

T=細田、安田、植竹、辻本、山本、山中、若林、古田、阿部、小原、中本2、有賀、沖

G=古田9、南5

ポジション

 先発メンバー

 交代選手

1.PR

細田 隼都(商4・慶應)

→後半0分 有賀 光生(総3・國學院久我山)

2.HO

安田 裕貴(政3・慶應)

→後半0分 中本 慶太郎(経4・慶應)

3.PR

大山 祥平(経2・慶應)

→後半19分 菅 公平(政4・慶應)

4.LO

相部 開哉(政2・慶應)

→後半0分 北村 裕輝(経2・慶應)

5.LO

植竹 創(商4・湘南)

 

6.FL

辻本 大河(法4・慶應)

 

7.FL

山本 凱(経1・慶應)

→後半14分 濱野 剛己(総2・桐蔭学園)

8.No8

山中 侃(商4・慶應)

 

9.SH

若林 俊介(政2・慶應)

 

10.SO

古田 京(医4・慶應)

→後半9分 南 翔大(総4・常翔学園)

11.WTB

小原 錫満(総4・東海大仰星)

→後半28分 沖 洸成(総2・尾道)

12.CTB

豊田 康平(総4・國學院久我山)

 

13.CTB

阿部 直孝(政1・國學院久我山)

 

14.WTB

丹治辰碩(政4・慶應)

 

15.FB

宮本 恭右(環2・慶應)

 

 

 1週間前に行われた早稲田との伝統の1戦ではわずかな点差に泣いた慶大。対抗戦最終戦となるこの青学大との対戦では相手を圧倒して勝利し、大学選手権へ弾みをつけたいところだ。

 

 慶大のキックオフで試合は始まった。試合開始直後、慶大は青学大の反則から敵陣22メートルライン付近でのマイボールラインアウトを得る。そこからボールをテンポ良くつないでゴールラインへじわじわと攻め込むと、前半3分にPR細田隼都(商4・慶應)がトライを決め早くも先制点を得た。続く11分にまたも敵陣でのラインアウトを得ると右へ展開、最後はLO植竹創(商4・湘南)がゴールへと独走しトライを奪った。

波に乗った慶大の猛攻はこの後も止まらない。16分に敵陣ゴール前でマイボールスクラムのチャンス得るとそのまま押し込みNo8山中侃(商4・慶應)がグラウンディング。20分にも敵陣右サイド22メートルライン付近のラインアウトを成功させると、華麗なパス回しで左サイドへと展開、WTB小原錫満(総4・東海大仰星)が相手ディフェンスをかわしトライを決めた。慶大は得意とするラインアウトからのモールでゴールへ押し込み、26分にもHO安田裕貴(政3・慶應)がトライを奪い、得点を重ねていった。

ラインアウトモールでトライを重ねた

ここまで一歩も譲らない慶大は、32分にSO古田京(医4・慶應)が相手ディフェンスをかわしてインゴールへ飛び込みさらに青学大を突き放した。その直後の34分、意地を見せた青学大に自陣ゴール前での相手ボールのラインアウトからこの日初めてのトライを許してしまったものの、前半終了間際の42分にFL辻本大河(法4・慶應)のトライで取り返した。地力の差を見せつけた慶大は前半を49-5と大差をつけて終えた。

 

 さらにリードを広げたい慶大が迎えた後半。5分にFL山本凱(経1・慶應)がビックゲインを見せそのままトライを決めると、9分にCTB阿部直孝(1・國學院久我山)もゴールの中央へ飛び込んでトライ。ルーキー2人が立て続けに得点を挙げ慶大を勢いづけると、HO中本慶太郎(経4・慶應)が2連続トライ、さらにゴールライン付近まで攻め込んだFL濱野剛己(総2・桐蔭学園)のボールを受けPR有賀光生(総3・國學院久我山)もトライを奪った。

前後半通してここまで相手を圧倒してきたが、ここから青学大の反撃が始まる。27分、青学大は慶大陣地内でスクラムを得るとそこからパスでボールをつなぎ果敢に攻め込んできた。慶大は必死のディフェンスで前進を食い止めようとするも、ついに29分、ディフェンスの間を抜かれ失トライ。これで青学ペースに飲まれてしまうと、33分、左右を大きく使った青学大のアタックに翻弄され、またもトライを許してしまった。

青学大の反撃に対して黙ってはいられない慶大は、相手のパスミスを逃さずボールを奪ったWTB沖洸成(総2・尾道)がトライ。さらに試合終了間際、丹治辰碩(政4・慶應)がゴール間際まで運んだボールをSH若林俊介(政2・慶應)が受けインゴールに飛び込みトライを決めた。SO南翔大(総4・常翔学園)のゴールキックも決まったところでノーサイド。主導権を奪い返し、青学大の追加点を許さず98-17で圧勝した。

タックルには課題も

 

 後半、ボールを持たれたままターンオーバーできず苦しい時間が続き、ついには連続でトライを決められてしまう場面もあり、ディフェンス面では少々不安が残る試合となった。しかし早慶戦で課題となったラインアウトは「練習の成果を試合で出すことができた」(安田)というコメント通り、高い修正能力をみせて今試合ではすべて成功、勝利を呼び寄せる一つの要因となった。また、全体を通して多彩な攻撃でトライを量産し、青学大を圧倒できたことは大きく評価できるだろう。

 

 最終戦を白星で飾った慶大は、対抗戦を5勝2敗で終え、第3位で大学選手権へと進む。目標としている優勝へはここから負けなしの4勝が必要となる。全国の強豪を相手に、負ければ終わり、というプレッシャーもかかる厳しい戦いとなるだろう。しかし、対抗戦を通してより一層の成長を遂げてきた彼らの総力を結集すれば必ずや乗り越えていける壁だ。まずは12月16日(日)の京都産業大との戦いでの1勝をチーム一丸となってもぎ取り、悲願の「大学日本一」へ確実に歩みを進めていってほしい。

 

(記事:松嶋菜々美/写真:竹内大志、重川航太朗)

 

 

帝大

明大

慶大

早大

筑大

日体大

青学大

成蹊大

勝敗数

帝大

 

●15-23

〇24-19

〇45-28

〇66-10

 

〇90-7

 

〇141-7

〇113-7

6勝1敗

明大

〇23-19

 

●24-28

 

〇66-21

 

〇31-17

 

〇88-0

〇110-0

5勝2敗

慶大

●19-24

〇28-24

 

●14-21

 

〇35-24

 

〇84-17

〇98-17

〇68-14

5勝2敗

早大

●28-45

〇31-27

〇21-14

 

〇55-10

〇68-10

〇123-0

〇99-5

6勝1敗

筑大

●10-66

●21-66

 

●24-35

 

●10-55

 

〇55-24

〇73-31

〇101-0

3勝4敗

日体大

●7-90

 

●17-31

 

 

●17-84

 

●10-68

●24-55

 

●23-26

〇59-12

1勝6敗

青学大

●7-141

●0-88

●17-98

●0-123

●31-73

〇26-23

 

〇21-12

2勝5敗

成蹊大

●7-113

●0-110

●14-68

 

●5-99

 

●0-101

●12-59

●12-21

 

7敗

 

次戦(大学選手権) 12月16日(日)VS京都産業大

12:05K.O. @キンチョウスタジアム

 

 

以下、コメント

 

 

植竹創(商4・湘南)

——試合を振り返って

フィジカルで圧倒するというのが今日のターゲットだったのでそれを80分間貫き通したかったですが、後半特にできなかったところがあったので次に活かしたいと思います。

 

——メンバー発表された時の心境は

特にあまりなかったです。自分としてはチャンスだと思いましたが、あまり気負ってもできることは変わらないので最善の練習をして挑むことを考えました。

 

——発表されてから試合までの期間どういったことを意識されていましたか

LO辻雄康(文4・慶應)は慶應の中でキープレイヤーだと思うので、辻がいない中で自分がFWをどううまく回すか、引っ張っていくかが大事だと思っていたので練習中のコミュニケーションの面はすごく意識して増やすようにしていました。

 

——後半うまくいかなかった部分についてもう少しお聞かせください

アタックは割とうまくいきました。

ディフェンスでは一人目のタックラーの精度とブレイクダウンのチャレンジの精度がすごく悪くて、相手に広いところで回されてしまいました。

もっとディフェンスでターンオーバーできたかなと思います。

 

——それは連続でトライを奪われた場面でしょうか

あの辺りが特にディフェンスがルーズになっていたかなと思います。

 

——植竹さん自身について、今日の試合はどうでしたか

ディフェンスで体を張れるようになりたいので、そういう面で自分のいいディフェンスができませんでした。もっと練習するしかないかなと思います。

 

——今までの対抗戦の振り返りと大学選手権に向けて一言

Aチームがすごく強くて、その下のBチームがあまりAチームに追いついていないというのが一番のチームの課題だということが対抗戦で分かったので、Bチームはもっと練習にハードに取り組んで、僕を含めてもっとブースターの層を厚くしたいと思います。

それが結果的に日本一につながると思うので、もっとチーム一丸となって戦っていきたいと思います。

 

 

小原錫満(総4・東海大仰星)

——今日の試合を振り返って

個人的にはだめな部分が多くて課題が出たので、もっと成長したいと思えた試合でした。

 

——悪かったところというのは

ボールをもらって外で抜けた後に、トライに繋げられなかったのが、悔しかったです。

 

——BK陣としてはいかがでしたか

相手が上がってきて、外から上がっても内からフォローがくるようなディフェンスをされたので、そこに対応ができなかったのは問題だったなと思います。でも、外にボールを運ぶということを意識して臨んで、そこはできていた部分もあったので、良かったかなと思います。

 

——早慶戦後からの調整は

早慶戦では外で上手くアタックすることが課題で出たので、そこを克服できるように準備してきました。

 

——早慶戦から復帰となっていますが

ブランクが長かったので、試合勘を取り戻すことと、体を張ることでチームから信頼を得ようと意識しています。今日は最後の方のプレーで相手に弾かれてしまったので、悔しい部分もありましたが、まだこれから頑張りたいです。

 

——チームとして対抗戦を振り返って

明治戦では自分たちの強みをしっかりと出せていい結果にも繋がったので、大学選手権では常に自分たちの強みを出せるようにしていきたいです。

 

——ここから大学選手権に向けてはどういった調整を

チームで激しく練習をしていって、個人としても課題を克服できるよう、準備していきたいです。

 

——ラストシーズンにもなりますが

そうですね。20年近くやってきたラグビーが最後になるので、悔いのないように思い切りやっていきたいと思います。

 

 

FL辻本大河(法4・慶應)

——今日の試合を振り返って

前半後半通してアタックのブレイクダウンがあまり良くなく、青学大の早い絡みに対して自分たちが接点をクリアにすることができず、やりたいことができなかったので、個人的には反省点が多い試合でした。

 

——セットプレーの出来はどうでしたか

今日はラインアウトが良かったです。ラインアウトは早稲田戦でかなりミスがあったので先週1週間は自分たちが今までしてきた基本的なスキルの部分でとれるようにしようと決めて練習をしてきて、今日はそれが成果として出たのですごく良かったと思います。

 

——自身のトライの場面を振り返って

モールでのトライだったので僕のトライというよりかはモールが良かった結果だと思っています。モールも先週1週間重点を置いて取り組んできたので成果が出てよかったです。

 

——自身のプレーについて

もともとFL川合秀和(総3・國學院久我山)とFL山本凱(経1・慶應)がアタック面でもディフェンス面でも突出していて、自分がそれよりもレベルを落としてしまうのは良くないので、ディフェンスで前に出てしっかりタックルするという自分の持ち味を80分間続けられるように意識していました。

 

——今後に向けての意気込み

個人としては、今日は反省点が多く見つかったのでしっかりと反省し、来週の頭の練習からしっかりそこを改善して今後もメンバー入りに絡んでいけるようにしていきたいです。チームとしては日本一を目指していけるように頑張ります。

 

 

HO安田裕貴(政3・慶應)

——今日の試合を振り返って

最初の20分はフィジカルで相手をしっかり圧倒しようという話をしていました。その部分に関してはできたと思いますし、いい流れをチームに持ち込めました。

 

——ラインアウトは全て成功しましたが、早慶戦からどのような修正を

早慶戦からの1週間では「相手のいないところにボールを投げる」ことと「しっかり相手と距離を取る」ことを突き詰めていました。練習の成果を試合で出すことができたと思います。

 

——モールについては

モールはもともと自分たちの強みだったので、しっかりラインアウトでボールを取ってモールを組めれば、トライを獲れると思っていました。

 

——スクラムに関しての手応えは

本当は早慶戦で相手にもっとプレッシャーをかけたかったのですが、本番でそこまで組む回数が多くなかったので…。ですが自分たちは厳しいスクラムの練習を積んできていたので、「まずは自信をつけるために青学大を圧倒しよう」と臨みました。スクラムトライも獲れたので、今回は良かったと思います。

 

——大学選手権に向けての意気込みを

HOというポジションですし、まずはスクラムとラインアウトで安定したプレーでチームに貢献したいです。フィールドでも激しく前に出られるように頑張りたいと思います。

 

 

SH若林俊介(政2・慶應)

——スターターとして今日はどんな準備を

できることは限られているので、特に自分のやることは変えずに、きちんとやるべきことを全うしようと。あとはBKを使って外で取り切るために、自分のパスを生かせるよう意識していました。

 

——自分にできることはなんだと思いますか

長いパスでFWを広く当てて、相手ディフェンスが戻ってくる前にBKに速いパスを出して外にスペースを作るのが自分の仕事だと思っています。

 

——今日の試合はどうでしたか

前半は相手が外側からかぶってくるディフェンスをしてきたときに、内側でゲインできて外に振れたのがよかったです。後半は自分のプレーが注意散漫になってきたところがあるので、最後まで集中力を保っていきたいと思いました。

 

——スクラムの手応えは

FWが頑張ってくれました。エリア取りも楽にできたし、モールも取り切れて、とても助けられました。

 

——ご自身のトライの場面について

あれは別に自分の前が開いただけなので、FWがしっかりディフェンスしてくれたなという感じです。

 

——他の攻撃の部分では

CTB阿部直孝(政1・國學院久我山)のトライに関して、自分のパスでお膳立てできたところがよかったです。

 

——対抗戦を振り返って

自分はブースターという立場で大きな試合にはあまり出番がありませんでしたが、この前の早慶戦で途中から出させてもらって、自分としては手応えのあるプレーができました。これからもブースターとしてベンチに入ることがあると思うので、出場した時は流れを変えられるプレーができたらいいなと思います。

 

——途中から出ると違うものですか

SHは比較的走るポジションなので、フレッシュな選手が出てくるとチームのテンポを上げることができると思います。

 

——選手権に向けて

負けたら終わりなのと、偉大な先輩達と試合ができるのも最大であと4試合しか残されていないので、1試合1試合噛み締めてやっていきたいです。

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