2018年、慶大野球部は春季リーグ戦では早慶戦前に優勝を決定させるなど粘り強さを発揮。続く全日本大学日本選手権でもベスト4に輝くなど結果を残した。一方で、優勝候補として臨んだ秋季リーグ戦、三連覇まであと一歩のところから優勝を逃すという悔しい結果となった。秋季リーグ戦で味わった悔しさを晴らすべく主将を郡司裕也(新環4・仙台育英)、副将を柳町達(新商4・慶應義塾)、金澤爽(新商4・済々黌)の二人が務める新体制がスタートした。今回は郡司主将に2019年慶大野球部の意気込みを伺った。
ー新たな伝説ー
――まずは主将になった経緯について教えてください
今年の秋に、僕を含めて2人が主将に立候補して、その中でみんなが僕を選んでくれたという感じです。
――どうして立候補しようと思ったのですか
正直に言うと、僕しかいないなという思いで手を挙げさせてもらいました。
――選出された理由は
いろんな人から意見を聞いたのですけど、僕は特別リーダーシップがあるわけではないのですが、やっぱり1年生の頃から試合に出させてもらっていて、今まで以上に結果を残して、結果でチームを引っ張っていってほしいということでみんなが選んでくれたのだと思います。
――今までに主将を務めた経験はありますか
小学生の時と中学のシニアでやりましたね。
――主将になってから変わったことは
まだ今は基礎的な練習ばかりだったので、あまりキャプテンとしての仕事がなくて、実感していないというのが正直なところです。
――主将になったことで意識し始めたことは
やはり1年生から4年生まで全員から注目される立場だと思うので、練習でも私生活においても、ちょっとでも気を抜いたらチームが悪い方向に向かってしまうと思うので、練習一つとっても、気を抜かないようにしたいと思っています。
――郡司選手が目指すリーダー像は
自分は口数が多い方ではないので、一言一言に重みを持たせて、それが一人一人に響くような、そういうリーダーというか、人間になりたいと思います。
――郡司選手が描く理想の主将像に当てはまる人はいますか
この慶應にいた三年間の中でもやっぱり去年の河合さんは本当に尊敬しています。河合さんもあまり声でチームを鼓舞するタイプではないなかで、同期からも下級生からもかなり信頼が厚くて、河合さんの言ったことはすべて納得できましたし、僕が目指す、一言に重みがあるキャプテンだったので、ひとまずは河合さんを目標にして最終的には河合さんを超えることを目標にしたいです。
――主将就任を受けて、河合前主将からコメントは
特には…(笑)「頑張れ」とだけ言っていただきました。
――大久保秀昭監督からは
キャプテン・4番・キャッチャーとなるといろんな責任があって、これから大変になると思うんですけど、監督には「全部背負う必要はないから、任せるところは人に任せてもいい」ということを言っていただいて、僕らの代でしっかり役割が分かれているので、人に任せることも大事だと教えていただきました。
――大久保監督が慶大野球部で4年生だった時と今の郡司選手は立場が似ていると思いますが、監督からのアドバイスをやはり意識していますか
やっぱり僕と監督は境遇が似ているところがあって、監督はキャプテン・4番・キャッチャーという立場で春秋連覇を達成しているので、そういった意味で聞くことはたくさんあると思っています。僕は1年生の秋からスタメンで出させていただいているのですけど、大久保監督じゃなかったら1年生の時から使ってもらっていなかったと思っていて、今後慶應を背負っていってほしいという意味も込めて出させていただいていたのだと思うので、その期待にこの1年間で答えられたらなという風に思っています。
――同期の雰囲気はどうですか
去年の4年生が素晴らしい代で、雰囲気も良くて、その雰囲気が僕たちの代でも継続されているなという感じですかね。
――副将のお二人の印象は
柳町は、副主将を選ぶにあたって僕と似ているタイプの選手を1人出そうということで、僕に何かあったり、僕がいなかった時に代わりになってくれるのが彼だと思っています。金澤はちょっと異質だと思うのですが、グラウンドに立って引っ張るタイプではなくて、今はノックを打ったりとか練習のサポートをしたりする傍らで練習にも入っているというすごい立ち位置にいるのですけど、声も出ますし、気も利きますし、僕にはないものを持っているので、頼りにしています。
――学年としてはどうチームを引っ張っていきたいですか
ミーティングも何回か重ねているのですが、4年生が引退されてから今まで毎朝3年生(新4年生)が何人か練習時間より早く集まって、今年(2018年)の反省と来年(2019年)の抱負を発表し合っていたんですけど、一人一人よく考えられているというか、この時点で自分の立ち位置とか役割をよくわかっている選手が多くて、チーム作りという意味では心配いらないと思っているので、あとはとにかく野球のレベルを高めていきたいですね。
――新4年生の代にはプロから注目されている選手も多く、周囲からの期待も今まで以上に大きいと思いますが、プレッシャーはありますか
プレッシャーはあまり感じていないですけど、去年は3年生以下がたくさん試合に出させてもらったので、今年は僕たちの代が最前線に立って下級生を引っ張れたらなと思います。
――キャプテン・4番・キャッチャーという大役を任されることになりますが、それについてのプレッシャーはどうですか
まだ感じてないですね。試合になったらちょっとずつ感じていくかもしれないですけど、監督にも言っていただいたように、全部を背負わずに信頼できる同期に任せるところは任せたいと思っています。
――練習試合の時に初めて10番のユニフォームに袖を通した時のお気持ちは
22番が定着していたので、まだ慣れないというか…。時間がたてば見慣れてくるとは思うんですけど、10番をつけたときに周りが似合う派と似合わない派に分かれてしまいました。10番が似合う男になりたいです(笑)まだちょっと賛否両論って感じですかね。柳町には似合わないと言われました(笑)
――新チームの強みは
まだあまり試合をしていないのでやってみないと分からない部分も多いですが、僕が思うに経験者が多いというところだと思うので、実力が経験に伴っているかはわからないですけど、神宮の舞台を経験している選手が多いというのは土壇場だったりチャンスだったりしたときに落ち着いていられる要因になるんじゃないかと思っています。
――逆に課題はありますか
やはりピッチャーが少ないことですね。本来の実力を出してくれればかなり層が厚いピッチャー陣にはなると思うんですけど、けが人も多いですし、秋は実力が出せなかった選手も多くて、春もどうなるかがまだ全く読めていない状況なので、冬の間に立て直していきたいところです。
――郡司選手が期待している選手は
ピッチャーの佐藤宏樹(新環3・大館鳳鳴)にはやっぱりかなり期待していますし、彼が出てくれば、かなり優勝に近づくと思っています。バッターで言えば、福井(章吾=新環2・大阪桐蔭)がスタメンで出るようになってくれれば、彼は大阪桐蔭出身という強みもありますし、チームとしての雰囲気も良くなるかなと思っています。
――昨シーズンの敗戦から学んだことは
リーグ戦では使えるピッチャーが2人は必要だということを一番感じたシーズンでした。髙橋佑樹(新環4・川越東)1人ではやはり最後にスタミナが切れてしまいましたし、来年(2019年)に向けて一番大きな課題は2人目のピッチャーだと思うので、そこはキャッチャーとしてピッチャーを育てていければと思います。
――チーム河合から受け継いでいきたいことは
4年生を中心としたチーム作りというところで見習うべきポイントはたくさんあって、試合に出ている、出ていないに関係なく、4年生が献身的に一番チームのために動いていたので、そこは新4年生にも継続してもらいたいです。
――郡司主将が描く理想のチーム像は
勝った時にはスタンドのみんなが本気で喜んで、負けた時にはスタンドのみんなが涙するくらい悔しがって、試合に出ているかどうかは関係なく、みんなで感情を共有できるようなチームです。
――チームの目標は
早稲田に勝ってリーグ戦で優勝することです。去年は春も秋も早稲田にだけ負けているので、そこをとりあえず一番大きな目標にしたいと思っています。
――郡司選手個人の目標は
僕がキャプテンになったからにはやはり結果が求められると思うので、打率にしてもホームランにしても打点にしても、数字的な意味でチームの中で一番高くありたいです。
――最後にケイスポの読者の皆様に向けて意気込みをお願いします
今までもたくさん応援していただきましたが、いよいよ最終学年となり、今まで以上の活躍をするのはもちろんのこと、秋に連覇が途切れてしまったので、またここから“常勝慶應軍団”を作れるように春秋連覇を目指して頑張ります、応援よろしくお願いします。
――お忙しい中、ありがとうございました!
(この取材は12月15日(土)に実施しました。)
(取材:澤田夏美 写真:菊池輝)
◆郡司裕也(ぐんじ ゆうや)
1997年12月27日生まれ。仙台育英高を経て、環境情報学部新4年。捕手。高校時代は3年時に春夏共に甲子園出場し、夏は準優勝に輝く。慶大入学後は1年春からリーグ戦に出場するようになり、1年秋から3年秋まで全66試合に捕手としてスタメン出場。180センチ、84キロ。右投げ右打ち。