4月29日(木)、平塚競技場にて、第4節駒大戦が行わ
れた。前節リーグ戦初黒星を喫した慶大はDF笠松(総3)のボランチに起用や、森田(経2)・風間(商3)のスタメン起用など布陣を大きく変更して試合に臨んだが、試合前の突然のにわか雨が予知していたかのような悪夢の結果となってしまった。
第84回関東サッカーリーグ戦【前期】1部リーグ 第4節
2010/4/29(木)11:30 KO@平塚競技場
駒澤大学3-0慶應義塾大学
{得点者}前半28分 棗祐喜(駒大)、後半12分 金久保彩(駒大)、後半36分 金正也(駒大)
前半序盤、慶大は2度のフリーキックを黄(総3)が直接狙うも枠を捉えられない。また18分には金房(商4)からのパスを山浦(商2)がフリーで受け、ミドルレンジからシュートを狙うもDFに寄せられチャンスを逸してしまう。そしてこれ以降、チャンスを生かしきれない慶大と対照的に、駒大はロングフィードが前線につながり始め、徐々に駒大がリズムをつかみ始める。そして28分、ついに慶大は先制を許してしまう。しかし失点後、前がかりになった慶大は中盤がフリーでボールを受けられるようになり、シュートまで持っていくシーンも増え、得点の匂いを漂わせる。その中で40分には、コーナーキックのこぼれ球をこの日ボランチで起用された笠松が拾い、強烈なシュートを放つもわずかにサイドネット。結局1点ビハインドで前半を折り返した。
後半、開始直後に2枚目のイエローカードで1人少なくなった駒大に対し、慶大は前半最後の勢いに乗って一気に逆襲かと思われた。しかし、FW1人を残して守りを固めてきた駒大に対し、「全然数的優位という感じはしなかった」と河井(政3)が語るようにスペースが見つけられない。そんな中、DFが競り負けたボールをシュートまで持って行かれ、これがゴール左隅に決まり追加点を許す。失点後、慶大は20分に川久保(理2)、30分に大塚(総3)といった攻撃的な選手を投入するも、ディフェンスラインを崩さない駒大に対し、ボールを支配するも孤立してしまい、味方を探すシーンが散見されリズムを掴み切れない。逆に慶大はカウンターからサイドバックの裏のスペースを突かれピンチを作られてしまう。そしてなかなか波に乗り切ない中で迎えた36分、直接フリーキックをGK中川(環3)がはじいたところを詰められ、試合を決定づける3点目が入ってしまう。その後、後半ロスタイムにゴール前の混戦で川久保がシュートを狙うもうまくヒットせず、0-3の完敗で試合終了。慶大にとっては悪夢の90分間となってしまった。
後半ロスタイムの2失点での敗戦から中4日。ケガやコンディション不足もあり満足にスタメンを組めない慶大は先制点を奪われて自滅してしまうという悪い意味で「慶大らしい」サッカーで敗戦を喫してしまった。しかし2連敗で早くも正念場に立たされた慶大にとって「1個1個のプレーへの執着心だったりそういうところは確実に相手の方が上」だったと三上主将が語る通り気持ちの部分で相手に負けないことが大事だろう。次節、中3日で迎える相手は法政大。去年、2連勝している相性の良い相手だけに気持ちを「切り替えて」(李監督)、攻守ともにハードワークを厭わないいい意味での「慶大らしい」サッカーを見せてほしい。
By Daiki Yamamoto
コメント李監督
(思い切った布陣変更だったが意図は)そこまで変わったことはないが、黄を中に入れて相手の9番の高さ対策をした。去年もそういうことをやっていた。(大塚選手を外した理由は)相手の中盤に小さくて速い選手が何人かいたので、こぼれ球を拾われる可能性があるかなと思って、そういう対策として外した。(悪かった点は)最初の15分は流れがいいかなと思ったが、そこでうまくゴールまで行かなかった点が1つあって、前半ああいうパターンで点を取られてちょっと自信を失くした。後半1人退場になってもみんな受け身になってしまってゴール前でシュートを打たないでボール回しばかりになってしまい、そういうところで選手交代だとかでは僕の選択が間違ったかなと思う。我々にとっては最悪の試合だったと思う。ただもうこれはリーグ戦ですから、2点でも3点でも負けは負けだし、1点でも入れれば勝ちは勝ちだし、だから次に向けていい薬になってほしい。(いい薬にするためにどう修正するか)落ち込んでいるので、気持ちの切り替えですね。これはリーグ戦であって、1発勝負ではないので、まだまだ先は長いですし。(今日はボール支配率的には勝っていたにも関わらず、シュートまで持ち込めなかったが)それは相手の狙い通りであり、それを乗り越えて行かないといけない。ただミドルシュートとかワンツーとかそこで人を探していたら遅いので、そこでシンプルにダイレクトでプレーしないといけないし、あとサイドもクロスを上げたり、そういうバリエーションを増やさないといけない。そういう対策はずっと前の週からやってきたが、最後までうまくいかなかった。まぁうまくいっていたら点も取れていたと思うし。だからそういったところでだんだん自信を失って、相手は体を張るし、そういうところで弱気になって流れが悪くなったかなと思う。(今日は風間選手がスタメンだったが、FWの選手起用はこれからも流動的にしていくのか)まぁケガとかもあるし、調子のいい選手、この点で選択肢が増えたらいいんじゃないかと思う。(交代選手の意図は)全部攻撃的な選手ですし、左サイドの内田はちょっと調子が悪かったので。あとは負けていたので、前の選手を変えて人数かけるしかないなと。(その中でよかった点、評価できる点は)1つもない。まぁ前向きに考えて行こうということですね。(次節、期待したい点は)次はもう切り替えて、受け身にならず、チャレンジ精神を持って戦ってほしい。まず攻撃であったらシュートを打つ、人を探すのではなくゴール前なのだから。もちろんきれいに崩して点を決める時もあるけれどもそういったことはあまりないので、ミドルシュートを打つ、サイドに散らして人数かけて攻めていくというのを考えて行かなければいけないかなと思う。
三上主将
(新たな布陣で臨まれましたが、振り返って)出たメンバーがどうこうっていうよりかは、今のこのチームの実力がはっきりと出たという感じです。(黄選手とのCBのコンビネーションは)去年からずっとやっているし連携の面では別に問題なかったですけど。そうですね…上手くいかなかったです。(敗因は)いろいろありますけど、1個1個のプレーへの執着心だったりそういうところは確実に相手の方が上でした。一個のパスとか一個のトラップとかそういうところのこだわりもそうだし、まず気持ちの部分で相手に負けたと思います。(中3日では立て直すのに時間が足りなかったですか)いや、そういうのは全く関係なくて、単純にもっと一人一人が自立するというかに大人にならなきゃいけないと思います。(次節まで中3日ですが、できることは)もう一回ひとりひとりが危機感を持って、このままじゃ落ちてしまうってことを強く認識して取り組んでいかないといけないと思います。(主将として何を働きかけますか) 今言ったような危機感を植え付けることや、本当に甘くないんだよっていうことを。経験が少ない選手が多いので。今日なんか見ていても1点取られたら沈んじゃって、2点取られたら雰囲気また沈んじゃっていてっていうのがすごい見られて。そこも何ていうか…サッカー選手として大人になりきれていないというか。2点目取られた時間も全然早かったし全然取り返す時間はあったので、そういう雰囲気のところを言っていけたらいいです。
笠松副将
(ポジションが前節とかなり変わりましたが、その意図は)駒澤相手ということで、前にどんどん放り込んでくるだろうというのがあったので。FWに大きい選手がいるということもあって、(黄)大城を真ん中に入れて、セカンドボールを俺が拾うっていう、そういう意図があってあの布陣になりました。(実際やってみて)中々ああいう形で実戦をやってみたことがなかったので、若干のとまどいはあったんですけれど。失点した場面は典型的な駒大の得意とするパターンだったので…布陣がどうこうというよりはそのパターンにやられてしまったということの方が反省点ですね。(ではそういう部分をどう直していく)やっぱりそれは意識の問題だと思うし、連携であったり、声であったり。出来ることをしっかりやれば、というわかりきったところを直せれば防げたことだと思うので。(ちょっと、いじりすぎて機能しなかったかなという見方もあると思うんですが)やりにくいというか、まぁ自分自身もボランチはあまりやったことのないポジションではあったので、とまどいはゼロではなかったんですけれど、そういうことを理由にしてはいけないと思うので。任されたところをしっかりやらなくてはと思います。(次節に向けてどうすればいいと)今日は悪い部分しか出なかったので、課題だらけだからこそ、そこをもう1回見つめなおして。そういう意味ではもう1回原点に還って、自分たちのサッカーはどういうものなのかということを見つめなおして修正していくしかないと思います。(では修正していくところを具体的に挙げると)基本的な部分、球際だったり競り合いで負けてしまっていること。というのはあるし、まぁ回せてる部分で点に繋がるようなパスや動きだしがなかったり、そういうところで、自分たちがなんでボールを繋いでいるのかというところをきちんと考えないと点につながらないと思うので。今日も得点はゼロでしたし、直していきたいと思います。
中川
(今日の試合を振り返って)一言で言うと最悪ですね。結果もそうなんですが、自分たちのサッカーが全く出来なかったので最悪の試合でした。(3失点を喫したが、メンバーが入れ替わった影響はあるか)いつもとは違うメンバーだったが、こういう事態も想定して、シーズン前とかに試していたんで、そんなにはないと思う。ただ駒大と比べてうちは玉際の強さがなかったり曖昧なディフェンスをしてしまった。今日は多くの課題が残った試合だったんじゃないかと思います。(数的優位になった後半もシュートまで行けなかったが)今日のように、相手にひかれた時にどうやってシュートまで行くのかという形が見えなかった。今後同じ状況になった時にどうするのかチーム全員で考えないといけない。(次節に向けて)今日負けて2連敗になってしまった。昨年も3連敗というのはなかったし、それは絶対避けないといけないと思っている。後ろは2試合連続で失点しているんで、まずは0に抑えられるように。勝ち点3を取れるように頑張りたい。
河井
(今日の試合を振り返って)とりあえず完敗という感じです。1人少なくなっても全然数的優位という感じはしなかったし、もうちょっと1人少なくなった時点で一人一人が考えてサッカーをしなくてはいけなかったと思います。(敗因は)一人一人が戦えなかったことですね。駒大は一人一人が戦っていたし、もうちょっと球際とか競り合いとか、そういう一つ一つをもっと戦わないといい試合はできないと思います。(前半の途中から低い位置まで下がってゲームメイクしていましたが)そうですね、ボールが来なかったので、自分が組み立てるしかないと思ってやりました。(それは監督の指示なのか)後半途中からは監督の指示で、ポジションを一つ下げて組み立てろ、と言われました。本当は前半からあの位置で僕じゃない人がやってくれれば一番いいですけど。そういうところを反省して行かなくちゃいけないと思います。(次節法大戦に向けて)2連敗してしまったので切り替えて、中3日しかないのでしっかり調整して、次勝てるようにやっていきたいと思います。
風間
(試合の敗因は)もう内容的にも本当押されていて、気持ちの面とか球際とかセカンドとか、戦術的なこと言うとそういう駒澤は凄い気持ちがあったのに対し、慶應は気持ちが無いわけじゃないですけど相手に比べたら足りなかったのかなっていうのと、自分が点取んなきゃいけない所で取れなかったのでそれが敗因だと思う。(今年初スタメンでしたが)いや、本当にやりたかったんで凄い頑張ろうと思ったんですけどちょっと内容的にももう一歩引き締めて頑張りたい。(駒澤の印象は)まあ、毎年ああいう風なので蹴ってくるのは分かっていたし、やっぱりそういう所で勝たなきゃいけないところで勝てなかった。(次の試合への抱負は)まあ、次も出れるようだったらとにかく点を取ってチームの勝ちに貢献したい。
【初出場選手コメント!】
岩田
(今日の試合を振り返って)全然何にも出来なくて、もっと積極的に前線でクロスなど上げたかった。次のチャンスがあったら、生かしたい。(公式戦初出場の雰囲気は)今日は負けている試合で、積極的に前線に顔出すよう試合前に監督にも言われていて、そういうことを意識していた。緊張はなかった。(負けている中の出場だが)自分が試合の流れを変える気持ちで行った。(今後の目標は)まずは試合にもっと出れるようにしたい。次に出たときは、もっと良いプレーをしたい。
慶大メンバー
GK 中川翔太(総3)
DF 内田雄一朗(商4)→岩田修平(総1)
DF黄大城(総3)
DF三上佳貴(政4)
DF金房拓海(商4)→大塚尚毅(総3)
MF藤田息吹(政2)
MF笠松亮太(総3)
MF山浦公裕(商2)→川久保理(理2)
MF河井陽介(政3)
FW風間荘志(商3)
FW森田達見(経2)
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