8月最終日、蝉時雨の降る駒沢オリンピック公園ではAブロック単独1位を走る明大を相手に慶大の第3戦が行われた。「粘って食らいついて勝つ」と挑んだこの一戦だったが、序盤から明大の猛攻が襲い掛かり慶大は防戦一方となる。第2Qでは新戦力のAT平井友香子(総1・同志社)がフリーシュートを決めチームを盛り上げるも、慶大の得点はこの1点のみ。終始ゲームの主導権を握られ、1-8の惨敗を喫した。この敗戦により、慶大はFINAL4進出へ向け窮地に立たされることとなった。
第32回関東学生ラクロスリーグ戦 第3戦 vs明大
8月31日(土)12:20ドロー @駒沢オリンピック公園総合運動場第二球技場
◇得点◇
◇慶大出場選手◇
<スタメン>
AT 荒井理沙(経4・慶應女子)
AT 井上ゆり子(経3・慶應湘南藤沢)
AT 平井友香子(総1・同志社)
MF 清水珠理(商3・慶應女子)
MF 日野美咲(商3・慶應女子)
MF 脇坂遥香(経4・慶應女子)
DF 平井淑恵(商4・慶應女子)
DF 石井有花子(政4・雙葉)
DF 野々垣眞希(商3・慶應女子)
G 西村佳子(政4・東京女学館)
<ベンチメンバー>
AT 北村理沙(経2・慶應女子)・MF 針山怜子(文4・慶應NY)・竹内梨紗(政4・慶應女子)・溝口友梨奈(経3・慶應女子)・川久保博子(理1・慶應女子)・山本真菜美(総1・同志社)・DF 浅井七海(商4・慶應女子)・山﨑菜朋子(政3・東洋英和女学院)・G 青山芽生(政4・慶應湘南藤沢)
関東リーグ3戦目の相手は開幕2連勝中と波に乗る明大だ。慶大にとって勝てばFINAL4行きがぐっと近づく一方、負ければ窮地に立たされるこの試合。集客試合ということもあり多くの観客がスタンドから見守る中、緊張の慶明戦が幕を開けた。
試合は開始直後のドローを制した明大が先に主導権を握った。素早く正確なパス回しで慶大ゴールを囲むとカットインからのシュートを連発。G西村佳子(政4・東京女学館)が幾度の危機を救うも3分、再び中を攻め込まれたところを抑えきれずに先制点を許してしまう。さらにその後のゲームでもポゼッションを保つ明大は8分に追加点を挙げ、一気に2点差へ。1Q終盤には慶大の攻撃時間が見られるも、相手Gにコースを読まれ得点には繋げられなかった。
続く第2Q序盤は慶大の攻撃が続いた。1年の川久保博子(理1・慶應女子)などを筆頭に果敢にゴールを狙い続け7分、AT平井友香子(総1・同志社)がフリーシュートを決め、ついに待望の1得点目を手にする。1年選手の活躍によりチームも奮い立ったように思われたが、その後はチャンスシーンでのパスミスが目立ち歯痒い展開が続く。残り時間2分半を切る終盤には明大の攻撃が再び激化し、立て続けに2失点。1得点目の勢いに乗れないまま1-4で前半を折り返した。
両校のチアリーディング部によるパフォーマンスが終わると後半戦が始まった。前半からの劣勢を断ち切りたい慶大だが、開始わずか40秒で相手ATに自陣を切り込まれ5点目を許してしまう。この勢いに負けじと速攻を仕掛けていくが、攻め急いだところ相手DFに抑えられ得点はならず。「慶應がポゼッションを失うのが早くて、どんどん明治のペースにハマってしまった」。DF平井淑恵(商4・慶應女子)が振り返るように、攻撃時間を生かしきれない間に、試合は完全に明大の独壇場へと化していく。3Qに3失点を許すと、続く4Qも無得点のまま無情にも時間は過ぎていった。最終スコア1–8の完敗に終わり、リーグ戦初黒星をつけた。
「決めきるところで決めきれていれば明大の優位性が小さくなって同じ目線で戦えた」。今季のDFリーダーを務める平井淑は今回の試合を冷静に振り返る。終始明大がゲームの主導権を握る中で、確かに慶大のチャンスもいくつか存在した。しかし、連携やシュートの面で“もったいない”点が多々見られ、決定力に欠いてしまった。「ATの得点力がない」、荒井理沙主将(経4・慶應女子)は早慶戦から問題視してきたこの課題を改めて口にした。
明大がAブロック1位を独走する今、残る5校がFINAL4へのもう一枠を争う。ここから先の勝利は絶対条件。勝ち点が並ぶ場合は得失点差で順位をつけるため、「得点力」が勝負のカギを握ることとなる。チーム全体として、得点の決定力を詰めていくことが求められている。もうあとはない。残された希望へ向け、背水の陣で挑む慶大の泥臭い逆転劇に期待したい。
(記事:堀口綾乃 写真:菊池輝)
次戦 9月8日(日) vs成蹊大
11:50ドロー @千葉大学西千葉キャンパス
◇星取表◇※9月1日(土) 20:30現在
◇選手コメント◇
荒井理沙(経4・慶應女子)
――今日の試合を振り返って
現在ブロックの中で明大がとび抜けている状態で、それに対して粘って食らいついて勝つことを目指して臨みました。でも、結果的に点差をつけられてしまったのと、試合を通して思ったことはATの得点力がないというところです。セットアタックにならずとも、ブレイクで決めきれないというところがあったと思うので、ボール持ちや迷わずにシュートへ向かう強さを今後のリーグに向けて修正していけたらと思います。
――明大戦の対策は
明治は粘って粘って、1枚抜けてシュートを打てると思わせながらゴールに近づいたところで潰すという、ダブルの出方が上手いチームなので、そこに釣られずにしっかり外に展開して狙いどころを突こうとしました。しかし、ちょっと欲張ってブレークシーンでゴールへ入り込んで相手ゴーリーの狙うところにシュートを打たされ、ポゼッション時間が短かったところが敗因かなと思います。対策をしたのに、ATからポゼッションの意識で外に広げるという展開をできなかった点が反省点です。
――1年選手の活躍も光りました
1年の3人はのびのびとやってくれたので、良かったと思います。でも、その子たちに対して周りのATが早くさばいたりとか出しやすいところに顔出ししてあげることができなかったから、彼女たちも出せなかったところが多かったです。あと、(山本)真菜美(総1・同志社)はU19と重なって合宿などもいなくて、あまり合わせて練習できなかったことや、明大戦に向けては明治の得点力を抑えるためにDFめの練習をしていてATの方に目を向けられていなかったことが反省点にあります。今後は得点を稼ぐしかないので、1年の強いプレーと合わせたカットなどができるようにしたいです。
――今後に向けて
負けられない試合が続く中で、今は東海大と成蹊と三つ巴の争いをしていて、明大に続く2位を狙うものとしてはやはり得点を稼がなくてはならないので、ATからのシュートとブレイクから決めきるという練習をして、残る試合で大量得点ができるように頑張ります。
平井淑恵(商4・慶應女子)
――どのような意識で今日の試合に臨みましたか
試合に入る前からディフェンスの時間が長くなるということは予測できていたので、その長い間のディフェンスでいかに自分たちのポゼッション時間を増やせるかというのを意識して今日の試合に入りました。
――苦戦を強いられた要因は
ディフェンス時間が長い中でもチャンスがあってその時に慶應がポゼッションを失うのが早くて、どんどん明治のペースにハマってしまったんだと思います。あとは、相手の方が上に立って、相手に動かされていた感がありました。そういった意味で、決めきるところで決めきれていれば明大の優位性が小さくなって同じ目線で戦えたのではないかと思います。
――明大の攻撃陣の印象は
1人が攻めてくるチームではなくて、チームとして慶應に対する、ディフェンスに対する攻め方を決めていて、慶應のディフェンスをゆっくり見ながら、個々が攻め急ぐのではなくゾーンディフェンスの一番弱いところを突かれたなという印象です。
――今後に向けての意気込み
負けられない試合が続くんですけど、そういった中で今日の試合を受けて自分たちが自信をなくすのではなく、今までの3試合で学んだことや反省点はたくさんあります。それらを生かしてプラスのメンタルで次の試合と最後の試合に臨んでいけたらと思います。
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