関東大学対抗戦Aグループ vs早稲田大
慶大10-17早大
11月23日(土)14:05K.O.
@秩父宮ラグビー場
さすがは宿敵同士の意地のぶつかり合い。ただでは終わらない。前半にトライを2本決められるも、トライとPG(ペナルティゴール)でしっかりと追いついた。後半は早大を1トライに封じ、ラストプレーも敵陣深くまで迫った。結果は伴わなかったが、最後まで早大を苦しめた。この黒星で、ここまで勝敗で並んでいた筑波大、日体大の結果を待たずして大学選手権への出場可能性は消滅。しかし栗原由太主将(環4・桐蔭学園)率いる120代は、大観衆の見守る中でたしかに爪痕を残した。
ラグビーワールドカップによるラグビー人気もあってか、この日の前売り券は完売。前日から降り続ける雨にも関わらず、秩父宮ラグビー場には1万6千人を超える観客が訪れた。
前半3分、早大が早速慶大ディフェンスの裏をかくキックを繰り出し、そこにうまく合わせた早大WTB・古賀に先制のトライを許した。
ハーフウェイラインからのSO中楠一期(総1・國學院久我山)の再開のキックを相手選手がまさかのノックオン。また早大SH・齋藤のパントキックは競り合うことなく慶大にボールが渡るなど、ここまで対抗戦を全勝で突き進む早大らしからぬプレーが散見した。
そこにつけ込みたい慶大だったが蹴り合いの末、自陣で15分に初めてのノックオン。相手ボールスクラムから右サイドへと素早い展開を許し、早大WTB・古賀にこの日2度目のトライを決められてしまった。
その直後、SO中楠の再開のキックを受けた相手選手をFL山本凱(経2・慶應)が鋭いタックルでとらえると、その密集で相手のハンドを誘った。敵陣ゴールライン前でのラインアウトという絶好のチャンスから、モールに持ち込むことなくHO原田衛(総2・桐蔭学園)が相手ディフェンスの隙を突きグラウンディング。SO中楠がコンバージョンキックを成功させて7−10とし、反撃を開始した。
その後はWTB宮本恭右(環3・慶應)のタックルが決まるなど、一度自分たちに傾いた流れを簡単に渡さなかった。早大を相手に「タックルで抵抗するしかない」(栗原徹HC)と、明大戦後の2週間で磨きをかけた慶大伝統のタックルが早大に炸裂。互いに譲らない展開が続いた。
マイボールスクラムからSH上村龍舞(環4・國學院栃木)の蹴り出したボールを受けた相手選手がタッチラインを越え、敵陣でのマイボールラインアウトを獲得。それを難なく成功させてWTB宮本やFL山本のゲインで切り込んでいくと、たまらず相手ディフェンスがペナルティ。SO中楠がPGを成功させ、ラストプレーで同点に追いついて試合を折り返した。
後半9分にはディフェンスラインのギャップを突かれ、10―17と再びリードを許してしまう。
その後相手のキックが直接タッチラインを割り、獲得したラインアウトを成功させて敵陣深くへ切り込むなど、ポゼッションで早大を上回った。
しかしその後は再び互いに譲らない展開となり、試合は膠着。29分に敵陣でオブストラクションを誘発すると、またも敵陣22mライン付近まで迫る。途中出場のWTB鬼木崇(法1・修猷館)の待つ左サイドへのロングパスなど大胆な攻撃を見せ、観衆を沸かせた。順調にフェーズを重ね、FL川合秀和(総4・國學院久我山)がラックを跳び越えてついにゴールライン目前に至ったが、その密集からボールを出せず反則を取られた。自陣でのラインアウトモールで相手にアドバンテージを与えるなど、じわじわと戻されていく。敵陣まで持ち込むも得点に結びつけられず、後半により多くの失点を喫しての黒星を繰り返してきた今年の慶大。しかしこの日、秩父宮にそんな彼らの姿はなかった。相手のキックを受けたFB沖洸成(総3・尾道)が得意のステップで相手ディフェンスを突破し、FL川合のゲインでハーフウェイラインまでボールを戻したところで相手にオフサイドの判定。ロスタイムに7点差、敵陣22mライン付近でのラインアウトというまさに起死回生の展開。そこから約3分にわたりフェーズを重ねたが、最後はパスミスを相手にすくわれ、外に蹴り出されて試合終了を迎えた。
早大相手に9年ぶりの勝利とはならなかった。しかし、試合終了の瞬間の早大フィフティーンの渾身のガッツポーズ。下馬評では慶大が劣勢とされる中、あれは最後の最後まで相手を追い詰めたことを表しているだろう。「慶應として準備してきたことが出せた」(上村)、「今シーズンに入って一番自分らしさを出せた」(栗原)など、選手たちからも前向きなコメントが多く見られた。
持てるもの全てを出し切った。「慶應のプライド」を見せつけた。だが、対抗戦はこれで終わったわけではない。大学選手権出場は絶たれたものの、1週間後には帝京大戦が待っている。春季大会、10月の練習試合と苦渋を味わわされた相手だ。しかし明大戦から早慶戦へと、ここにきて間違いなくチームの状態は良くなっている。120代最後の公式戦、いったいどんな好ゲームを我々に見せてくれるのだろうか。
(記事:竹内大志 写真:野田快、萬代理人)
次戦 vs帝京大
11月30日(土)11:30K.O.
@秩父宮ラグビー場
栗原徹ヘッドコーチと栗原由太主将の共同記者会見、出場選手たちの試合後個別インタビューはこちらから
「自分たちらしさを出せた試合」早慶戦試合後コメント集
以下出場メンバー、星取表
◇出場メンバー
【Starter】
1.PR(プロップ) 有賀光生(総4・國學院久我山)
2.HO(フッカー) 原田衛(総2・桐蔭学園)
3.PR(プロップ) 大山祥平(経3・慶應)
4.LO(ロック) 相部開哉(政3・慶應)
5.LO(ロック) 今野勇久(総1・桐蔭学園)
6.FL(フランカー) 川合秀和(総4・國學院久我山)
7.FL(フランカー) 山本凱(経2・慶應)
8.No.8(ナンバーエイト) アイザイア・マプスア(総1・King’s College)
9.SH(スクラムハーフ) 上村龍舞(環4・國學院栃木)
10.SO(スタンドオフ) 中楠一期(総1・國學院久我山)
11.WTB(ウィング) 佐々木隼(総1・桐蔭学園)
12.CTB(センター) イサコ・エノサ(環1・King’s College)
13.CTB(センター) 三木亮弥(環3・京都成章)
14.WTB(ウィング) 宮本恭右(総3・慶應)
15.FB(フルバック) 沖洸成(総3・尾道)
【Booster】
16. 安田裕貴(政4・慶應)
17. 松岡勇樹(法1・慶應)
18. 室星太郎(総4・静岡聖光学院)
19. 川端隼人(理4・國學院久我山)
20. 濱野剛己(総3・桐蔭学園)
21. 鬼木崇(法1・修猷館)
22. 栗原由太(環4・桐蔭学園)
23. 鎌形正汰(商3・慶應)
【選手変更】
53分 イサコ・エノサ→22栗原由太
60分 佐々木隼→21鬼木 崇
65分 相部開哉→20濱野剛己
67分 有賀光生→16 安田裕貴
◇星取表
帝京大 | 早稲田大 | 慶應義塾大 | 明治大 | 筑波大 | 青山学院大 | 日本体育大 | 成蹊大 | 勝敗 | |
帝京大 |
| 32●34 | 11/30 | 17●40 | 24○22 | 80○7 | 59○30 | 78○7 | 4勝2敗 |
早稲田大 | 34○32 |
| 17○10 | 12/1 | 52○8 | 92○0 | 68○10 | 120○0 | 6勝 |
慶應義塾大 | 11/30 | 10●17 |
| 3●40 | 14●17 | 35○3 | 27●30 | 101○0 | 2勝4敗 |
明治大 | 40○17 | 12/1 | 40○3 |
| 59○33 | 63○12 | 103○0 | 139○5 | 6勝 |
筑波大 | 22●24 | 8●52 | 17○14 | 33●59 |
| 11/30 | 46○23 | 87○19 | 3勝3敗 |
青山学院大 | 7●80 | 0●92 | 3●35 | 12●63 | 11/30 |
| 18●37 | 21○17 | 1勝5敗 |
日本体育大 | 30●59 | 10●68 | 30○27 | 0●103 | 23●46 | 37○18 | 11/30 @江戸川陸上競技場 | 2勝4敗 | |
成蹊大 | 7●78 | 0●120 | 0●101 | 5●139 | 19●87 | 17●21 | 11/30 |
| 6敗 |
これまでの対抗戦記事一覧
対抗戦ついに開幕!終始トライ許さず好発進/関東大学対抗戦①VS青山学院大
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強力FW陣が躍動 前半戦を良い流れで締めくくる/関東大学対抗戦③VS成蹊大
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