第3節では法政大を相手に大きな勝ち点1を獲得した荒鷲軍団が、第5節・中央大との戦いに臨んだ。前半は相手のサイドを起点とする攻撃に苦しめられ、押し込まれる展開が続く。それでも必死のディフェンスでスコアレスで前半を折り返すと、後半になって投入した選手が躍動する。試合が動いたのは62分。橋本健人(総3・横浜FCユース)が蹴るCKを古川紘平(政2・学習院)が頭で合わせて先制に成功する。続く68分にはカウンターから山本献(商1・國學院久我山)のパスをフリーになっていた橋本が右足で合わせて追加点。その後も相手を攻め立て、88分には橋本のドリブルからのパスを古川が沈め、トドメの3点目。守備も最後まで集中を切らさず守りきり、今季初の無失点試合で勝ち点3を獲得した。
2020/8/1(土)15:00ko @RKUフットボールフィールド
【スコア】
慶應義塾大学 3-0 中央大学
【得点者】
1-0 62分 古川紘平(慶應義塾大学)
2-0 68分 橋本健人(慶應義塾大学)
3-0 88分 古川紘平(慶應義塾大学)
◇慶大出場選手
GK田原智司(環4・静岡学園)
DF日川優太(商3・高崎)
DF東山航大(総4・柏レイソルユース)
DF谷本竜一(総3・FCトリプレッタユース)
MF石原大暉(文4・杉並学院)
MF勝俣昴亮(商4・清水東)→88分 中畝楓流(法4・桐蔭学園)
MF内桶峻(政4・國學院久我山)
MF杉本崇太朗(政4・名古屋グランパスユース)→55分 古川紘平(政2・学習院)
MF山本献(商1・國學院久我山)→90+2分 山田大敬(総3・京都サンガFCユース)
MF山田敦久(政4・桐蔭学園)→HT 橋本健人(横浜FCユース)
FW松岡瑠夢(総4・FC東京ユース)→64分 宮本稜大(商2・國學院久我山)
法政大相手に貴重な勝ち点1をもぎ取った慶大だが、第4節が延期になったことで2週間ぶりの公式戦となった。昨年1部5位と一筋縄でいかないであろう中央大相手に鍵となるのはやはりディフェンス。最小失点で切り抜けることが至上命題となるだろう。
梅雨はすっかり影を潜め、夏の鋭い日差しが照りつける中で前半開始のホイッスルが吹かれると、開始早々からサイドを起点に攻め立てられる。3分、6分と立て続けにシュートを打たれるも、シュートブロックによって難を逃れる。慶大は15分、山本献のインターセプトからカウンターを仕掛け、コーナーキックのチャンスを得るも勝俣昂亮(商4・清水東)のシュートは枠を捉えることができない。25分には相手の強烈なミドルシュートに対して田原智司(環4・静岡学園)が好セーブを見せるなど、粘りの守備が続く展開となる。38分、カウンターから松岡瑠夢(総4・FC東京ユース)がシュートを放つも相手キーパーにセーブされる。
その後は押し込まれる展開が続き、身体を張ったディフェンスによって耐え凌ぐ時間が続くも、なんとか前半をスコアレスのスコアで折り返した。
後半、流れを変えたい慶大はレノファ山口加入内定のキーマン・橋本健人を投入する。数日前のJ2公式戦にフル出場していたこともあり、疲労を考慮してスターティングメンバーを外れていた橋本が攻守に良いリズムをもたらすと、55分には開幕節でゴールを決めた古川を投入。試合を動かしたのは途中出場の2人だった。62分にCKのチャンスを迎えると、橋本のクロスを古川が頭で合わせて先制に成功する。均衡を破り勢いに乗ると、68分にはカウンターから右サイドを駆け上がる。途中出場の宮本稜大(商2・國學院久我山)の折り返しを受けた山本が中に流すと、フリーになっていた橋本が右足で合わせて追加点。ルーキー山本にとっては嬉しい初アシストとなった。
攻撃が守備にも良い流れを生み、好ディフェンス、好セーブも光る。88分には中盤で受けた橋本が敵陣を高速ドリブルで切り裂いてゴール前まで1人で持ち込むと、折り返しを古川が落ち着いて合わせてダメ押し点を加える。
荒鷲軍団は最後まで攻守共に勢いを失うことなくピッチを駆け抜けた。前半は苦戦を強いられるも、終わってみれば3対0と快勝。淺海監督も「出来過ぎ」と表現するような見事な戦いで勝ち点3を獲得した。
今節の勝因を挙げるとすれば前半をスコアレスで折り返せたことだろう。どんなに支配されようが、何本シュートを打たれようが、点を取られなければ負けないのがサッカーだ。試合を通して粘り強いチームディフェンスを実演し、押し込まれても決して先制点を与えなかった。攻め立てているのに点数が取れないという展開が相手に焦りを与えたことは間違いない。全得点に絡んだ橋本の仕事ぶりはまさに圧巻の一言だったが、それをお膳立てしたのはやはり粘り強い守りだろう。また、古川や宮本など途中出場の選手たちが活躍したことからも、チームの状態の良さが伺える。90分を通して集中力を切らさずにクリーンシートを達成したということは、チームに大きな自信を与えたに違いない。チームで守り、役者が決める。1部での戦い方を身につけた荒鷲軍団が旋風を巻き起こし、Deep Impactを与える日はそう遠くはないだろう。
(記事:林亮佑、写真:室留裕介)
淺海友峰監督
--交代枠を有効に使い、3対0の快勝でしたが、試合全体を振り返って
結果は出来過ぎですし、修正点は多くありますが、よく頑張ってくれたと思います。
--初の無失点なりましたが、守備についてはどのように評価は
無失点はディフェンス、キーパーはもちろん全員がサボらなかった結果だと思います。ただ、運もあるので更に成長しなくてはなりません。
--次節の駒澤大戦に向けて、どのようにチームを組み立てていきますか
もう一度競争を促し選手をフラットに観ながら、一方で選手と一緒にチームを作っていきたいでいきたいです。
橋本健人選手(総3・横浜FCユース)
--スコアレスの状況での途中出場でしたが、どのようなことを意識でピッチに入りましたか
前半失点せずに戻ってきてくれたので、得点を生み出すと強く決意して入りました。
--セットプレーやドリブル突破などで全得点に絡む活躍を見せましたが、試合を振り返って
全員でハードワークして、無失点で終えれたことが今日の勝因です。また、みんなでこだわっているセットプレーや、前節の反省を踏まえ、ボールを奪った後1本目のパスを丁寧に繋ぐ、など、チームとして作り上げているものが結果に結びついたので、とても嬉しいです。
--今季、結果を出し続けている要因についてご自身ではどのように分析していますか
強い責任感と覚悟、そして仲間の存在だと思っています。平日レノファ山口の方で練習することが多く、今年はソッカー部の練習に出る機会が少なくなっています。それでも試合に出させてもらっているので、結果を出す、という強い覚悟を持って毎試合臨んでいます。また、それを受け入れてくれているみんなには、とても感謝しています。
--次節に向けて一言
強いチームは連勝します。次節も勝利できるよう、また1週間チームとしていい準備していきます。
古川紘平選手(政2・学習院)
--本日は途中出場からの2得点でした。ご自身で振り返って
ベンチから見ていて前半は押し込まれる展開が続いていたので、途中から入って点を取ることで流れを変えられてよかったです。2ゴールとも素晴らしいパスが自分のところにやってきたので、チームメイトに感謝です。
--均衡を破る先制点はコーナーキックからのヘディングでした。セットプレーで意識していることは
意識していることは勢いよく敵の前に入って触ることです。キッカーの橋本の精度がかなり高いので僕は信じて突っ込むだけです。
--今後に向けての意気込みをお願いします
これからもチームを勝たせられるよう、少しでも楽にさせられるよう、ひたすらゴールを狙って行きたいと思います。
山本献選手(商1・國學院久我山)
--初スタメンでしたが、どのように試合に臨みましたか
初スタメンでしたが、緊張はありませんでした。チームを代表する11人に選ばれたことに責任を感じつつ、同時に自信と楽しむ気持ちを持てたからだと思います。
--2点目では初アシストを記録しました。2点目を振り返って
慶應の攻撃はカウンターが多いので、ボールを持った選手を追い越していくことと、練習でやってきたことが出せたのでとても嬉しかったです。決めてくれたハシケンくん(=橋本健人)に感謝です。
--開幕から1ヶ月近く経ちましたが、チーム内の連携について
週ごとに振り返りを行うことでチームの雰囲気が良くなってきてる気がしてます。それが結果に繋がると信じています。
--これからの試合に向けて抱負をお願いします
これからも強い相手が立ちはだかっていますが、チャレンジャー精神を持ち、一人一人が成長すれば勝てない相手はいないと思います。1部でディープインパクトを残せるように頑張りたいです。