後半に入ると立ち上がりから慶大が相手ゴールへと迫る。
松岡の遠い位置から左足で放ったミドルが相手に当たり、
55分に獲得したCKのチャンス。
ショートコーナーで上手く相手ディフェンスのタイミングを外し、
橋本健人(総3・横浜FCユース)
が左足で中に入れたクロスのこぼれ球を酒井がオーバーヘッド。
シュートはゴール右隅へと吸い込まれ、
慶大が欲しかった先制点を奪う。
慶應スタンドはこの大舞台でのスーパーゴールに湧き上がる。
華麗なシュートを決める酒井
しかし、ここからワセダの猛攻が始まる。
59分のヘディングシュート、
62分のワンタッチの繋ぎからのシュートと慶大ディフェンスは上
手く対応できず、立て続けにピンチを迎えてしまう。
すると63分、相手CKからゴール前での混戦となり、
押し込まれ失点してしまう。
失点後も気落ちしなかった
悪い流れを断ち切るべく、
64分に古川に代えて、宮本稜大(商2・國學院久我山)を投入。
68分、
杉本が遠い位置から左足一閃でゴールを狙うも枠を捉えられない。
71分、75分の相手の波状攻撃から崩され、
シュートを放たれるもGK田原智司(環4・静岡学園)
がキャッチし、ゴールは割らせない。
その後も押し込まれる展開が続くも、小林誉貴(商3・清水東)、
谷本竜一(総3・FCトリプレッタユース)、
酒井らディフェンス陣が相手シュートを跳ね返す。
慶大は終了間際88分の橋本の抜け出しからチャンスを迎えるも、
ゴール前には繋がらず得点は奪えない。後半ATにも、
相手の猛攻でゴールまで迫られるも最後まで集中力を切らさず守り
きり、試合終了。定期戦9年振りの勝利とはならなかったが、
首位ワセダ相手に価値ある勝ち点1をもぎ取った。
雨中に集まった4000人の観客の期待に応えるような熱戦だった。リーグ戦での勝ち点や定期戦の連敗ストップというプラスの側面もあるが、選手たちは勝利を収められなかった悔しさを感じているだろう。まだリーグ戦は2試合は残っている。シーズンの締めくくりとして勝ちを収め、残留を決めたいところだ。そしてまた来年の定期戦やリーグ戦に向けて進み出す選手たちの姿勢に期待したい。
次に向けて歩みだす
(記事:林亮佑、榎本大輝、室留裕介 写真:菅原千尋、小林由和)
淺海友峰監督
――監督ご自身としてはこの一戦をどのように臨みましたか
私としては関東リーグの連盟の方がご配慮いただいて、(このような場を)作ってくださったのでとにかく勝ち点を1でも3でも取れるように臨みました。
――選手に対してはどのように声をかけましたか
そのような前提があるというのを伝えました。一方で定期戦として色々な方々が作ってくださっているので、力を入れるなと言っても無理だと思うので力入ってもいい、緊張してもいいからとにかく自分の役割がチームや観てくださる方々に伝わるように、役割を徹底してほしいという話をしました。
――押す展開が多かった前半の評価は
ちょっと前半あげすぎましたね。どうしても力が入っちゃってプレシッシングの場面で行きすぎてたのが反省としてあって、それが後半に足が止まったりというところに繋がったのかなという印象です。
――後半に決まった先制ゴールは
セットプレーはキーパーコーチと学生に任せていて、自分たちが作っていた中でセットプレーの後の流れの中で取れた得点なので、学生の頑張りが結果に結びついたと思いますしよかったと思います。
ーー失点後はどのような声をかけましたか
相手の交代選手はある程度特徴があり、予測できていたので、そこから追加失点しないようにというところと、引っかかるシーンが多かったので裏に求心力のある選手を入れて、足元ではなく背後でボールを受けようという話をしました。
ーー相手の攻撃を耐えて得た勝ち点1をどのように捉えていますか
二つの側面があって、関東大学サッカーリーグとして捉えると我々が勝ち点1を取ることは大変なことでリーグ戦においてはすごく大きいことだと思います。ただ定期戦として捉えた時に(勝ち点)1や連敗が止まって満足してしまうようだと僕らの成長はないと思うので、そこは学生にも満足してもらいたくないし悔しいと思ってもらいたいです。
ーー残りの2試合をどのように戦いたいですか
やることは変わらないですね。全力で相手をリスペクトして、僕らがウィークポイントをついて、相手のストロングポイントを全力で消しにいって全力で臨みます。
松岡瑠夢主将(総4・FC東京ユース)
ーー試合を振り返って
どんな状況でも、定期戦を兼ねてリーグの方の協力で今日の試合ができたと思うので、試合に出る選手たちはそういう感謝の気持ちを忘れずに試合に入って。相手は首位で強いというのはわかったので、やる前から諦める試合はないと思うので全員で立ち向かっていこうという気持ちで試合に臨んで、全員がファイトしてそれなりにはいい試合ができたかなと思います。
ーーご自身のプレーは
自分に与えられた役割はある程度全うできたのかなと思うのですけど、最後の遠い位置からのシュートはどれか一本決めないといけなかったと思うのでそこは悔しいです。
ーー最後の定期戦にかける思いは
1年の時も定期戦に出させていただいて、もう4年目でここまであっという間だったのが正直なところで、ただ自分は幼稚舎から慶應で、最後の年は意識していて、最後の気持ちの部分だったりは表現できたかなと思います。
ーー今回は引き分けでしたが、後輩たちに託して思いは
やっぱり定期戦は勝たないといけないですし、これを観て入ってくれる選手も多いと思います。そういう選手には頑張ってほしいですし来年こそは勝ってほしいです。
ーーリーグ戦への意気込みをお願いします
まずは絶対に残留して後輩たちに一部の舞台を残さないと思いますし、ただそれだけです。
酒井綜一郎選手(政3・慶應義塾)
ーーどのような気持ちで試合に臨まれましたか。
8連敗していたので、今年は何がなんでも勝ち点3、引き分けで1でももぎ取っていきたいなという気持ちで臨みました。
ーー引き分けという結果になりましたが、今のお気持ちは
素直に喜べないというのが今の気持ちです。連敗は止められましたが、去年の屈辱的な敗戦から、1年間かけてこの日のために戦ってきたので、そういった意味ではまだまだ甘いところがあった試合かなと思います。
ーー素晴らしい得点シーンでしたが、得点シーンの振り返りをお願いします
空中にボールが上がったときに、もう行くしかないと思いました。自分は守備専門ですけど、今日は試合前から点を取りたいという気持ちはあったので、良かったと思います。
ーーオーバーヘッドシュートはよく決められているのですか
一回も決めたことはなかったです。ただ、ゴール前ではセットプレーであったり、そういう場面で自分は活躍しなくてはいけないと思っているので、気持ちの表れだったと思います。
ーー空中戦や対人でも強い印象を残しました
僕自身もそこが自分の強みだと思っていて、対人や空中戦を誰よりも磨いてきたので、練習してきたことがしっかり試合で出せたかなと思います。
ーー慶應出身ということで、この一戦に臨む気持ちは
僕は幼稚舎から慶應で、小学生の頃からこの早慶戦を見てきて、8連敗している試合も全て見てきました。個人的には早稲田に勝ちたいという思いが凄く強かったので、引き分けにできたのは良かったと思います。
ーーリーグ戦では今年ワセダに負けなかったことをご自身ではどう思われますか。
これまで負けてきた中で、このような引き分けに持って行けたのは自分たちが確実に成長しているなと実感しています。それは僕たちトップチームだけが凄いのではなくて、全員で分析して、全員で支え合っているからこそ、そういう結果が作り出せたと思うので、総勢170名の部員で、来年は勝ちに行きたいなと思います。
ーー来年の早慶戦への思いをお願いします。
0からではなくて、ここまで積み上げてきたものを、よりよくできるように、僕たちが掲げている"Deep Impact"を体現できるように、1年間しっかり準備していきたいと思います。
ーー応援や歓声がある試合は久しぶりだったと思いますが、プレーをしていてどのように感じましたか
観客の歓声や音楽が、すごく自分たちの力に直結するなとやっていて思いました。
ーー残すところリーグ戦は2試合となりますが、どのような気持ちで臨まれますか
まずは残留を掲げているので、必ず達成することと、残り2試合しっかり勝利できるように取り組んでいきます。