2試合を通じ、早大ペースの苦しい展開だった。年に一度の大舞台、早慶サッカー定期戦(早慶クラシコ)。関東1部を戦う早大に対し、慶大は下級生主体のフレッシュなメンバーで臨んだ。前半30分ごろまでは攻め込まれながらもなんとか跳ね返していたが、37分に先制を許すと後半にも追加点を浴びる。前線の4年生、11 宮本稜大(商4・國學院久我山)が惜しいシュートを放つなど決定機もあったが決めきれず。0―2で敗れ3年ぶりの敗戦となった。
2022/9/10(土)18:00キックオフ @味の素フィールド西が丘
【スコア】
慶應義塾大学0―2早大
【得点者】
37分 平松柚佑(早大)
73分 小倉陽太(早大)
◇慶大出場選手
GK
21 根津拓斗(政2・慶應)
DF
7 山本献(商3・國學院久我山)
4 藤井壮(政2・慶應志木)
2 山口紘生(商2・國學院久我山)
17 荘司慈英(商2・慶應)
MF
10 齊藤滉(商4・FC町田ゼルビアユース)→29 茅野優希(政2・慶應)
20 内藤豪(法2・駒澤大高)
15 角田惠風(商1・横浜F.マリノスユース)→33 田中雄大(商1・三菱養和SCユース)
16 塩貝亮太(商3・暁星)→18 廣田尚(環4・暁星)
FW
11 宮本稜大(商4・國學院久我山)→30 立石宗悟(法1・桐蔭学園)
36 清水皇貴(経1・三田学園)→27 熊澤維吹(文3・國學院久我山)
今年も味の素フィールド西が丘には3500人を超える多くの観客が詰めかけた。関東1部を戦い、プロ内定者を多く擁する早大と、2部を戦う慶大。力の差があるようには見えるが、この伝統の一戦は毎年大接戦。思いがけないドラマが生まれる。劇的勝利を挙げた昨年に続く連覇を見届けようと、慶大応援席にも多くの人が詰めかけた。
この試合のスタメンはやや意外なものであった。最後の早慶戦となる4年生は宮本と齊藤滉(商4・FC町田ゼルビアユース)のみ。それ以外は1、2、3年生とフレッシュな面々が名を連ねた。特に、ここまでリーグ戦での出場もなかったFW清水皇貴(経1・三田学園)の抜擢などが目立った。
試合は開始直後からやはり早大ペースに。サイドからの攻撃で何度もクロスを上げられるシーンがあったが2度目の早慶戦となったDF山口紘生(商2・國學院久我山)を中心に跳ね返し、得点は許さない。30分ごろまではこうした展開が続き、しっかりと守り切っていた。しかし37分、左サイドから早大・安斎颯馬(社2・青森山田)が深く切り込みクロス。GK根津拓斗(政2・慶應)が一度は触ったがこぼれ球を平松柚佑(社3・山梨学院)に押し込まれた。ついに均衡を破られ、前半は1点ビハインドで終える。
後半は一転して慶大がボールを握る。磨いてきたパスワークで相手を翻弄し、ゴールまであと一歩のところまで迫る。キャプテンマークを巻いた齊藤滉(商4・FC町田ゼルビアユース)やFWの宮本など、4年生を中心に早大DFの打開を試みたが、相手の高い壁に跳ね返された。なかなか得点が奪えない中73分、小倉陽太(スポ3・横浜FCユース)に右足を振りぬかれ、追加点を許した。
一矢報いたい慶大。途中出場の廣田尚(環4・暁星)は投入直後、自慢の強靭なフィジカルで相手を背負い、ペナルティエリア内でチャンスを作る。
またセットプレーのチャンスも多く作り、スタメン起用となった荘司慈英(商2・慶應)の左足から惜しいシーンも生まれた。最終盤にはGKの根津も攻撃参加。得点への執念を見せたがゴールは遠く。そのまま0―2で敗れた。
「内容は完敗だった」と浅海友峰監督。その言葉通り、試合を通して早大に主導権を握られた。また、何度かチャンスは作ったものの枠内へのシュートは少なく、決定機とまではいかず。最後までゴールは遠かった。ただ、今年注力してきたパスワークで多くの観客を沸かせるシーンや、この大舞台に1年生が4名出場するなど多くの明るい材料もあった。今年の悔しさを糧に、来年この舞台でのリベンジに期待だ。
(取材:稻山昂大、愛宕百華、松田 英人)
以下、監督・選手インタビュー
浅海友峰監督
――どのようなプラン、準備で臨みましたか
相手のほうが上だというところは素直に認めて、点を取らないといけないのでとるための準備をしてきたつもりです。
――メンバー選考の意図は
シンプルに相手の特徴を踏まえて選びました。あとは選手の調子ですね。
――得点するならこういうイメージなどありましたか?
4バックの間だったりセットプレーといったところですね。後半はそういったシーンがよく見えました。それだけに前半が惜しかったですね。
――ミーティングではどういったお話をされましたか?
グッドルーザーでいようということと、内容は完敗だったと思うので選手は悔しいと思うので悔しいならピッチで返すしかないというところです。
齊藤滉選手
――今日のご自身のプレーの振り返りをお願いします。
自分自身としては不甲斐ない気持ちです。今日は4年が少なくて、その中で自分が4年を背負って戦おうという思いを持って臨んだんですけど、それを上手く結果につなげられなかったのが悔しいです。
――この大勢の観衆の中での試合は久しぶりだったと思います。最後の早慶戦という舞台で、実際にピッチに立ってプレーしてみていかがでしたか?
自分は4年目にして初めて早慶戦に出させていただいて、ずっとスタンドから見ていたものをピッチレベルで体感することができて、すごく良い光景でした。でもそれは部員1人1人が悔しさを押し殺して、この日のために全力で作り上げてきた舞台なので、それに悔いがないようにプレーしようと決めていました。
――キャプテンマークを巻かれていたと思います。主将や副将が欠場となっていた中で、どのような思いでこの試合に臨みましたか?
主将も副将もいないというのは結構異例なことだと思うんですけど、その中で、チームを引っ張ることや背中で示すことなど、自分に与えられた役割を意識していました。
――応援してくれた方々へメッセージをお願いします。
今日3500人もの観客に入っていただいて、その方々のおかげで素晴らしい雰囲気を作り上げることができたので本当に感謝しています。個人としても、小中高の同級生が沢山来てくれて、声援をくれたことがすごく力になりましたし、今日久しぶりの声出し応援があったので、声のある応援っていいなと強く感じました。この喜びと共に、悔しさを絶対に忘れないように後期のリーグ戦に向けてチームで成長していきたいと思います。