東京都サッカートーナメントでは2回戦で敗退し、天皇杯本戦出場が叶わなかった慶大。石川遠征を経てこの日は大阪に移動し、神戸大との定期戦に臨んだ。後期リーグ戦に向け、戦力の底上げを図りたい慶大はスタメンで1年生を4人起用。そんな中でも神戸大に対し、実力の違いを見せつけ4-1と快勝し、定期戦勝利を飾った。
第61回慶應・神戸サッカー定期戦
2011/8/20(土)14:45 KO@舞洲運動広場神戸大学1-4慶應義塾大学
{得点者} 4分古田高大(神戸大)、19分川田悠介(慶大)、25分川田悠介PK(慶大)、64分鳥山翔平(慶大)、75分大塚尚毅(慶大)
石川遠征からそのまま大阪入りしたため、「体調的にはあまり良い状態ではなかった」と須田監督が語るように、立ち上がり動きにキレのない慶大は前半4分にあっさりと先制点を奪われてしまう。しかしここから自陣に引いた神戸大を前に徐々にパスが回り始め、シュートまで持ち込み展開が続く。そんな中19分、この日ワントップに入った川田(環1)が右45度の角度から強烈なシュート。これが逆サイドのポストの内側に当たりゴールネットを揺らすと、25分には鳥山(環2)のインターセプトからカウンターを仕掛けた慶大は赤木(経3)にパスが回り、GKと1対1になりシュートを放つ。これは惜しくもGKに弾かれるものの、この弾いたボールをもう一度拾い、最後は赤木がペナルティエリア内で倒されPKを獲得。これを川田がきっちり決め、わずか6分間で逆転に成功する。さらにこの後も試合は慶大ペース。この日ボランチに入った山浦公(商3)がリズムを作り、幾度となくチャンスを作る。さらにはディフェンス面でも松岡(商3)を中心にピンチの芽を摘み、つけ入る隙を与えず、そのまま2-1で前半を終える。
追加点を奪い、試合を決めたい慶大。しかし連戦による疲労からか、後半開始から徐々に運動量が落ち始め、ボランチとDFラインが間延びし始める。そんな中16分、カウンターからピンチを迎えるがここはGK峯(政1)が好セーブを見せ、失点を許さない。するとピンチを脱した慶大は19分、右サイドでボールを持った保田(法1)のグランダーのクロスに鳥山が合わせゴール。さらに23分にはこの日キャプテンマークを巻いた黄(総4)がクロスを上げ、川田が中央で合わせシュート。ハットトリックかと思われたシュートだったがこれは惜しくもGKに阻まれてしまう。すると26分、今季はFWで起用されている大塚(総4)を本来のボランチに入れ中盤の強化を図ると、この采配が見事に的中。30分、コーナーキックから大塚が頭で合わせ決定的な4点目を奪う。そして試合はこのまま4-1で終わり、慶大は慶應・神戸定期戦3連覇を果たした。
下級生を積極的に起用した中、連携面で不安が見られるかと思われたこの一戦。だが「誰が出てもやれるということを監督の前でチームとしてアピールしたかった」とゲームキャプテンの黄が代弁するように、この日出場した選手も控えに甘んじることはない。出場停止やケガ人などベストメンバーが組みづらくなりやすい後期リーグ戦では、バックアッパーの底上げは不可欠だ。リーグ戦再開まで1カ月を切った慶大。この夏のチームの総合力の上積みが後期リーグ戦の躍進、さらにはその先のインカレ出場への鍵となるに違いない.
By Daiki Yamamoto
須田監督
(振り返って)今週は金沢遠征からこっちに来たので、体調的にはあまり良い状態ではなかったが、今やろうとしていることはかなりできたかなと。攻撃についてはボールを動かして、ゴールまで持って行くと。相手がボールを持っている時はプレスして、ボールを奪いに行ってというところは、ある程度全体としてできたかなと思いますし、今回は個々の成長を見たいと思っていたので、人それぞれ良いプレーも出てたし、まずまずの戦いだったと思います。あとは定期戦なので、やっぱり勝利するというところが課題だったので、その目標は達成できて選手たちはよく頑張ったと思います。(1トップで起用した川田選手の評価は)もともと技術はあるし、相手を背にしてボールをもらうことも上手だからね。それに加えてスペースに出ていって、前を向くとテクニックもあるし、得点も今日は決めたので。まぁまだまだだけれども今のところはかなり合宿でも良いプレーが出ていたので、彼の特徴でもあるゴール前での抜け出てシュートまでとか、また期待したいですね。(他にも峯選手や長尾選手といった下級生を積極的に起用したが)とにかく経験することが大切だと思うので、今回は峯もトップに上がって初めての遠征だったので、色々と経験したことを活かしてもらいたい。能力も高いし、やっぱり経験というのがキーパーは大切なので、これからも色々な試合に出したいと思うし、あと長尾のところはもう少し頭を使ってやるべきじゃないかなと。彼の良いところは縦への突破だけれど、そればかりじゃなくて、はたいて展開するとか、そんなところの判断をよくするといいかなと思います。(途中出場で入った大塚選手を今日はボランチで起用したが)元々ボランチなので。あとはゲームが4-1になって、そんなにムキになって攻める必要もなかったので、ゲームを落ち着かせるというところがあったので、彼にはそんなアドバイスをした。(4得点を奪った一方で、先制点を奪われるなど課題も残ったが)立ち上がりディフェンスのところは特に前半は集中力がなかった。リスクマネージメントもできてなかったし、声も出てなかったし、そのところはちょっと失点が前期も多かったので、次のリーグ戦・早稲田戦に向けてはそこは課題だと思うので、修正していきたい。(リーグ戦再開まで1カ月弱だが今チームが取り組むべきところは)一つはアタッキングサードの崩し。今3人目の動きだったり、ワンツーだったり、そこまではある程度ボールを運んでいけるようになったので、あとはどう得点を取るかというところを詰めていきたいのと、あとはディフェンスのところ。攻撃している時のポジショニングだったり、チームとしてディフェンスは労働なので、サボらないようにどれだけ90分間集中できるか、そのところを修正していきたいなと思う。
黄
(振り返って)遠征で試合続いて、結構コンディションは厳しかったが、定期戦で負けられない、カップを取って帰らなければならない試合というところで、いつもとメンバーは違ったが、そういったところで誰が出てもやれるということを監督の前でチームとしてアピールしたかったし、結果として時間帯によっては流れも悪かったが、結果として勝てたことは良かったと思う。(今日は下級生も多く出て、連携面で難しい部分もあったと思うが)普段あまり試合に出ない選手が多かったが、その中で誰が出ても同じサッカーをするというのは、練習でも言っているので、精度の部分はやっぱり落ちてしまうかもしれないが、意識の面ではみんな同じ意識で試合も練習もやっているので、精度を上げるというところですね。(得点を奪うというところで4得点取ったのは収穫だと思うが)立ち上がりなかなかリズムが作れなくて、1点取られちゃって、前半逆転して終われたが、後半まだまだ正直決めるべきところはあったし、そこはやっぱり決めていかないと、後期もなかなか厳しいと思うので、ましてや今日はなかなかリーグ戦に絡めてないメンバーだったので、そういうところでしっかり結果を出してアピールしてほしかった。(今日はキャプテンマークを巻いてのプレーだったが)まぁ試合前に監督に「お前キャプテンやれ」と言われて、なかなかそういうキャラでもないですし、戸惑いもあったが、巻いたからにはしっかりチームをまとめていかないといけないという意識も出たので、そういうキャプテンという重役を担えたかはわからないが良い経験にはなった。(最後表彰式でカップをもらうときは笠松選手に譲りましたが)あの辺はやっぱり主将を立てないといけないので。(リーグ再開まで約1カ月だが今チームで取り組むべき点は)まずはリーグ戦前期は失点が多かったので、守備の部分をまずしっかり確認しているところです。あとは引いた相手に対してどう崩すか。それとどの相手にもコンスタントに力を発揮できるようにボールの回し方だとか、ポジショニングだとか、そういう細かいところから一から修正します。
慶大出場選手
GK 峯達也(政1)
DF 黄大城(総4)DF 松岡淳(商3)
DF 林賢一郎(理4)
DF 保田隆介(法1)
MF 山浦公裕(商3)→72分大塚尚毅(総4)
MF 岩田修平(総2)
MF 長尾賢太郎(総1)
MF 鳥山翔平(環2)
MF 赤木努(経3)→45分山浦新(総1)
FW 川田悠介(環1)
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