全日本インカレ（全日本大学選手権）初戦まであと２日。本日は、ＭＢと同ポジションであり、師弟関係にある降小雨副将（商４・慶應）と芳賀祐介選手（環２・札幌北）による対談をお届けします。お二人が師弟関係に至ったエピソードやMBあるある、そして全日本インカレへの意気込みをお伺いしました。ぜひご覧ください！
対談中の降（左）と芳賀
――初対面はいつでしたか？
芳賀 降さん、覚えてないですよね？
降 うん、覚えてない（笑）。
芳賀 自分が慶應を受けるってなった時に蝮谷の分散練習の時にいたかなって感じですね。２年の降さんだって宗雲前監督に教えてもらって、「お前もああいう風になれ！」って言われたのを覚えています。プロフィールに出身が北海道って書いてあって「この人も北海道出身なんだ、ミドルか！」と思って注目していたら（降さんが）いらっしゃって、それが自分が初めて認識した時ですね。
――降選手はいつ芳賀選手のことを認識しましたか？
降 僕が３年生の時、ここ（日吉記念館）で立正大学と秋リーグのオープン戦をやっていた時に来年入部する芳賀くんって子が見に来ているらしいと聞いて…いや２年の時か？！「わーでかいのが入ってきたな」って感じでした。
――今の印象はどうですか？
降 今はえ〜っと…（笑）。
芳賀 これムズいな。
降 なんだかんだ頑張るやつって感じですかね、って言うのも師弟対談なんで僕目線で言うとまだまだプレーの至らないところは多いんですけど、今年もだし去年だったら将吾さん（永田将吾、R４総卒）、捺暉さん（小出捺暉、R４環卒）、濱本さん（濱本健人、R４商卒）たちと一緒に至らないところは指摘するんですけれど、なんだかんだ指摘されたところは受け止めつつ練習するんで、みんなに改善点を言われながらもなんだかんだ頑張る感じかなって思います。以上です。
芳賀 （降さんは）バレーの師匠です。僕は中学も高校も弱くてリードブロックの「リ」の字も知らない状態で入学してきて、ミドルのことを一から教えてくれたのが降さんでした。そういう面ではプレーもメンタルもフィジカルも、自分より上だなと思っています。あと私生活でもとてもお世話になっていて…
降 ひようらでいくら使ったかな～（笑）。
芳賀 はい、ですかね。二人で食べながらああでもないこうでもないって言いながら、バレーの話とかワケ分からない話をしてますね。そういうのも思い出のひとつです（笑）。
――師弟対談と言うことで、師匠・弟子関係になったエピソードはありますか？芳賀選手はアンケートで尊敬している人もライバルも降選手をあげられていましたが
降 あ、食べ物とかも真似し始めて（笑）。
芳賀 降さんはひようらのある特定の店のものしか食べなくて（笑）。コスパとか重視して。自分もよくひようら行くんで（そのお店を）使っていて、池野谷コーチに「降の身体から真似をしろ！」って…
降 え、身体からなの（笑）。
芳賀 身体っていうか、降さんになるためには同じものを食べた方がいいんじゃないかって言われて、ああ確かになと。今ではその３つしか食べないです。
――ちなみにその３つはなんですか？
芳賀 うどんとケバブと寿司です。
降 徳すけとサライケバブと魚心しか行かないです。出てくるのが早い（笑）。
芳賀 あとコスパがいいんで。
――食事面以外のエピソードは他にありますか？
芳賀 あとは２年連続家族っていうことですかね。勝呂（勝呂亘、R４政卒）家から降家に自然に移行して、降さんが俺をとってくれたのかなって。
――縦割り班のメンバーは４年生が決めるんですか？
降 そうですね、メンバーの適性を見ながら今年の縦割りは４年生で決めました。僕がいなくなったあとはミドルが彼しかいないんで、なんとか使えるものにしないとなと。周りや同期から異論は無かったです。むしろそうするべきかと。
芳賀 自然な流れでね。
降（右）の高い打点からのクイック攻撃
――お二人ともミドルブロッカーですが、ミドルブロッカーあるあるはありますか？
降 これは明確にひとつあって、４年間言い続けていることではあるんですが練習の中での扱いが雑！
芳賀 あ～うんうん、僕も今パッとそれが浮かびました。
降 どういうことかって言うと、みんなわかっていないんですけど、ミドルブロッカーってめちゃくちゃ疲れるんですよ（笑）。半分しかいないだろってよく揶揄されるんですけど、レセプションが返っても返らなくても毎回おとりで飛び続けないといけないし、リードブロックも絶対間に合わないボールも追いかけないといけないんですよね。試合でそれだから練習でも当たり前で、飛ぶ系の練習はみんなと同じようにやるし、総合練習でもサイドのメンバーはトスを見てから打つんで（ボールが）上がってこなかったら飛ばないけど、僕たちは上がってくるこない関係無しに毎回飛ぶんで、総合練習が３つ４つ入ると毎週リーグ戦をやっているようになっちゃうんです僕らは。
芳賀 アハハ（笑）。
降 でもそんなことはみな露も知らないんで、当時練習メニューを組んでいた山田さん（山田大智、Ｒ２卒）とか祝太郎さん（吉田祝太郎、Ｒ３卒）とか、今だったら晟己（大槻晟己副将、総３・清風）とか真古都（高倉真古都主将、商４・慶應）とか分からないんですけど…まあ、それで不貞腐れていると「お前ら出るな」と言われちゃうんで一生懸命やるしかないんですけど。とりあえず練習の扱いが雑です（笑）。
芳賀 今年は３人しかいないんで、４人だと２＋２で分けられるけど、１＋２になって二人だけで総合練習回すと疲れます。これがミドルブロッカーあるあるです。
――その思いは周りに伝わっていますか？
降 ４年間アピールし続けてきてやっと僕に職権がまわって来たんで、今季割と伝えるようにしています！多分７割くらいは伝わっています（笑）。
――ミドルブロッカーの魅力や面白さは？
芳賀 ブロックが楽しいなんて言える技量はないんですけど、でも魅力って言ったら僕はやっぱりブロックかなと思っています。相手にコミットして仕掛けるとかリードブロックがはまった時にはやってて良かったなと思います。他のポジションにはないことなので、そこはいいですね。
――師匠自慢、弟子自慢をお願いします！
堅実で速さのあるリードブロックが降（右）の持ち味
降 彼はたくさん言うことがあると思うので僕から（笑）。
芳賀 アハハ（笑）。
降 試合の時のリードブロックは凄いですね。横の動きは遅いですが、手足が長くて縦の反応には早いので、ベンチで下田（下田悠生、経４・慶應湘南藤沢）とかと話しているんですが、「それ触る？！」みたいな、その相手のクイックをタッチするんだって感じですね。僕や下田はそういうの出来ないので、身長足りないし手足短いんで。わ～すごいなって素直に思います。試合中とか結構高さが出ていて、海外の試合とかみてるんじゃないかなくらいやばいブロック出すので、そんなババン！って跳ねるのかっていう。本人は多分狙っていないと思うんですが、でも構造的にはスケールが違うので、そこはいいものを持っているなって感じですね。
芳賀 じゃあたくさんある僕からは、（降さんは）ミドルとしてのリードブロックとかクイックとかはもちろんすごいんですけど、それが目立たないっていう感じなんです。コートに入る全員が本来ならばできるべきであるティグであったりサーブであったりレシーブであったり二段トスとかのつなぎの部分がすごいのかなと思います。僕なんかは全然ティグも上がらないし、二段トスもぐしゃぐしゃなんですけど、降さんは他のサイドの不器用な人よりはできるんじゃないかくらいディグも位置取りうまくて、トスもしっかり上げていて、ミドルならばこれくらいでいいよじゃなくてしっかりベストなものを上げてくれたり、僕には特に足りないところなので真似したいなと思っています。
――芳賀選手はU20日本代表に選ばれてチームを離れていたと思うんですけど、そこで得られたものがあれば教えてください
芳賀 普通に大学にいたら海外相手に戦うことはなかったと思うし、あれほど高いスパイクは日本では経験出来ないものだと思うのでとても良い経験になりました。あと、星谷監督にもよく言われる「サーブで攻めないと勝てない」っていうのが肌で感じられましたね。Aパス返されてクイックでやられて終わりみたいな。置きに行ったら日本は勝てないのかなと、そういうのは日本のチーム、バレーボールのシステムで感じました。
――降選手も世代別代表に選ばれた経験があると思うのですが、芳賀選手に何かアドバイスはしましたか？
降 アドバイスらしいアドバイスはしてなくて、日本を代表する選手たちとバレーボールが出来るので、「全ていい経験だと思って頑張れよ！」っていうのは言った気がします。あと、怪我しないようにとかは言いました。代表に選ばれると日の丸が付いた練習着で練習しなきゃいけないんですけど、彼は全然持っていなかったので僕のやつを１枚貸して、そのまま借りパクされました（笑）。
芳賀 そうですね…
降 返されていないです。
芳賀 まだ返していないです。
――それはもう自分のものにした感じですか？
芳賀 降さんから２、３枚いただきました。ありがとうございます（笑）。
降 アハハ（笑）。
――芳賀選手がチームを離れていた約1ヶ月チームに何か変化はありましたか？
降 彼がいない間（チームで）頑張ろう！みたいのはほぼなかったんですけど、皆彼の行動は気にしていました。試合出てるのかなとか活躍してるのかなとか、あいつまた出てないよ～とか毎日体育館で皆話していました。
芳賀 （笑）。
――芳賀選手はピンチサーバーで試合に出ていましたね
芳賀 え、ありがとうございます！ちょっと情けないな（笑）。
降 僕も２試合くらい見ていて「（試合）出てないじゃん！」って言うがために、ベンチにいるのをスクリーンショットして送ったりしました。他の選手はワールドクラスで面白いなって思いながら、まあ芳賀は出ていなかったんですけど。
芳賀 申し訳ないです（笑）。
試合中の降（右）と芳賀
――全日本インカレに向けた話に移っていきたいんですが、自分の見てほしいプレーを教えてください
降 見てほしいプレーはブロック、トス、パス、全部です。慶應ではオンザボールとオブザボールっていうんですけど、オンザボールはバレーボールに触っている間、オブザボールは（バレーボールを）触っていない時のコートでの立ち振る舞いのことなんですけど、オンザボール・オブザボール全てを見てほしいです。プロに進めば大学最後の試合が見られなくてもVリーグで見られる選手も多いと思うんですが、僕はプロではやらないのでバレーボールをやる最後の大会になります。一般のお客さんからしたら目立たないかもしれないけど、ちゃんと関東一部に所属している大学の中で４年間スタメンとして（試合に）出続けた選手がいたんだっていう、「なんであの選手プロにいかないんだろう」「プロで見られないの残念だな」と思ってもらえるような活躍がしたいです。
芳賀 来年は降さんと下田さんという偉大なミドルブロッカーが２人抜けて来年はミドルが僕１人になるんですけど、そういった中で１年の秋リーグから（試合に）出させてもらっているので、「来年はこいつに託してもいい」と思ってもらえるようなプレーはもちろん、頼りがいがある選手になりたいと思います。そういう姿を降さん・下田さん、親やOBの皆さんに見てもらえたらいいかなと思います。
――芳賀選手はアンケートで「ブロックを頑張るところと早打ちクイック」を見て欲しいと書かれていました
クイック攻撃を決める芳賀
芳賀 はい、「ブロックを頑張る」って書いたんですけど、リードブロックって書いたらリードブロックが完璧にできていると思われて偉そうかなと思ったので…
降 謙虚だね（笑）。
芳賀 ブロックを頑張るって誰にでもできると思うのでそう書きました。クイックは今年の初めまで全く決まらなくて、打力がないとか打ち方が悪いとか言われてきて、自分なりに高いところで奥に打つっていうのを半年前くらいから始めていて、それがやっと決まるようになってきたんですかね？
降 ２週間くらい前からね。
芳賀 そう。過去に比べれば決まるようになってきたので、真古都さんからもちょっとずつ信頼を得られるようになってきたかなと思います。
――それも降選手から教わったんですか？
降 速いクイックは教えていなくて、代表から帰ってきたら出来てた！って感じですかね。
芳賀 あーでも試している時期はありましたよね？
降 試して出来るようになったのかなと。入り方は教えたけど、テンポまでは教えてなかったのにU20から帰ってきたら速くなってました。
芳賀 輸入してきました。
――チームとして見て欲しいところはありますか？
降 チームとしてはサーブ＆ブロックですかね、１年生の時からそうだったので。どんどんジャンプサーブは攻めて、フローターは効果的に打って、（相手が）乱れたところをブロックで絡めとっていくところ、そこを見て欲しいかなと思います。
芳賀 そうですね、U20のインタビューでチャレンジャー精神って言ったんですけど、春に不甲斐なく２部に落ちてしまって、秋の入替戦で（１部）に上がって来て、初戦はまた（入替戦と同じ）国際武道大学なんですけど、そこに勝ったらどんどん格上、120％出さなくてはいけない相手と戦うことになります。なので１部に上がって「これからも食らいついてやるぞ！」っていうチャレンジャー精神をチーム全体として見て頂けたらと思います。
――最後に意気込みと応援してくださる方々にメッセージをお願いします！
芳賀 意気込みはさっきと少し被るんですけど、降さん・下田さんっていう偉大な２人が抜ける中で去年の卒業生にもそうですし、降さんたちにも「こいつ変わったな」っていうひと味違う姿を全カレで見せられればいいかなと思います。少しは任せられるなと、気持ちよく引退させてあげるじゃないですけど、頼りがいのある姿を見せられたらいいなと思います。
メッセージはこの１年もコロナの影響で活動が休止になり、そういう中でバレーボールが出来るのが当たり前じゃないと常々感じていたことなので、OBの皆さんだったり、スタッフの皆さんだったり、親とか応援してくださる全ての方に感謝して頑張ります！
降 意気込みはさっきもちょっと言ったので簡潔に。人生の中でちゃんとバレーボールに携わるのは最後になるので、今日からバレーボールを辞める日、引退する日まで日常生活の過ごし方も含めて最善の選択をして、試合の結果うんぬんに関わらず後悔ない日々を送りたいと思います。
応援してくださる方々への感謝というところでは、10年ちょっとバレーボールをやって来た中で今年１年は特に応援してもらっているなと感じています。今年が一番広報にも力が入っていたというか、スタッフの子たちも忙しい中時間を設けて準備をしてくれたり、素敵な広報活動をしてもらっていて友人とかからも「試合見たよ」というメッセージを多くもらいました。引退するにあたって４年生一人一人インタビュー動画も撮ってもらったり、最後の４年生の勇姿を見せるために、それもひとつの応援のかたちじゃないですか。こうやってケイスポさんも然り、４年間の最後に特に応援のありがたさを感じていて、そういうのも含めて節目だなと感じました。家族・友人はもちろん僕の人生を彩ってくださった全ての方々に応援してきて良かったなと思ってもらえるように、結果で恩返しをしたいと思います。
――ありがとうございました！
（取材：五関優太、田中瑠莉佳）
全カレへの意気込みを書いていただきました！
◇プロフィール◇
降小雨（じゃん・こさめ）
２０００年１０月１９日生まれ／商学部４年／慶應義塾出身／身長１９１センチ／副将・MB
芳賀祐介（はが・ゆうすけ）
２００３年３月３１日生まれ／環境情報学部２年／札幌北出身／身長１９７センチ／MB
