11月27日(日)オール早慶戦茨城大会 全早大戦 @ひたちなか市民球場
19年の浜松大会以来、3年ぶりの開催となったオール早慶戦は、全慶大が序盤から主導権を握った。初回、全慶大は4番・廣瀬隆太(商3・慶應)の適時打を皮切りに6安打で4点を先制する。2回には2番・下山悠介(商4・慶應)が中堅後方へのソロ本塁打を放ち、序盤から全早大を圧倒する。投げては8人の投手を小刻みにつないで全早大の反撃を3点で抑えた。現役選手と社会人選手が上手く噛み合った全慶大が、3年前の対戦に引き続き勝利を収めた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
全慶大 | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 6 |
全早大 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 |
全慶大バッテリー:高橋佑、外丸、○森下、三宮、中村公、渡部淳、増居、谷村-福井、善波、宮崎
全早大バッテリー:●加藤、富田、竹田、鹿田、齋藤正、中森、伊藤樹-印出、栗田
全慶大本塁打:下山ソロ(2回・加藤)
全早大本塁打:
◆慶大出場選手
打順 | 守備位置 | 名前(学部学年・出身校) |
---|---|---|
1 | [8] | 吉川海斗(法3・慶應) |
2 | [3] | 下山悠介(商4・慶應) |
3 | 清原正吾(商2・慶應) | |
3 | [D] | 山崎錬(現・ENEOS) |
RD | 佐藤一朗(商3・慶應) | |
4 | [5] | 廣瀬隆太(商3・慶應) |
R | 生井惇己(総4・慶應) | |
2 | 善波力(商3・慶應) | |
2 | 宮崎恭輔(環3・國學院久我山) | |
5 | [9]7 | 若林将平(現・日本新薬) |
H6 | 瀬戸西純(現・ENEOS) | |
6 | [6] | 本間颯太朗(総2・慶應) |
7 | [2] | 福井章吾(現・トヨタ自動車) |
7 | 齋藤來音(環3・静岡) | |
8 | [7] | 橋本駿(経3・巣鴨) |
9 | 栗林泰三(環3・桐蔭学園) | |
9 | [4] | 小川尚人(環3・三重) |
4 | 水鳥遥貴(商2・慶應) | |
[1] | 高橋佑樹(現・東京ガス) | |
1 | 外丸東眞(環1・前橋育英) | |
1 | 森下祐樹(総3・米子東) | |
1 | 三宮舜(現・明治安田生命) | |
1 | 中村公祐(商4・市川) | |
1 | 渡部淳一(政4・慶應) | |
1 | 増居翔太(総4・彦根東) | |
1 | 谷村然(環3・桐光学園) |
リーグ戦での激闘から3週間の時を経て、再び早慶両軍が互いのプライドを懸けて激突する。今回は廣瀬新主将を中心とする現役世代に加え、先日引退したばかりの4年生、さらに社会人野球の舞台で活躍するOB選手も含めた「オール早慶戦」である。新世代の慶大野球部や引退した4年生が見せる最後のユニフォーム姿、そしてOB選手たちが久々に披露するKEIOのユニフォーム姿を目当てに、茨城・ひたちなか市民球場には多くの観客が集結した。
リーグ戦のリベンジに燃える全慶大の選手たちが、初回から全早大先発・加藤孝太郎(早大=人間3・下妻一)に襲いかかる。2番・下山の右安打と3番・山﨑錬(現・ENEOS)の二塁打で1死二、三塁とすると、4番・廣瀬が適時打を放ち先制に成功する。続く5番・若林将平(現・日本新薬)も適時打を放つと、2死から7番・福井章吾(現・トヨタ自動車)の2点適時打でこの回4点を先制する。続く2回には下山がバックスクリーン横へ特大のソロ本塁打を運び、リードを5点に広げた。
全慶大の先発マウンドには左腕・高橋佑樹(現・東京ガス)が上がる。初回は全早大の攻撃を3人で抑えるも2回、先頭の4番・蛭間拓哉(早大=スポ4・浦和学院)に左翼線への二塁打を浴びる。その後1死三塁から6番・印出太一(スポ2・中京大中京)の内野ゴロの間に、走者が生還し1点を返される。高橋佑は2回1失点でマウンドを降り、3回から2番手・外丸東眞(環1・前橋育英)へと継投する。外丸は自己最速の147kmをマークするも、4回に印出に適時打を許し、3点差に詰め寄られてしまう。
中盤以降は両軍投手陣が奮闘する。全慶大は先日の早慶戦でも登板した森下祐樹(総3・米子東)から三宮舜(現・明治安田生命)、リーグ戦でも活躍した中村公祐(商4・市川)、渡部淳一(政4・慶應)、増居翔太(総4・彦根東)と継投し、全早大打線に反撃を許さない。一方の全早大も、リーグ戦での経験が豊富な鹿田泰生(商2・早稲田実)、齋藤正貴(商3・佐倉)、中森光希(文構2・明星)とつなぎ、全慶大も追加点を奪えない。
しかし全慶大は9回、途中出場の7番・齋藤來音(環3・静岡)が右中間を破る二塁打を放つと、無死一、三塁から9番・水鳥遥貴(商2・慶應)の適時打で待望の追加点を挙げる。4点差で迎えた最終回、全慶大は8番手・谷村然(環3・桐光学園)を投入する。2死満塁から押し出し四球で1点を与えたが、3点のリードを守りきって勝利に貢献した。
この試合で全慶大は、新旧「主将」の活躍が光った。先日新主将に就任したばかりの廣瀬はこの試合で3安打をマークし、初回は先制となる適時打を放ち存在感を示した。前主将の下山は2回に特大ソロを放ち、点差を広げた。現在は社会人野球の舞台で活躍する山﨑、瀬戸西純(現・ENEOS)も攻守で観客を魅了し、レベルの高さを示していた。
また茨城県出身の選手たちも躍動した。先日の早慶戦で一時勝ち越しとなるソロ本塁打を放った吉川海斗(法3・慶應)は「1番・中堅」でフル出場。この日は5打数無安打であったが、来年は慶大のリードオフマンとして期待が懸かる。今年リリーフ陣の一角として期待されながら、故障の影響で登板機会が限られた生井惇己(総4・慶應)も茨城・下妻市の出身。この日は8回に代走として出場するも、ホームを踏むことはできなかった。今後は社会人野球の日立製作所に進む予定で、復活した姿をファンに届けられるか注目だ。廣瀬新主将を中心とする現役選手たちは、オープン戦や練習試合を除けば今シーズン最後の一戦となる。この日の先輩たちのプレーを目に焼き付け、来季こそは前世代がたどり着けなかった賜杯を全力で奪いに行く。
(記事:宮崎秀太、写真:北村可奈、佐藤光、畠山里菜子)
◆打撃成績
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | |||
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1 | [8] | 吉川 | 一飛 | 一ゴロ | 遊併 | 見三振 | 捕野選 | ||||
2 | [3] | 下山 | 右安 | 中本① | 左飛 | 見三振 | |||||
3 | 清原 | 捕ゴロ | |||||||||
3 | [D] | 山﨑 | 右2 | 見三振 | 投ゴロ | 二ゴロ | |||||
RD | 佐藤一 | 四球 | |||||||||
4 | [5] | 廣瀬 | 左安① | 左安 | 空三振 | 中2 | |||||
R | 生井 | ||||||||||
2 | 善波 | 空三振 | |||||||||
2 | 宮崎 | ||||||||||
5 | [9]7 | 若林 | 中安① | 右飛 | 中飛 | ||||||
H6 | 瀬戸西 | 左邪飛 | |||||||||
6 | [6] | 本間 | 投ゴロ | 空三振 | 空三振 | 中飛 | |||||
7 | [2] | 福井 | 左安② | 二ゴロ | 左飛 | ||||||
7 | 斎藤來 | 右中2 | |||||||||
8 | [7] | 橋本駿 | 中安 | 遊飛 | 遊ゴロ | ||||||
9 | 栗林 | 左安 | |||||||||
9 | [4] | 小川尚 | 右飛 | 死球 | 中飛 | ||||||
4 | 水鳥 | 中安① |
◆投手成績
投球回数 | 打者数 | 球数 | 安打 | 三振 | 四死球 | 失点 | 自責 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
高橋佑 | 2 | 7 | 27 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
外丸 | 2 | 9 | 29 | 2 | 0 | 1 | 1 | 0 |
森下 | 1 | 5 | 25 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 |
三宮 | 1 | 4 | 6 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
中村公 | 1/3 | 1 | 4 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 |
渡部淳 | 2/3 | 3 | 9 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 |
増居 | 1 | 4 | 17 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 |
谷村然 | 1 | 7 | 34 | 1 | 1 | 2 | 1 | 0 |
◆選手コメント
廣瀬隆太主将(商3・慶應)
ーー今日の試合を振り返って
思ったより盛大で、お客さんも入って本当に楽しい舞台で野球ができてよかったです。
ーー先制のタイムリー。感触は
んー、いつもの熊田(任洋、スポ3・東邦)なら取ってた打球ではあったんですけど、結果的には先制タイムリーになって、チームを勢い付けることができたかなと思います。
ーー背番号10のユニフォームを着て試合、どう感じたか
責任感はありますし、キャプテンとして色々な人に見られているので、行動というところもちゃんと成長できるように頑張ります。
ーー歴代のキャプテンの先輩達もいたが、何か話したか
山﨑錬さんから、キャプテンというのは色々なタイプがいるから自分らしくやってくれればいいよ、と言ってもらって、少し気が楽になったというか、あまり気負い過ぎずに自分らしくチームを引っ張って行きたいと思っています。
ーー来年以降の”チーム廣瀬”はどのような試合を見せてくれるか
実力がそんなに高いわけじゃないので、粘り強く、まずは守備からリズムを作ってバッティングにつなげることをしっかり徹底したいなと思います。
ーー自身の意気込み
本当に来年は三冠王を取りたいので、しっかり練習したいと思います。
下山悠介選手(商4・慶應)
――今日の試合を振り返って
早慶の意地が垣間見える、早慶戦の重みとか早慶戦の良さっていうのを、この前ちょうど引退したばっかりなんですけど、改めてそういうところを感じました。
――ヒットとHRの手応えや感想について
なんか分かんないんですけど調子は結構良くて(笑)、しっかり自分のスイングが現役中よりもできたのかなとも思います(笑)
――福井さんや瀬戸西さんなど偉大なOBの方との久しぶりの試合
すごく楽しくて、あと慶應のユニフォームわ着るのが最後だったので、そのユニフォームを噛み締めながら、しかも現役の後輩たちと偉大な先輩たちと色々な年齢の人たちとできたので、なかなかない経験だったと思いますし、すごく楽しんでやることができました。
――OB選手とはどんなお話を?
普段どんなことしてるとか話しましたし、あと本当に山崎錬さんが僕にとって高校と大学の先輩で大先輩なんですけど、バッティングの細かい話を聞くことができたので、とても良い1日になりました。
――廣瀬選手が10番を引き継いでいましたが、どんなお気持ちで見守られましたか?
思ったより頼もしく見えるので(笑)。でももっと引っ張っていける器はあると思うので、無理に何かをするってことではなくて、自分らしさをしっかり出して、チームを引っ張っていってほしいなと思って、期待しています!
福井章吾選手(令4環卒・大阪桐蔭-トヨタ自動車)
――今日の試合を振り返って
勝つことももちろん意識しましたが、試合に出て何か後輩に伝えられたらいいなという思いで試合に出ていました。特に捕手の善波(力、商3・慶應)と宮崎(恭輔、環3・國學院久我山)にはいい影響を与えたかったので、そういう意味では自分なりにやることをやれて、良い経験になったと思います。
――初回の2点打の感触は?
いい形で打てているからヒットになると思っていて、どんな形でも1点を取りたかったという場面だったので良かったと思います。
――2年ぶりに慶應のユニフォームに袖を通した感想
やはり重みがあるというか、たくさんのOB選手がいる中でなかなかこのユニフォームを着て試合をすることはできないと思うので、こうして選んで頂けてとても光栄なことだなと思いました。
――具体的に捕手の2人にはどのようなことを伝えましたか?
配球は正解がないので、投手が投げる前に何ができるのかという話をしたのと、投手とのコミュニケーション・事前準備をしっかりやれば、いざ試合になったときにベストを尽くせるという話を基本的には話しました。
若林将平選手(令4環卒・履正社-日本新薬)
ーー今日の試合を振り返って
去年以来早慶戦に出させてもらって、応援を聴いたりして、改めて社会人野球とは違う重みを感じて。伝統のある一戦をまたできて、いい経験でした。
ーー初回のタイムリー、感触は
なんとかバットに当たってくれて。あれがファーストスイングだったんですけど、それで芯に当たってよかったと思います。
ーー久しぶりの慶應ユニフォームは
ふざけた話になっちゃうんですけど、(笑)4年生のときに、今日と同じ8番のユニフォームのXLを着てたんですが、今日着たら結構パツパツになっていて身体だけは成長できたかなと思いました!
ーー身体が大きくなった印象。
実際、4年生のときは90キロ前後くらいで。僕みたいなタイプはやっぱり打たないと使ってもらえないので、パワーという意味でも8キロ増やして今98キロなんですけど、3桁、100キロで動ける身体を目標にしています。今日みたいにユニフォームがパツパツになっちゃったんですけど(笑)
ーー先輩・同期・後輩達に会ってどんなことを話したか
ボンバー(高橋佑)さんもユニフォームの下がパツパツで、俺ら大丈夫?みたいな、コスプレだなって話をして(笑)福井とも仲良いんですけど、瀬戸西(純、令3商卒・慶應-ENEOS)さんは先輩でも結構仲良くて、ここでは載せられないような話とかを話して…(笑)錬さんとか三宮さんとか偉大な先輩とも話して、楽しくて呼んでもらって良かったなと思います。
ーー日本新薬で、今年1年活躍。来年の抱負
チームとしては都市対抗と日本選手権に出れて、でも2回戦で関東のチームに負けてしまったんで、関東のチームに勝って優勝するというのを目標に掲げています。個人としては来年2年目で、プロ野球解禁年なのでそこを目指して。今年福永(裕基、専大-中日)さんがプロ行くので、その穴を埋められるように。穴を埋められれば、プロへの道は少しずつですが開けていくと思うのでチームのために貢献します。