4月9日(日)東京六大学野球春季リーグ戦 法大2回戦 @明治神宮野球場
昨日の無念を晴らすべく迎えた法大2回戦。投手陣では先発の谷村然(環4・桐光学園)、小川琳太郎(経2・小松)の2人が、走者を出しながらも要所を締めるピッチングで法大を8回2失点に抑え込む。今日の試合も8回まで無得点と、完全に打線が眠っていた慶大打線は9回表、主将・廣瀬隆太(商4・慶應)が今季初安打で好機を作る。すると、1死一塁から代打・佐藤一朗(商4・慶應)の神宮初安打となる一振りで1点を返す。続く水鳥遥貴(商3・慶應)の代打・村上真一朗(文4・城北)の2点中越本塁打を放ち、逆転に成功する。その裏、昨日の先発・外丸東眞(環2・前橋育英)が法大打線を抑え勝利し、慶大は勝ち点に逆王手をかけた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
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慶大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 3 |
法大 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
打順 | 守備位置 | 名前(学部学年・出身校) |
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1 | [9] | 栗林泰三(環4・桐蔭学園) |
2 | [7] | 橋本駿(経4・巣鴨) |
1 | 小川琳太郎(経2・小松) | |
3 | 小川尚人(環4・三重) | |
3 | [4] | 本間颯太朗(総3・慶應) |
4 | [5] | 廣瀬隆太(商4・慶應) |
5 | [2] | 宮崎恭輔(環4・國學院久我山) |
6 | [8] | 吉川海斗(法4・慶應) |
H | 佐藤一朗(商4・慶應) | |
R7 | 横地広太(政1・慶應) | |
7 | [3] | 清原正吾(商3・慶應) |
H3 | 水鳥遥貴(商3・慶應) | |
H | 村上真一朗(文4・城北) | |
1 | 外丸東眞(環2・前橋育英) | |
8 | [6] | 斎藤快太(商3・前橋) |
9 | [1] | 谷村然(環3・桐光学園) |
H78 | 村岡龍(商1・慶應) |
慶大バッテリー:谷村、○小川琳、外丸ー宮崎
法大バッテリー:篠木、●吉鶴、塙ー吉安
慶大本塁打:村上1号2ラン(9回)
法大本塁打:内海貴1号2ラン(1回)
昨日開幕した東京六大学春季リーグ戦。応援席に各大学の応援団とファンが一体となり、声を枯らして声援を送る光景が帰ってきた。慶大応援席からも割れんばかりの応援が飛んでいたが、試合は0−10で大敗。それとは一転して迎えた第2戦。空を見上げれば、昨日の生憎の天気が嘘のような晴天に恵まれた神宮球場。惨劇をも忘れさせる青空の下、悲願の優勝に向けて勝ち点を落とすわけにはいかない慶大は、神宮初登板となる谷村に明暗を託した。
リーグ戦初先発となる谷村は初回、法大打線につかまってしまう。先頭の武川廉(人環3・滋賀学園)に二塁打を許すと、2死三塁から内海貴斗(人環4・横浜)に初球をスタンドに運ばれ、2点を先制される。法政の勢いそのままに今日も試合が運ばれる雰囲気さえ漂った序盤、そうはさせまいと突破口を見出したい慶大ナインの前に、法大の絶対的エース・篠木健太郎(経営3・木更津総合)が立ちはだかった。150km台の直球を前に、慶大打線は力で封じ込められ、5回まで走者こそ出すものの、得点に結びつけることができない。直球を弾き返すことができず、外野フライが精一杯であり、歓喜の「若き血」が神宮を轟かすことはなかった。
谷村は四球こそ出すものの、守備の好返球にも助けられながら、失点を初回の2点にとどめていた。踏ん張りどころでしっかり踏ん張り、味方の援護を待ちながらの投球となった。試合は終盤に差し掛かり、谷村に試練が訪れた。7回裏には、申告敬遠を挟み2死一、二塁のピンチを招く。谷村の投じた97球目、渾身の141kmの直球で見逃し三振に打ち取り、堂々の神宮デビューを飾った。
谷村の力投に何としても応えたい、また待望の初得点が欲しい慶大打線。直後の8回表に、斎藤快太(商3・前橋)の左前安打、代打・村岡龍(商1・慶應)の内野安打などにより、2死二、三塁の一打同点の好機をつくる。三塁側応援席のボルテージも最高潮を迎えた中、続く本間颯太朗(総3・慶應)が振り抜いた打球は、左翼ポール際へ飛び込むも、惜しくも判定はファール。その後も本間は粘るも、篠木の152kmの直球に空を切り、一気に歓声がため息へと変わる。
ついに迎えた最終回、開幕2連戦を完封負けで終わるわけにはいかない。先頭の主将・廣瀬が左前安打を放ち慶大打線に火をつける。勝利への執念を主将が背中で見せる。1死一塁となり、打席には代打・佐藤。4年生にして初めての神宮の舞台。廣瀬と共に塾高時代から戦ってきた佐藤が、意地の中越二塁打を放ち、1点差に追い上げる。続く水鳥に1球目が投じられたところで、堀井監督が動く。代打に告げたのはこちらも4年生にして初の神宮となる村上。球場内は騒然としたが、村上はそれをものともせず初球をコンパクトに振り抜き、何と打球はバックスクリーン付近に飛び込む逆転2点本塁打となった。慶大打線がついに、目を覚ました瞬間だった。神宮に「若き血」がこだまする。
9回裏、何としても無失点で逃げ切りたいところ。堀井監督は、マウンドに第1戦で自分の投球ができなかった外丸を送った。外丸は走者こそ許すものの、本来のエースらしい投球を取り戻し、無失点に抑え、慶大は今季初勝利を収めた。
今日の試合では、昨日大敗を喫したその悔しさと、優勝にかける執念の2つが垣間見られる試合となった。今年の慶大野球部は、昨年よりも個の力が劣るだけに、誰がチームを引っ張っていくのかということが鍵になるだろう。勿論、実績と経験豊富な4番・廣瀬もその一人であろうが、廣瀬一人ではないのだ。この試合では、谷村をはじめとして、佐藤一や村上など、多くの4年生が初出場を果たしながら、結果を残している。決して順風満帆な野球人生ではなかったかもしれないし、廣瀬のようにエリートコースを歩んできたわけではないかもしれないが、共に戦ってきた仲間だからこそ、最上級生としての「優勝」にかける思いは人一倍強いはずだ。外丸も、2年生ながらもエースとしての風格が出てきており、同学年の小川琳も、外丸に負けじと腕を鳴らす準備はできている。十人十色の経験をした選手が、新戦力として期待や重圧を背負いながら、歓喜の瞬間へと走り続ける慶大野球部の戦いに、今日始まりの鐘が鳴らされた。
◆選手コメント
村上真一朗選手(文4・城北)
ワンストライクからの打席だったので構え遅れすることなく1発で仕留めるという強い気持ちを持って打席に入りました。最高の結果になって嬉しいです。
まだまだリーグ戦は始まったばかりなので明日もこの勢いに乗ってチーム一丸で勝ちたいと思います。
谷村然投手(環4・桐光学園)
今日の試合は初回に点は取られたものの、その後をしっかり抑えられたことが最後の逆転に繋がったと思います。また、勇気を持ってバッターと勝負できたことが良かったのだと思います。
明日勝ってこそ今日の勝ちが意味を持つと思うので、また勝つためにも最高の準備をして試合に臨みたいと思います。
(記事:野上賢太郎、写真:佐藤光、北村可奈)