関東大学バレーボール春季リーグ戦が4月8日に開幕した。慶大は昨年10月の入替戦で勝利し、今季から1部リーグでの戦いとなる。チームが目指すのは日本一。今回は目標を達成するべくチームをプレー面・運営面両方で支えるお二人、副将・大槻晟己(総4・清風)と松本喜輝(環4・九州産業)選手による対談をお届けします!
――まずお互いの印象を教えてください!
大槻 実は中学校の時にJOCで(喜輝と)試合しているんです。
――同じチームで?
大槻 いや、別のチームです。僕は京都チームで。
松本 自分が福岡で。
大槻 相手に大きい左利きの選手がいる、というのが本当の最初の第一印象です。自分はバレーボールを高校でも続けるって決めていたので、対戦して、高校・大学で当たったら敵として厄介だなという感じで最初は見ていました。高校でも全私(私学の全国大会)で1回対戦したかな。
松本 そうだね、全私でやったね。
大槻 私学の全国大会で1回やって、その時にはもうとても強くなっていて。JOCの時に対戦したあいつ強くなっている!と思ったのを覚えています。
――大槻選手の印象は?
松本 自分もJOCの時で、最初にプレーを見たのは、その予選リーグですね。京都と他のチームの試合を見ていたのですが、その時にライト側に走っていきながらBクイックをバックトスで合わせていたんです。それを見て「なんかあそこのセッターすごいぞ」と思ったのが第一印象です。自分はあまり全国大会経験がなかったのですが、(晟己は)やっぱり小中高全国で活躍しているので、いざ大学に入って一緒にやっていて思うのは、バレーボールのことをよく知っているなと感じます。
――新年度になりますが、始めたいことはありますか。
松本 自分はもう少し筋トレに力を入れたいです。まだ線が細いので、もう少しそこを頑張れたらバレーのスキルも上がっていくのかなと思っています。
大槻 単位を取るために授業を受けるというところから。自分を深めるための授業を履修し、自分の教養を深めるために授業を受けてみようと思います。
――昨リーグは1部昇格というチームの絶対的な目標があって、序盤からそこに向けて7連勝で上り調子だったと思いますが、チームの内部からみてどうでしたか?
松本 自分はやっぱコートに入っていたということで、2部リーグでの戦いとなると「負けられない」という気持ちが大きくて、全員「1部に上がる」という目標はあるのですが、そこに至るまでのモチベーションの持っていき方が難しかったのかなと思うところがありました。そんな中、入替戦で国際武道大学と当たると決まって、「リベンジしたい」という気持ちが部の中で共通であったので、そこに向けてみんなでひとつになって取り組むことができたと思います。
――印象に残っているシーンは?
松本 自分は秋の入替戦です。勝ったときよりもフルセットになった瞬間の方が印象に残っています。2セット先取して、そこから2セット取られたということで、こっちとしては苦しい状態で入った第5セットの中でも、全員が自分たちのやるべきことだけをやろうという共通認識でひとつになれたというのは、成長だったのかなと思っています。
大槻 やっぱり僕は春の入替戦で負けたときが結構印象に残っています。今思えばまあ行けるだろうという油断があったので、そういったところがやっぱり結果に対してかなり重大な形で反映されてしまったというところを、去年も副将をしていたのでそこにすごく責任を感じました。だからこそ、秋は安心の方が大きかったかもしれないです。
――印象に残っているチームメートからの言葉はありますか。
松本 全日本インカレの前くらいに、自分は出るか出ないかという瀬戸際のところにいました。結果としては出ることになったんですけど、1回戦に国際武道大学さんと戦って勝ったときに、降小雨さん(R5商卒)さんから「戻ってきてくれてありがとう」と言われたのはちょっと印象に残っていて。嬉しかったです。
大槻 シーズン中の言葉ではないのですが、僕も降さんからの言葉が印象に残っています。12月の全日本インカレ直後に行われた、納会という4年生が正式に引退となる会でいただいた言葉だったと思います。そこで「来年お前にとって苦しい1年になるよ」と言われました。それがどういうことを指して言われたのかはいろいろ思い当たるところがあるのですが、だからこそそれが「1年戦い抜いてやろう」というモチベーションになっているというところで、印象に残っている言葉ですかね。
――楽しかったことや辛かったことはありますか。
大槻 去年までは僕は試合に出られたとしても途中出場だったのですが、今年になって練習試合など最初から出場するようになって。僕は高校の時も途中出場が主だったので、フルで出るのが中学校ぶりで、 やっぱり試合はフルで出ると楽しいなと素朴に感じました。
松本 反対に、自分はどちらかというと、大学に入ってからも高校でもずっと試合に出続けてきたので、先ほど言った、全日本インカレ前に試合に関われないとなったときは 自分の気持ちの保ち方に少し苦労しました。だからこそ、リリーフで活躍できる人はすごいなと率直に感じましたね。楽しかったこととしては、バレーボールをしているときももちろんなのですが、日常生活で皆と笑い合っているのが一番楽しいですね。
大槻 辛いところでいうと、結構一気に役割が増えたことですかね。去年までも副将ではあったのですが、まだ1つ上に最上級生がいる状況でした。そこから今年、自分が最上級生になり、かつ副将も2人だったところが自分1人になり、そこでスタメンとしても出させてもらっていて、というところでかなり新しい仕事・役目が増えました。そのことに対してどういうバランス感覚で取り組んでいくべきかというのは、辛いというか難しいところではあります。
――4年生の引退試合となった全日本インカレの最終戦。悔しさも残る試合かもしれませんが、振り返っていかがですか。
松本 自分としてはメンタルも体の状態も結構辛い状態で、前日も夜まで国際武道大学とフルセットやった後ということもあって、疲れが抜けてない状態でした。相手チームのOPに自分と同い年の仲の良い九州出身の選手がいて、同じような境遇で自分たち相手にボンボンと点数取っているのを見て、悔しいなと思いました。でもやっぱりその悔しさを試合中に出すわけにはいかなかったのですが、終わって振り返ってみると結構そこが悔しかったかなと思います。
大槻 途中までは、「ここから勝つ」という試合を結構見てきたなという印象がありました。ただ喜輝も言ったように、前日の疲労を考えると、やっぱりコートの中の選手たちはかなり厳しい状況なんだろうなということは容易に想像がつきました。そこでベンチにいた人たちでもっと戦えればよかったのにな、という悔しさも感じました。僕らがもっと活躍できれば一旦休むこともできただろうなとか。悔しさと来年に対する覚悟を感じた試合でしたね。
――松本選手は大槻選手が副将に今年度も就任されたことについてどう思いましたか。
松本 自分としてはもう絶対に、最上級生になったら晟己がチームをどういう立場であれ引っ張っていってくれるんだろうなという想像はしていました。自分の想定以上に今頑張ってくれているので、もうこのまま突っ走ってもらえたらなと思います。
――大槻選手は、松本選手が新チームでどのような役割を担ってくれると考えていますか。
大槻 やっぱりエースというところで、技術・精神とともに大黒柱のようなところをこれまでも担ってくれいてたし、これからもより一層そのような存在になってくれるんだろうなと思っています。難しいところはあると思うんですけど、頑張ってほしいなと思っているところです。スパイカーに対しては、自分がこれまで積み上げてきた技術の蓄積をちゃんと共有してくれていますし、後輩の引き上げも貢献してくれているなと感じてるので、そこは今後もやっていってほしいなと思います。
――新しいチームのスローガンは何ですか。
大槻 スローガンとして掲げているのは『深化と探索』です。『深化』は純粋な成長というか、自分が今持っている、例えばスパイクならどれだけ球が速くなるか、どれだけジャンプできるようになるか、うまくなるか、などです。『探索』の方はもっと新しいプレーにも挑戦してみよう、ということです。選手に限らずスタッフでも、新しいSNSの運用を始めてみようとか、そういう挑戦的な取り組みをしていこうと思っています。ひとつの物事を 突き詰めるというところと、それにとらわれず多角的に挑戦していこうという2つのところで『深化と探索』というスローガンを掲げています。
――昨年のチームから引き継ぎたいことは何かありますか。
松本 昨年のチームでは、後輩が意見を言う機会というのを前の4年生が作ってくださっていて、それが自分たち後輩としてはありがたかったです。自分の意見も受け入れてくれて、聞いて真剣に悩んでくれていたので、そういった場面を今年は自分たちが作って、後輩にも思っていることをしっかり言ってもらって、それについて自分たちの方でしっかり考えて、というのをやりたいなと思います。
大槻 チーム全体というよりは4年生としてのところになるのですが、去年の4年生は自分の意見をちゃんと持っている方が多かったです。チームに対する課題意識を自分なりに考えている人が多かったなという印象があって。個々が自分の思いを持っているからからぐちゃぐちゃになるというのじゃなくて、どんな思いを持っているのかというところを共有しつつ、調和も保ってくというところで、それぞれがしっかり部への考えを持って、それを言い合えるような関係でいたいなと思います。
――新チームは、率直に今どう感じていますか。
大槻 練習でのところになってしまうのですが、人数が少ないというのがとても難しいと感じています。自分たちが結果を残すことで、部員数が少ないという状況を好転させられたらなと思っています。
松本 自分は試合のところなのですが、チーム全体として浮き足だってしまうところが昨年と比べて多いのかなというのがあります。去年までは降さんというチームの中でのまとめ役がいて、コートの中でもやる時はやる、盛り上がる時は盛り上がる、という切り替えをしっかりと判断してくれていました。今年、自分たちはまだそんなまとめ役にはなれていないなと思うので、自分たちを中心に少しずつチームを締められるような声掛けをしていけたらなと思います。
――春季リーグ戦は再び1部での戦いになりますが、何か注目ポイントありますか。
松本 入来(環2・佐世保南)かな。ここ2、3か月ぐらいでどんどんスパイクもレシーブもよくなっていて、去年のインカレと慶関戦であまりできてなかったプレーも形になってきた気がするので、入来には頑張ってほしいなという感じですね。
大槻 人数も少ないですし、もっと言えば身長の高い選手が去年と比べて少ないながらも、1人1人が積んでいるエンジンというか情熱はどこにも負けないものを持っていると思うので、少数でも強いというところを見てもらえればと思います。
――通年とリーグ戦での目標は?
大槻 通年目標はやはり日本一です。そのために全カレでシードに入りたいというところがまずあります。そのシードを取るためにはポイント制で7位以内に入る必要があるので、少なくとも春季・秋季リーグ戦どちらも7位以内に入るという目標を掲げています。
――最後に大槻選手はセッターとして、松本選手はエースとして、ここから1年間の意気込みをお願いします!
大槻 僕は最強の縁の下の力持ちでありたいです。セッターというポジションがそもそもそういう感じの役回りというのもあるし、 かつ副将という役割も主将を支えつつ、チーム全体を俯瞰してというところがあるので。少し漠然としてはいるのですが、最強の縁の下の力持ちになれればなと思います。
松本 自分としてはこの1年自分の力を伸ばすのはもちろんなのですが、それと同じぐらい後輩の育成にも力を入れたいなと思っています。自分がバレーで経験してきたものを次の世代にしっかりと伝えて残していくことが最上級生として、引退していくまでに必要なことだと思うので、そこをしっかり次の世代に残していけるようにしたいなと思います。
――ありがとうございました!
(取材:五関優太)