【男子テニス】チーム力の勝利!法大との接戦制す

 過ぎ行く夏を惜しむように強い西日が照り付ける。残暑厳しい有明テニスの森公園では太陽よりも熱い関東学生テニスリーグ第三戦が繰り広げられた。ここまでニ戦連勝の慶大は昨年苦杯を舐めた相手、法大と対戦。ここで勝利すれば全国がぐっと近くに見える。勝って王座への切符を掴むのは慶大か法大か。決して負けられない激闘の火蓋が切って落とされた。

9月11日 関東学生テニスリーグ 慶大-法政大 @有明テニスの森公園

  慶大     法大
S1 志賀正人 6-1,6-2 笹井正樹
S2 長谷川祐一 6-2,6-1 竹下明宏
S3 井上悠冴 6-2,6-3 松田隼十
S4 塩田裕司 4-6,2-6 星野武蔵
S5 加藤大地 4-6,2-6 西尾一馬
S6 近藤大基 7-5,4-6,2-6 山田貴裕
D1 井上(悠)・長谷川 4-6,6-2、7-6(2) 笹井・星野
D2 志賀・井上(善) 1-6,2-6 竹下:戸田
D3 加藤・近藤 6-1,6-4 前田・西尾
5     4
 

  ここまで安定した実力を発揮しているタブルス3加藤副将(環3)・近藤(環1)のペアは西尾・前田組との対戦に臨んだ。焦りなく自分達のプレーを展開し第1セットを6-1で先取すると、第2セットも粘る相手を引き離し4-6。難無く一勝をもぎ取った。しかし対照的にダブルス2志賀(政2)・井上善(経1)は竹下・戸田組に翻弄され、大苦戦。ここまで若さ溢れる伸びやかなプレーで勝利をつかんできた2人だったが、今回は思うような展開へと運び込むことができず、1-6、3-6で力尽きた。そしてやはり鍵となったのは井上主将(総4)・長谷川副将(総4)のダブルス3。序盤は競り合いながらも第1セットを落とす苦しい展開となったが、第2セットでは息を吹き返して6-2とすると勝負は第3セットに持ち込まれる。第2セットの勢いのまま畳み掛けたい慶大だったが、そこは相手も簡単に勝たせてはくれない。ゲームカウント5-4で勝利に王手をかけた場面で相手にブレークを許し、5-5と追いつかれ、そのままタイブレークへ。どちらに転んでもおかしくない緊迫した状況。しかし慶大の4年生ペアの勝負強さがそれを打開する。プレッシャーをはねのけたキレのあるネットプレーでポイントを積み重ね、タイブレークを制して勝利をつかみ取った。「ダブルスをリードするというのが、このチームができてからずっと課題になっていたので、ダブルスを2-1にしたっていうのが本当に大きかった」(坂井監督)という通り、この日最も価値ある一勝であった。

重圧に苦しんだ近藤(環1)

 

 シングルス4には塩田副将(総3)が出場。体力を削り合うような長いラリー戦となったが、第1セットを押し切られ4-6で落とすと、第2セットでは力が出し切れないまま2-6で無念の敗北を喫した。そしてシングルス5、シングルス6ではまさかの波乱が。シングルス5では今季ダブルスのみならずシングルスでも安定していた加藤副将が4-6、2-6で法大の西尾に敗北。また、シングルス6の近藤は勝ち星を期待されたが、そのプレッシャーからかプレーに精彩を欠く。第1セットを7-5で辛くも先取したが、第2セットでは長引くラリーに堪え切れずミスが目立ち始める。コートサイドからの声援に何度もうなずき、どうにかして強いメンタルを保とうと努めたが、攻めきれずに4-6で第2セットを落とす。立て直したい第3セットだが、全く衰えを見せない相手のスタミナを前に攻めあぐね、最後は2-6で力尽きた。

 

部員の願いを背負い、力を出し切った志賀(政2)

 2-1でダブルスを折り返したものの、立て続けにシングルス3本を取られ、窮地に陥った慶大。その苦境を救ったのはここでも4年生の活躍だった。シングルス3に登場した井上主将は要所で強烈なフォアハンドが炸裂。さらにシングルス2長谷川副将は相手につけこむ隙を与えない安定の試合運びで2セットを連取する。4年生の貫録を見せつけてあっという間に試合数4-4と追き、勝敗の行方はシングルス1志賀に託された。相手はインカレベスト4の笹井。格上を相手に厳しい展開が予想された。コートサイドには試合を終えたメンバー陣も応援に立ち、チーム全員で志賀を見守る。そして志賀もそれに応えるように躍動。「相手は4年生でやっぱり緊張していた」と冷静に判断すると積極的なバックハンドで果敢に攻め込む。白熱したラリーにはなったが、一歩踏み込んだショットを混ぜることで、「無駄にポイントを落とさずに、きっちりポイントを終わらせることができた」。第1セットを1-6で難なくつかむと、第2セットでも相手の反撃を退け2-6。戦局を見極める冷静さを終始失わず、実力のある相手を堂々のプレーで打倒した。

志賀を取り囲み、歓喜に沸く選手たち

 

 試合後、「本当にうれしくて、ちょっと涙でちゃいました」と語った井上主将を始め選手達が志賀のもとに駆け寄り、喜びを爆発させた。トータルで5-4、拮抗した対決は僅差で慶大の勝利に終わる。これでより鮮明に光が差した王座への道。だがまだ安心はできない。リーグ残り2戦、「ここで満足している選手は少ない」(坂井監督)だろう。この意義ある勝利に弾みを得て、慶大庭球部の王座への挑戦はこの先へと続いていく。

 By Asuka Ito

 

坂井監督

(素晴らしい試合でしたね)本当にいい試合をしてくれました。(特に印象的だった試合は)今日は4-4で勝負がかかった志賀が本当によく頑張ってくれて、去年4-4でかかって棄権になってしまったので、その一年前の悔しさを志賀が晴らしてくれた。本当はそこまで回したくなかったんだけど、志賀が頑張ってくれたので生き残ったという感じです。(4年生の活躍も)そうですね、4年生はダブルスでも頑張ってくれたし、2-4になったところから簡単に2本取ってくれたから、4年生の力が本当に大きかったね。意地がね。(存在感が)ありましたね。(今日の勝利の鍵は)やっぱりダブルスをリードするというのが、このチームができてからずっと課題になっていたので、ダブルスを2-1にしたっていうのが本当に大きかったし、シングルスを3本取られて後がないところから勝ったという生命力と勝負強さが出た試合だったので、そこが大きい。(シングルスを3本取られ苦しい展開になったが、原因は)今日はみんなどうしても勝ちたいという気持ちがあって、特に一年生の近藤はすごく緊張したと思う。だから彼もプレッシャーがかかったから、そういうプレッシャーがかかった場面でどういうプレーをするかということで、一つ勉強になったと思う。(権選手に替えて塩田副将を起用した意図は)僕は塩田には期待しているし、加藤と塩田が来年の代を引っ張っていくので、そういう意味もあった。どうしても出たいというエネルギーを溜めていたし、やってくれるんじゃないかなという思いで出した。まあ今日はちょっと力を全部出し切れなかったかな、という感じで悔しい結果だった。(でも王座が見えてきましたね) そうですね。やっぱり2年前に王座出て、去年出られなくて、これは結局一年おきなんですね。2007年、2009年に出て、今回もあと2戦しっかり勝てば出られる。今回は出るだけじゃなく、優勝を目指していきたいので、ここで満足している選手は少ないと思うから、次の早慶戦でもう一度気を引き締めてやっていこうと思う。

井上主将

(今の気持ちは)とにかく今日はみんながんばってたんですけど、志賀が本当にいいプレーをしてくれて、僕はあいつと部屋もずっと一緒で、あいつが取り組んでいる姿を見てたんで、がんばってる姿を見ると、本当にうれしくて、ちょっと涙でちゃいましたね。(今日のポイントは)お互いポイントだったのは、D1とS6で、D1は僕たちが何とか追いついて勝ったんですけど、S6で近藤を出して取りにいったんですけど、そこでプレッシャーを感じて落としてしまった、というのもキーでした。お互い計算していたのはその2つあたりで、笹井は志賀に負けるとは思ってなかったと思いますし、そういう中でひっくり返して勝ったというのは一人一人ががんばった成果ではないかなと思います。(王座は視界に入ってきたか)大丈夫だと思ってしまったらそこで何が起るか分からないリーグ戦ですし、まずは最後までやりきりたいです。あと王座で優勝する事が目標なんで、そこを常に目指していきます。(次は早慶戦ですが)今までずっと負け続けてきて、でもチームの状態は良くなってきているんで、まずダブルスを出来れば3-0、最低2-1つけて、相手をそこでビビらせる、そういう試合展開にすればチャンスはあると思うんで、それを目標にやっていきたいです。

長谷川副将

(今の気持ちは)まあ、勝つということを前提にやっていたので、勝ったということに特別喜びは感じていません、ただ昨年負けた相手に勝ったというのは大きいですが。まだまだ課題もたくさんありますし、目指しているものが高い分、絶対ここで満足しないように、気を緩めないようにしたいと思います。(今日のポイントは)結果的に見れば自分たちのダブルスが勝てたのが良かったとは思うんですが、下位3本が取れなかったという所が大きかったです、そこが取れていればもっと気持ち的にも余裕があったと思いますし。それは課題です。(王座は近づいたか)王座にはもちろん行きたいですが、行く事はもちろんで、王座に行くからどう、てことよりは明後日の早稲田戦、最終日の亜細亜戦をしっかりと戦った後に王座が決まってるといいなと思います。とりあえず早稲田戦の準備をしていけたらいいなと思います。(早慶戦の意気込みを)もちろん勝つことを目標に、というか勝ちたい、勝つためにやってます。今のチームには力があると思うし、全員が力を出せれば勝てる相手だと思います。でも今日のように取りこぼしがあると勝てる相手ではないです。全員が100%出し切ったときにだけ勝てると思います、でも向かっていく立場なんで、そんなにプレッシャーを感じることなく出来たらいいなと思います。

志賀

(振り返って)4-4でかかって回ってきて、去年の法政も同じような感じで僕にかかって負けてしまったので今年はなんとしても勝ちたいっていう思いを持って、固くならずに、目の前の1ポイント1ポイントに集中することだけを考えて、緊張せずにできたので、去年に比べたら成長したかなと思う。(相手の印象は)相手は4年生でやっぱり緊張していたのがすぐわかって、まあ、ちょっとかわいそうではあったけれど、これはいけるなと思った。(相手はバックに集めてきたが)それはもともと予想していた。バックハンドが上手くて、バックラリーになるなと。でも僕もバックは得意なので、僕もバックハンドに集める展開をした。(勝因は)僕がフォアを要所で打ち切れたことと、バックのストレートでエースが取れたこと。そういうところで無駄にポイントを落とさずに、きっちりポイントを終わらせることができたので、長い試合にならなかった。(今回の勝利で王座が見えてきたが)初めての王座でやっぱり行きたい。ほぼ決まりだけどまだ早稲田、亜細亜との試合があるので、もう一度ここから気を引き締めてやっていきたい。(早稲田戦に向けて)シングルスはもちろんだけど、ダブルスでまだ早稲田に勝ったことがないので、そこで一本取ってきてやろうと気合いが入っています。

近藤

(今日の試合を振り返って)そうですね……。とりあえず悔しいんですけど、勉強になった試合だったという感じ。普通の試合だったら多分負けないような相手に負けちゃったので、やっぱりリーグの怖さというか、個人戦とは全然違うなというのを感じた。あと、回が、大地さんと塩田さんが負けちゃったので、プレッシャーもあった。でも落ち込んでいる暇はないので、次に向けて、頑張ろうかなーと。(課題は)誰がきても気持ちの持ち方がいつもより難しくなるということ。(次はどんな気持ちで臨みますか)最初から最後まで、さっきもそのつもりだったんだけど、もっと、より強い気持ちで臨みたい。(今大会はパワーを抑えている印象ですが)ちょっと自分の中で課題に取り組んでいて、今までのテニスにはすごく波があったので、今は7割くらいの力で打って、それでも僕の球は結構強いので、それで相手を追い出す、ということをやっているからかな。(法政戦の勝利で王座が見えてきましたが)今回の法政戦は結構志賀さんのおかげだったり、ほかの先輩達のおかげだったりするので、それで次に繋げられたことは、王座っていうより、自分がリーグ戦で頑張らなきゃと感じる。(ダブルスの調子は)まあまあです。(次に向けて意気込みを)絶対勝ちます。

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