【競走】悔しさを乗り越え、前へすゝめ!/天皇賜杯第93回日本学生陸上競技対抗選手権大会

競走

大学陸上界No.1を決める大会、全日本インカレがUvanceとどろきスタジアムby Fujitsuで行われた。第93回となる今年も、期間内に参加標準記録を突破した150校/3000名を超える競技者により、4日間にも及ぶ熱戦が繰り広げられた。慶大からは男女14名が計12種目に出場した。目標としていた大学としての総合入賞は果たせなかったものの、女子やり投げで倉田紗優加(環2・伊那北)が準優勝、男子100mリレーでは塾歴代3位の記録で6位入賞を果たすなど各選手が健闘をみせた。 

 

第93回日本学生陸上競技対校選手権大会

9月19日(木)~9月22日(日)@Uvanceとどろきスタジアムby Fujitsu

 

 

全日本インカレ(全日本学生陸上競技対抗選手権大会)とは日本学生陸上競技における最も重要な大会の一つである。東洋大の栁田大輝など今夏のパリ五輪代表をはじめとして、各地域や大学での予選を勝ち抜いてきた学生たちが集まり、毎年ハイレベルな試合が繰り広げられる。慶大は前回大会の成績(男子・総合14位、女子・記録なし)を上回ることを目標に今大会に臨んだ。

 

♢試合結果♢

男子 27位 7.5点

女子 9位 20点

 

男子得点者

三輪颯太(環4・西武文理)

100m

10秒36

6位・3点

岩井章太郎(環4・同支社)

110mH

13秒96

8位・1点

須崎遥也(商2・丸亀)

走高跳

2m10

8位・0.5点

大島琉偉(商3・慶應)―三輪颯太―篠宮健吾(政4・慶応)―林明良(法2・攻玉社)

4×100mR

39秒12

6位・3点

 

女子得点者

鈴木わかば(総4・宇都宮女子)

200m

24秒77

7位・2点

倉田紗優加(環2・伊那北)

やり投

57m23

2位・7点

 

 

9月19日(木)

100m・200m出場の鈴木

大会1日目。突然の雨に見舞われ、足場の悪い中で行われた100m予選、慶大からは3名の選手が出場。女子100m予選に出場した鈴木は懸命の走りで組4着でゴール。惜しくも0.08秒の差で予選敗退となった。男子100m予選には篠宮、三輪が出場。組6着の篠宮は悔しい表情を見せ、レース後も電光掲示板を見つめていた。三輪はスタートから安定の走りを見せ、組2着でゴール。準決勝進出を決めた。

 

 

9月20日(金)

大会2日目、慶大はまず4×100mリレーで魅せた。特に光ったのはアンカー林明良(政2・攻玉社)の走り。3走の篠宮健吾(政4・慶應)から2位でバトンを受けると、先行する筑波大をゴール直前で差し切り、この組1位での決勝進出を決めた。その差は僅か0.02秒。塾歴代7位の好記録だった。この流れに乗ったのは三輪颯太(環4・西武文理)。三輪は前述したリレーで2走として慶大の決勝進出に貢献すると、その直後に男子100m準決勝に出場。全体7位で次に駒を進めると、迎えた決勝では栁田大輝(東洋大・3年・100mRパリ五輪代表)を隣のレーンに意識する中で6着に入り、慶大に今大会初得点である3点をもたらした。その他にも女子走高跳には佐田那奈(看1・福岡雙葉)が出場。また男子110mに出走した岩井章太郎(環4・同志社)は3着で翌日の準決勝進出を決めた。 

 

素晴らしいスタートを切る

 

 

 

9月21日(土)

8位入賞の岩井

大会3日目。慶大の選手はトラック種目に出場。110mHに出場した岩井は準決勝組3着で決勝に進出した。決勝では13秒96で8位ではあったものの、1点を獲得し、慶大の得点に貢献した。レース後には他大学の選手と抱き合い、お互いを称え合っていた。800m予選に出場した奥泰貴(商4・湘南藤沢)は粘りのレースを見せるも組4着で準決勝進出とはならなかった。ゴールした直後には悔しそうな表情を見せた。林は200m予選に出場した。21秒16で組5着であったが、タイムで明日行われる準決勝進出を決めた。800m予選に鴨下友織菜(環3・都立三鷹)が出場したが、7着で予選敗退となった。200m予選出場の鈴木はスタートから勢いよく走りだし組2着でゴール。パーソナルベスト更新し塾歴代3位の好タイムを記録。準決勝進出を決めた。

決勝後笑顔をみせるリレーメンバーたち

800mで懸命な走りを見せた鴨下

 

 

 

 

 

 

 

 

9月22日(日)

表彰式で笑顔の倉田

大会4日目。慶大の強みであるフィールド競技で多くの選手が活躍した。やり投げ関東インカレ優勝の倉田は得意とする1投目、50mを超える遠投で暫定1位に。その後、他大学の選手に記録を抜かれ迎えた3投目。力強く放たれた矢はパーソナルベストに迫る57m23を記録し、2位で競技を終えた。惜しくも優勝を逃した倉田だが、表彰式では笑顔が見られた。今後も倉田の活躍に注目していきたい。走高跳に出場の須崎は、2m10を記録し、慶大の得点に貢献。三段跳に出場の佐田那奈は12m08で12位で競技を終え得点獲得にはならなかった。昨日、200m塾歴代3位の好タイムの鈴木は準決勝でも、安定の走りで組2着で決勝進出。決勝では、スタートで出遅れるも、先頭に食らいつく走りを見せ、7位でゴール。慶大女子に得点をもたらした。

 

 

慶大に貴重な勝ち点をもたらした須崎

 

慶大の今大会の総合成績は男子27位・女子20位となり、男女ともに目標としていた順位には届かなかった。主将・豊田兼(環4・桐朋)、副将・仲子綾乃(総4・浜松西)、十種競技の高橋諒(商1・桐朋)など活躍が期待された選手が出場を見送ったことの影響は少なくなかったと言える。ただ個人の結果に目を向けると、男子100m・三輪の入賞、女子やり投げ・倉田の準優勝、男子100mリレーが塾歴代3位の記録で入賞するなど、「陸の王者」としての地力は随所に発揮していた。 

 

 

今大会で感じたことはオリンピアンの存在の身近さだ。男子100m/100mリレーに出場した三輪は準決勝で鵜澤飛羽(筑波大・4年・200mパリ五輪代表)と、100m/100mリレー決勝では栁田大輝(東洋大・3年・4×100mRパリ五輪代表)と競走した。彼らの足音を肌で感じながら戦い抜いた経験は今後の大きな糧となるであろう。 

 

熱いエールを送る競走部員

 

全ての学生が1秒でも早く、1cmでも遠く、高い記録を求め続けた。この力の源は、普段から練習や試合で苦楽を共にしてきた母校の仲間への思いである。全日本インカレは、個人の成績だけでなく大学の総合成績も重視されるように、団体戦としての側面が強い。選手たちは、自分だけでなく仲間のために頑張ることの大切さを改めて感じたことであろう。こうした大会こそ、一生に4年間しか訪れない学生スポーツの価値を特別なものにするのだと改めて感じた。 

 

 

(取材:ウジョンハ、愛宕百華、小田切咲彩、竹腰環、河合亜采子)

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