【ラクロス(男子)】大一番で守護神・浜地が好セーブ連発 死闘を制し2年ぶりの全学出場決定!/第36回関東学生ラクロスリーグ戦FINAL4 vs一橋大

男子ラクロス

「勝てば全学、負ければ引退」という絶対に負けられない大一番。慶大は昨年、この関東FINAL4で法大に敗れて全日本大学選手権大会(以下、全学)出場を逃し、悔し涙を呑んだ。試合は、第1Q開始早々に主将・藤岡凜大(政4・慶應)のゴールで先制に成功すると、第2Qには田代豪(商4・慶應NY)が1点を追加し2ー0。しかし、昨年の記憶も頭を過る独特の緊張感の中でミスやファウルが目立ち、苦しい時間帯が続く。一橋大の猛攻を受けながらも守護神・浜地航太郎(経4・慶應)が前半を1失点に抑え、2ー1で試合を折り返す。1点リードの第3Qは、ハーフタイムに行われたクロスチェックで慶大がイリーガル判定を受けたため、3分間のマンダウンで試合が再開。10分にはファウルが重なりツーマンダウンを迎えるなど、数的不利の状況下で我慢の時間帯が続く。それでも、DF陣とG・浜地の健闘でこの窮地を無失点に抑えると、第3Q終盤には田代がこの日2度目のゴールを決め、3ー1とリードを広げる。ラスト15分は、互いにチャンスを作りながらも得点に繋げることはできず、ターンオーバーが繰り返される。試合終了間際には、藤岡が再びゴールネットを揺らすも、再びクロスのイリーガル判定を受けてゴールは認められず。追加点とはならなかったが、慶大はリードを守り抜き3ー1で一橋大に勝利。2年ぶりに、全学の切符を掴み取った。

 

◇スタメン

AT

#3  藤岡凜大(政4・慶應)

#4  福田天真(法2・國學院久我山)

#90 池田朋史(商3・慶應)

 

MF

#51 石村嶺(経4・慶應)

  

LMF

#21 小川豪(商4・都立青山)

 

DF

#16 奥澤拓馬(商4・慶應)

#19 増田友翔(経3・慶應)

#22 小川健(政4・慶應)

 

G

#2 浜地航太郎(経4・慶應)

 

FO

#33 鈴木ケン春海(商3・慶應NY)

 

♢得点♢

 

1Q

2Q

3Q

4Q

慶大

一橋大

慶大得点者

藤岡

田代

田代

試合開始のFOは混戦となり、第1Qは一橋大のポゼッションで試合がスタート。慶大は自陣に攻め込まれながらも、DF陣の堅い守りで相手に隙を与えない。開始3分には、G・浜地航太郎がファインセーブを見せると、LMF・小川豪(商4・都立青山)がすぐさま攻撃へと展開する。同期の巧みなパス回しからボールを受けたAT・藤岡凜大は相手DFを揺さぶると、技ありのシュートで先制ゴール。得点後には力強いガッツポーズで会場を沸かせ、慶大の士気を一段と高める。その後は、一進一退の攻防を繰り広げる中、慶大は圧倒的な守備力で魅せる。MF・石村嶺(経4・慶應)は研ぎ澄まされたフットワークで相手選手を捕らえ、DF・小川健(政4・慶應)は強靭なフィジカルで相手選手をゴールに寄せ付けない。守りの時間が長くなる中でシュートを放たれる場面も見られたが、G・浜地がスーパーセーブを連発しゴールを守り抜く。残り1分には、G・浜地からパスを受けた佐藤孝紀(政4・慶應)が持ち前のスピードでクリアに成功。敵陣で待ち構えていた田代豪がシュートを放つも追加点とはならず、1ー0で第2Qへ。

リーグ戦では全試合ゴールを決めている藤岡凜大

 

第2Qは、開始早々に慶大がチャンスを掴む。ゴール前に侵入した田代豪は、相手Gを1on1に誘い出すと、ゴール前がフリーになった一瞬の隙をついてシュートを叩き込み2ー0。慶大はさらにリードを広げようと、MF・落合優椰(政4・慶應)、AT・福田天真(法2・國學院久我山)、AT・藤岡凜大らを中心に積極的にゴールを狙うが、得点に繋げることはできない。そして8分、慶大ファウルでマンダウンを迎えると、僅かな隙間からゴールを決められ2ー1の1点差に迫られる。慶大は好機を掴みながらも得点に結びつけることができず、一橋大のターンオーバーに苦しむ。そんな中、第2Q残り1分で相手選手にクリース内への侵入を許すと、ゴール真正面から放たれたシュートはゴールへと吸い込まれる。痛恨の同点弾に一度は肩を落とすが、ゴールをめぐり審判員によるオフィシャルタイムアウトの時間が設けられる。審議の結果、スコア前のファウルにより一橋大の得点は認められず。九死に一生を得た慶大は、2ー1で試合を折り返す。

持ち前の嗅覚で2ゴールの活躍をみせた田代豪

 

G・浜地航太郎が「生きた心地がしませんでした」と振り返る、第3Q。ハーフタイムに行われたクロスチェックで慶大がイリーガル判定を受けたため、3分間のマンダウンで試合が再開される。2ー1と、次の1点が試合の流れを大きく左右する大事な場面で、長時間のマンダウン。この圧倒的に不利な状況下で、流れは徐々に一橋大へと傾き始める。ポゼッションを握った一橋大は立て続けにシュートを放ち、慶大ゴールを幾度となく脅かす。それでも、1年の時を経て関東FINAL4の舞台に帰ってきた慶大の守護神・浜地がスーパーセーブを連発。観客も固唾を呑んでボールの行方を見守る中マンダウンの3分間を耐え抜くが、その後もひたすらに我慢の時間帯が続く。開始10分には焦りからか、慶大ファウルが嵩み今度はツーマンダウン。スタンドからの「鬼のDF」コールを背に、DFの奥澤拓馬(商4・慶應)や増田友翔(経3・慶應)らが厳しいチェックで相手選手を迎え討つ。そして、再び訪れたピンチをG・浜地とDF陣が5人で凌ぎ切り、なんとか無失点に抑える。このまま、一橋大の勢いに呑まれてしまうのか。立ちこめる暗雲を晴らしたのは、第2Qでもゴールを決めたAT・田代豪。抜群のポジショニングでこぼれ球を掬い上げた田代は、そのまま豪快なバウンシューを叩き込み3ー1。大きな大きな1点を得点板に刻み、2点リードで最終第4Qへと繋げる。

幾度となくチームを救ったG・浜地航太郎

 

苦しい時間を守り抜き、3ー1で迎えた第4Q。脳裏に焼きついた昨年の記憶も頭を過る中、最後まで一瞬たりとも気を抜くことはできない。ラスト15分の始まりを告げるFOを見事勝ち取ると、フィールドを広く使って敵陣へと展開。パスを受けた田代豪はゴール前で再びクロスを振りかざすが、得点とはならない。直後には、パスミスからターンオーバーでシュートを放たれるも、守護神・浜地航太郎が危なげなくゴールを守り抜き会場を沸かせる。その後もパスの乱れが目立ち、パスカットから何度もゴールに迫られるが、LMF・小川豪とG・浜地が体勢を崩しながらゴールギリギリでボールを抑えるなど、気迫のこもったDFで相手に得点を許さない。攻撃では、この試合2ゴールの田代と青学戦・早大戦で2試合連続2ゴールの活躍をみせた福田天真を中心にシュートを放ち、一橋大に脅威を与える。試合終了が近づくにつれて「全学出場」に懸ける思いが募り、両校のファウルが増えていく。残り3分で慶大は2人の数的有利を迎え、藤岡凜大が相手DF2枚を抜いてゴールネットを揺らすが、再びクロスのイリーガル判定を受けて得点は認められず。それでもリードを守り抜き、一橋大に3ー1で勝利。2年ぶりの全学出場を決めた。

堅守で絶大な安心感をもたらす小川豪

 

「勝てば全学、負ければ引退」というシビアな現実の中で、最後まで手に汗握る展開となった関東FINAL4。「今季一」と言っても過言ではないほど苦しい試合となったが、それでも勝ち切れる力を持っているのが今年の慶大だ。まずはこの死闘を制し、全学出場を掴み取ったことに胸を張って欲しい。堅守・一橋大から3点を奪ったAT・MF陣、最後まで集中力を切らさずに守り抜いたDF陣、そして何よりG・浜地航太郎の活躍は圧巻だった。試合後、G・浜地と2年生G・岩城敦大(法2・慶應)が抱き合う姿には胸を打たれた。2年前、全学優勝という最高の瞬間に立ち会い、昨年は関東FINAL4敗退で悔し涙を呑む選手たちの姿を目の当たりにした。だからこそ、こうして再び日本一への旅に立ち会えることを大変嬉しく思う。まずは11月3日の関東FINALで明学大を下し、全学へと弾みをつけてほしい。今回の試合を経て、さらに強くなった慶大ラクロスが見られることを楽しみにしている。

                             (取材:重吉咲弥、長掛真依)

 

▽以下、選手インタビュー

主将/AT・藤岡凜大選手(政4・慶應)

ーー昨年敗れたFINAL4という舞台を前に、独特な緊張感などはありましたか

試合前は、やはり去年の記憶があったので緊張感がありました。日本一を目指す上でまず一つ絶対に越えなくてはいけない壁だという認識を、チーム全員が持って試合に臨んでいました。

 

ーー2年ぶりに全学出場を決めましたが、試合を振り返っていかがですか。

勝ったことは良かったですが、それ以外は何も良い所のない試合だったと思います。ファウルの多さやチームとしての戦術を完遂できない所があり、結果G・浜地(=浜地航太郎)頼みの試合になってしまいました。

 

ーー今回はロースコアの戦いとなりましたが、どのような試合を想定されていましたか

一橋はDFが強いチームなのでロースコアになることは予想していましたが、序盤の段階から長くOFコートでボール支配をして、点差をつけていこうと思っていましたが、クリアライドでのミス、OFのミスなどで半ば自爆のような形で厳しい試合になってしまったなと思います。

 

ーーマンダウンや守りの時間が多い中で、チームではどのようなことを話し合われていましたか

良くない流れが続いていたので、とにかくやるべきことを共有してなんとかチームとして前を向こうとしていましたが、結局最後まで流れを掴み切ることは出来なかったと思います。

 

ーー大事な先制ゴールを決めましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

1Qの早い時間帯にゴールを決めれたことは個人としても、チームとしても良かったと思います。ただ、スティックチェックでチームに迷惑をかけてしまったので、準備不足を痛感しています。

 

ーー関東ファイナルの相手は勢いに乗る明学です。意気込みをお願いします!

準決勝を見てもかなりいいラクロスをしていて、勝負強さを持っているチームだと思うので。0からチームを見直すつもりで、残りの2週間チームのみんなで成長して勝てるように頑張りたいと思います。

 

 

G・浜地航太郎選手(経4・慶應)

ーー日体大戦で期待に結果で応え、岩城選手と2枚看板としてやっていく自信を持てたとお話しされていた中で、昨年敗れた関東FINAL4という舞台にどのような想いで臨まれましたか

今シーズンは昨年FINAL4に敗れてからスタートし、敗退の悔しさを胸に日本一に向けて活動してきました。また個人としては、昨年のFINAL4もスタメンで出場しましたが、今シーズン入ってからはスタメンから遠のいていました。その中で日体戦で結果を出し、負けたら引退という紛れもなく重要な試合でスタメン起用されました。チームとしても個人としても「戻ってきたな」という思いが強く、丁度1年間やってきた事をぶつけてやろうという思いで臨みました。

 

ーーご自身の活躍で全学行きを決めました、率直な感想を教えてください

本当にホッとしました。以前インタビューを受けた日体戦とは対照的に、想定通りの試合運びをできず、いつひっくり返されてもおかしくない試合展開に非常に焦っていました。特に3Qスタート時は、1点リードで3分間マンダウンとなった時は生きた心地がしませんでしたが、耐えに耐え、試合終了を迎えた時は、喜び以上に安堵を感じました。

 

ーー守りの時間も長い中で、どのようなことを意識されていましたか

互いに声を掛け続け、自他ともに集中力を切らさないように意識しました。今回ほどシビアな試合はそうそうありませんが、DF全体が4Q通して高い集中力を持続できたことが、失点を1点に抑えられた要因だと考えています。

 

ーー2年生G・岩城敦大選手と試合後に抱き合っている姿もありましたが、どのような言葉を交わしましたか

「良かったです」と声をかけてくれました。ポジション争いもあり複雑な気持ちもあっただろうに、試合中は技術的にも精神的にも支えてくれ、活躍を喜んでくれました。リーグ戦序盤、無敗で慶應のゴールを守り続けたことを含め、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

ーー関東ファイナルの相手は勢いに乗る明学です。意気込みをお願いします!

1部昇格を果たしてすぐに無敗で勝ち上がって来た勢いと、FINAL4で逆転勝利を掴み取る粘り強さのあるチームだと思います。これまでにない厳しい試合になると思いますが、徹底的に対策して必ず勝利します。

 

 

DF・奥澤拓馬選手(商4・慶應)

ーー昨年敗れたFINAL4という舞台を前に、独特な緊張感などはありましたか

ファイナル4という舞台への苦手意識や「負ければ引退」という緊張感はありましたが、予選全勝という結果を残せた自分達を信じて臨みました。大事な舞台で注目選手に選んでいただいたことは嬉しかったですが、空回りしないようにあまり意識せず、いつも通りのパフォーマンスを意識していました。

 

ーー2年ぶりに全学出場を決めましたが、試合を振り返っていかがですか。

勝ちはしましたが浜地(=G・浜地航太郎)の好セーブに助けられた部分が大きく、DFもOFも課題が残る試合だったと思います。ただそれでも、まだみんなとラクロスできることが嬉しいです。

 

ーー守りの時間も長い中で、どのようなことを意識されていましたか

集中を切らさずに、チームでの決め事を徹底するということを意識していました。

 

ーー関東FINALの相手は勢いに乗る明学です。意気込みをお願いします!

明学は手強い相手ですが、特徴がはっきりしているチームだと認識しているので、対策をしっかりと考えるといった準備の部分にこだわっていきたいです。優勝します!!

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