第1セットは中盤まで同点の展開が続きそこから一歩リードしたまま終盤にさしかかったが、今季磨いた守備力の高さを見せつけで戦に持ち込むと最後は主将の2連続サービスエースで終え観客を大いに沸かした。勢いそのままに迎えた第2セットは中盤でリードに成功すると順調に相手を引き離し、強張りがとれた本来のプレーを見せて25―18で勝利した。第3セットも幸先良いスタートを見せ、序盤はブロックポイントで順調に点を重ねると、セット後半も危なげない展開が続き25―17でこの試合をものにした。
2024年11月27日(火)
第77回全日本バレーボール大学男子選手権大会1回戦
慶大×京都産業大 @東京体育館
得点 | ||
慶大 | セット | 京都産業大 |
33 | 1 | 31 |
25 | 2 | 18 |
25 | 3 | 17 |
出場選手 | ||
ポジション | 背番号 | 名前(学部学年・出身校) |
MB | 22 | 稲井正太郎(法1・慶應) |
OH | 12 | 内田克弥(環4・松江高専) |
OH | 1 | 渡邊大昭(商4・慶應) |
S | 6 | 山口快人(経2・慶應) |
OH | 11 | 入来晃徳(環3・佐世保南) |
MB | 8 | 芳賀祐介(環4・札幌北) |
L |
| 今田匠海(政1・慶應) |
途中出場 |
|
|
L | 3 | 緒方哲平(環1・日向学院) |
S | 15 | 久保田健介(商3・慶應湘南) |
MB | 9 | 松山鼓太郎(商2・慶應) |
稲井正太郎(法1・慶應)の安定感あるサーブレシーブから始まった今試合、初点は逃すも渡邊大昭(商4・慶應)の正確なスパイク、山口快人(経2・慶應)・芳賀祐介(環4・札幌北)の連携抜群の速攻が決まり後を追いかける。内田克弥(環4・松江高専)の鋭いスパイクで4―5とした場面では渡邊と肩を並べてコートを駆け回るなど4年生がこの試合に懸ける思いが伝わってくる。その思いの熱さゆえに緊張も並みではないのか、アンダーレシーブが大きく乱れるなどリーグ戦では見られないミスもセット前半では目立った。その中でも内田は序盤に引き続き多く得点を挙げ、スパイクで5―5、10―10と同点を作り出す。強みのブロックポイントで得点を重ねられない中、13ー15と再び一歩リードを許したタイミングで慶大のタイムアウトを挟む。山口のサーブで15ー15に並ぶと、次の得点は長ラリーに及ぶも今田が手を伸ばしたナイスディグでボールを紡ぎ、最後は入来晃徳(環3・佐世保南)が決め切りここで逆転を果たす。ここで勢いに乗りたい慶大だが、相手ブロックに苦しみ16ー19として2回目のタイムアウトを挟む。攻撃のチャンスは回ってくるも相手の厚い守備によりスパイクが決まらず3点を追いかける展開が続く。22ー24と窮地に立たされる中、ここからが慶大の本領発揮だった。ボールを託された緒方哲平(環1・日向学院)のナイスサーブから1点をつかみ取り23ー24とすると、内田がブロックアウトをとり24ー24、さらに1点を追加するとここは両者次点を奪い合う混戦へ。慶大が放ったボールがアンテナに触れ29ー30とした場面では芳賀が意地の速攻を決めて再び同点とする。30ー31と再三の窮地に立たされた場面でボール託された渡邊がスパイクを決めて並ぶと、なんとここから渡邊の2連続サービスエースで勝負がついた。30点台にまで及ぶデュース戦、その劇的な終わり方に会場が沸き立った。
第1セットで繰り広げたデュースの興奮も収まらないまま迎えた第2セット。強みのブロックでも得点を積み重ねたい中、稲井が序盤からブロックを決めて2-1とリードする。ここからは両者競った展開が続くも、内田の安定感あるサーブレシーブで紡いだボールを渡邊がスパイクを決めて5-5とするなど慶大は前セットの勢いを絶やさずわずかに主導権を握っているようにも見える。その勢いが得点に現れたのはセット中盤になってからだった。8―9と1点を追いかける場面でバックトスからのスパイクが決まり同点に並ぶ。13ー11と一歩リードして相手のタイムアウトを挟み、入来がスパイクを決めて14ー11と引き離しにかかる。入来の活躍と渡邊のブロックポイントで16ー11、再び渡邊のブロックで18-14とし、順調にリードを保つ。内田がストレートのサイド際にスパイク決めて19ー14としたところで2度目の相手のタイムアウトを挟む。終盤は内田のスパイクが多く決まり、軟打で24-17とするなどようやく体の強張りもとれたようだ。25-18でこのセットを勝ち取り試合の主導権を渡さなかった。
ここで決め切りたい第3セットは幸先良いスタートを見せた。渡邊・芳賀のブロックで2-2、追加のブロックポイントで3-2とすると、ネット間際で浮いたボールを山口がすかさず相手コートの空きに押し込むなど視野の広さを見せる。9ー4と大きくリードしたところで相手のタイムアウトを挟み第2セット同様に優位な展開が続く。内田、入来の連続得点で11-7、山口・芳賀・渡邊の隙のないブロックで14-9とすると、渡邉はさらに持ち前のスパイクを決めて会場を沸かす。大きくリードを保ったまま迎えたセット後半は危なげない展開が続いた。松山鼓太郎(商2・慶應)のナイスサーブから18ー11とすると、入来の軟打が相手コート中央の空きを突いて8点リードで20点台にのせる。内田がサービスエースを決めて22ー15、渡邊のスパイクで勝利まであと1点とすると、最後は芳賀の速攻でこの勝負をものにした。最後の大会に懸ける4年生の熱い思いと共にプレーをしたい下級生の思いが観客席にまで伝わってくる試合だった。
★チーム一体となって戦い抜いた
(記事・取材:五関優太、写真・取材:長掛真依)
▼以下、選手コメント
主将・渡邊大昭選手(商4・慶應)
――春高も戦った東京体育館で、まずは1回戦勝ちきりました。試合を振り返っていかがですか
1セット目から、自分自身もチームも緊張というか張り詰めた雰囲気でやっていたのですが、なんとか1セット目を取りきることができて2、3セット目も良い形で取りきれたのがすごい良かったなと思いますし、このライトの感じだったりとか大きい体育館でバレーできるというのが春高を思い出してやっぱり良いなと思いました。
――第1セットは渡邊選手の2連続サービスエースで締めくくりましたが、振り返っていかがですか
あまり良いサーブではなかったのですけれども、気持ちが入ったからこそ出た結果かなとも思います。この1年はサーブ賞を取ったりと、サーブが一番自分の中で力を入れてきたことでもあり武器でもあったので、それが試合で発揮できて良かったかなと思います。
――サーブ以外のご自身のプレーはいかがでしたか
そこそこかなと。50点、60点くらい。まだまだここから上げていかなければいけないというふうに思います。
――第1、2セットは競った展開もみられましたが、勝ちきれた要因は
繋ぎが良かったなという印象があります。リーグ戦が終わってから繋ぎが本当に良くなっていて、早慶明もそうですし、この間の慶関戦も繋ぎがすごく良くなっていたので、山口(=S/経2・山口快人)や今田(=L/政1・今田匠海)といったもともと繋ぎが良かった選手に加えて、全体的に繋ぎが良くなったなという印象があります。
――次のワセダ戦で大事にしたいことは
相手にとって不足ないといいますか、本当に絶対王者だと思うので。繋ぎの部分でもそうですけれど、やはり高さでも負けられない部分があると思うので、そこでしっかり戦っていこうかなと思います。
――5度目の早慶戦へ、意気込みをお願いします!
相手も分かりきっていますし、自分たちも相手の弱点だったり武器を分かりきっているのでしっかり正面突破するところはして、東日本インカレもあと一歩のところで負けてしまってこの学生生活では(ワセダに)勝ったことがないので、ここで勝ってまた明後日とかに繋げていきたいなと思います。
内田克弥選手(環4・松江高専)
――まずは全カレ1回戦勝ちきりましたが、今のお気持ちを教えてください
嬉しいです!
――試合内容を振り返って
1回戦ということで1セット目は固さとかが皆あったのですけれども、1セット目取りきれたことで2、3セット目は固さも取れて自分たちのリズムでしっかり点を決めきれたので、勝ち越せたのかなと思います。
――レフトスパイクやキャッチも光っていましたが、ご自身のプレーを振り返って
もう何がなんでも勝ちたかったので、一生懸命やった結果が結ばれてよかったです。
――次のワセダ戦で大事にしたいことは
やはり今日よりも良いブロックが出てくると思うので、今日よりももっと際どいコースだったりを狙っていきたいなと思います。
――5度目の早慶戦へ、意気込みをお願いします!
全力でぶつかりたいと思います!