昨年12月の定期演奏会をもって、現4年生の代は引退となった。彼らはコロナ禍を経て、応援席の復活など様々な重役を担った。今回は代表・副代表にインタビューを行い、激動の4年間を振り返っていただいた。
Q.1年前、自分たちの代に変わった時の意気込みを教えてください。
土橋:数年前から始まっていた、コロナや不祥事などに対する「再建活動」を完成させるというのが私達の代の役割でした。自分自身、下級生の頃からその準備を進めていました。いざ自分の代になると、それまで見えていなかった部分も多く、不安もありました。今見えている世界とは、色々と違います。
徐:「やりたいこと」というより、「やるべきこと」がたくさんあったので、それをしっかりとこなしていこうという気持ちでした。
Q.1年間は長かったですか。
土橋:やっている間は、時の流れがとても遅く感じました。振り返るとなると、あっという間だった気もします。
Q.4年間の中で、自分の中での転機があれば教えてください。
土橋:転機は多すぎて1つに絞れない。1年生時に同期が少数で1年生ながら勧誘活動をしていた時、一年生ながら広報プロジェクトを生意気に立ち上げ良くも悪くも反響を浴びた時、部の再建チームの一員になり組織と向き合い続けた時間、コロナから応援席を蘇らせた時、コーチをしていた甲子園に優勝まで立ち会った時、3年時に野球の応援企画を担している中で大学野球部が日本一になったとき、代表に選任され部を任された時、転機ばかりで、それら一つ一つが自分自身を成長させてくれました。
徐:私は、2年生の頃に応援指揮を任せてもらったことが一番の転機です。上級生の期待なども背負いつつ、やりきる事ができました。この経験がなかったら、ここまで應援指導部に深く向き合うことができなかったと思います。
Q.代表・副代表として一番大変だったことを教えてください。
土橋:應援指導部には、応援指揮の責任者、育成の責任者、定期演奏会の責任者など、様々な専門的な役割を担う責任者がいます。それらを全てまとめていくのは、代表・副代表の大きな仕事です。それぞれの責任者が追いかけているものを1つにするということが大変でした。野球などのスポーツとは違って、応援は形が無く、部員の入部背景や経緯もバラバラです。だからこそ、1つの方向に向かった時の推進力は凄まじいものがあると思います。同じ方向を向いているのに、それぞれの個性や強みをどんどん引き出すことができるからです。
徐:副代表は独特な立場というか、難しい立場でした。代表と部員の間にいるけど、部員をまとめる立場でもあるし、一方で自分も部員であるし。
Q.代表・副代表としての1年間・應援指導部での4年間における感想をお願いします。
土橋:今年は、
・体育会への加盟
・今まで応援に向かっていなかった部活とも向き合い、選手のポテンシャルを引き出す方策を考える
・吹奏楽団のドリル(マーチング)時の衣装を約30年ぶりに更新するなど、應援指導部のイメージ戦略の推進
など、挑戦の一年でした。
掲げていたことを1つ1つ、確実に着地させることができました。1つでも失敗していたら、今どのような気持ちだったか分かりません。
徐:色々ありましたが、部を守り抜くことができて良かったです。個人的な話だと、應援指導部に入って本当に良かったです。應援指導部に入ったことで見えている景色が変わってきたと思います。
Q.来年の代に期待したいことはありますか。
土橋:過渡期を乗り越えて、来年からは安定させていかなければなりません。彼らにはそういう責務があって、それが期待できる子たちです。
徐:安定だけでなく、より良いものも追求してもらえたら、もっと良い部活になると思います。
Q.最後に一言お願いします。
土橋 : 應援指導部は90年の歴史を有しておりますが、91年目である2024年は体育会加入など世紀の大きな一歩を踏み出しました。2024年は『One』というスローガンを掲げました。未来に繋げる大きな一歩を踏み出す、應援指導部が大切にしてきた原点に立ち返る、部員の一体感を醸成する、應援指導部から応援席、ひいては義塾社中を一つにする、そのように作り上げたチームで頂を目指す。そのような思いで2024年が始まりました。
その中で「繋げる」ということを意識して一年間代表を務めました。選手と観客を繋げることはもちろん、コロナ前と後を繋げる、90年の歴史と未来を繋がる、義塾社中同士を繋げる。
学生一人一人の力は些細なものかもしれませんが、應援指導部一つになればここまでのことができる。そう思っていただけるように、皆様の心を動かせるように、應援指導部は今後も精進して参ります。
皆様が慶應義塾や各スポーツを愛するように、今後とも應援指導部と共に、若き血を滾らせ、情熱を注いでいただけますと幸いです。
ありがとうございました!
今回のインタビューでは、先日引退を迎え、様々な困難に立ち向かった彼らに話を聞くことができた。インタビューを通して、「やるべきことをやり切った」という安堵と自信が窺えた。彼らが作り上げた応援席が来年以降どのように進化していくのか。我々應援指導部ファンの胸が高鳴る。
※写真は全て應援指導部様より提供していただきました。
(記事・取材 : 岩切太志)