【Last message】慶大の攻撃を担う天才FWが歩んだ軌跡/4年生特集「Last message〜4年間の軌跡〜」 No.12・香山達明(ソッカー部男子)

ソッカー男子

24年度に引退を迎えた4年生を特集する「Last message~4年間の軌跡~」。第12回となる今回は、ソッカー部男子の香山達明(経4・慶應志木)。ラストシーズンでは念願の「2部優勝、1部昇格」を成し遂げ、有終の美を飾った慶大ソッカー部。恵まれた体格を活かし慶大ソッカー部の攻撃を牽引し続けた天才FW・香山が歩んできた4年間を振り返る。

 

中学・高校年代からサッカーで輝かしい実績を残してきた部員が多く存在する慶大ソッカー部において、中学時代にはバスケに熱中するなどそれまで他のスポーツも多く経験してきたある意味「例外」と言える存在だった香山は一見ハンディキャップの様に思われるその経歴も経験してきた様々なスポーツの動きをサッカーに取り入れることで、上手く活用しているのだと語る。入部後実際に彼はヘディングやホストプレーなどでチームに勝利をもたらすFWとして才能を開花させていき、大学1年時は出場機会に恵まれなかったものの、2年生になってからトップチームに所属することとなり、関東リーグ戦への出場機会も得ることとなった。3年時にもトップチームに所属し続け、関東リーグ戦では12試合に出場し試合経験を積み重ねていくと共に、チームは関東リーグ3部で3位の好成績を残し、青山学院大学との入れ替え戦にも勝利しチームは2部復帰を決めた。

2部の舞台での活躍を目指した香山

満を持して迎えた4年時、2部に返り咲いた慶大ソッカー部は更なる目標として「2部優勝、1部昇格」を掲げ、関東リーグ2部の第3節に行われた早慶戦を4対1で快勝するなど圧倒的な得点力を誇り開幕からスタートダッシュに成功した。そして香山自身も絶対的なエースストライカーとして君臨していた塩貝健人(政2・國學院久我山)らと共にチームの攻撃を牽引し続け、初戦で2アシスト、2試合目でゴールを決めるなど素晴らしい活躍を見せた。しかしながら第3節の試合後にケガが発覚し第7節まで試合に出場出来ない時期が存在した。しかしながらその期間は、彼にとってかえってチームに対する自身の役割を再認識する機会だったという。「いち早くチームの戦力になるってところもそうですし、実際試合に出たら現状のチームの悪い流れとか、チームの流れを変えられるような、チームを勇気つけるプレーを意識してやっていきたいなと思います」と話した。

チームを勇気づけられるプレーを目指した

最も大きな転期を迎えたのは8月、当時チームのエースストライカーとして圧倒的な得点力を誇った塩貝がオランダ1部に所属するNECナイメヘンへの移籍を発表。この移籍によって彼の付けていた背番号9は香山へと受け継がれることになり、2部で優勝しての1部昇格を目指す中で上位を維持していた慶大ソッカー部の新たなエースとして彼にかかる期待はこれまでとは比べ物にならない程大きな物となった。実際にケイスポのインタビューの際にも、塩貝から背番号9を受け継いだ事に対するプレッシャーが有ったかどうかについて、こう振り返っている。「(プレッシャーは)めちゃくちゃ有りました。それまでは健人がいるからどうにかなるっていうスタンスでやってたんですけど、その時は本当に自分がやるしかないっていうのを感じました」こうして新たな背番号9を発足させた慶大ソッカー部は4年生を中心に幾多の死闘を潜り抜け、約7ヶ月に渡る関東リーグ戦2部を戦い抜いた。香山自身も国立で華々しく開催されながら0対4の大敗を喫した早慶サッカー定期戦のリベンジにチーム全体が燃えた関東リーグ第19節の早大戦でゴールを決めるなどの活躍を残したが、彼のプレイがもたらした慶大ソッカー部に対する貢献の大きさは、彼が背番号9を受け継いで以降もリーグ戦の首位を堅持し続け、最終的に当初目標にしていた「2部優勝、1部昇格」を達成したという事実に何よりも表れているだろう。

背番号「9」を受け継ぎ、劇的な同点弾を決めた香山

後輩達に関東リーグ戦の1部の舞台という最高の置き土産を残して慶大ソッカー部を引退した香山だが、自身のサッカー人生で最も感謝を伝えたいのは母親だと話す。「母親が送り迎えをしてくれたのもそうですし、僕が出ていない試合でもソッカー部ファンとして試合を観に来てくれている事が、ただ僕のことを好きでいてくれている以上にソッカー部全体のことを好きでいてくれてると感じてめちゃくちゃ嬉しかったです」

母親への感謝を述べた

中学高校時代は決して「エリート」と呼ばれる様な経歴では無かったにも関わらず、名門慶大ソッカー部の一員としてチームを支えると共に背番号変更のプレッシャーにも負けずソッカー部を1部昇格へと導いた香山。そんな彼の姿は今も多くの後輩部員に勇気を与え続けているはずだ。

香山の活躍は受け継がれていく

(記事:野村康介)

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