球春到来!4月12日に開幕した東京六大学野球春季リーグ戦。立大との開幕戦を迎えた慶大は、大切な初戦を勝利で飾った。熱い試合が繰り広げられるグラウンドだが、それに負けず劣らずの熱い応援を飛ばすのが、慶大の應援指導部だ。今回は開幕戦の第1回戦と、第3回戦をレポートする。
4月12日(土)慶應義塾大学 〇2-1⚫︎ 立教大学
~試合概要~
慶大は1点を先制されて迎えた6回表、1死二、三塁から4番・中塚遥翔(環2・智辯和歌山)の左犠飛で同点に追いつく。先発した外丸東眞(環4・前橋育英)は打たせてとる投球が冴え、9回までを1失点に抑える。迎えた10回表、2死一、三塁のチャンスを作ると横地広太(政3・慶應)が適時内野安打を放ち、1点を勝ち越し。そのまま慶大が勝利し、このカードを先勝した。
應援指導部が新体制として迎える、最初の公式戦。試合前、枝廣代表からは「日本一を目指して頑張って参ります」との挨拶があった。
初回の攻撃、メイン台に立った部員からは「明るく楽しく元気よく、大きな声で若き血を歌おう!」との声掛けが飛ぶ。この日は初回から突撃のテーマ、ダッシュケイオウが流れ、無得点には終わったものの、応援席の空気を一気に盛り上げた。
4回に先制を許した中、5回裏には新しいチア曲「悲しみなんて笑い飛ばせ」がお披露目。1点を追う重い空気を吹き飛ばすような新曲で、応援席の雰囲気も明るいなか6回へ。すると6回表には野球部が同点に追いつき、「元気よく 肩組みながら 若き血」の声掛けとともに、応援席が一体となって若き血を熱唱した。
その後は膠着した試合展開ながらも「必ず勝ちましょう」「守備につく選手に大きな拍手を!」と応援席を停滞させない呼びかけが続く。
9回表には、枝廣代表から今年の應援指導部のスローガンが発表された。今年度のスローガンは”進”。「我々は日本一に向かって進まなければならない」との決意表明に、応援席はこの日一番の盛り上がりをみせた。
その後10回表に野球部が勝ち越すも、裏の守備で1死三塁のピンチが訪れる。ここではチアリーディング部門だけでなく吹奏楽団も客席に散らばり、投手への声援を送るよう呼びかけた。應援指導部がまさしく一体となった応援も功を奏し、このピンチを凌いだ慶大野球部。最終スコア2-1、接戦での勝利の裏には、應援指導部の懸命な応援があった。
試合後、枝廣代表は応援席に「リーグ戦優勝まであと9勝です」「”進”というスローガンのもと、野球部と日本一を目指して頑張って参ります」と意気込んだ。日本一への長い旅路は、まだ始まったばかりだ。
~試合後インタビュー~
応援企画責任者 Nさん
Q.今日の試合を振り返って
A.今日はエースの投げ合う投手戦、1点が勝敗を分けるような展開の中で、その1点、それに繋がる1アウト、1球にどれだけ拘れるか。その我慢比べのような試合だったと感じています。
Q.初戦を勝利で終えた、この結果をどう感じるか
A.初戦から痺れる試合を応援させてもらって、やっぱり楽しいなというか、これが神宮だな、っていうのが率直な感想ですね。
Q.新体制になって迎える応援席はどうだったか
A.新体制とはいえ昨年度の4年生が抜けただけで、まだ1年生も入ってきてない。そして5ヶ月のブランクを経た中での応援席ってことで、単純に考えれば応援席としてのレベルが下がってもおかしくない。そんな中で、いかに昨秋の慶早2連戦を連勝した流れを最低限のベースとして初戦から(高いレベルに)持っていけるか、というのを総合練習からずっと考えて積み上げてきたので、(今日の試合が)勝利に繋がったというのは少し、報われたのかな、というふうに思います。
Q.明日に向けての意気込みは
A,(翌日は雨予報だったが)試合があろうがなかろうが我々がやることは同じですので、いい意味で天気は考えずに、我々ができる準備をやるだけです。
野球サブ Gさん
Q.今日の試合を振り返って
A.延長戦ということで同点の時間が長く、ハラハラする展開が続いたんですけども、久しぶりにそれを神宮球場で味わうことができて、まず楽しかったな、という感想が一番です。3アウトの重みも感じましたし、一つずつ積み重ねないと1点取れないし、抑えられないし。野球の難しさと面白さも強く感じました。
Q.野球サブとなって初の試合でしたが、出来はどうでしたか
A.試合に助けられてしまって、野球部は頑張ってくれたなって感じなんですけども、我々からもう一つ空気感を作り、選手に届けるってことができないと、まだまだ日本一には遠いなって一瞬感じてしまったので...まだまだです。
Q.明日に向けての意気込みは
A.(翌日は雨予報だったが)雨のゲームは私大好きなので、イレギュラーが一番楽しいので、そこで勝って。雨をプラスに変えて、泥だらけになりながら、全力で声出して勝てたら一番楽しいと思うので、雨の環境を楽しんでいけたらと思います。
日曜日の試合は雨で延期となり、月曜日の開催となった2回戦。試合は、3回までに5失点を許すなど厳しい展開。8回、9回にそれぞれ2点を返し、1点差まで詰め寄ったものの、惜敗。火曜日に3回戦が開催されることとなった。
4月15日(火)慶應義塾大学 〇9-2⚫︎ 立教大学
~試合概要~
慶大は初回、3番・常松広太郎(政4・慶應湘南藤沢)の適時遊内安打で1点を先制すると、リーグ戦初のスタメン出場となった5番・今泉将(商4・慶應)の左越え3点本塁打で加点し、初回から一気に4点を奪う。その後も着実に得点を重ねた慶大は、6回終了時点で8点ものリードを奪うことに成功。投げては1回戦で好投した外丸東眞(環4・前橋育英)が7回途中を2失点に抑え、後を受けた投手も好投を披露。最終スコア9-2で勝利を収めた慶大は、このカードの勝ち点を獲得した。
初回、応援企画責任者のO.Hが壇上に登場。「昨日は負けてしまったが、終盤は良い流れだった。その良い雰囲気のまま、先制しよう」と意気込んだ。その言葉通り、慶大は初回に4点を先制。前日の流れをモノにした。
5回、壇上に上がった野球サブのG.Hは、平日の火曜日にも関わらず、多くの観客がいたことに言及。「授業より、野球をみたい人が集まっているではないか」と、この状況を喜んだ。
最終回、代表・枝廣が壇上に。「今はホームランが出そうな良い風向きだ。全員の声を風に乗せて、この回10点取るぞ」とコメント。10点獲得とはならなかったが、この回パスボールにより、1点を追加した。
試合は、9-2で慶大の圧勝となった。勝ち点1を獲得し、應援指導部としても良いスタートとなった。
〜試合後インタビュー〜
代表・枝廣二葉さん
Q.今日は9得点という快勝でしたが、率直な感想をお願いします。
A.:昨日の8回、9回の流れのままに初回から攻めることができて、最終回までそのまま勝ち切れたのかなと思います。
Q.今回のカードは、新体制としては初めての試合でした。全体を通して、良かった点や課題に感じた点があれば教えてください。
A.:まず、大学野球は甘くないなと実感しました。初戦から延長10回までもつれたり、日曜日は雨で試合が流れたり。そして月曜日に連勝だ!と思ったらそう簡単にはいかなかったり。開幕カードが火曜日にまでずれ込むなんて、思っていませんでした。だからこそ、改めて“1戦1戦に思いを込めること”が大切だと感じました。どの試合も、大事な1戦だと痛感しています。
Q.再来週には、明治戦が控えています。その試合に向けた意気込みをお願いします。
A.:慶明戦は、リーグ戦の“天王山”と呼ばれています。我々としても、天王山を登りきって頂点を取るという強い気持ちで、これから2週間しっかりと練習を積んでいきます。自信を持ってその日を迎えられるよう、全力で準備していきたいと思います。
副代表:越後真咲さん
Q.まずは率直な感想をお願いします。
A.:平日ということもあって、自分は授業が終わって試合途中から来ましたが、球場に着いた頃にはすでに応援が盛り上がっていて、 ‘このまま勝ち越せるんじゃないか’ という安心感がありました。ただ、自分が来てからなぜか点を取られてしまった場面もあり、“これは気を緩められないな”と思って、最後まで応援を続けました」
Q.今回のカードは新体制で挑んだ試合でもありました。良かった点や課題に感じた点があれば教えてください。
A.:良かった点としては、事前に総合練習を行っていたおかげで、弱い部分を把握した状態で臨めたのが大きかったです。一方で、4年生としての堂々とした姿を応援席でしっかり示せたかというと、まだまだ足りなかったと思っています。新入生が入ってくる中で、この先輩についていきたい、と思ってもらえるような姿を見せなければなりません。改めて、4年生としての在り方を考えさせられました
Q.再来週は明治戦が控えています。意気込みと準備について教えてください。
A.立教も手強い相手でしたが、明治は毎年苦戦する相手です。立教戦のように長引かせず、土日でしっかり勝ち切るためにも、応援席の力がますます大事になってくると思っています。もっと盛り上げられる応援席をつくるために、ミーティングも練習も重ねて、全力で挑んでいきたいです。
立教戦は新体制初カードにもかかわらず、雨も絡み、火曜日にもつれ込んだ。 一敗は喫したものの、どこか安定感を感じるカードであった。確かな手応えとともに次なる戦いへと向かう慶應。応援の力とともに頂点を目指す彼らの挑戦は、まだ始まったばかりだ。
(取材:岩切太志、工藤佑太、鈴木拓己 記事:岩切太志、鈴木拓己)