2025年10月5日(日) 東京六大学野球秋季リーグ戦 東大2回戦 @明治神宮野球場
前日の1回戦で痛恨の敗戦を喫した慶大は、先発マウンドに外丸東眞(環4・前橋育英)を送る。試合は4回表まで両者ゼロ行進も、4回裏に八木陽(法2・慶應)が今季初安打となる左前安打を放つと、2死二、三塁の好機に今津慶介(総3・旭川東)の2点適時打、林純司(環2・報徳学園)の左翼線への二塁打で今津が一塁から本塁へ生還し、3点を先取。8回表に1点を返されるも、その裏に一宮和樹(経1・八千代松陰)の犠飛でダメ押し。再び3点差に突き放し、9月15日・法大3回戦以来となる今季2勝目を掴んだ。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
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東大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
慶大 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | X | 4 |
慶大バッテリー:○外丸、水野ー吉開
東大バッテリー:●渡辺、中根、佐伯ー明石
慶大本塁打・東大本塁打なし
◆慶大野手成績
位置 | 選手 | 1回 | 2回 | 3回 | 4回 | 5回 | 6回 | 7回 | 8回 | 9回 |
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[8] | 今津慶介(総3・旭川東) | 一ゴロ | ニゴロ | 中安② | 遊ゴロ | 一ゴロ | ||||
[6] | 林純司(環2・報徳学園) | 見三振 | 四球 | 左2① | 遊ゴロ | |||||
H3 | 渡辺憩(商2・慶應) | 四球 | 中2 | 捕邪飛 | 見三振 | |||||
[7] | 常松広太郎(政4・慶應湘南藤沢) | 右飛 | 捕邪飛 | 三ゴロ | 遊ゴロ | |||||
7 | 丸田湊斗(法2・慶應) | |||||||||
[9] | 中塚遥翔(環2・智辯和歌山) | 空三振 | 遊ゴロ | 遊ゴロ | ニゴロ | |||||
1 | 水野敬太(経2・札幌南) | |||||||||
[4] | 竹田一遥(環1・聖光学院) | 右3 | 空三振 | 右安 | 一飛 | |||||
[5] | 八木陽(法2・慶應) | 空三振 | 左安 | 一安 | 左安 | |||||
R | 村岡龍(商3・慶應) | |||||||||
5 | 上田太陽(商3・國學院久我山) | |||||||||
[2] | 吉開鉄朗(商3・慶應) | 四球 | 死球 | 三ゴロ | 四球 | |||||
[1] | 外丸東眞(環4・前橋育英) | 三ゴロ | 一犠打 | 三ゴロ | ||||||
9 | 一宮知樹(経1・八千代松陰) | 左犠飛① |
◆慶大投手成績
選手 | 投球回 | 打者 | 投球数 | 被安打 | 被本塁打 | 与四死球 | 三振 | 失点 | 自責点 | |
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先発 | 外丸東眞(環4・前橋育英) | 7 | 25 | 83 | 2 | 0 | 2 | 3 | 0 | 0 |
2 | 水野敬太(経2・札幌南) | 2 | 9 | 38 | 3 | 0 | 1 | 2 | 1 | 1 |
前日の1回戦、1点リードの4回に1死満塁から先発・渡辺和大(商3・高松商業)が粘りきれず5点を失い敗北した慶大は、リーグ戦最下位に転落した。「勝利」の二文字以外、許されないこの日。「慶應義塾」の威信をかけて、主将・外丸に2戦目の先発マウンドを託す。
初回は両者四球で走者を出しながらも無得点。2回表、先頭二人を斬るも、前日リーグ戦初打点を記録するなど勢いに乗る明石健(農3・渋谷幕張)に左中間への二塁打を許す。しかし外丸は後続を打ち取り、先制点を与えない。慶大は負けじとその裏、竹田一遥(環1・聖光学院)の三塁打で好機を演出する。しかし、後続の八木が空三振。2死一、三塁として外丸も倒れ、得点ならず。3回の外丸は、秋元諒(文Ⅰ2・市川)から三振を奪うなどテンポよく抑え、この試合初めての三者凡退に斬って取る。

東大打線を打たせて取り、上々の立ち上がりを見せる先発・外丸
外丸の好投に応えたい慶大打線はその裏、1死から林純司(環2・報徳学園)が四球を選び、続く渡辺憩(商2・慶應)が右中間への二塁打を放ちチャンスを迎える。しかし、4・番常松広太郎(政4・慶應湘南藤沢)、5番・中塚遥翔(環2・智辯和歌山)が凡退し先制点には至らない。
4回表、外丸はこのイニングも三者凡退に抑え、攻撃に向けて良い流れを生み出す。その裏、慶大は1死から八木が今季初安打となる左前安打を放つと、吉開鉄朗(商3・慶應)の死球と外丸の犠打で2死二、三塁のチャンスを作る。なんとしても先制点が欲しいこの場面で、今津の放った打球は鮮やかな中前打となり2点を先制。さらに、続く林純も左翼線への強烈な二塁打を放つと、一塁走者・今津が一気に本塁へ。判定はセーフとなり、東大先発・渡辺向輝(農4・海城)からこの回3点を奪った。

先制となる2点適時打を放ったリードオフマン・今津

林純の適時二塁打でこの回3点を奪った
5回表、外丸は味方の失策などで2死二塁のピンチを迎えるも、青貝尚柾(教4・攻玉社)を三ゴロに抑え、得点を与えない。その裏、慶大は渡辺に代わってマウンドに上がった中根慎士郎(文Ⅰ1・筑波大駒場)に対し、2死から竹田一、八木が安打を放つも、後続が凡退し無得点。
3点リードで迎えた後半6回、東大の上位打線を迎える。2死二塁として、4番・大原海輝(文4・県立浦和)に右前安打を許したが、中塚の好返球により、二塁走者の本塁生還を余裕を持ってタッチアウト。中塚の正確な返球に慶大スタンドは大いに沸き立つ。
8回表、好投した外丸に代わって、マウンドには水野敬太(経2・札幌南)が上がる。東大が代打として送り出したのは、早稲田高から慶大を経て、東大に入学した異色の経歴・小美野春寛(文II1・早稲田)。リーグ戦初打席となった小美野に四球で出塁を許すと、続く青貝の打席で小美野の代走・中根に盗塁を決められ二塁へ。その青貝に内野安打でつながれると、またも二盗を決められ無死二、三塁のピンチを招く。一発同点の大ピンチを凌ぎたい水野だったが、続く秋元に左前適時打を打たれ、1点を返される。なおも無死一、三塁で迎える打者は巧打者・酒井捷(経4・仙台二)。それでも酒井を初球で浅い左飛に打ち取ると、続く中山太陽(経4・宇都宮)を空振り三振、一走・秋元の二盗を阻止し最小失点で切り抜けた。

8回の危機を最小失点で凌いだ2番手・水野
その裏、東大は投手を佐伯豪栄(工3・渋谷幕張)にスイッチ。追加点が欲しい慶大は、1死から八木がこの日3打席連続安打となる左前打で出塁。続く吉開の打席で、八木の代走・村岡龍(商3・慶應)がフルカウントからスタートを切る。四球となり一塁走者が進塁、さらに相手捕手の二塁悪送球で村岡は一気に三塁へ進み、一、三塁の好機を作る。そして直前の回から守備固めとして出場していた一宮が左犠飛を放ち、貴重な1点を追加した。

リーグ戦初の猛打賞を記録した八木

ダメ押しとなる犠飛を放った一宮
再び3点差で迎えた9回表。8回から続投の水野は、先頭の4番・大原を空振り三振に取るも、続く樋口航介(理Ⅰ2・海城)に右前安打を浴び出塁を許す。しかし冷静に代打・門田涼平(文3・松山東)を左飛、明石を一ゴロに抑えて4ー1で勝利。今季2つ目の白星を手に入れ、今季初の勝ち点の行方は第3試合に持ち越された。
ここまで不調もあった主将・外丸が今季最長の7回を投げ切り、被安打2、無失点というエースたるピッチングを披露。また、稀有なアンダースロー・渡辺の緩急を織り交ぜた投球に対して安打を積み重ねる打線の対応力、さらに要所での好守備も冴え、まさに隙を与えない万全な形で主将の力投に応えた。

7回無失点の好投でチームの勝利を手繰り寄せた外丸
第3戦を制したチームが、今季初の勝ち点を手にする。慶大が東大に勝ち点を献上すれば、1981年春季以来、実に44年ぶりの屈辱となる。2季連続で5位に沈む慶大にとって、東大からの勝ち点は上位浮上への生命線。また立大、早大と続く後半戦に向けて、勢いをつける足掛かりとしたい一戦だ。スタンドを巻き込み、両者の意地とプライドがぶつかり合う熱い試合となることは間違いないだろう。
(記事:神戸佑貴、福田龍之介、片山春佳、写真:河合亜采子、鈴木啓護、林佑真)