2025年10月6日(月) 東京六大学野球秋季リーグ戦 東大3回戦 @明治神宮野球場
今季初の勝ち点奪取に向けて負けられない慶大。初回、ここまで不振の中塚遥翔(環2・智辯和歌山)が3点本塁打を放ち、幸先よく先制する。さらに今津慶介(総3・旭川東)の本塁打で中押し、竹田一遥(環1・聖光学院)の犠飛でダメ押しと、打線は理想的な試合運びで6得点。先発・渡辺和大(商3・高松商業)は毎回走者を出す不安定な投球内容によって3回1失点で降板も、その後を継いだ小川琳太郎(経4・小松)、水野敬太(経2・札幌南)、外丸東眞(環4・前橋育英)の3人で6回を無失点に抑え、今季初の勝ち点を掴み取った。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
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慶大 | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 6 |
東大 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
慶大バッテリー:渡辺和、○小川琳、水野、外丸ー吉開
東大バッテリー:●江口、前田、池田、武田、佐伯、渡辺ー明石
慶大本塁打:中塚2号3ラン(1回)、今津1号ソロ(6回)
東大本塁打なし
◆慶大野手成績
位置 | 選手 | 1回 | 2回 | 3回 | 4回 | 5回 | 6回 | 7回 | 8回 | 9回 |
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[8] | 今津慶介(総3・旭川東) | 遊失 | 投犠打 | 遊直 | 右本① | 左飛 | ||||
[6] | 林純司(環2・報徳学園) | 投犠打 | 右飛 | 左飛 | ニゴロ | 左飛 | ||||
[3] | 渡辺憩(商2・慶應) | 捕邪飛 | 一邪飛 | 左2 | 四球 | 三邪飛 | ||||
1 | 外丸東眞(環4・前橋育英) | |||||||||
[7] | 常松広太郎(政4・慶應湘南藤沢) | 死球 | 四球 | 三飛 | 二飛 | |||||
7 | 一宮知樹(経1・八千代松陰) | 一飛 | ||||||||
[9] | 中塚遥翔(環2・智辯和歌山) | 左本③ | 右安 | 遊ゴロ | ニゴロ | 四球 | ||||
R9 | 丸田湊斗(法2・慶應) | |||||||||
[4] | 竹田一遥(環1・聖光学院) | 四球 | 右犠飛① | 左飛 | 四球 | 中2① | ||||
[5] | 八木陽(法2・慶應) | 空三振 | 中飛 | ニゴロ | ||||||
H | 権藤大(商4・慶應) | 空三振 | ||||||||
5 | 上田太陽(商3・國學院久我山) | 遊ゴロ | ||||||||
[2] | 吉開鉄朗(商3・慶應) | 四球 | 左安 | 左飛 | 遊直 | |||||
[1] | 渡辺和大(商3・高松商業) | 捕失 | 左飛 | |||||||
1 | 小川琳太郎(経4・小松) | 見三振 | ||||||||
1 | 水野敬太(経2・札幌南) | 四球 | ||||||||
3 | 今泉将(商4・慶應) |
◆慶大投手成績
選手 | 投球回 | 打者 | 投球数 | 被安打 | 被本塁打 | 与四死球 | 三振 | 失点 | 自責点 | |
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先発 | 渡辺和大(商3・高松商業) | 3 | 15 | 67 | 5 | 0 | 2 | 2 | 1 | 1 |
2 | 小川琳太郎(経4・小松) | 3 1/3 | 14 | 52 | 3 | 0 | 1 | 7 | 0 | 0 |
3 | 水野敬太(経2・札幌南) | 1 2/3 | 7 | 20 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 |
4 | 外丸東眞(環4・前橋育英) | 1 | 3 | 15 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
慶應義塾の威信をかけ、勝利を掴んだ前日。エース・外丸の快投から一夜明け、この日の先発マウンドに上がるのは渡辺和。このカードの1回戦で先発も4回5失点と乱調。東大に1年ぶりの勝利を献上する形となった。そして「赤門旋風」以来44年ぶりの慶大戦勝ち点獲得へと期待が高まる淡青色のスタンドに対し、慶大打線は東大に初回から襲いかかる。
先頭の今津が相手の失策で出塁し、その後2死一、二塁とすると、中塚が一閃。東大先発・江口直希(工3・海城)の直球を捉え、逆方向の左翼席に放り込む。試合前までの打率は.053。将来の4番を嘱望(しょくぼう)される大砲の一発回答に、慶大スタンドは大いに盛り上がる。幸先よく先制した慶大の先発マウンドには渡辺和。立ち上がり、ピンチを背負いながらもゼロに抑えて滑り出し順調。

東大先発・江口の初球を捉え、逆方向へ2号3ランを運んだ中塚
続く2回の攻撃には四球と相手の失策で1死二、三塁の好機を演出したが、後続が倒れ得点ならず。その裏の渡辺和は、1回戦に決勝打を許した明石健(農3・渋谷幕張)の安打などで2死満塁のピンチを背負う。しかし、迎えた秋元諒(文Ⅰ2・市川)を三ゴロに斬って取り、この回も無失点で切り抜ける。
3回表、常松広太郎(政4・慶應湘南藤沢)が四球を選ぶと、中塚が右翼線への安打を放ち、無死一、三塁の好機を作る。続く竹田一はきっちりと犠飛を放ち、追加点の獲得に成功する。しかしその裏、渡辺和は先頭から2人を出塁させると、1死二、三塁として、内野ゴロで1点を返される。再び迎えた明石には四球を与え、2死一、三塁とピンチが続く。しかし、続く青貝尚柾(教4・攻玉社)の打席で重盗を仕掛けられるも、抜け目のない守備で三塁走者の生還を阻止し、追加点を許さなかった。

毎回走者を背負う苦しい投球となった渡辺和

中押しとなる犠飛を放った竹田一
渡辺和は3回終了時点で被安打5、与四球2と不調。4回裏からは、その渡辺和に代わり、小川琳がマウンドに上がる。小川琳は5回裏に2死満塁のピンチを凌ぐと、直後の6回表には、投手陣の好投に呼応するかのように、切り込み隊長・今津の本塁打が飛び出す。

この日投手陣最長の3回1/3を投げ無失点の小川琳

低調の今津に今季1号が飛び出し4点差に拡大
7回裏、小川琳はアウトを1つ取り、中山太陽(経4・宇都宮)を迎えるところで、水野にマウンドを譲る。8回裏、その水野は1死から明石、青貝に連続で安打を浴び、1死一、三塁のピンチを迎える。しかし伊藤滉一郎(工3・県立千葉)と榎本吉伸(文4・渋谷幕張)を打ち取り、ここも無失点で切り抜ける。

8回得点圏に走者を背負うも抑えた水野
各投手の要所要所を締める投球が光る中、9回表には中塚の代走・丸田湊斗(法2・慶應)の盗塁でチャンスメイクすると、竹田一が適時二塁打を放つ。フレッシュな攻撃で、勝利を盤石なものとした。最終回、満を持して外丸が登板。昨日の快投そのままに三人を簡単に打ち取りゲームセット。慶大が今季初の勝ち点を掴み取った。

最終9回は前日勝利の立役者・外丸主将が締めた
小川琳、水野、外丸と救援陣たちの好投が光ったこの試合。打撃陣も中塚・今津がアベック弾を放ち、昨季15本のリーグトップの本塁打数を誇った慶大打線がついに目覚めた。残りを立大と早大との2カードのみとする慶大。全国大会に向けては、この2カードの全勝は絶対条件だ。"チーム外丸"最終章を見逃すな。
(記事:神戸佑貴、写真:河合亜采子、加藤由衣)