【應援指導部】雨にも“淡青”にも負けず 慶大、 東大との激戦を制し今季初のカード勝ち越し

應援指導部

2カード連続で負け越し、後がない慶大はこの週、東大戦を迎えた。正念場となった応援席の様子をレポートする。

10/4(土)慶應義塾大学 3-6 東京大学(第1回戦)

~試合概要~

初回に常松広太郎(政4・慶應湘南藤沢)の適時打で先制するも、先発・渡辺和大(商3・高松商業)が4回に一挙5点を奪われ、逆転を許す。その後はチャンスを作りながらも4点差を追い越すような勢いは見せられず、3対6で敗れた。

 

法大戦、明大戦と勝ち点を取れず、勢いに乗れない野球部を後押ししたい應援指導部。この日は試合開始直前に雨が降り出し、部員たちもレインコートを着ながらの応援となった。この日の応援のキーワードは“雨”。悪天候の中でいかに応援席を盛り上げられるか、声援も雨に掛けたものが続く。

初回のメイン台に上がったのはO.Hさん。塾生注目では「雨の日は、声が遠くに届きやすくなるらしい!雨の日は喉が潤って、声が枯れにくくなるらしい!今日は応援日和ですねー!」と“雨”に負けないポジティブな塾注で、応援の流れを作った。初回の演奏はアニマル、パトリオット、疾風とマーチ系統の3曲が中心で、応援席を明るいムードに包んでいく。すると、試合は常松の適時打で先制点を奪取。初回から若き血で盛り上がる応援席は、今カードの勝ち点獲得を予感させた。

3回の塾生注目では東大と慶大のユニフォームカラーを比較。白ベースの東大ユニフォームを材料に「白旗を上げるのは東大だ!」とぶち上げる。3回を終わって野球部は1-0でリード。勝ち点獲得に向けて、このまま試合を優位に進めていくかと思われた。

だが、4回に試合は大きく動く。先発・渡辺和大(商3・高松商業)が一挙に5点を奪われ、東大に逆転されてしまう。その後は好機を作るも得点には至らない場面が続き、試合は膠着状態に。それでも応援席の流れを停滞させないのが應援指導部だ。守備中には「傘をさしている人はメガホン使えないぶん声で応援してください!」や「守備は短く、攻撃は長くでいきましょう!」と観客を巻き込んだ声が飛んだ。

攻撃回ではファイティングマーチを中心に、6回、7回には劣勢を打開せんとダッシュケイオウも発動させる、必死の応援が続く。9回には渡辺憩(商2・慶應)に反撃の一発が飛び出すと、若き血を繰り返して演奏するレアなチャンスパターンで応援席を鼓舞。この試合初の「朱雀」も演奏し、最後までスタンドを盛り上げ続けた。

野球部は3-6で敗戦。勝ち点獲得のために、翌日の試合は何としても負けられない。

 

10月5日(日) 慶應義塾大学 〇4-1● 東京大学(第2回戦)

前日の東大との初戦は何としても勝ち切りたかったものの、悔しくも勝利を譲る結果となってしまった。カード勝ち越しのためには、二戦目を確実にものにしなければならない。緊迫した状況の中、応援席はどのような雰囲気に包まれていたのか。ここでは、彼らの闘志あふれる姿をリポートする。

~試合概要~

前日の1回戦で痛恨の敗戦を喫した慶大は、先発マウンドに外丸東眞(環4・前橋育英)を送る。試合は4回表まで両者ゼロ行進も、4回裏に八木陽(法2・慶應)が今季初安打となる左前安打を放つと、2死二、三塁の好機に今津慶介(総3・旭川東)の2点適時打、林純司(環2・報徳学園)の左翼線への二塁打で今津が一塁から本塁へ生還し、3点を先取。8回表に1点を返されるも、その裏に一宮和樹(経1・八千代松陰)の犠飛でダメ押し。再び3点差に突き放し、9月15日・法大3回戦以来となる今季2勝目を掴んだ。

この日は東大応援部と野球部の共同企画である「淡青(たんせい)の日」というものであった。その名の通り、初戦を制した東大の応援席は淡青色に包まれ、まさに勢いに満ちていた。だが、初回の攻撃前にメイン台に上がった部員は「そんなことは関係ない」と慶大応援席を鼓舞し、さらに3回には「『淡青の日』を東大にとっての『反省の日』にさせ、慶大にとっては『歓声の日』にさせよう」という声掛けも加わり、応援席を活気の渦に包んだ。

試合が動いたのは4回裏の攻撃。打線がつながり迎えた今津がセンター方向へ適時打を放ち、2点を先制する。すると応援席ではメイン台に應援指導部と野球部が肩を組んで並び、「若き血」を熱唱した。続いて林純が二塁適時打を決めるとこの回、慶大は一挙3得点を手にし、今試合一番の歓声と盛り上がりを見せた。

今年の秋季リーグ戦のチア曲である「学園天国」の演奏から始まった5回裏の攻撃前には、先日香川県に行ったという部員が讃岐うどんを片手に「我々はまだうどん3玉しか食べていない。これから4玉、5玉いや30玉食べるぞ!」と個性光る声掛けをしたと同時に「Blue Sky KEIO」が奏でられる。6回には應援指導部の公式キャラクターであるユニコンくんが様々なパフォーマンスを壇上で披露し、観客から笑いを誘った。

8回表には東大の秋元諒(文Ⅰ2・市川)に適時打で2点差にされると、一発が出れば同点に追いつかれるという緊張の場面もなんとか最小失点で切り抜ける。

その裏の慶大の攻撃前、枝廣代表はかつて東大を目指していた自分に文転を勧めたという高校の恩師がこの場にいることをメイン台で語った。「今日は俺が東大じゃなくて慶應に来てよかったということを先生に証明したい」。その言葉に確信を与えるように慶大はこの回リードを広げる1点をもぎ取った。

9回表はランナーを許すも、その後の危なげない守りで無失点で切り抜け、確実にものにしたいカードの勝ち越しへ希望を見出す勝利を手にした。

【試合後インタビュー】代表・枝廣二葉さん

Q.昨日東大に敗れて、今日の慶東戦の勝利、率直な感想をお願いします

A.昨日の悔しさを果たすために今日臨んでいるので、まずは野球部が勝ってくれてそしてこれだけの観客の方が来てくれて嬉しかったです。

Q.8回裏の塾生注目の場面で、枝廣代表の母校・桐朋高校の先生が来ていらっしゃるとお話しされていましたが……

A.桐朋の先生が来ているって知らなくて、たまたま下行ったら「よう、枝廣」って言われて、これ今点数余裕あるし、これなんかサプライズ使うしかないなと思って、ただ自己満足になるのも良くないから東大よりも慶應来てよかったって締めにしようと思ってその場で考えて言いました。

Q.明日、勝ち点を譲らないためにも必ず勝ちが必要ですが、意気込みをお願いします

A.慶東戦は必ず勝ち点を取るって元々決めていたことなので、月曜にはなってしまいましたが、ここはもう行ける者は総動員で行って、野球部を後押しして、来てもらった方には勝ち点1をプレゼントするくらいの気持ちです。

6日に行われた第3戦で慶大は勝利し、今季初の勝ち点を獲得。苦しい状況でも諦めず声を届けた應援指導部の姿が、チームに力を与えた。3日間にわたる慶東戦は、應援指導部の“声の力”を改めて示す戦いとなった。雨の中でも、相手の勢いに飲まれそうな場面でも、応援席から途切れることのない声があった。應援指導部の想いと塾生の声援が、確かに勝利を引き寄せた3連戦だった。

 

(取材:鈴木拓己、小林由奈、吾妻志穂、小野寺叶翔、工藤佑太、中原亜季帆、

塩田隆貴)

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