箱根駅伝予選会まであと7日!ケイスポでは本番を直前に控えた選手方・スタッフにインタビューを行いました。特集4日目の本日は、石野日向(商2・横浜国際)、田口涼太(政2・慶應志木)、弓田一徹(環2・法政二)の仲良し2年生トリオを突撃!後編では、予選会本番に向けた現在の心境を赤裸々に語っていただきました。この記事を読めば、選手の新たな一面が見えてくるかもしれません!
弓田:入学時に、1年目から予選会に出ることが目標だったので、それが去年叶わず、落ち込みました。自分の主戦場はハーフマラソンだと思っていて、ハーフマラソンを走る機会は春と予選会の年に2回しかないんです。去年はそういった公式戦の場でしっかりアピールすることができませんでした。去年頑張れなかった分、今年はより一層、自分の存在価値を見せつけていけたらなと思います。

「自分の存在価値を見せつけていけたら」(弓田)
石野:去年はメンバー争いにすら関わらずこともできず、みんなが「絶対やってやる」というに気持ちな一方で、自分は気づいたら予選会前で、気づいたら号砲なっていて、気づいたら終わっていました。確か、予選会直後の全体集合で、(田口)涼太のお父さんから「どうだった?」って聞かれたんですけど、予選会が終わってしまった実感が沸いてなかったのが当時の率直な気持ちでした。 大学生活で4回しかないうちの1回が終わったのにも関わらず、それほど重大なこと捉えられていませんでした。走れてなかったことが1番大きいかなと思います。

「実感がわかなかった」(石野)
田口:僕、そもそもお兄ちゃん(田口翔太さん・R7卒)と箱根に出たくて。2人とも大学から始めて、「一緒に箱根でタスキリレーとかしたら注目浴びるかな」と思って入部したのに、実現できなかったので、もう僕1年で辞めようってずっと思っていたんですよ。加えて、予選会の翌日の10000mの記録会でも32分半という相当やばいタイムを出してしまったことも重なって、もう心もダウンしてしまいました。
でも、「みんなに迷惑はかけたくないから走らなきゃいけない」という思いもあって。やりたくないのにやらなきゃいけない、もう限界でした。ずっと続けていても速くならないように感じて。自分の可能性を信じてずっと生きてきた人間なので、「このぐらい(が限界)の選手なんじゃないか」と思ってしまうと、もう練習ができなくなってしまう。そのブログを書くときは、そのことを後から振り返っていました。

「限界でした」(田口)
田口:やっぱり、お兄ちゃんの存在があるかもしれないですね。僕は毎週家に帰っているんですが、普段僕のことをずっと褒めてくれるお兄ちゃんが、その時には「今の涼太はなんかダサい」と結構強めに言われて。そういうことを言われると、逆に反発的というか、「見せてやるよ」という気持ちになって、前向きになれました。今年の夏合宿で走れていない時も、「今でも間に合うかな、今休んでも大丈夫かな」と焦る思いをぶつけたら、メンタル面のアドバイスをもらいました。それが助けになりましたね。でも、それはもちろん2人(石野・弓田)がいたから。1人だけでは、全然、全然乗り越えられなかったので。

「2人がいたから乗り越えられた」(田口)
石野:当時は予選会で大敗した後で、チームの各々の方向性、ベクトルがバラバラで、「今後どうなってしまうんだろう」という状況でした。雰囲気は、もう本当にシリアスで、場が凍る感じです。皆さん、本心をぶつけていました。自分としてはもう経験したくないなと思いましたが、そういった会を何度も重ねていくうちに、徐々にチームの向きが次の目標に向かって揃っていきました。

「雰囲気は場が凍る感じ」(石野)
田口:そのミーティング、僕が結構(積極的に)言っちゃうんです。「こういうことが足りない」とか言っているうちに、だんだん感情がこみ上げてきちゃって、めっちゃ泣いちゃうんです。そういう時に、2人は何を思っているかを聞きたいです。名前順で言い合うので、最初(石野)日向と僕で、僕の後に話すのが(弓田)一徹なんですけど、僕が大泣きした後に、一徹は毎回困ったような感じで、、、
弓田:嫌っていうか(笑)。最初泣いたのは、新チームになった初回だよね、たぶん。その時は「なんで泣いてんだろう」って思ったんです、正直。言いたいことはわかるけど、まだ1年なのに、ここまで気持ちが入るのが単純にすごいな、と。その時は驚いたんですけど、でもそこからは「毎回泣くかな」と思いながら聞いています。今年の5月も泣いていたんですが、「来た来た来た来た!」みたいな感じで(笑)。でも、やっぱ話しづらい。自分が話すのがとんじゃうので(笑)。
田口:やめてほしい?(笑)
弓田:別にやめてほしくないけど、ちょっと喋りづらいな。

「まだ1年なのにここまで気持ちが入るのが単純にすごいな、と」(弓田)
石野:でも、あのミーティングの経験を活かしていくのはこれからだと思っていて。今はまだ、自分は下級生の立場なのですが、来年は上級生になるので、チームを引っ張っていくような存在にならないといけないと思っています。その中で、今シーズンこのチームが始動時に、バラバラな状態から話し合いを重ねていったことは、結構活きるんじゃないかなと。先輩の東さんや安田さんが頑張ってチームをまとめようとしている姿を見て、視野を広く持つ大切さにも気づかされました。元々、ミーティングで自分の意見を発するのがあんまり得意じゃなくて、ちょっと億劫ですが、特に田口と弓田は自分の軸がしっかりしているので、自分も意見をもっと主張して、引っ張っていける選手になりたいと思っています。

「引っ張っていく選手になりたい」(石野)
田口:自分の中ではずっと、OBの方々に結果で恩を返さなければという思いがあります。二次合宿もOBの方々の寄付で実施できてますし、自分たちのために行動してくださる方もいて。箱根駅伝プロジェクトが始まってから、普通に考えれば興味を失ってもおかしくない結果が続く中、変わらず応援してくださるOBの方々には結果で応えなければと感じています。

「OBの方々に結果で恩返し」(田口)
石野:競走部のみんなです。自分は競走部の中でそこまで競技力が高いわけでもないし、運営などの仕事を任せてもらっている立場でもないので、あまり(自分の存在が)知られていないと思うんですけど、6つあるうちの公式戦の1つで、みんなから注目される中、しっかり走れればかっこいいなと思うので。
弓田:僕は、今回が初公式戦になると思います。自分の結果に期待して、金銭面で援助してくれている親や応援してくれている地元の友達、あとは怪我した時から学生トレーナーがずっと支えてくれたので、今まで頼ってきた分、結果でちゃんと返したいなと思っています。
弓田:たくさんいます(笑)。高校の時からという点では、日体大で同学年の、同じく神奈川出身の選手ですね。県大会で最後に抜かれて、その選手は関東大会に行き、僕は行けなかったんです。なかなか一緒に走る機会はないんですが、今年1回あった市町村対抗駅伝ではこてんぱんにやられていて。怪我明けでぺーラン(ペースランニング)をすることしかできない状況だったあの時を経て、ようやくリベンジができるかもしれないということで、ちょっと意識しています。

「リベンジ」(弓田)
田口:難しいな。でも絶対ドキドキしちゃう。
石野:緊張はする。
田口:楽しみが勝つかな?結構楽しみが勝つ気もする。去年エントリーには選ばれていたんですけど、当日は補欠係で。待っている間、他大学の応援がいたりして、お祭りみたいな楽しそうな雰囲気だったので。その時は出場しないという心の軽さもあったと思うんですけど、少しは楽しめそうかな。でも、結局ドキドキが勝つ気がします(笑)。
弓田:自分は結構緊張するタイプなんですけど、不安になるのは前日で終わって、当日は気づいたらスタートラインに立って、スタートしているみたいなことが多いです。公式戦ではどうなるか分かりませんが、何も考えないくらいでスタートラインに立つイメージで今はいます。
石野:緊張もすると思うんですけど、多分自分は「ついにここまで来たか」という気持ちになると思います。正直自分が憧れているのは本選を走ることですが、本選を走るためには予選会を通らなければならないので、夢を見てきた側からついに走る側になったんだなと考えると、「ここまで来たんだ」という実感がわくと思います。

「ついにここまで来た」(石野)
田口:大きく言っちゃおう(笑)。去年キャプテンだった田島(公太郎)(現トヨタ九州)さんと今も連絡を取っているんですけど、夏合宿の時に全体で60番以内に入ってきてとは言われていて、今の状況から考えると程遠いですが、約束してしまったので、(目標を)変えずにいこうかなと思います。あとは応援する側もキツそうな選手を応援するより、すごい前に行って頑張っている選手を応援する方が楽しいと思うので、見ていてワクワクしてもらえるような走りがしたいです。

「見ていてわくわくするような走りを」(田口)
石野:自分はそんな大層な目標はないんですけど、強いて言うなら一徹と涼太が「お、石野来たな」と思ってくれるような走りがしたいです。大学に入ってから今までの練習や試合の実績を見ると、正直言って二人に遅れをとっているので、一番注目される予選会でちょっとビビらせてやろうかなと思います。
田口:こりゃまずい(笑)。
弓田:怖い(笑)。僕は、自分の強みが高校生の時から駅伝やロードレースに出ている経験値だと思うので、それを活かしていきたいです。また、3月のハーフマラソンに出た際、キツくなってから一定のペースで押し切ることができて、そこも強みです。頭の中でレース展開やプランをいくつも考えて、しっかりその通りに走るという目標は最低限達成したいです。同期で決めた目標は“全員200番以内”ですが、僕はそこは余裕を持っていきたいので、最後の公園内で追い上げて150番台で走れれば良いかなと思います。

「プラン通り走る」(弓田)
田口:自分たちが3年生、4年生になった時にチームで箱根を目指せる状況にするためにも、僕たちの学年がいい順位で帰ってくることが大事だと話しています。
石野:予選会で走る機会は残り3回しかないので、とりあえず自分の力を発揮できるように、毎日しっかり寝て、しっかり食べて備えたいです。
──石野選手、田口選手、弓田選手ありがとうございました!
(取材:吾妻志穂、片山春佳、鈴木拓己、野村康介 編集:吾妻志穂、片山春佳、檜森海希)